~μ’s Forever Lovers~ μ’sic Start!   作:絢未

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 もうそろそろ終わるかも。

 スター喫茶は=スターバッ○ス。


【絵里→にこ×真姫】 判断

「……痛っ」

 

 真っ赤に腫れ上がって傷や痕だらけの小さな背中に薬を塗ってあげれば、苦しそうな顔をして足をバタつかせるから抱きしめてあげるの。そうすると、彼女は嬉しそうにする。

 

 私とにこちゃんが身体を初めて重ねた日、その日から私たちは愛人の関係になった。あの日から既に一か月以上経過している。私たちは仕事の合間の時間や休みの日、毎週、いや毎日のように会っては身体を重ねてきた。それでも、私はそろそろ限界だった。日を重ねるごとに酷くなっていくにこちゃんの傷。医者として、愛人、いや親友としてこれ以上見過ごすことはできない、そう思ってた。

 

 それでもにこちゃんは私との関係をやめようとはしなかった。にこちゃんの心のより所は私しかなかったのかもしれない。でも私は言った。『愛人は、もうやめにしよう』。

 

 でもにこちゃんは私のことを離してくれなかった。

 

 『真姫がいないとダメなの……私にはもう、真姫しかいないのよ……っ』

 

 私はそう言われて、口をつぐんでしまった。本当は眠らせてでも病院に連れていくべきなのかもしれない。でも私はその選択肢を自分で消した。悪魔が私に囁くの。”一緒にいたいんでしょ?”って。

 

 そりゃ一緒にいたいわよ。昔から大好きだった人と一緒にいたいに決まってるじゃない。でも、それは私しか得しないと思う。にこちゃんが私のことをどう思っていても構わないけれど、にこちゃんが傷ついていくことに変わりはない。それほど彼女の傷は深く、酷いの。

 

 だから私は、決めた。

 

 

 ~♡~♡~

 

 〔分岐点〕

 

 【END①】……最後の文章に飛んでください。

 

 次からの文はまだ上の文の続きです。

 

 ~♡~♡~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は自分の気持ちを優先したの。

 

 にこちゃんのことを守らないで、自分の感情を優先した。

 

 それほど私はにこちゃんが好き……、いや、違う。

 

  

 私はただ、にこちゃんに”依存”しているだけだ。

 

 

 にこちゃんは貴女のものじゃないの。

 

 にこちゃんは、私の”モノ”よ。

 

 

 ~♡~♡~

 

 

 「お疲れー」

 

 と無人のオフィスに声を残して私はとっとと会社を出た。

 

 希ににこのことをきいてから丁度一か月くらいかしら。雪の降るこのロマンチックな日に、一人で深夜まで残業なんて悲しすぎるわ。ロマンチックのかけらもないわよ。

 

 その寂しい心を満たすため、最近お気に入りのバーへと向かった。

 

 

 バーの店内にはあまり客はおらず、私と同じような会社帰りと思われる男性が3人。無人のカウンターに座り、何を頼もうかと悩む。お財布に相談すると中には諭吉さんが1人、英世さんが4人。諭吉さんはもったいないわね。うーん、でも奮発して後悔しないかしら……。

 

 ここは英世さん3人にしましょう。あまり使いすぎるのも良くないわ。どうせ明後日くらいには飲みたくなってきちゃうんだろうし。

 ショックやストレスのため、最近は仕事帰りによることが多く人間的にダメになってきている。仕事も大変で、手が働かないからいつも仕事残って残業になっちゃうのよね。

 

 私が悩んでいるのが注文を悩んでいるのが珍しいって思ったみたいで、マスターが『いつもので?』と聞いてきたから、反射的に首を横に振った。

 

 3人だと……あ、ちょうど3人分のお値段のがある。これにしましょう。

 

 慣れないように頼むと、マスターが『かしこまりました』と一言つぶやいた。

 

 

 ウイスキーが出されて、飲んで酔いに浸っていると、ふと頭ににこの姿が甦った。

 

 付き合っていた日々や、学生時代のこと。

 

 笑顔や泣き顔、いろんなものが頭のなかに浮かんできて。

 

 走馬燈ってこんな感じなのかな?

 

 もう、いっそ死んでもいいかもしれないなぁ。

 

 生きてる意味が感じられない。

 

 そうよ、なんで私生きてるの?

 

 教えてよ、誰か教えて――誰が私をこんなにしたんだろう。

 

 生きてても、何の意味も――。

 

 

 そのとき、バーの入口が開いて、カランカランって鈴が鳴った。

 

 それでハッとして我に返った。なんだかとても今いけないことを考えてた。

 

 私、なんでこんなになっちゃったんだろう。

 

 自分がどうしようもない人間になってきているのは分かっている。自分でももうどうにもならないことも。一度でもいいからにこに会いたい。にこに……。

 

 「……会いたいよ」

 

 気持ちが声に出てしまって慌てて周りを確認する。幸いマスターも近くにはいないし、聞かれてないみたい。ほっとして、もう一口。

 

 それから数十分、ぼーっとグラスの中を見つめ、酔いがかなり回ったので英世3人を置きバーを出た。すぐにタクシーを拾って家へと帰宅する。

 

 道が渋滞していて、なかなか動きそうにない。まだ着きそうにないな、と、タクシーの中で外を見ていると、あの小さい姿が――。

 

 にこだ。間違いない。

 

 私は紙幣を1枚置いてタクシーから飛び出した。

 

 にこを見た場所へ全力で走る。もういないかもしれない、なんて思わなかった。私の頭の中はにこでいっぱいだった。でもかなり酔いが回っているため、まともに走ることができない。それでも必死に走った。

 

 その結果、にこの後姿を発見。某スターバックスの店前に立っている。私は急いでにこのもとへと向かった。

 

 「にこーっっ!!」

 

 もはや人違いという可能性などないようなものだった。無我夢中で走り寄ると、なぜか私の視界が地面に――。

 

 転んだわ、派手にね。

 

 「だ、大丈夫ですか……!?って、え、え……絵里?」

 

 にこらしき人も急に人が走ってきて急に転んだのだから、かなり驚いているみたい。でも、今最後に絵里って。

 

 聞いたことのある声。やっぱり……。

 

 「……に、にこ?」

 

 見上げると、あの可愛い顔が。

 

 「きゅ、急に走ってくるものだからびっくりしたわよ……え、えっと、久しぶ、っ……!っっぁ……!」

 

 気が付いたらギュッとにこの身体を抱きしめていた。数カ月ぶりなものだから嬉しくてつい力が入っちゃったみたいで、にこが苦しそうな顔をしている。……それにしては痛がり過ぎじゃ。って、ちょ……!

 

 「うぁぁっ……」

 

 すっとにこの身体が腕からすり落ちていく。膝から地面に崩れ落ち、うずくまってしまう。私も最初は何が起きているのかよくわからかった。それでもにこが苦い顔を浮かべていることだけは確か。

 

 「ご、ごめんなさい。強く抱きしめすぎたわ……ねぇ、にこ?ね、だ、大丈夫!?」

 

 私の腰のあたりにギュッとくっついて呻くような声を出している。ただ抱き締めただけでこんなになるかしら?大丈夫?という意味で背中をさすると、今度は苦しそうな声を出して……。背中になにかあるの?

 

 そのとき、私の後ろからヒールの音が速く近づいてきた。こちらに急接近してくる赤毛の女性。

 

 「にこちゃんっ!!」

 

 私のことなど無視してにこをすぐに私から離させて、軽く抱き留めた。

 

 「……真姫」

 

 なんで真姫とにこが一緒に……?

 

 すると真姫は私のことをジッと睨み付けてきた。こんな顔、久しぶりに見たわ。

 

 「にこちゃんに何したの?」

 

 「私はただ、抱きしめただけで……その、ごめんなさい」

 

 私は真姫に威圧され、謝ることしかできなかった。

 

 「とにかく、にこちゃんは今大変だから。にこちゃんはもう絵里の恋人じゃないんでしょ?私のモノだから」

 

 真姫はそれだけ言い残して、スター喫茶の紙袋とにことを連れて、とっとと行ってしまった。

 

 

 

 家に帰宅して、シャワーを浴びてすぐにベットに倒れ込んだ。

 

 頭に浮かぶもの。それはにこと真姫だけ。

 

 

 前から真姫はにこに気があったようだけど、今一緒にいる理由は分からない。

 

 「はぁ……せっかく会えたのに」

 

 抱きしめてもにこを嫌がらせてしまったようなものだし、なんだかあまり嬉しくなかった。

 

 そのまま考え事をしているうちに、私は眠りについていた。

 

 

 ~♡~♡~

 

 

 「……ん」

 

 どうやら眠ってしまっていたみたい。今日の手術は結構大変だったし、疲れたわ。

 

 腕時計を見ると、午後6時過ぎを指す針。そろそろ帰ろうかしら。今日はもう特に仕事もないし、にこちゃんに会えればいいなって考えてたんだった。さぁ、帰る支度しましょ。

 

 BGMもなにもないし、テレビでもつけようかな。

 

 リモコンに手を伸ばしワイドショーをつけると、そこには大きな字で【速報】と書かれていた。

 

 「何かしら……って、う、そでしょ……?」

 

 画面に映る大好きな人の顔。その横には大きく【意識不明の重体】とある。

 

 紛れもなく矢澤にこが意識不明の重体だということ。そして――

 

 部屋のドアが開く、看護師が青ざめた顔で手術手術と言っている気がする。もう、私にこちゃんと一緒にいる資格ないわ。私、私……。

 

 「西木野先生!緊急搬送です!階段から転落し、意識不明の重体で、至急準備をお願いします!」

 

 はぁ、なんでこんなことになっちゃうのよ。私以外に手が空いてる人いないのかしら。にこちゃんの担当?できるわけないでしょ。死んじゃったらどうするの。

 

 私は、判断を間違えた。

 

 あのとき素直に病院に連れてきていれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。

 

 私がぽかんとしたままその場に立ち尽くしているためか、看護師の声が大きくなる。ハッと我に返って、私は手術室へと走り向かう。

 

 責任を果たすしかない。

 

 私にできること。それは”にこちゃんを救うこと”それだけ。

 

 

 ~♡~♡~

 

 

 ここから【END①】です。

 

 

 ~♡~♡~

 

 

 医者なら薬くらい簡単に手に入る。それでもにこちゃんに直接睡眠薬を飲ませるのは気が引けるし、副作用で眠くなる痛み止めのような薬を用意した。

 

 家でそれをにこちゃんに飲ませ、眠っている間に病院に運んで警察に通報。

 

 にこちゃんの婚約者は暴力などで逮捕され、求刑通りとはいかなかったものの、懲役五年となった。

 

 

 あれから二年が経った。

 

 にこちゃんの傷は、少し痕が残るもののだいぶ良くなった。今は私とは暮らしておらず、復縁した絵里と同居生活を送っているが、ほぼ私も二人の家にいるため、三人暮らしのようになっている。

 

 私と絵里は誓い合ったの。

 

 五年後、また世間に舞い戻る魔の手から、にこちゃんは護ると――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次の話からにこえりに戻す予定。

 真姫ちゃんには身を引いてもらいます。
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