~μ’s Forever Lovers~ μ’sic Start!   作:絢未

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 大変お待たせしてしまい本当に申し訳ありません。

 なんとお詫びをしたらいいものか……

 
 だらだらと続けてしまったこのシリーズも今回で最終回です。


【にこ×絵里】 これからも

「……絵里」

 

 手術が終わって手術室を出ると、外のソファには絵里が座っていた。

 

 にこちゃんの手術は無事に成功した。それでも今夜の0時が山場。今夜にすべてがかかっている。

 

 絵里は立ち上がって、缶コーヒーを手渡してくれた。

 

 「お疲れ様。そして、ありがとう」

 

 頭を下げられた私は、なんだか今までの感情がすべて湧き上がってきてしまい目から涙がとまらない。

 

 「ごめん、絵里。私、にこちゃんのこと、見捨てたの……自分がにこちゃんといたいから、にこちゃんの傷については目をつむってた。一度は通報して、病院に連れていこうともした。それでも、それでも足が動かなかった。ごめんなさい……ごめんなさい。私、なんて謝ったらいいのかわかんない。にこちゃんがこんなになっちゃったのも、もとはといえば私のせい。……それに、あの夜の日。絵里に悪いことした。ごめんなさい」

 

 謝罪しかでてこない口をふさぐ様、絵里が優しく抱きしめてくれた。

 

 「真姫のせいじゃないわ。全部、犯人が悪いのよ。あなたは、悪くないわ」

 

 そっと抱きしめて、頭を撫でられて。手術が無事に終わった安心感かな。涙がおさまらない。

 

 「みんな来てくれてるわ。……病室にいる。行きましょう」

 

 

 【矢澤にこ】と書かれたプレートがある病室に入ると、そこにはベットに寝ているにこちゃんと懐かしい面々がいた。ベットを取り囲むようにしてみんなが周りに集まっている。みんなの目線の先には、目を閉じているにこちゃんの姿。

 

 みんなやっぱり大人になった。

 

 穂乃果は結局実家を継ぐために、和菓子の勉強をしてお店の手伝いをしているらしい。そして、絶賛婚活中。

 

 ことりはデザイナーとして、海外と日本を行ったり来たりして大忙し。ことりがしているデザインは人気があるみたいで、忙しくてみんな会うことができていないみたい。それでも、彼氏はいるみたい。

 

 海未は公務員になってバリバリお仕事してるそう。空いた時間で日舞の先生としても活動しているみたいで、昔から忙しいのは変わりないみたい。でも海未にはそれがあってるのかも。彼氏がいるのかは不明だけどね。

 

 凛は最近できちゃった結婚したばっかで、幸せ大絶頂なのよね。まだあんまりおなかは膨らんでないけど、西木野総合病院のかかりつけなの。旦那さんはラーメン屋で知り合ったそう。

 

 花陽は凛の上をいき、結婚して子供が1人おなかにも一人という完全なママになりました。仕事で知り合った男性と早めにゴールイン。今年で三年目くらいかしら。

 

 希は日本やら海外をふらふらと放浪しては写真を撮って、写真集を出している。いわゆる写真家だ。

 

 みんな華やかになっていって、白衣を着ている自分が少し恥ずかしい気がする。そんなこと考えてたら、急に凛が私に抱き着いてきた。

 

 「ちょ、ちょっと凛!あなた、おなかに赤ちゃんいるのになにしてるのよ!」

 

昔みたいに『ま~きちゃ~ん』って、言いながらにゃー、ってほっぺをすりすりしてくる。凛の身体は小っちゃくて、暖かくて……。なんだかまた安心して、涙が出てきてしまった。

 

 そんな私を見た希が心配そうに顔を覗き込んできた。

 

 「どうしたん?ぎゅってされただけで泣いちゃうなんて……真姫ちゃんらしくないやん」

 

 凛が身体を離すと、今度は絵里が頭を優しく撫でてくれた。さっきみたいに優しく、優しく手のひらで包み込んでくれる。こころが暖かくなって、涙がなんで出るのか分かんない。

 

 「もう、さっきから泣きっぱなしで……大丈夫?」

 

 コク、って頷いて私はみんなに向き直った。私がにこちゃんと何があったのか。それを全部話さなくちゃいけない。私が真面目にみんなの方を見たら、みんなもこっちを見てくれた。

 

 「絵里は知ってると思うけど、私はにこちゃんに酷いことをしました。……にこちゃんがこうなっちゃったのも、元はといえば私のせい。今から全部、みんなに話します」

 

 私は重い口を開き、全てを話し始めた。

 

 

 みんなは真剣な顔でずっと聞いてくれてた。途中で感極まって泣き崩れても、ずっと聞いてくれて。嬉しかったんだと思う。にこちゃんはその間もずっと、ずっとベットの上で目を閉じていた。

 

 かれこれ一時間くらい話しているけど、今はもう私の話は終わって、近況報告をしている。この提案をしたのは穂乃果。みんなの気分が落ちちゃったからだそうで。

 

 そして一番最初、みんなに話を振ったのは希だった。希が話を振るとなると嫌な予感しかしない。生憎、的中してしまった。

 

 「……それで、みんなは彼氏とかいるん?」

 

 結婚している凛と花陽は除外されるこの質問だが、聞いた瞬間みんなの顔色が変わった。絵里と私はなんとも言えない顔をしているけど、穂乃果は絶望的な顔をしている。……確か、穂乃果に彼氏はいない。

 

 逆を言えば、穂乃果の隣でずっと腕を組んでいた二人――海未とことりは幸せそうにイチャイチャしている。希はニヤニヤとしながらみんなの顔を眺め、凛と花陽は楽しそうに笑っていて……。

 

 みんなが黙り込んだ後、最初に口を開いたのは希であった。どうやら誰も口を開かないため、しびれを切らしたらしい。

 

 「じゃ~やっぱりリーダーの穂乃果ちゃんから!」

 

 それを聞いた穂乃果は『えぇっ!?』と驚いて焦っているようで。まったく、ここは病室なんだからもう少し静かにしなさいよ。……それで、にこちゃんの意識が戻るならいいけれど。

 

 穂乃果は渋々と、『……いません』と口を開いた。

 

 「じゃ、好きな人はいるん?」

 

 追い打ちをかけるように、次々と質問を投げかける希。

 

穂乃果は顔を赤らめて、渋々口を開いた。

 

 「ぅ……い、いる」

 

 こんな穂乃果久しぶりに見たから、ちょっと懐かしくも思える。

 

 みんなからは意外そうな反応。ちょ、ちょっと可哀相じゃないの。

 

 「へぇ……穂乃果の好きな人ですか……それは私も気になりますね」

 

 穂乃果の隣でことりに腕を抱かれている海未がニヤっと穂乃果のことを見つめる。

 

 穂乃果はそんな海未にぶんぶんと頭を振って、『絶対教えないもん!!』と騒いでいた。

 

 「大体、そういう海未ちゃんはどうなのさ!どーせ、毎日ことりちゃんとイチャイチャしてるんでしょ!?穂乃果、知ってるんだからねっ!」

 

 頬を膨らませて怒るその姿は一つ上の先輩だとは思えない。

 

 海未はそれを聞くと、眉を八の字に曲げた。

 

 「心外ですよ、穂乃果。……確かにことりとはお付き合いしていて、同棲もしていますが……穂乃果の言うような、いかがわしいことは――」

 

 ”していません”とでも言おうとしたのだろうか。だがその言葉をことりがかき消した。

 

 「海未ちゃん、そんなこと言っても激しい時は激しいよね~?」

 

 ことりがわざと海未を煽ると、顔を真っ赤にして激怒していた。初心な所は変わってないみたい。

 

 

 

 そんな話を続けること一時間弱。お開きにしようと最初に口を開いたのは絵里だった。

 

 「みんなも疲れてるだろうし、今日はお開きにしましょ。真姫もへとへとだろうしね」

 

 みんなに別れを告げて、私と絵里以外が部屋の外に出ると、私は口を開いた。

 

 「……ねぇ、絵里?私、決めたわ」

 

 にこちゃんにふさわしいのは、やっぱり私じゃない。絵里なのよ。

 

 にこちゃんを見捨てたからとかそういう理由じゃない。ただ単に、その方がお似合いだと思ったから。大体、高校からずっと付き合っている二人に入り込もうとした私が悪いのよ。

 

 「……真姫?」

 

 絵里は『どうしたの?』という顔で私をみつめている。

 

 「私、にこちゃんのこと諦める。……別に深い意味はないわよ?でも、やっぱり絵里には敵わないしね。……にこちゃんのこと、幸せにしてあげてね」

 

 泣く気なんてなかったのに、目からは涙が少し出てきてしまって。そこで病室を飛び出した。

 

 

 ~☆~☆~

 

 

 「……にこ」

 

 真姫が部屋を飛び出したあと、私はずっとにこのことを撫でていた。目が開くことのないその身体を見つめると、なんだか悲しい気持ちになってくる。

 

 もしかしたら、もう目を開けることはないのかもしれない。

 

 もう名前を呼んでくれないのかもしれない。

 

 悪い方向にしか頭が動かない。そんなことは絶対に嫌なのに。

 

 シーツに一つの跡ができた。私の目から出た一筋の涙。目を擦るたびに止まらなくなるその涙。私は数十分、一人病室で泣いていた。

 

 そうしたらどこからかにこの声がした。会いたすぎて遂に幻聴が聞こえてきたのかも。

 

 それでも私の名前を掠れる声で呼んでいるその声が、耳から離れない。

 

 「……にこ?」

 

 間違えない、にこの声だ。

 

 にこを見ると、うっすらと目が開いている。まさか……。

 

 「……ったく、いつまで泣いてるのよ」

 

 「……にこっ!」

 

 抱きしめたくても抱きしめることができないその身体に何度も名前を呼んだ。

 

 「絵里らしくない……そんなに心配してくれたの?」

 

 「心配、なんてモンじゃないわよ。もう本当にどうしたらいいのかわかんなくて……にこがいないと、私、ダメで……よかった。本当によかった……」

 

 にこが目を覚ましたことに対する安堵感が身体を巡り、一気に力が抜ける。

 

 「ちょ、ちょっと……大丈夫?絵里の方が重傷じゃない……私は平気よ?」

 

 そんな元気に振舞うにこを見てると少しずつ気持ちが楽になる。

 

 

 興奮していたからあんまり覚えてないけど、あの後は結局ずっと泣いていた気がする。

 

 にこが外にある程度動けるようになって、改めて警察に被害届を提出して、後日にこの相手は逮捕されることとなった。私たちがだした求刑は無期懲役。流石に死刑にはならないそうで、それならと考えた案がこれだったのだ。でももう関係ない。にこのことは私が守るって決めたから。

 

 もう一人にはしないわ。

 

 愛してるわよ、にこ。

 

 

 ~☆~☆~

 

 あれから二年の月日が流れた。

 

 見事、求刑が実刑になり、私とにこは安全な生活を送っている。

 

 にこは階段から突き落とされたせいで、下半身に少しの麻痺が有り一人で歩くことができない。だからといってもずっと隣にいれるわけでもないため、昼間はことりに世話を頼んでいる。

 

 ことりも海未が仕事に言っている昼間に私たちの家に来ていろいろとやってくれる。海未も仕事がない日はことりと一緒にやってきては、手伝ってくれているみたいで。

 

 本当に、助かります。

 

 車いす生活にもなれたけど、やっぱり大変なものは大変で。

 

 それでも幸せなの。私はにこと一緒にいれるだけで幸せだから。

 

 

 これからもよろしくね、にこ。

 

 

 

 

 

 




 眠いテンションでgdgdで本当にすみません。

 反省しております。

 これからはもうちょっと短くできるように頑張ります。

 
 次回は未定ですが、新しい企画書を投稿する予定です。
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