~μ’s Forever Lovers~ μ’sic Start!   作:絢未

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 夜ご飯食べる前にクレープはダメ、ゼッタイ。


 というわけで、だいぶ日が開きましたがほのゆきです。今回は二人がケンカします。

 時間かかった割には、あまり長くないですけど許してください……。




【穂乃果×雪穂】 なかなおりのしるし

 やっちゃった。

 

 お姉ちゃんにやっちゃいけないこと、言っちゃいけないこと。

 

 お姉ちゃんを傷つけちゃった。

 

 「もういいよ……雪穂なんて、っ……雪穂なんて知らない――っ!」

 

 私の耳に深く残る、重くて大きいドアが閉まる音。

 

 

 私、高坂雪穂は久しぶりに姉の高坂穂乃果と、盛大な大喧嘩をした。

 

 

 ことの発端はお姉ちゃんが勝手に私のデザートを食べてしまったこと。祝日で学校も休みだったお姉ちゃんは、私が親友の亜里沙と出かけている間に、大事にとっておいたショートケーキを食べてしまったのだ。普段なら私が少し怒るだけでお姉ちゃんのことは許すけど、なぜだか今日はそううまくはいかなかった。私もお姉ちゃんも、日頃の不満をすべて言い放ってしまって、私が最後にとどめを指す発言をしちゃったから。……だから、あんなことになっちゃったんだ。

 

 『だいたい、本当にお姉ちゃんたちで廃校がなくすことなんて出来ると思ってるの?……そんなの、ただの女子高生にできるわけないじゃん!ロクにダンスなんてしたことなかったんでしょ?そんなんで廃校をふせぐとかか、絶対無理でしょ』

 

 今まで溜まってたものを、その場の勢いですべて吐き出してしまった。お姉ちゃんがどんな思いでスクールアイドルをしているのか、どれだけスクールアイドルが好きなのかを誰よりも近くで見てきたのに。メンバーの人なんて関係なく、家族として、妹として見守ってきたのに。なのに。

 

 それを聞いたお姉ちゃんはただ怒ることもなく、声を張り上げることもなく静かに、ただ悲しそうに呟いた。

 

 『……雪穂、もういいよ。……もう、いいから』

 

 ――もう、いい。

 

 その一言が、今でも私の心に残ってる。それが頭から離れない。お姉ちゃんは私の目をじっと見た後、何かが込み上げたように泣いて――、

 

 

 ――そして、現在に至る。

 

 

 お姉ちゃん、どこいっちゃったの。

 

 

 シーンとした静けさの中、ロールケーキの匂いが微かに漂う部屋の中で、私はぼそりと呟いた。

 

 

 〜♡〜♡〜

 

 

 「穂乃果……もうそろそろ帰らないと。穂乃果のお母様も……雪穂も心配しますよ……?」

 

 雪穂と喧嘩したと、家に泣きながら駆け込んできたあなたが部屋に来てすでに3時間が経ちました。現在の時刻は、7時半過ぎ。喧嘩した雪穂はともかく、お母様は心配しているはず。そう思って穂乃果に声をかけるのは、もうこれで三回目です。三度目の正直と思って声をかけましたが、ベッドに横になったままこっちを見ることはありません。

 

 「穂乃果……いいかげんに――」

 

 してください、と言おうとすると本人にかき消されてしまいました。

 

 「海未ちゃんも、本当はスクールアイドルなんてやめた方がいいって、廃校なんて阻止できるはずないって思ってるの……?」

 

 穂乃果がそんなことを言うのは、雪穂とそのことをキッカケに喧嘩してしまったからなのか。そう考えると、私もなんと答えたらいいのかわからなくなってきます。今、穂乃果に答えるベストな答えはなんなのでしょうか。

 

 やはりここは、穂乃果を安心させないと……。

 

 穂乃果をギュッと抱きしめて、背中をさすり安心させるようにしました。

 

 「いえ、そんなこと私は微塵も思ってませんよ。私は穂乃果がスクールアイドルに一生懸命なのも、スクールアイドルが大好きなのも知っています。……それに、穂乃果が中途半端に取り組んでいたら、今頃私はスクールアイドルの楽しさを知りませんでした。大体、そんなこと思っていたら、私があなたに協力して一緒にアイドルなんてしているわけないでしょう。……もうそんな、馬鹿なこと言わないでください。誰もそんなこと思ってないですよ。雪穂だって、本当にそう思っている訳では無いと思います。……そんなことでいじける穂乃果じゃないでしょう」

 

 「海未ちゃん……ぐすっ、ありがど……うっ、う、うわぁ~~~んっ!!」

 

 子供の様に盛大に泣き出してしまった穂乃果を泣き止ますと、穂乃果は荷物をまとめだしました。どうやら帰る決心がついたようですね。

 

 「穂乃果、帰るね。……ちゃんと、雪穂となかなおりするから!」

 

 それだけ言うと、ばいばーいと部屋を飛び出して行ってしまいました。

 

 

 

 せわしないあなただから、なんというか……。

 

 ……まだ、この気持ちは穂乃果には秘密です。

 

 

 

 ~♡~♡~

 

 

 「雪穂っっ!!」

 

 「うわっ!……お、お姉ちゃん」

 

 散々泣いた後、自分の部屋でボーっと天井を見上げていたら、突然名前が呼ばれると同時にお姉ちゃんが入ってきた。まさか、こんなに早く帰ってくるとは思わなかったし、第一お姉ちゃんのほうから来るなんて……。

 

 「雪穂……ごめんっっ!!」

 

 「うぇっ!?な、なにっ、急に……」

 

 悪いのはお姉ちゃんじゃなくて私でしょ……?スクールアイドルのこと、お姉ちゃんのこと、μ'sのことを、馬鹿にしちゃったのは私なのにっ……なんでっ……。

 

 「穂乃果が悪かったよ……雪穂の大事なデザート、いつも食べちゃうし。雪穂のこと考えてなかったんだよ……いつも店番とか、練習のせいで押し付けちゃってるし……」

 

 それからずーっとお姉ちゃんは自分の非を喋り出してしまった。あぁもう、お姉ちゃんは悪くないのに……。

 

 それを打ち消すように、私は大声で「あぁぁっっ!!」と叫んだ。それを聞いたお姉ちゃんはびっくりしてたけど、私はそのまま喋った。

 

 「お姉ちゃんは悪くないんだよっ!全部私が悪いの!……お姉ちゃんのこと一番わかってるのに、お姉ちゃんを傷付けるようなこと言っちゃったし……関係ないようなことまで言っちゃって、本当にごめんなさい。本当はスクールアイドルのこと、全然悪く思ってないよ?でも、最近あんまりお姉ちゃんと一緒にいる時間減ったし……なんかさびしかったから。前みたいに二人でお散歩とか、近くでもお出かけとか……なくなっちゃったから……」

 

 なんか、いろいろ言っちゃったけど、すっきりしたかも。あーあ、なんかつまんないことで大ゲンカしちゃったな……って。

 

 「ちょ、ちょっと、お姉ちゃ――」

 

 お姉ちゃんにギュッと腕を引っ張られて、そのまま部屋の外へ連れ出される。

 

 「お姉ちゃん、どこ行くのっ!?」

 

 ニコッと笑ったお姉ちゃんは、クレープ屋さんっ!!と叫んだ。

 

 

 そのまま私とお姉ちゃんはクレープ屋さんに直行。お姉ちゃんのおごりと言って、一つ大きなクレープを頼んだ。生クリームとイチゴがたくさん入ったクレープを二人で食べて、ゆっくり家に帰る。久しぶりのこういう時間。なんだか懐かしくて、とっても楽しい。

 

 「雪穂ー、はい」

 

 はい、と差し出された手をギュッと握り返すと、お姉ちゃんが笑った。

 

 「また、クレープ食べに行こうね!雪穂っ!」

 

 満面の笑みに一生懸命答えるように返事をした。

 

 「うん!」

 

 夜ご飯、食べれるかなぁと考えながら、私もお姉ちゃんに笑顔を向けた。

 

 

 今日のクレープは、お姉ちゃんと私だけの秘密。

 

 

 また食べに来ようね、お姉ちゃん。

 

 大好きだよ、お姉ちゃん。

 

 これからもよろしくね。

 

 

 

 

 

 





 次はオリ主かなぁ……。

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