「幼馴染ぃ?」
疑わしそうに二人を見比べる英士郎。
「だったらなんでうちの生徒だって知らなかったんだ?」
「どうせというわけではないが、どっかに引っ越したからといったところか?」
「あぁ、そうだかれこれ6年ぶりくらいになると思う」
「にしても、反応が薄いように見えるが」
そういうのは英士郎だ。
「んー、そうは言っても昔からこんな感じだったからなぁ、これでもきっと驚いている……はず、きっと」
「本当か?」
「……うん、ちょおビックリ」
「いや、全然そうは見えないけどな」
どうやら驚いているみたいだ。それから、綾斗と紗夜の会話を軽く耳にしながらも、授業準備を始めた。ちなみに、英士郎に銃口を突き付ける紗夜のその動きを斑鳩は確実にとらえていた。
その日の放課後、放課後の割と早い時間に、斑鳩はクローディアに呼ばれ生徒会室に呼ばれていた。
「失礼します」
「どうぞ」
生徒会室に入ると、そこには腕を組んだユリスとクローディアがいた。
「どうも斑鳩」
「どうもクローディア…この面々ってことは俺に関することですか?」
この場にいる人間は棗斑鳩という人物の真実の姿を知っているのだ。とはいえ、かなり剣呑な雰囲気だ。
そんな中、クローディアは軽くユリスに視線を送ると、ユリスが一歩前にでて口を開いた。
「棗 斑鳩、今日から私のサポートに入ってもらう」
「…俺がですか?ちなみに理由をきいてもいいかな、クローディア」
「見破られていましたか」
「勿論」
そういうと、少しにやりと笑い話し出す。
「彼女はこの学園での有力候補です、それに現状ではあなたもその候補の一人です、なのであなたに彼女のサポートをしてもらい、お互い高め合ってもらいたい、そういうことです」
「それで、本音は?」
「それを言ったらダメでしょう、ま、そういうことです」
軽くあしらわれる斑鳩。どうやらあまりいい本音じゃなさそうだ。
「ということだ、よろしく頼むぞ 棗斑鳩」
「こちらこそ改めてよろしくユリス」
改めてあいさつを交わす二人であった。それからクローディアの提案で斑鳩は校舎巡りをすることになった。
「…マジかよ」
斑鳩は偶然というわけではないが、ユリスと紗夜と出くわした。
「奇偶というわけではないが、よ、お二人さん」
「……斑鳩」
ジト目でこちらをにらむユリス。
「それで綾斗はどうした、案内中だろう?」
「あぁ、高等部の方へ飲み物を買いにいったさ、お前は?」
「校舎を散歩中といったところさ、にしても沙々宮さんはなぜ?」
「方向音痴だから――」
そう言いかけた瞬間、一瞬の殺気を感じた斑鳩は、指を瞬時に鳴らして武器を取り出し、それを弾いた。
驚いた様子のユリスと紗夜。二人とも反応は早い。とはいえ、
「(狙いはユリスか…)――流水爆鎖!!」
そういうと、相手の足元から細い水流を無数に発生させて、足元に絡めて移動を阻害させる。 すると、待ち構えていたかのように噴水から姿を現したのは、黒ずくめの格好をした襲撃者だ。その手にはクロスボウがある。。
「(飛び道具使い、ってことは近距離の間合いに入ればこちらのもんだ!!)」
「咲き誇れ――
そういうとユリスの炎槍の攻撃と共に飛び出してく斑鳩。だが、ユリスの攻撃ははじかれる。
「新手か……!いや、それよりも私の炎を防ぐとは…」
間に合った影も襲撃者と同じく黒ずくめの格好だ。両手で構えたその巨大な斧形の武器をたて替わりにしたみたいだが
「ヴォーパルストライク!!」
ジェットエンジンのような轟音と共に 赤い光芒と共に剣による強力な突きを繰り出す。
同時に、二つの攻撃が重なったのか、大男が真横に吹き飛ぶ。斑鳩は不思議に思ってみてみると、隣にいた紗夜が巨大な銃を携えていた。
「……なんだ、それは」
「三十八式煌型擲弾銃ヘルネクラウム」
「まさか、グレネードランチャー?」
斑鳩の言葉にうなずいた紗夜は、その銃口を噴水の方へ向け
「―――バースト」
「流星闘技か!?」
襲撃者は噴水から身を起こし、逃げたそうとするが
「……どどーん」
気の抜けるような掛け声と共に、光弾が着弾し爆発した。そして、ヴォーパルストライクよりもひどい耳を劈く様な轟音と共に、噴水を木っ端みじんに破壊した。
「(あーあ、修理代どうすんだろうな…)」
そう思いながら、基底部分からの水を浴びる斑鳩と三人であった。