エキストラチームは、一糸乱れぬ動きで布陣する。
「アリス、ユウキ、二人は≪絶天≫の相手をしてくれ、私とシオンと綾音は、残りを相手する」
「了解」
「わかったよ」
そういうと、あの二人が目の前に現れる。
先に挨拶して来たのは、あの金髪の少女からだった。
「はじめまして≪絶天≫、私は|天緑≪アマユリ≫アリス、よろしく」
「僕は|東雲結城≪しののめゆうき≫、よろしくね」
濡れ羽色のストレートの髪の少女
「!?……あぁ、よろしく」
二人の名前に驚きながらいると、二人とも剣を構え始めるので、斑鳩も剣を構える。
見ればアリスの方は、柄に金木犀があしらわれた剣を持っていた。また、結城の方は、真っ黒い剣だった。
双方、構えを崩さないまま、少しずつ少しずつ間合いを詰めていく。ぴりぴりとした空気が帯電し、観客の声が遠ざかる。そして耳が痛くなるほどの静寂が際限なくその密度を増していく。そして、開始に合図宜しくアリスの青い瞳がすっと細められる。刹那の雷閃に似た光が、瞳孔の奥で閃いた。
「――ッ!?」
同時に裂ぱくの気合と共に、黄金の髪を翻して真正面から神速の剣を斬り下ろしてくるアリス。
そして、すさまじい衝撃が斑鳩の両手を襲った。同時に、オレンジ色の火花が飛び散る中で、お互い表情を変えずに剣を振りかぶる
「「……ッ!?」」
星辰力を迸らせつつ、完璧に同期したモーションから、右上段を繰り出す。だが、弾き返されるので、今度は横から撃ち込む。だが、これも弾かれるで、右斜めの斬りおろし、そこから完璧なモーションで右上段斬りを繰り出す。そして噛み合う刃を滑らせ、右斜め斬りおろしを繰り出す。が、受け止められる。
「――ッ!」
そこから斑鳩は鍔迫り合いに移行しながら、内心での改めて舌をまく。
彼女の瞳の奥の燃えるような瞳を直視し、振り切る。
「(……アマユリ アリス)」
アリスは瞬き一つせず、視線を受け止めている。わずかに隙を見せれば、その瞬間に斬られるだろう。
「中々やるな」
「それは貴方もね!!」
言い終えると同時にアリスが突っ込んでくる。斑鳩の剣とぶつかり合うが、押し合うタイミングでアリスが一気に剣を引く。
すると、刃が滑り、一直線の火花が咲く。斑鳩は後方に押しやられ、アリスは前につんのめる。ここで踏みとどまれば、アリスの剣が飛んでくる。斑鳩は、勢いに逆らわず背中から床に倒れこむが、その寸前、右足を鋭く振り上げ、ブーツのつま先に眩い輝きが生まれ、アリスの顔をしたから照らす。
「そこだ!!」
短く吠えながら、全身をコンパクトに回転させると、後方宙返りの蹴り技≪弦月≫を繰り出す。そこから、体当たりと斬撃を連続させる≪メテオブレイク≫を繰り出す。
「――ッ!?」
アリスの剣をふるう右腕が唸りを上げて真横に動く。だが、今更どんな攻撃を繰り出そうと、こちらの蹴りの方が速い。無視して、撃ち抜けば――だが、その想定は甘かった。
突如飛んでくる剣の柄頭。それは体ではなく右足だ。しかも逆手握りの柄当て。放ったのは
「僕を忘れてくれちゃ困るよな~」
剣技の華麗さや勇壮さの欠片もない実践的なテクニックだった。視界に飛び込んでくる濡れ羽色の髪。
蹴り足を横から打たれたら、≪弦月≫の軌道を逸らされるので歯を食いしばり撃ち出される右足を懸命に引きとどめる、同時に硬質な衝撃音がとどろいた。
斑鳩の≪弦月≫は、ユウキの剣の右手の甲をとらえる。
「っと」
「――ッ!?」
手首から肩、腰を柔らかく動かすことによって 斑鳩の攻撃を武器で受け流した。それを斑鳩は、全く衝撃を感じなかった。
「(なんでその技を!?)」
バックステップで空中で身体を回転させ距離を取って着地する。
「遅いです!」
着地した瞬間に、今度は黄金の剣が飛んでくる。だが、この戦場を包むほどの甘く爽やかな香りが濃密に漂った直後、彼女の黄金の剣の刀身が消えた。
「(この香りは金木犀――まさか!?)」
案の定、金色の突風が斑鳩に襲い掛かる。斑鳩は絶対零度の冷気を極太のレーザーを乱発射させ、無茶苦茶であるが、その攻撃を避けた。だが、こっちに何枚か襲い掛かってくるので、それをジ・イクリプスで跳ね返す。その直後、金の風に押された、横からユウキが加速して突っ込んでくる。
「(あれは足場にもなるのか!?)」
と驚きながらもジェットエンジンのような轟音と共に 赤い星辰力を剣に迸らせ強力な突きを繰り出す。
だが、その突きは突風を斬り裂き、ユウキの胸元にめが突っ込んでいく。思惑通りだった。だが、胸元直前、ユウキの右手が煙るように動いた。同時に、右側面に小さな火花が弾け、突きの軌道がズレた。
その直後、今度は斑鳩の胸元目がけて剣が飛んでくる。だが
「――忘れたとは言わせないわよ」
頼もしい声が響いた。