ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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乱闘騒ぎ

襲撃者を撃退し、一息つく斑鳩。

「見かけによらず過激だな、おまえは」

「……リースフェルトほどじゃない」

紗夜に言われてユリスも言い返せないみたいだ。ちなみに瓦礫の間から襲撃者は逃げたらしい。

「取り逃がしたか…悪い、ユリス」

「いいさ」

軽く言葉を交わす斑鳩とユリス。

「にしても沙々宮は、強いんだな」

「……ありがとう」

礼には及ばんよと言いたくはなったが、二人の格好を見て少し溜息をつき

「…ほらよ」

軽いため息を吐き、斑鳩はユリスと紗夜に自分の着ていた服を羽織らせる。

すると、状況を把握したユリスが襲い掛かってこようとしたが察したのか何も言わず

「………ありがとう」

そういいながら後のことは当事者に託し、その場を後にした。

 

 

 

 

翌日、綾斗の純煌式武装の適合率検査などがあり、その週の日曜日

 

"折角ですし、外でも見てきたらどうでしょう?"と生徒会長クローディアの言葉と共に、斑鳩はアスタリスクを一人で出歩いていた。そして、このアスタリスクの市街地は、主に電車で移動する外縁居住区と地下鉄で移動する中央区に分けられる。

「にしても、ユリスは綾斗とデート中というわけか…」

若干羨ましいなと思っている斑鳩。流石に一人というのはこれは悲しいものである。

「(与えられしものと、与えられぬものか…)」

影で活躍するのもまた有りかと思いながら足を商業エリアの方に進めていく。

 

「(さすが、学園都市というわけあるか)」

メインストリートの中でも特に賑わいを見せている商業エリア。綺麗に整備された石畳風の道は学生たちで溢れている。当然のように私服だが皆、わかるように校章をつけていた。同時に、車両が見当たらないことから、どうやら歩行者天国の時間のようだ。

そんな中だった。

 

「…一人か、棗 斑鳩」

気配と声音からしてレスターだった。どうやら取り巻きはいないみたいだ。

そのせいか、いつにもまして声音は落ち着いている。

「あぁ、そうだ、ハブられたんだよ」

「……そうか、悪いことを…聞いたな」

バツの悪そうな顔をするレスター。

「同情するな、今なら同情でダンジョン一つはクリアできそうだよ」

「ダンジョン?」

「おっと、悪い、忘れてくれ」

「ん?あぁ、それでお前は何しているんだ?」

「唯一人町をブラブラとな、そういうお前はまさかユリス探しか?」

「ご名答、そんなところだ――にしても、まさかあんな立ち回りをしたお前が一人とはな、新聞部に囲まれたりしなかったのか?」

「してたらここに来ないさ、それを言うならお前もな」

「――ちなみに、まじめな話をしていいか?」

「あぁ、構わないが」

「つい先日、噴水のところでユリスを襲ったか?」

「噴水、何のことだ?」

「……わかった、それだけ聞ければいい、んじゃあ、ウィンドショッピングしながら戻るわ」

そういうと、斑鳩は歩き始めた。

 

 

 

 

 

夕暮れの街並みの中、斑鳩は最寄りの地下鉄の駅の方に足を向けていた。

「(ん、なんだ?)」

見てみれば学生同士が集団でもめているみたいだ。怒号と罵声が飛び交っている。周囲には野次馬もいくつかいるが、そそくさと散っている。そんな中、ふと声が聞こえた。

「あれは、レヴォルフの連中だな、相変らずバカなことをやっているものだ」

と声音の方に視線を向けると斜め前にユリスと綾斗がいた。

 

相変らず罵声と怒声が木霊しているが、何か違和感を感じる斑鳩。

「なんだか、二つのグループが揉めているみたいだね…あっ、手が出た」

そんな中、グループの代表らしき学生が、向き合っていた学生を突き飛ばす。そして、それをきっかけに反対側の連中が武器を構え、あれよあれよと乱闘に発展する。

 

「(そういうことか―――!!)」

その真意を捉えた瞬間、斑鳩は動き出す。

 

「――何ッ!?」

突如現れた乱入者によって完全に動きを乱されるレヴォルフ陣営。そして、斑鳩は綾斗とエリスの二人の前に出る。そして、煙るほどの速度で指を鳴らし、愛用の武器を出現させ、盛大な音を立てて足元の石畳に突き立てる。

その斑鳩の気迫に呑まれるかのようにレヴォルフの面々が立ち止まる。

 

「悪いな、こっから先は通行止だ」

斑鳩は目の前の連中に対してそう言い放った。

 

「――斑鳩!?」

突如の登場に驚いているユリス。そんな中レヴォルフの連中が後ろ二人をを狙っているみたいだ。

 

「(気迫からして三下といったところか…となると、こいつらは陽動で、本命は何処かいるってところか)」

と思いながら、斑鳩は動き出した。

 


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