「自供ご苦労、サイラス・ノーマン君、これは立派な証拠ですな」
地面に降りた斑鳩は、手元のレコーダーを見せながらいう。
「なっ!?棗斑鳩!?どうして、ここに?」
「さぁ、それはどうしてでしょうね?」
「――くっ!!」
そういうと、黒ずくめの"お仲間"達が現れる。が、問答無用で手元から極太のレーザーのようなものを発射して攻撃し爆散させる。
「ったく、汚い花火だ、もうネタはバレてるんだよ、サイラス・ノーマン、それにお仲間の戦闘用疑形体もな」
「なにッ!?
「綾斗の話だと、その場に居なくてもこの能力の持ち主は能力を使えるみたいだからな――」
「くだらねえ!そんなものここでてめぇを張り倒して風紀委員なり警備隊なりに付き出せば済むことだ!」
斑鳩の言葉を遮るレスターの言葉。
「それはあなた方が無事にここから帰れたらの話でしょう?」
「いいだろう、本気で行くぜ――」
レスタ―が星辰力を高め
「くらいやがれ!!《ブラストネメア》!!」
裂ぱくの気合と共にレスターの流星闘技が放たれる。すると人形三体を吹き飛ばす。そのカウンターでレスタ―に向かって別の人形が光弾を飛ばしてくるが
「――パターンが一緒だな、サイラス・ノーマン」
それを再びレーザー光線で消滅させる斑鳩。
「棗斑鳩…貴方は、どこまで私の「早く出せよ、384体」なにッ!?どうしてそれを!?」
「さぁな、知ってて何が悪い?」
「いいでしょう…お望み通りにしてあげます、僕が同時に操れる最大数、384体の人形でね」
「さんびゃく…」
レスタ―の顔に絶望が広がる。同時に、ユリスの周りに木偶の人形たちが取り囲むが
「ごめん、遅くなった」
次の瞬間、何体かの人形が胴から綺麗に両断されていた。斑鳩が空中を見ると、そこには綾斗の姿。そして、その手には純白の大剣。見れば空中でユリスと何かを話しているみたいだ。
「(ようやくのおでましか――なら、こっちも本気と行きますか)」
そういうと、もう一つの剣を取り出し、二刀流で構える。
「お話は終わりましたか?いやはや、まったく思わぬ飛び込みゲストですね――天霧綾斗くん」
余裕を含ませたサイラスの芝居がかった声だが
「(正直聞くに堪えないな――)」
流石にイラついてくる斑鳩。そして
「黙れ、不意打ちしかできないのはあなただろう、サイラス・ノーマン」
綾斗らしからぬ底冷えするような声。その迫力に気おされるサイラスが一歩後ずさる。
「――でしたら、試してみますか?」
サイラスが指を鳴らすと居並ぶ人形たちが武装を構え
「これだけの数を一人でどうにか出来るというならやってみるがいい!!」
一斉に綾斗めがけて攻撃する。
「――内なる剣を以て星牢を破獄し、我が虎威を開放す!!」
その瞬間、綾斗の顔に苦悶の表情が浮かび、星辰力が爆発的に高まったことを感じ取り、光の柱が立ち上がる。そして、その瞬間綾斗の姿が消える
「は…?」
唖然とした声を上げるサイラス。見れば人形たちは全て倒されている
「……なっ!ば、馬鹿な!?ど、どこに消えた!?」
「ここだよ」
「ひっ!?な、な、な!?」
慌てて振り返り、蒼い顔をして逃げるようにして後退りするが
「おいおい、ここから生きて帰れると思うなよ?」
「お、おまえは一体――」
ユリスも言葉を失っていたが、我に返ると
「い、いやそれよりも早く私を下ろせ!足手まといになるつもりはない!」
「いや、ユリスを一人にしたらあいつは必ずキミの方を狙ってくる、悪いけど、もう少しだけ我慢してくれないかな?」
「だが、片手では……」
「あぁ、それなら大丈夫、これ案外軽いから、まあ、正直言っちゃうとあまり長くはもたないんだけど――この程度ならどうとでもなるよ」
戦闘中なのに中々ラブラブしている二人。
「ぐッ…多少は出来るようですが、あまり侮らないでいただきたいですね――次はこちらも本気でいかしてもらいますよ!」
今まで乱雑に並んでいた人形たちが整然と隊列を組み始める。
「これぞ我が《
すると物凄い轟音と共に爆焔が舞い上がり、二百体近くの人形が一気に消し飛んだ。
「おいおい、俺を忘れていないか?サイラス・ノーマン」
サイラスの残骸の先には斑鳩がいた。