ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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アルルカント・アカデミー

「ご紹介しておかなければなりませんね、こちらはアルルカント・アカデミーのカミラ・バレードさんとエルネスタ・キューネさんです」

「アルルカントの?」

「今度我が学園とアルルカントが共同で新型の煌式武装を開発することになりまして、こちらのパレードさんはその計画の代表責任者なのですよ、今日はその正式な契約を取り結ぶために、わざわざ当学園までいらしてくださったのです」

「どうも」

褐色の肌をした女性が申し訳程度に頭を下げる。

 

「共同開発・・・へぇ~そういうことね」

クローディアの意図に納得する斑鳩。そんな中、レスターが口を開いた。

 

「おい、どういうことだ?」

「まぁ、わかりやすく言うと、サイラスの見返りだよ」

「なっ……」

絶句するレスター。とはいえ、クローディアは何も言わず微笑むだけだ。

 

「そんで、此処に来たのは自慢の人形をぶった切った張本人の顔を見に来たってわけか」

「そーこまで言われるとわねー」

エルネスタと呼ばれる少女が斑鳩の目の前でくるりと回りながら言う。どう見ても自由奔放そうな少女だ。

 

「ふーん、君たちが噂の剣士君達だねーふむふむ、なるほどー」

こちらをじろじろ見てくる彼女。

 

「ん、なかなかいいわねー、気に入っちゃった!」

そして、斑鳩と綾斗に目を細めてそっと耳打ちしてくる。

 

「でも――次はそう上手くいかないぞ?」

「(あぁ、精々期待しているよ)」

そんな中、エルネスタの唇が綾斗の頬にそっと触れる。同時に、綾斗が慌てて飛びのくと同時に、星導舘の女性三人が目の色を変える。

 

「きっ、きっ、貴様!一体なにを……!」

「…泥棒猫、滅ぶべし」

ユリスが細剣を抜き、紗夜はまだ展開したままだった煌式武装の砲口をエルネスタへ向け。

 

「にゃはは、怖いな怖いなー、そんな目くじら立てないでも、ちょっとした挨拶じゃないかー」

エルネスタは逃げるようにカミラの後ろに隠れる。そんな中だった。

 

「エルネスタ――少し静かにしたらどうだ?」

『――ッ!?』

透き通った声と異質な気配に思わず身構える斑鳩。やって来たのは、同じくアルルカントの制服を身に纏ったカミラと同じ褐色の肌に銀髪の女性だがカミラと違い、その顔つきは少女っぽい。そして赤と黒のマントを羽織っていた。

 

「(おいおい、コイツ何者だ…)」

界龍の総代である范星露(ファン・シンルー)とはまた違った異質な気配なのだ。その手には、ここで買ったと思われるドリンクがあった。

 

「あら、遅かったですね」

「少し飲み物を買っていたまでだ」

その彼女はこちらに向き直り

 

「エルネスタが無礼を働いたようだな、私はアンリマ。アンリマ・フェイトだ、以降よろしく、星導舘の諸君」

フェイトと名乗るその女性。見れば、エルネスタの明るい顔が真剣な顔になる。

 

「さて、星導舘の代表、そろそろ本題に入ろうとしないか?」

「えぇ、そう思っていたところです」

マントを翻し

「邪魔したな」

そういうと、アンリマが二人を連れてトレーニングルームを出ていった。

その後ろ姿を一瞬たりとも目を離さない斑鳩であった。

 

「(アイツは…一体何者だ、とはいえ、あのカミラってやつは沙々宮の武器を見ていたが…何か言いたげだったが…問題なのは、アンリマ・フェイトか…)」

頭の中でとにかくひたすら考える斑鳩。そんな中

 

 

 

「いか…が、斑鳩」

「ん、あぁ、悪い、気づかなかった」

声を掛けてきたのは沙々宮だった。

「斑鳩、アンリマって人が来てから厳しい顔をしていたけど、何かあったの?」

心配そうに聞いてくるこちらの顔を窺ってくる沙々宮。

「いんや、ただこっちの思い違いだったらいいなと思ってな」

「…あの人のこと?」

「あぁ…ちょっとな」

遠くを見るような顔をする斑鳩だった。どこか不安なことを感じながら、斑鳩はトレーニングに戻ることにした。

 

 


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