ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

23 / 102
作者より

三巻に突入!!
綺凛ちゃん可愛いよね?(迫真


疾風刃雷

その数日後の昼休み――

 

斑鳩は副業で得た肉まんを片手に、校舎内を平然と歩いていた。

 

「…っと、あれは」

依然、斑鳩と目の前で思いっきりぶつかった少女と壮年の男性が穏やかな空気をぶち壊していた。

 

「(昼くらいは、ゆっくりさせろよ)」

と、目障りなので注意しに動き出す。すると、その男性が彼女の頬を平手で叩いたのだ。

 

「――それはお前が考えることではないと言った筈だぞ、綺凛」

「(アイツ…)」

流石に許せんと思った時、動き出す一人の影があった。綾斗だ。どうやら、介入しようとしているらしい。

 

「で、ですが伯父様、わたしは……」

「(ま、面白そうじゃん)」

そういうと、斑鳩も一気に動き出した。

 

 

 

 

 

「口答えを許した覚えもない」

再び男の腕が振り上げられ、綺凛がピクリと身をすくませる。

 

「――はい、そこまで」

綾斗より一歩先に、斑鳩が二人の間に入って男の腕をつかんでいた。

 

「え……?」

驚いたように眼を開く綺凛

 

「……なんだ、貴様は」

「どんな事情かは知らないが、無抵抗の女の子に手を上げるのを黙って見ている男子はいないな」

「くくっ、笑わせるな、自分の欲のために「百人が百人、そういうわけではないだろ?」――貴様」

斑鳩を見下ろす目は、冷ややかな侮蔑が宿っている。どうやらあからさまな嫌悪があるみたいだ。

威圧するような男の視線だが、相変らずの飄々とした態度でそれをかわす。

 

「…ふん、今のはただの躾だ、身内の問題に部外者が口出しするな」

「身内?おいおい、有名なドッグトレーナーでもこんな躾はやらないでしょ」

その男性の顔が紅潮する。どうみても身のこなしから武術を習っているように見えるが、どう見ても格下の相手だ。

 

「私は刀藤鋼一郎、そこの刀藤綺凛の伯父だ――わかったら、そこを退け、小僧、そもそも貴様ら《星脈世代》がこの程度でどうにかなるわけないだろう?」

「とはいえ、ペインアブソーバしていないんだから、痛みを感じないわけないでしょ」

「たかだか学生風情が生意気な口を叩くものだ、貴様、名前は?」

「棗斑鳩」

すると鋼一郎は懐から携帯端末を取り出し、手慣れた仕草でそれを操作し、ウィンドを展開させる。

 

「棗…ふん『在名祭祀書』入りもしていない雑魚か」

どうやら短時間で調べたらしいが

 

「…《絶天》だと?」

一転して真剣なものになる鋼一郎

 

「(大体・・・コイツの考えが読めたな)」

この数回の会話と彼女の状況で大方の推理が出来る斑鳩。

 

「(出世欲と言ったところか)」

此処まで執着する理由に該当するだろうと思う斑鳩。

 

 

 

 

「貴様、綺凛と決闘しろ」

「ほぉ、決闘か」

悪意に満ちた笑みを浮かべる鋼一郎。待っていたと言わんばかりにこちらも悪意に満ちた顔を一瞬見せる。

 

「伯父様!待ってください!!」

驚いたように声を上げる綺凛。しかし、彼は意にも介さないで言葉をつづける。

 

「そうだ、それがこの都市――貴様らのルールだろう?」

「(…そういう魂胆ね、ま、泊つけのために《絶天》を堕とすか)」

そういうと、鋼一郎は綺凛の華奢な肩へ手をぽんと置く。

 

「貴様の相手は、これだ」

「おいおい、これ呼ばわりとはきついものだ、俺は《星脈世代》でもないってのに」

「…なにッ?」

鋼一郎の顔が引きつる。

 

「ま、そういうわけだから、こっちも勝ったらそれなりのものを要求させてもらうぜ」

「いいだろう、貴様が負けたところで、こちらから要求するようなことはない」

「伯父様!わたしは……!」

「黙れ!お前は私の言う通りに動いていればそれでいい」

「で、ですけど!」

食い下がろうとする綺凛だが

 

「綺凛ちゃん、辞めておいた方がいいよ、こういうタイプは堅いから」

「貴様…この私をどこまで愚弄するんだ!!」

「俺は愚弄したなんて、これっぽっちもないよ」

いつの間にか斑鳩vs鋼一郎の構図になっており、その間であわあわとしている綺凛。

そして、早速騒ぎをかぎつけたのか野次馬連中がやってくる。

 

「(ま、こういうものは"公開処刑"がおにあいかな)」

そして斑鳩は彼女に向き直る。

 

「……ごめんなさいです」

震える声でこちらを俯きながら見てくる彼女。

「(たぶん、謝るのはこっちになると思うがな)」

 

そして

 

「わたしは……刀藤綺凛は、棗斑鳩先輩に決闘を申請します」

そういうと斑鳩の胸元の校章が発光した。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。