ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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作者より

祝!!二期放送開始!!


嵐の後

二日後の夕方

「よう遅かったじゃないか」

やって来たのは、綾斗の友人で同じクラスメイトの夜吹英士郎だった。

 

「遅かったって、予測していたのか?」

「ん、いんや――斑鳩、お前にお客さんだ」

「…俺に?」

「おうよ、応接室に通しているから、さっさと行きな」

「そうするとしよう」

そういうと、共用フロアの端にある応接室に向かった。

 

「あ……どうぞ」

応接室のドアをノックすると愛くるしい声が返ってきた。

 

「(あーこれは…)」

部屋に入ると、そこには元星導舘学園序列一位、刀藤綺凛だった。

 

 

 

「せ、先日は大変失礼しました!」

応接室に入るなり、あたふたとソファから立ち上がり、ぺこりとお辞儀をする彼女。

 

「えっ、えっ、えっ、いや、それはこっちの台詞だと思うんだけど?」

余りのことに思わず斑鳩もあたふたとする。

 

「それより俺の方こそ色々とごめん、かえって困らせちゃったかな?」

「い、いえ、そんな……」

頭を下げたままの刀藤綺凛。彼女は、こちらの様子を窺っているように視線を向ける。

 

「あの…お、怒ってないですか?」

「なんで俺がさ、寧ろそっちの気もするけど」

若干苦笑する斑鳩

 

「まぁ…君の伯父さんに思うところはあるが…」

「う……それは、その、誠に申し訳なく……」

「……いや、だから君が謝る必要はないんだってば」

再び俯く綺凛。流石にこれは困る。斑鳩は、彼女の頭にぽんと手を乗せ、やさしく撫でる。

 

「あぅ…」

すると彼女の顔がほんのりと紅く染まる。

 

「い、棗先輩は、見ず知らずの私を伯父様から庇ってくれました…その、あんなことになってしまいましたが、ほ、本当にうれしかったのです…その、ありがとうございましたっ!」

「いいよ、結局、君の力にはなれなかったしね」

「そんなことは…」

「ま、送っていくよ、帰ろうか」

「あ、はいっ」

そういうと、彼女を尞まで送ることになった。

 

 

 

 

「にしても、この時間でもまたまだ暑いね」

夕暮れの夏空は、鮮烈な朱に染まっていた。

 

「刀藤さん、大丈夫?」

そういうのも無理はない。彼女の顔はほんのりと朱色に染まっているのだ。

 

「えっ?あ、は、はい……!」

「ひょっとして、緊張している?」

「ご、ごめんなさい、わたし、家族以外の男の人とこんな風に歩くの、初めてで……」

「へぇ…」

無言の時が流れる。

 

「…棗先輩、お伺いしてもいいですか?」

「なんだい?」

「先輩は、どんなトレーニングをしているのでしょう?」

「基礎鍛錬っていったところさ、朝は走り込みと型稽古、それに素振りだな、放課後は綾斗とユリスのタッグ戦の相手をしているな」

 

「ってことは、もう鳳凰星武祭のパートナーがいらっしゃるんですか?」

「いんや、いないよ」

「えっ、けどタッグ戦は「あぁ、一人で二人の相手をしているよ」」

「――!?」

綺凛の瞳が大きく見開かれる。無理もない前代未聞だからだ。

綺凛もユリスのことは聞いている。それに、伯父から彼のことも。だが、その二人を一人で相手しているなどと思ってもいなかったからだ。

 

「なんなら、来る?勿論、刀藤さんが良ければだけど」

「えっ、いいのですか?」

「ん、まぁ、大丈夫でしょう、それに二人の方がより一層実践に近くなるからね?」

「…え、えぇ」

どんだけ規格外なのだと思いながらいる綺凛。

 

「まぁ、ユリスと綾斗には話を通しておく、から、来たかったら来てよ」

「はい!」

「まぁ、高望みすると早朝訓練も付き合ってほしいけど、もし来たかったら連絡してね」

 

「その、お言葉に甘えて…」

「おう、じゃあ、よろしくな」

とりあえず携帯端末の連絡先を交換して、彼女と別れることになった。

 


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