「ひよこ豆とトマトのサラダ、ポテトのアリオリソース、小エビのニンニク唐辛子炒め、それからマッシュルームのセゴビア風です」
「おぉ~」
見たことのないおいしそうな料理の数々に思わず緊張もほぐれる。
「これこれ!」
「って、お姉ちゃん!お行儀悪いでしょ!」
イレーネは斑鳩が見たこともない笑顔で早速料理に手を伸ばすが、それをぱっしっとプリシラが叩いて止める。
「ま、んじゃあ冷めないうちにいただきましょうか」
「えぇ、いただきます」
そういってマッシュルームを一口食べる。
「美味しいな」
料理はすこぶる美味しい。同時に家庭的で暖かい。ほっとするような味だ。思わず箸が進む。
「わっ、ありがとうございます」
「ふふん、そうだろうそうだろう」
そんな中、ふと玄関のチャイムが鳴った。
「あれ、誰だろう?」
「ん?こんな時間に…俺が出る」
イレーネが立ち上がり玄関に行く。それから、
「おい、何者だ――」
「イレーネ、私よ、オーフェリアよ」
「お、オーフェリアッ!?」
素っ頓狂な声を出すイレーネ。どうやら、今日は彼女の意外な面をかなり見ている。
「ちょっと手が塞がっているから、開けてもらっていい?」
「お、おう」
そういうとイレーネがドアを開けると其処には、鍋掴みにエプロン姿という何とも言えない格好で鍋を持ったオーフェリアが其処にいた。
「あ、オーフェリアさん、どうもこんばんわ~って、鍋どうしたの?」
「一人で食べるの寂しくてね~たまにはってことよ、それに斑鳩もいるみたいだし」
「あぁ~いいですね~ちょっとメインが物足りないかな~って思っていたところなんですよ」
「あら、奇偶ね、ならなべてもしましょうか」
と中に入ってくるオーフェリア。そして、急遽鍋会になると同時に、人口密度が上がった。というより
「(これなんてエロゲ!?)」
自分に問いかけたくなる斑鳩。
「にしても、結構濃い面子ね~」
「そうですね~自分でもそう思っています」
オーフェリアがいうことに同意するプリシラ、ちなみに斑鳩も同感だ。
星導舘の一位とレヴォルフの一位、それに鳳凰星武祭の優勝候補とまぁ、これで濃い面子でなかったとしたら、あとどんくらいになるのかというレベルだ。そんな中
「にしても、他の学園の奴と同じ鍋を喰うとはな、思ってもいなかったぜ」
鍋をつつきながら言うイレーネ。
「それは俺も思うさ、にしてもオーフェリア、これは何鍋だ?」
「何鍋にしたい?」
「「「――ッ!?」」」
ここでプリシラ、イレーネ、斑鳩に衝撃が走る。
「まさか…闇鍋を」
「なーんて、冗談よ、大根と豚肉の醤油鍋ってところよ、にんにくも少し入っているわ、まぁ、私はほっかほか鍋って呼んでいるけど」
「へぇ~」
と斑鳩は鍋を食べ始める。醤油が効いたいい鍋だ。出汁も効いている。
「あぁ~温まる~」
「うへ~こりゃいい~」
イレーネと斑鳩の頬が緩む。多分、この状況が英士郎などに知られれば翌日学園新聞に嫉妬満載のうらやまけしからんと言った文面が載るだろう。とはいえ、今はこの状況を楽しみたい。
「斑鳩、頬が緩んでいるわよ」
「思わず頬が緩むほどの美味さだからな~」
「…///」
斑鳩にそんなことを言われたオーフェリアの顔が途端に赤くなる。同時にイレーネが"こいつどうしようもねぇ奴だ"といった顔をする。それから、鍋も終わり食後のお茶も終わり
「さて、んじゃ、自分もお暇しましょうかね~」
「そうね、私もそうしましょうかしら、二人とも明日《
「ん、あぁ、そうだったな――すっかり忘れていた」
ケラケラと笑ながら言うイレーネ。どうやら、本当に忘れていたといった感じだ。
「気分がリフレッシュできたらからね~明日は頑張れそうだよ」
「おう、頑張ってくれよ」
「はい」
斑鳩の言葉に満面の笑みで答えるプリシラ。
「さて斑鳩、送るわ」
「いいのか?」
「いいのよ」
そういうと斑鳩は、オーフェリアに送ってもらうことにした。