二人の剣閃が半月のような軌道を描く。そして空中で交差した両者は、そのまま地面へと落下し、受け身を取れず派手な土煙を巻き上げた。
両者とも、仰向けに倒れ体力の限界はとうに超えている。その目に映えるものは、遥か天井から自分を照らすライトの眩さだけだ。相手がどうなったのか、お互い、待っていると
「――天霧綾斗、
斑鳩は勝ったのかと思っていると、まだ機械音声は続いていた。
「棗斑鳩、
そして、機械音声は告げ
「試合終了!判定不能!両者
まさかの結果、思わぬことが起きた。
「つ、ついに!遂に決着つかず!凄まじい激戦の末、この《鳳凰星武祭》史上初めて同立優勝に導いたのは、星導舘学園の天霧選手とリースフェルト選手、そして棗選手と沙々宮選手です!」
「いやー、見入っちゃったッスねー、決勝戦にふさわしい、素晴らしい試合だったッス!」
歓声と拍手、喝采に口笛、実況と解説の声。様々な音と声が二人に降りしきる中、綾斗と斑鳩はゆっくりと目を閉じ、深く大きく息を吐いた。
激戦は終わったのであった。
シリウスドームが何とか修復が出来たため、表彰式と閉会式の会場はシリウスドームになった。
表彰式に出席するのは、優勝者と準優勝者。といっても、同立優勝な為、表彰式は星導舘が独占していた。
ちなみに、ユリスは勝負後すぐに医療院へ運ばれ、それの付き添いで紗夜も言っているので、この場に居るのは、斑鳩と綾斗だけだ。
ちなみに、観客席の方は立錐の余地もないほどに人で溢れている。どうやら、かなり盛り上がったのでということらしい。
「――以上のことから見ても、今回の《鳳凰星武祭》が如何に素晴らしいものだったかわかっていただけると思います、特にアルルカント・アカデミーの二人に関する特例措置はあくまで暫定的なものであるとはいえ、今後のルール制定において、重要な……」
壇上では運営委員長のマディアス・メサが大会の総評を述べていた。
「(ったく、ぐだぐだと長いなー)」
と話をめんどくさそうに聴いている。見れば、壇上には各学園の生徒会長が並んでいる。
ちなみに、綾斗はどうやらクインヴェールの生徒会長であるシルヴィア・リューネハイムといつの間にか知り合いになっていたらしい。とはいえ、こっちはというと、こちらに各生徒会長の中で一際こちらを気にしている人物がいる。界龍の生徒会長《万有天羅》"
「(うわぁ…嫌なのと目が会った」
何か言われるかもしれないなと思っていると、
「さて、それでは第二十四回目の《鳳凰星武祭》優勝者をお呼びしよう――二人とも、こちらへ」
マディアスに呼ばれ、壇上に登ると観客席から大きな拍手が巻き起こる。
「天霧綾斗、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト、そして棗斑鳩、沙々宮紗夜の4名の輝かしい栄光と不屈の闘志、赫々たる勝利をここに称える――優勝おめでとう」
「ありがとうございます」
マディアスの力強い手が二人の手を握る。
「予想外の妨害にあったようだが、それにも負けずに闘い抜いた君たちはまさしくこのトロフィーを受け取るにふさわしい、我々運営委員会も警備隊に全面的に協力して真相究明に努める所存だ、2度とこのような真似をは許さないので安心してほしい」
「……よろしくお願いします」
「こちらからも、よろしくお願いします」
そして、二人でトロフィーを受け取る。そして、マディアスに従い振り返ると、壇上を取り囲むようにして、メディアの取材陣が集まっている。
「さあ!我々に無上の興奮と感動を与えてくれた彼らに、盛大な拍手を!」
マディアスの声を受け、割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こった。
斑鳩は、一つ何かを越えた様に思ったのでもあった。
表彰式を終え、斑鳩と綾斗は控室に戻っていった。
「それで、この後はどうしますか?一応、レセプションがありますが、別段参加が義務付けられているわけではありません」
「それなら、まず医療院に行きたいな、ユリスと綺凛ちゃんの様子を見ておきたい」
「それは同じだな――俺も綺凛が気になる」
「んじゃあ、行くか」
そういうと斑鳩は、途中で紗夜と合流し医療院に向かった。
「あ、綾斗先輩!?斑鳩先輩!――痛ッ!」
病室に入るや否やベットから跳ね起きようとしたものの、脇腹を押さえて苦悶の表情を浮かべ、硬直する綺凛。
「綺凛ちゃん、無理しなくていいから」
「い、いえ、大丈夫です、これくらいすぐに治りますから」
慌てて駆け寄る綾斗。
「重症なのは間違いないんだから、大人しくな」
「そうですよ、まずはゆっくり体を休めてください」
綺凛にそういう斑鳩。それから、クインヴェールの会長とのことについて軽く問い詰めていると
ユリスが戻ってきた。