ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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見斬!!

斑鳩はユリスの自室から出てきた綾斗達と通路で合流することになり、通路を歩いていた。

 

「(おぉ~)」

四人の少女に純粋に見惚れてしまう斑鳩。

 

「ん、どうかしたか?」

「いんや、にしても、みんなよく似合っているぞ」

「全く、あって早々何をいうと思えば」

若干あきれ顔のユリス。だが、どこか嬉しいというのもまた事実のようだ。

それぞれによく似合ったドレスをまとっている。

 

「斑鳩もよくお似合いですよ」

「ありがとうクローディア」

と言いながらしんがりを務めるように歩いていく。今回の主賓はユリスだ。

 

「ほら、ユリス、主賓は君だ、それと綾斗もな」

と二人の肩を軽く押す。

 

「ま、まぁ、仕方あるまい――ほら」

ユリスが苦笑を浮かべて綾斗の肘を軽く曲げ、そこへ手を添える。

 

「――皆さま、そろそろお時間です、準備はよろしいでしょうか?」

フローラが入ってくる。そして、やや舌足らずな口調であるが、精一杯仰々しく告げる。

 

「(ま、行きますか)」

そして、斑鳩は夜会に繰り出した。

 

それから夜会もある程度進み

参加者たちと談笑しながらも、斑鳩はテラスの方に足を向けようとした時だった。

見れば、複数の招待客から話しかけられ、明らかに困っているである綺凛がいた。

 

「(まぁ、しょうがないか)」

幸い、こちらに気付いている人もあまりいないので、斑鳩はそっちに足を進める。

「綺凛ちゃん、ちょっといいかい?」

「あっ…!はい、すみません、失礼します」

軽く声を掛けると、綺凛は表情をきらめかせ駆け寄ってくる。

「ありがとうございます、斑鳩先輩、助かりました」

「どういたしまして」

それから二人で歩いていく。

「にしても、相変らずにあっているよ綺凛ちゃん」

「で、でも、こんな格好…わたしみたいな子供には似合わないですよ」

「そうでもないよ、大人っぽくてきれいだよ」

軽く一部を見ながら、持つものは持たないものを痛みを知らぬとはこういうことかと思いつつも歩いていく。

「あ、ありがとう……ございます」

消え入りそうな声で綺凛がいう。そんな中

「あ、あの、お願いがあるのですが、いいですか?」

「なんだい?」

「そ、その…わたしも、斑鳩先輩と腕を組んでみたいっていうか…さ、さっきユリスさんがそうしているところ、すごく素敵だったので」

「別に構わないよ」

斑鳩は軽く左腕を曲げるとおずおずと体を寄せ、自分の右腕を絡める。とはいえ、絡めるという寄り身体を預けてきているせいで、豊かなふくらみが押し付けられる形になっており、いかんともしがたい。

密着しすぎだと思うが、とはいえ、ここで何も言わずにエスコートするのが、男だろうと思いながら会場内を歩いていく。その都度、綺凛と共に、会場の招待客と言葉を交わしながら歩いていく。それから会場を一周し、途中で綾斗と合流し綺凛を預け、再び一人で回ることにした。

 

一人で回っている中、招待客の中に一人あまり、雰囲気のよくない人間がいた。

「(マークだけはしておくか…)」

軽く目をつけておく斑鳩。見れば、クローディアとユリスはどうやら招待客と談笑してて動きそうにない。

「(これは動いた方がいいかな…)」

そういいながら、斑鳩はその人物に悟られないようにマークしておく。見ればその人物は、綺凛と紗夜に腕組をされている綾斗に接触をしていた。

遠くから、話を盗み聞きするがあまりいい雰囲気ではない。そして

 

『あなた方がエンフィールド嬢のチームに入ると、困る方がいるのです、私の役目は――』

その言葉を聞くと同時に斑鳩は駆けた。その姿はさながら"黒の剣士"そのものだった。

 

 

綾斗その紳士の周囲も様子がおかしいことに気付いたのか、さざ波のようにざわめきが広がり始めていた。

 

「――もし断ったら?」

「それは至極残念ですな、可愛い後輩を手にかけるのは心が痛みます」

その瞬間、紳士を中心に万応素が吹き荒れる。

 

「なので……その役目はこの子に任せるとしましょう」

突如として複雑な魔法陣が空中に浮かび上がり、そこから巨大な生き物がのそりと姿を現す。

だが、現れた瞬間だった。

 

ザクリという音と共に、そのキマイラもどきが真っ二つに裂けた。

万応素がはじけ飛んでいく。綾斗と綺凛、そして紗夜の先に居たのは、ギラギラと紅い瞳を輝かせる斑鳩がそこにいた。その黒い服装と相まって背中を針で刺されるような底冷えする恐ろしさを醸し出していた。

 

 


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