「咲き誇れ、
巨大な焔の呑竜が姿を現し、襲い掛かってくる。
「なかなかの連携だ、だが、俺を堕とすには、まだだ――」
そういうと、 剣に深紅色のエフェクトをまとわせて繰り出す7連撃で、その呑竜を払い、ユリスに迫りこみ
「――なっ!?」
「まずは一人――」
とっさに攻撃しようと身構えてくるが、単発で水平蹴りを繰り出す体術で仕留め。
「ユリス――っ!?」
「今は、戦闘中よ、周りをみなさい」
オーフェリアが持っているのは星辰力で構成されたレイピアだ。それで彗星のごとく全身から光の尾を発しながら 突進して剣で攻撃をおこなう。中段突き3回、切り払い攻撃の往復、斜め切り上げ、上段への二度突き、 以上の連続八回攻撃を見舞う。
「(――スター・スプラッシュにフラッシング・ペネトレイターかよ、結構エグイの繋げるな)」
と思いながらも、綾斗が脱落し
「沙々宮先輩!」
「わかった」
残ったのは、綺凛と紗夜だ。先に突っ込んでくるのは、綺凛だ。その後ろから光弾を放ってくる。
「さすが綺凛ちゃんだね、速度は速いけど、悪いけどまともに相手をするほど、私も熱血な人じゃないのよね」
「あぁ、戦場では何が起こるかわからない、からな」
「っ!?」
光近の手元に小さな魔法陣が現れたと思えば、いきなり自分の速度を落とされる綺凛。対して、もともと早かったオーフェリアは、差が二倍に開いたところを容赦なく迫り
「はい、三人目――」
「綺凛!」
「集中しろ、紗夜」
「――!?」
すでに紗夜の上空には、相手の頭上に超極太の光の柱が、まさに降り注ごうとしていた。
「――チェックメイト」
斑鳩が軽く指を鳴らすとともに、試合が終わった。
「にしても、個々の連携に関しちゃ悪くない、むしろ上出来だ、だが経験ってところだな、それがネックになってくるな、だが、綾斗」
「ん?」
「ちょっと周囲の状況把握ができすぎでそれに意識を取られすぎて、判断がすこし鈍かったぞ?」
「ま、では第二ラウンドでも始めましょうかね」
オーフェリアの声とともに、第二ラウンドを始めることになった。
「へえ~だから、こんな大がかりなのか」
英士郎の力説をよそに、斑鳩は綾斗とともに窓の外を眺めている。さすが、学園祭開幕が二日後に迫っているだけあって、どこも追い込みらしい。かくいう斑鳩も今回は獅鷲星武祭には出ないので、そこそこ楽しみだ。
「著名OBを呼んでの講演会や、各種クラブの発表会や他学園との対抗戦、パレードや演劇、なんでもござれ、それがアスタリスク全体で6日間も続くんだから、そりゃあな」
「でも、こういった学園祭って確か日本だけの文化じゃなかったっけ?」
「あぁ、最初は星導館だけのイベントだったみたいだけど、今じゃすっかり他の学園も馴染んでいるぜ、それにアスタリスクとしても、今やこの学園祭は≪星武祭≫に並ぶ一大集客イベントだからな」
つらつらとよく説明できるなと思っている斑鳩。
「なにしろ六学園すべてがその敷地を開放する唯一のイベントだ、一般人が学園に入れるのは基本的にこの期間だけだし、そりゃ人も集まるってもんだろ」
「まぁ、俺らも他の学園周り放題ってところだがな」
ちなみに、最終日には本命のイベントバトル・オブ・アスタリスクも開催される。
「にしても英士郎、風の噂だとこの期間中は校章の不携帯と決闘の取り締まりが厳しいんだろ?」
「あぁ、お前さんらも気を付けろ」
「心に留めておくよ」
「わーってるって」
学園からもしつこく言われている。もちろん、斑鳩の場合はクローディアからもだ。
「さってと、それじゃあ俺はもう一仕事行ってくるよ」
「大詰めなんだろ?がんばって来いよ」
「おう」
ここのところかなり学園祭のイベントにかかりっきりになっている英士郎。
「学外イベントとはいえ、三学園合同イベントなんてめったにねーからな。規模も相当にデカいから楽しみにしておけよう」
「おう、そうさせてもらうよ」
そういいながら斑鳩は席に戻る。
「(学園祭か…)」
例のイベントに向けても練習はあるが、今の斑鳩の頭の中にあることはただ一つ
「(――初めてだな…)」
と思いながら青空を眺める。そんな青空とともに、すこぶる痛々しい打撃音が教室に響いていた。