「にしても、本当にガラリと変わったな」
シリウスドームの観客席から見下ろすと、ステージはほとんど別物といっていい程に様変わりしていた。
「誰かさんが派手に壊したからね~」
と軽く皮肉を込めて言うのはオーフェリアだ。
「観客の安全性を高めるための改修らしいが、またずいぶんと大げさになったものだ」
綾斗の隣に立っているユリスは少し呆れた顔をしていた。綺凛と紗夜はその少し先、観客席の最前列に立ってなにやら話しているみたいだ。
「ご歓談中申し訳ないが、少しいいかなチーム星導館の諸君」
と背後から声がした。涼しげな声だ。
「学園祭以来ですね、フェアクロフさん」
「元気そうでなによりだ、天霧君」
綾斗がそういって右手を差し出すと、その集団の戦闘にいた青年《
「お久しぶりです、アーネスト・フェアクロフさん」
「こちらこそ、あの絶天とまたお会いできて嬉しいよ」
斑鳩は、彼と会うのは鳳凰星武祭以降だ。綾斗と同様の笑みを送ってくるフェアクロフ。
「にしても、そちらはランスロットが大部分を占めているようですね」
「まぁ、手の空いているものがランスロットの面々しかいなかったからね、何しろ初めてのイベントだからね、そちらもチームエンフィールドの面々に・・・へぇ」
「ま、お互いさまっていうところです」
「そうだね、お互い正々堂々とがんばろうじゃないか、では、また願わくば闘いの場で」
そういうと、一糸乱れぬ統率された動きで去っていく聖ガラードワース学園の一行を見送る。
「今回のイベントは大変なことになりそうだ」
というと、オーフェリアと綾斗が苦笑いした。
「今回初めてとなるこのイベントは――」
居並ぶ学生をぐるりと見まわし、マディアス・メサが演説を行っていた。
「(にしても、相変わらず薄気味悪い演説だ…)」
相変わらず受けの良いマディアスの演説ではあるが、いろいろな裏事情を知っている面々にとっては、詭弁にしか聞こえない。同時に、薄気味悪い空虚さを感じる斑鳩。
「(ま、気にしている必要もないか)」
と軽く聞き流し、学園祭最終イベント――
開会式も終わり、久方ぶりのシリウスドームの控室に斑鳩は来ていた。
「さてと、ま、あとはリラックスってところだな」
「そうね、そうしましょうか」
綾斗、紗夜、綺凛、ユリス、オーフェリア、そして斑鳩の六人は、控室でくつろいでいた。
「そういえば、そろそろチーム紹介をやるんじゃないかしら?テレビ」
「そうですね、見てみましょうよ」
控室に備え付けの空間ウィンドを開く。
『……というわけで、このバトルオブアスタリスクの実況を仰せつかりましたABCアナウンサー梁瀬ミーコです!そしてそして、解説はレヴォルフ黒学院OGであり、現在は星猟警備隊で一等警備正を務める柊静薙さんに起こしただきましたー!』
そこには昨年の《鳳凰星武祭》ですっかり顔を覚えてしまった女性アナウンサーが映っていた。
『どうも、よろしくであります』
『さてさて、柊さん、それでは早速ですが、今回のイベントの有力チーム紹介と解説をお願いします』
『まず優勝候補筆頭は、やはりガラードワースでありましょう、《聖剣》の使い手《聖騎士》アーネスト・フェアクロフ君を筆頭に、6人中4人が前回の《獅鷲星武祭》で活躍したメンバーであります!新たに序列入りした《優騎士》パーシヴァル・ガードナーさんも
『《聖剣》というのは《
『そういう伝統でありましょうな、さて、この二つはどちらも防御するのが極めて難しい
『事実、どこのオッズを見ても、このチームランスロットが圧倒的に一番人気のようです』
『なるほどなるほど、さすがは《獅鷲星武祭》最多優勝を誇るガラードワースです――ではでは、その対抗馬は?』
『対抗馬としてまず一番に名前を挙げるべきは、星導館チームでありましょうな』
「わわっ!私達の名前が……!」
「まぁ、ガラードワースに次いでっていうのは、確かだろうな」
『なにしろあの《鳳凰星武祭》の優勝2タッグと、元星導館の一位、疾風迅雷に、なによりあの
『ほうほう』
「それと未知数ではありますものの―――」
続いて界龍の説明が入る斑鳩。
「(まぁ、やるだけやらせてもらうよ)」
と今までにない高鳴りを覚えながら、ウィンドを見つめる斑鳩であった。