ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

95 / 102
グリューエンローゼ&エレンシュキーガル

「行くわよ!ユリス!」

「おうとも!」

一気に目の前の二人に向かって駆け抜けていくオーフェリア。

 

「させません!」

レティシアの光翼がオーフェリアに襲い掛かる。だが、オーフェリアは、レイピアによる稲妻のごとく4連撃でその光翼をはじけ飛ばし、一気に迫りこむ。

 

「咲き誇れ――九輪の舞焔花(プリムローズ)!!」

能力を発動させ9つの火炎球を展開させ、 それを違う軌道で飛ばして攻撃をおこなう魔法で援護してくるユリス。その間に責め立てるオーフェリア。

 

「(にしても、厄介ね――この二人)」

いくらオーフェリアとユリスの息の合ったコンビとはいえ、ライオネルとケヴィンのコンビの攻防一体、それに加えてレティシアの遠距離攻撃は厄介なことこの上ない。

 

「さぁ、まだまだ行きますわよ!」

そんな声と共に襲い掛かってくる光翼を弾き飛ばす。

 

「(彼女を早々に消した方がいいけど――今は)」

遊撃のケヴィンの完璧な動きを見極める。そして、レティシアの攻撃をかわすオーフェリア。その先にはライオネルの剛槍が待ち構えている。

 

「――ッ!!」

相手の足元から細い水流を無数に発生させて、足元に絡めて移動を阻害させる技を繰り出し、ライオネルの攻撃を無理やりそらす。そして、その先のアーネストに向けて飛ぶ。その先にいるのは綾斗だ。

そして、不意打ちのようにアーネストに襲い掛かる。

 

「――オーフェリアさん!助かった!」

「どうも!!」

その状態のまま、二体一でアーネストを攻め立てる。だが、アーネストは巧みな体捌きでオーフェリアに斬撃を集中させるが、それをすべて弾くオーフェリア。二人の技量の差に関しては、オーフェリアのほうが上だ。

 

「――悪いがミス・オーフェリア、僕が君の相手になるべきではなさそうだな!」

「それはどうも、この大根役者!」

レティシアの攻撃を跳ね飛ばし、アーネストの攻撃を受け流す。

 

「仕切り直しよ!」

上段からの剣閃を弾き飛ばすオーフェリア。そこにアーネストの二撃目の胸元をえぐるような突きが飛んでくる。それを交わし、一気に迫りこんだ。

 

迫りこんでいたのは何もオーフェリアだけではなかった。

 

「――ッ!!ちょこまかと!!」

レティシアの声に怒気が籠る。無理もない、ここまで百発中九十発が避けられ、十発が迎撃されているのだ。

それでもアーネストやライオネル、それにケヴィンのサポートもしなければならない状況だ。だが、レティシアにとって目の前から迫りつつあるその脅威は何物にもまして脅威であった。

本来、他のチームの誰か一人でも突出するようなら、即座にチーム・ランスロットはその一人を飲み込んでしまう。そういう戦法を取っていた。だが、目の前の人物はそれすらを砕こうとしていた。

 

「負けて、いられませんのよ!!」

「その生きがい、尊敬に値する!」

レティシアは無数の光翼を槍のように飛ばしてくる。斑鳩は、一発目を剣を旋回させて目の前にかざすことによって彼女の攻撃を防ぎ、そこから 剣に深紅色の星辰力をまとわせて繰り出す7連撃を繰り出し、はねのける。同時に、無数の光の矢を飛ばして攻撃をしかける。

 

「――ッ!!」

レティシアの背中から広がる光翼が新たに四枚に増え全16枚になった翼が斑鳩を襲い掛かる。

だが斑鳩は、それをスカーレット・ファーブニルの一薙ぎと一呼吸でそれを斬り払う。

そこにケヴィンとライオネルが左右から挟み込んでくる。

 

「さすが《絶天》!だが、オレたちだって負けてられないんだよ!」

「おうとも!」

長剣と剛槍のコンビネーションが襲い掛かる。斑鳩は、右手のエリュシデータで剛槍をはじき返し、間髪入れずにスカーレット・ファーブニルに力を籠める。抜きざまの一撃をライオネルの胴に見舞う。

そこにケヴィンが上段の斬りおろし攻撃を放ってくる。それを両手の剣を交差して長剣を受け止め押し返す。

その隙めがけてラッシュをかけ始める。

まさに脳の回路が焼き切れんばかりの速度で剣をふるう。甲高い効果音が立て続けに唸り、星屑のように飛び散る斑鳩の星辰力がバトルフィールドを灼く。

 

「(もっと速くッ!!)」

全身をアドレナリンが駆け巡り、剣戟を敵に見舞うたび脳神経がスパークする。限界まで加速された神経には普段の倍速で二刀を振るうそのリズムすら物足りない。

そして、斑鳩の剣の余波が校章にヒビを入れた。

 

「ライオネル・カーシュ、校章破損(バッジブロークン)!」

「おいおい、冗談じゃないぜ……!この剣筋、なんなんだよ……!」

とライオネルが行ったときには、もう遅く斑鳩の剣先はケヴィンに迫りこんでいた。

先ほどとと同等、いや、さらに加速された速度での剣戟がケヴィンに襲い掛かる。

そして、剣戟が次々と叩き込まれ、最後の烈火の一撃でケヴィンの盾が砕け散った。

 

「ぐぅ!?」

その余波でフィールドの端まで吹き飛ばされ、防御壁にたたきつけられる。その衝撃で、彼の校章にヒビが入った。

 

「ケヴィン・ホルスト、校章破損(バッジブロークン)!」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。