「(残りはレティシアとアーネストか…)」
こちらの視線を感じ取って、アーネストは《白の魔剣》を構えなおす。彼は瞬時に間合いを詰めていき、地を這うような下段から、弧を描いての上段突きを繰り出す。それを軽々と交わして見せる斑鳩
再び脳内が加速し始める。剣で対象を斜めに斬りつけるスラントから、連鶴でソニックリープにつなげ、そこからダブルサーキュラーを繰り出す。アーネストは引き戻した《|白濾の魔剣≪レイ=グレムス≫》で防ぐが、二撃目の刃でガラードワースの制服を切り裂く。
「アーネスト!」
レティシアの背中からの光翼が増え、21枚になった翼が斑鳩を襲う。だが、それをスカーレット・ファーブニルの一撃で全てを葬り去る。
「そんな……」
呆然とした表情のレティシアにオーフェリアとユリスの攻撃が迫りこむ。だが
「――やらせないよ」
そこには険しい顔をしたアーネストが二人の攻撃を防いだ。
「…アーネスト・フェアクロフ」
その直後、正気を取り戻したレティシアの光翼が飛んできて、横殴りにユリスを弾き飛ばす
「ぅあっ!!」
「――ッ!?」
アーネストの薙ぎの攻撃をオーフェリアは往なし、彼女はユリスを抱きかかえ抱え短いバックステップで距離を図り直す。
「ユリス、大丈夫?」
「ああ、すまんな」
足を負傷したユリス。レティシアの光翼がユリスやオーフェリアをけん制してくる。
「――なかなか、しつこいわね、あれ」
「あぁ、全くだ――策は?」
「ゴリ押し?」
「お前、考えが変わったな」
「「――ッ!?」」
滑空するように攻撃を避けるオーフェリア。二人の視線の先では、お互いの相棒が果敢にアーネストを攻め立てている。先ほどまでの劣勢はいざ知らず、一気にケヴィンとライオネルを打倒したことにより、情勢が逆転しており、攻め立てていた。
「――ッ!?」
レティシアの攻撃がユリスめがけて飛んでくる。レギュレーション違反ではないが、明らかにガラードワースらしくない攻撃だ。それを細剣で弾き飛ばすと、オーフェリアはゆっくりと降り立った。
「…」
「オーフェリア?」
「少し、ここで待っててね」
オーフェリアがそういうと、彼女の周囲の雰囲気が一変した。
「さっきの攻撃、中々鋭かったじゃない」
にこやかな笑みでいうオーフェリア。
「えぇ、ガラードワースですか――」
レティシアの言葉は最後まで続かなかった。オーフェリアの右手が閃き、剣先が彼女の口元に触れたからである。その攻撃にのけぞるオーフェリア。
「…舐めないでくださいまし!」
明らかに戦闘とは異なった色の瞳をこちらに向けるレティシア。そういうと、光翼を飛ばして攻撃をしようとするが、それすらも中断を余儀なくされる。なぜなら、オーフェリアが細剣を構えるや否や猛然と攻撃し始めたのだ。
「――ッ!?なんですの!?」
光翼で必死に応戦するが、もはや応戦や戦いとすら呼べるものではなかった。オーフェリアの剣閃は無数の星辰力の光の帯を引きながら恐るべき速さで次々とレティシアの光翼を消し飛ばしていく。
白銀の髪を躍らせ、黒い星辰力を滲ませながら無表情に彼女を追い立てる。
レティシアは恐慌を来たし、むちゃくちゃに攻撃してくるのだが――
バシュンゥ!!
『レティシア、
「……忘れてもらっては困る、私もいる」
オーフェリアとユリスの後ろ。そこには紗夜の握りしめたハンドガンの銃口がまっすぐレティシアの胸元に向いていた。
「さて、残りは彼だけね」
オーフェリアとユリスの視線の先には、距離を取った三人がそこにいた。
「(お膳立てはしたんだから――勝ちなさいよ…斑鳩)」
オーフェリアは静かに思った