『レティシア、
「レティシアがやられたか…」
そうつぶやくのはアーネストだった。
「――ふむ、この状況で君ら二人を相手するのは、チーム戦でいったら負けに等しいが」
するとアーネストの雰囲気が変わった。
「僕的には楽しみだ」
「――ッ!?」
綾斗の首筋を狙った《|白濾の魔剣≪レイ=グレムス≫》の斬撃が飛んでくる。まさに優雅さの中に狂気が満ちた斬撃が飛んでくる。
斑鳩は何も言わずにアーネストに踏み込む。そして、剣を青白い残光と共に4連続で振るう。
アーネストはそこから飛んで斑鳩の攻撃を退く。綾斗がその着地するところに向けて間合いを詰め、下段から切り上げる。アーネストは空中で姿勢を変え突きを放ち、それが綾斗の脇腹を掠める。だが、どちらもまだ浅い。
「――スイッチ!!」
「うん!」
そういうと斑鳩と綾斗が入れ替わり、アーネストを果敢に攻め立てていく。
校章を狙った斬撃をアーネストは《|白濾の魔剣≪レイ=グレムス≫》で受け流す。牙をむいて嘲笑しながらつばぜり合いに持ち込む。斑鳩は、右上段斬りでアーネストの攻撃を打ち払い距離を取る。そこに
「天霧辰明流組討剣術――砥柄壬!」
綾斗がアーネストの間合いに飛び込み様右袈裟に斬り下ろすと持ち手を変え、身を引いてそれをかわしたアーネストの腹に柄頭を叩き込む
「ぐふっ!?」
さらに空いた右てでその顎に拳を見舞うが、ほぼ同時にアーネストの膝蹴りが綾斗の鳩尾にめり込む。
そこめがけて斑鳩は、ライトニングアローを見舞う。
「いや、まだだ!」
アーネストがその槍を振り払った直後だった。
「アーネスト、これはチーム戦だよ」
斑鳩の言葉で何かに気付くアーネスト。だが、時すでに遅く綾斗の後ろからジェットエンジンのような爆音が唸りを上げていた。次の瞬間、 赤い光芒からの強力な突きによってアーネストは吹き飛ばされていた。
『アーネスト・フェアクロフ、
『試合終了、勝者星導館チーム!!』
静まり返ったステージに機械音声が響いた。刀を振り払ったのは綺凛だった。
『ば、ば、番狂わせだぁぁぁぁああああああ!?大激戦の第二回戦に終止符が打たれました!圧倒的不利とされた前評判を覆したのは!!星導館チームだぁっぁああああ!!』
空間ウィンドウからは、興奮気味の実況と解説の声。そして、割れんばかりの大歓声が聞こえてきた。
確かに、ものすごい大激戦であったのは間違いない。チームの面々もひと時も気の抜けない張りつめた叩きだった。それに、アーネストの技量は、<
「(――アーネスト・フェアクロフ)」
本気とその奥底が見えなかったアーネストに対して少し疑惑と不快の念を抱きながらも斑鳩達は控室に戻っていった。
控え室――
「みなさんお疲れ様です」
控え室に戻った面々を出迎えたのはクローディアだった。
「ありがとう、クローディア」
面々がそれぞれソファーやら椅子やらに座りこむ。
「にしても、あのガラードワースを破るとは…これで今シーズンの展望も明るくなってきました」
「まぁ、本チャンは《獅鷲星武祭》だし、幸先がいいっちゃいいが、油断禁物だぞ?」
「えぇ、これで《獅鷲星武祭》の前評判のオッズは大混乱、それにガラードワース側も本腰入れてくるでしょうね」
と斑鳩とオーフェリアが答える。
「しかしまあ、こちらの手もいくつか知れ渡っただろうな」
「だろうな…そこに関しては今後ってところだが、問題は」
「次の試合ですね――」
「あぁ、その通りだ、クローディアとして、ユリスのは厳しいってところか?」
「えぇ、時期尚早です」
キッパリというクローディアにため息をつくオーフェリアだった。なぜなら、明日は決勝戦だというのにユリスの新武装も使えない。紗夜のヴァルデンホルトは改修中の為投入できないからだ。
「ここまではなんとだが――明日はな…」
予想だと明日の対戦相手は界龍の相手になる。そうなると斑鳩が覇軍星君や空中戦の天苛武葬を相手しないといけないことになる。
「(一先ず、明日の戦いを乗り切るしかないだろうな)」
と思っていた直後だった。
『な、な、なんとぉおおおぉおおここでも番狂わせだぁぁぁああ!!』
解説の興奮気味の声。空中に投影されたディスプレイを見ると、そこには他の会場でやっていた界龍とエキストラチームとの戦いが映し出されていた。そして、そこにはズタボロになった界龍の面々がいた。
まさかの展開だった。