ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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新年一発目は、ドンパチだ!!


六花祭 最終戦!!

ステージ上で対峙するのは、フードをかぶったエキストラチーム。今までの戦いでそのベールを脱ぐことはなかった謎に包まれたチームだった。

 

「(なんだ…これ)」

このアスタリスクから来てから初めての違和感。といっても、この感覚は以前にもどこかであった。

 

「(思い出せない…なんだ…これ)」

なぜか思い出せない。確かに知っている人物だとわかっているのに、もやがかかったように合致しないのだ。

再び視線を戻すとそこにはフードをかぶった5人組。彼らから発するプレッシャーは並々ならぬものだ。だが、奇妙な感覚に襲われる。拭いようのない違和感が入り混じった何とも言えない。

 

轟音のような大歓声の中、チームリーダーと思わしき人物が前に進み出て右手を差し出してくる。

 

「生憎、我々は容赦しないよ」

「それはこっちのセリフですよ」

手を握り返してくる。肌の色は茶褐色だった。

 

「決勝戦に相応しい闘いにしよう」

「その前に、フードを取った方がいいんじゃないか?」

「そうだな、そうさせてもらおうか」

そういうと、フードに手をかけ、一斉にそれを脱ぎさった。

 

「なっ!?」

現れたのは、赤と黒のマントを羽織った褐色の肌に銀髪の女性。

 

『な、なんと!エキストラチームのリーダーは!アルルカント・アカデミー生徒会長アンリマ・フェイトさんです!?』

『まさか、あの謎に包まれた彼女が出てくるとは…これは予想だにしなかった展開ですね』

興奮に包まれている解説。やはり、予想だにしなかった展開みたいだ。

 

「久しぶりだな棗斑鳩、まさかこうして君と剣を交えることが出来て光栄だよ」

「こちらこそ」

驚きはしたものの、踵を返してお互い自分のチームに戻ると

 

「もはや隠す必要もないってことかな?会長さん?」

「ま、そうだな――ここで隠しても意味はない、ぬいでいいぞ」

「どうも」

アンリマを挟んで無邪気そうな声音と凛とした声。そして後ろにいた四人がフードに手をかけ、一斉にその姿を現した。

 

「久しぶりだな、≪華焔の魔女(グリューエンローゼ)≫、それに≪疾風迅雷≫」

「…お前は」

 

ユリスと綺凛はその言葉を発した人物を見据える。二人の視線の先には、微風で銀髪を揺らした褐色で隻眼の人物

 

極光(シュヴァルトライテ)――シオン=フェルマイト=リージンベルグ」

「その名で呼ばれるのは久しぶりだな」

 

闘志を秘めた笑みをこちらに向ける彼女。

確かに、シオンの登場には斑鳩も驚いた。だが、斑鳩の視線を否応なく釘付けにしたのは、二人の少女だった。

 

 

 

一人は、長く伸びたストレートの髪は、濡れ羽色とでも言うべき、艶やかなパープルブラックの髪の少女だった。胸の部分を覆う黒曜石のアーマーにチュニックと風をはらんではためくロングスカートは矢車草のような青紫。腰には黒く細い鞘。そして顔は小造りで、えくぼの浮かぶほお、つんと上向いた鼻の上に、くりくりとした大きな瞳が、アメジストを思わせる輝きを放っていた。

 

 

 

 

もう一人は、 眩い金色の光を放った長い髪に大きく開かれた二つの碧眼の少女。その碧眼には息をのむほど美しい煌めきを秘していた。そして黄金色のブレストプレートと白いロングスカートを身にまとい、腰には山吹色の長剣を装備していた。その美貌はまさに人形そのものに近く、入口から吹き込む微風に碧いマントと金髪が揺れていた。

 

「(…どうして、あの二人がいるんだ!?)」

見知った所の話ではなかった。あの世界にいた人物にそっくりな人物が目の前に現れたのだ、驚いた所の話ではない。

 

「…斑鳩?」

「あぁ、悪い」

オーフェリアの声で、現実に引き戻される。

 

「斑鳩、知り合い?」

「いんや、ちょっとあってな…その昔にな」

「ふーん」

と言葉を交わす。この言葉だけでかなりリラックスする。

 

いつにもまして気合が入っていることを感じ取る斑鳩。

 

「(言葉は不要か――)」

斑鳩の意識が目の前のチームに向けて収束していく。そして、試合の開始位置についてただ、その時を待つ。

そして

 

 

「――六花祭≪決勝戦≫、試合開始!」

試合開始を告げる機械音声を掻き消さんばかりの大歓声と共に、戦いが始まった。

 

 

 




新年、あけましておめでとうございます。

今年も、本作品をよろしくお願いします。


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