オラリオで最高の料理人を目指すのは間違っているだろうか 作:ぽけてぃ
なので一応、勝手に決めさせてもらいました
ルノア・ファウスト
この時点では13歳
お姉さん見たいなキャラ
だけど口数が少し少な目
これでいきたいと思います
では、どうぞ( ゚д゚)ノ
「ごめんなさい!」
豊穣の女主人で働く事になったアトラは、明日からの仕事の為に一先ず教会に帰る事にした
教会に着いて真っ先にシスターの元に向かった。いきなり目の前に来たアトラに困惑の表情を浮かべるシスターだが
アトラはそんなのお構い無しにと、買い物の途中にシルと会って、シルの働いてる豊穣の女主人に行き、勝手にウェイターとして住み込みで働く事になったと説明する
勝手に住み込みで働く事になった挙げ句、仕事が料理人ではなくウェイターという。何ともシスターに顔向け出来ない様な事態になったので、最後に謝罪の言葉を述べて今に至る
「・・・・・・・・」
恐る恐るシスターの返答を腰を90度に曲げた状態で待つ
シスターの怒った顔を想像して、アトラは手に汗を握っている
「良かったわね、アトラ」
シスターから返ってきたのはそんな言葉だった
アトラは目を見開き顔を上げると
シスターは怒るどころか至極ご満悦といった表情をしていた
「えっ、……良いの?だって俺、シスターに何も言わずに此処を出て行く事を決めたんだよ?」
「自分の生きたい様に生きなさいと言ったのは私です。なのでアトラが自分で決めたことに文句を言うつもりはありません。なにより、料理人になるために住み込みで働くのなら私は嬉しい限りです。」
シスターの言葉は全て正論で、正解なのだかアトラは何故か割り切れなかった
「………でも!」
「私は……」
アトラの言葉をシスターが遮る
「……アトラがこの教会で育つより、その店で働く方が色々な事を体験できると思うの。だから何も咎めたりしない、怒ったりもしない、嫌ったりもしない、笑って送り出してあげる。だから…………頑張ってね。………アトラに神のご加護があらんことを」
そう言ってシスターはアトラの頭を優しく撫でる
アトラも、そんなシスターの言葉にどうしても反論する気にはなれなかった
「ありがとう、シスター」
アトラは一言、今までの感謝の言葉を呟いた
「ううん、私もアトラとの時間は楽しかったわ。これからは豊穣の女主人で人と支え合って頑張ってね。……恋しくなったらいつでも帰ってきなさい」
「うん」
アトラは笑顔で元気よく頷いた
その後は、孤児の皆と最後の夕食の時間を過ごして、男子の寝る部屋で明日持っていく物を鞄に積めていった。
と言っても、豊穣の女主人にはベッドやタンス等の家具が揃っている為、特にこれといった物も無く服や歯ブラシ等の生活必需品を確認するだけでアトラは眠りに就いた
翌朝も、いつも通りに起床してご飯前にシスターに「行ってきます」と一言言ってから教会を出ていった。
後ろから聞こえた、シスターの「行ってらっしゃい」の声が凄く遠くに感じた
歩くこと20分、
豊穣の女主人に着いたアトラは、大きな店の入り口の前に立ち、店を見上げる
「(ここが俺の料理人としての第一歩……)」
そう心に思い。緊張で体が固くなったのに気付いた。一旦深呼吸をして落ち着いてからもう一度店を見上げて、アトラは中に足を踏み出した
中に入るとカウンターにいたミアさんがアトラに気付いて目の前に来る
「これからは、よろしくお願いします!」
アトラの元気な声が店の中に響き渡った
「よろしく、早速だけどあんたが暮らす部屋に案内するから付いてきな」
「はい」
元気にそう言って、2階に上がっていくミアさんに付いていった
部屋に案内された俺は荷物をそれなりに整理してから、
ミアさんに「アトラの事を皆に紹介するから、降りてきな」と言われてたので
少し休憩してから一階に向かった
「おはよーアトラ!」
下からそんな元気な声かしたので
階段の先を見てみると、案の定シルが手を振っていた
「おはよう、シル」
「うん」
「今日からよろしくね」
「よろしく!アトラと一緒に働けるなんて凄く嬉しいよ」
「俺もシルと働くの楽しみにしてたよ」
「本当に!」
「うん、本当だよ」
「えへへ……嬉しいなぁ~」
髪をクルクルと指先で丸めながら照れているシルに、アトラは見惚れてしまう
「アトラは厨房に来な、ウェイトレスの人を簡単に紹介するから」
シルと話していたアトラはミアさんの声に従い、シルと一緒に厨房に行く
そこには
「ルノア・ファウストです、ルノアって呼んでください。歳は13歳、これからはよろしく」
簡潔に自己紹介を済ませるルノアに、アトラも自己紹介をする
「アトラ・オリオットです。ミアさんに頼んでここで働かせて貰うことになりました。歳は8歳です。頑張っていきたいと思いますのでご教授ご鞭撻のほどよろしくお願いします。」
綺麗な礼をするアトラに、ルノアは目を見開く
「へぇー、意外とちゃんとしてるのね、分からない事があったら教えてあげるわ」
そう言って厨房の奥に向かったルノアを3人はただ見つめていた
「(なんか大人な人だなぁ~)」
アトラはルノアにそんな印象を覚えた
ルノアが立ち去ってから数秒、ここでアトラは1つだけ疑問に思ったことがあった
「あのミアさん、他に従業員は?」
そう、この店に来てからシル、ミアさん、さっきのルノアと未だ3人しか見ていない
「うちの従業員は3人だけだよ、アトラを入れたら4人だけどね」
「えっ・・・・・・」
どうやらこれで全員だったらしい、こんなにデカイ店なのに従業員が3人って無茶苦茶でしょ………と密かに心に思うアトラだったのだが
「それと言い忘れてたけど、この店はつい一週間前にオープンしたばかりだから」
「・・・・・・・・」
ミアさんの更なる爆弾発言にアトラは声も出せなくなってしまう
「(無謀過ぎる…………)」
「(ミアさんの考えが楽観的なのか、俺が心配性なだけなのか………)」
明らかにアトラの方が正しいのだが、何故かミアさんを見てると正しいのはあっちなのでは?と思ってしまうアトラだった
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「それじゃ、先ずは包丁の使い方から始めるよ」
そう言ってミアさんはアトラに包丁を差し出す。勿論、柄の方をだ
アトラも包丁を手に取り、持ってみる。鋭く研がれた刃先は光の反射でキラリと光る
もう既に料理教室の記念すべき一回目は始まったのだが、一応それまでの経緯を簡単に説明しよう。
アトラは、自己紹介タイムも終わり(まぁ一人だけだったのだが)、シルとミアさんに最初にウェイターの事を教わったのだが
1:お客さんに注文を聞く
2:注文をミアさんに伝える
3:注文を受け取り、頼んだテーブルに届ける
この3つと、料理と酒の名前、テーブル番号を教わっただけだった
もっと接客の仕方とか、シフト表(四人なので全員が殆ど休み無しなのだが)とか、給料の事とかを知りたかったアトラなのだが、そこは何故か教えて貰えなかった
そもそも、同い年のシルと大雑把そうなミアさんの説明なので仕方なかったと言えば仕方なかったのだが……
頼みの綱と、ルノアに教えて貰おうとしたアトラだがどうやら買い出しに行ったようで、アトラはウェイターとしての事は半分程しか分からなかった
それはさておき今は、ミアさんと料理教室祝一回目だ、アトラも気合いを入れて臨む
「包丁は親指と人差し指で刃元の中央をしっかりと握り、残りの3本の指で柄を握るのが基本だよ」
ミアさんの指示通りに包丁を持つ、柄の部分が手にフィットする感じでアトラは満足する
それはミアさんも同じだったようで
「うん、大体あってるね。次は切るときの構え方だよ」
「はい!」
そんなこんなで、お料理教室も三時間が経過して、最後は実際にニンジンと玉ねぎを切って終わった
終わった後に「アトラは良い料理人になれるよ」とミアさんに言われたときは嬉しさのあまり、ダンスをしそうになったが
シルに見られてるのに気付いてなんとか止める事ができた
「アトラ~料理教室はどうだった?」
近くに来たシルがアトラに呼び掛ける
アトラはシルが「料理教室がどんなのだった?」か「料理教室の感想は?」のどちらを訊いてきたのか迷ったが、両方に答えることにした
「ミアさんの説明はとても上手だったよ、なにより“料理をしてるんだ”って思うと凄く楽しかった」
「そうなんだ、良かったね。」
「うん」
「それじゃ、仕事の方も頑張ろうね」
そうだ、次はウェイターとしての仕事が待っている。色々な人種の人との交流がある接客の仕事………1つ1つの人種に独特の価値観があるので、少しばかり不安になってきたアトラはルノアに“接客のなんたるか”をじっくり聞いてメモし、夕方になった辺りでウェイターの服を着た。
「………に……似合ってるよ…」
それを見たシルが頬を少し赤くしてポツリと呟いた
「ありがとう、シルの服も凄く似合ってるよ。」
アトラもシルの服を見て笑顔で返した
「~~~~~~っ!」
直後に、さっきの何倍も顔を赤くしたシルはそそくさと奥へ行ってしまった
「??」
何か変なこといったかな?とアトラはアトラでシルの行動に疑問を持つが分かる筈もなく、それを遠巻きに見ていたミアさんだけが全てを把握していた
「よし、ウェイターの仕事も頑張るぞ」
アトラはそう心に決めたのだった
最後らへんのミア母さんの「アトラは良い料理人になれるよ」と言うのは、
別にアトラの料理の筋がいい訳ではなくて(実際、ニンジン切ったくらいでそんなの分からないよ)アトラの料理に対する姿勢、態度が良かったからです。
ほら、『好きこそ物の上手なれ』って言いますもんね、
次回はアトラ、「初めてのウェイター」です。
ではまた次の話でお会いしましょう