オラリオで最高の料理人を目指すのは間違っているだろうか   作:ぽけてぃ

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投稿が遅れました。模試があるので頑張りたいです。(ノー勉です)
日常の10巻が発売されたのに最近気づいて即買いました。あのシュールさは面白いなぁ

以上!近況報告でした
ではどうぞ( ゚д゚)ノ


四品目

 

午後8時20分

おおよそ客の出足が一番多い時間帯

それは豊穣の女主人も例外ではなく、今宵も沢山の人で溢れていた

 

「アトラ、この料理を五番のテーブルまで持っていきな!」

 

「はい」

 

ミアさんの声にアトラは疲れきった声で答える

アトラがウェイターの仕事を開始してからもう四時間が経過した。最初はポツポツと人がいる位だったが、六時を回った辺りから人の出入りが激しくなり、今に至る

満席では無いにしろ、空席は殆ど見つからない。そんな中を四人で切り盛りしているのだからアトラは当然、神経をすり減らしていた

 

「(えーっと、この料理が五番のテーブルで今運んでいる酒は…………あれ?………どこだっけ?)」

 

「アトラ、早くお酒を2番のテーブルに持っていかないと!」

 

迷ったアトラにシルが透かさずフォローに入る

 

「っ!ごめんシル!ありがとう」

アトラもシルに感謝して直ぐに酒を届ける

 

「すいません、お酒をお持ちいたしました。」

 

「おう、ありがとな坊主。」

 

「ははっ、ガキが働いてるなんて面白いな。頑張れよ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

酔っ払った男達をサラリと受けな流し、料理を注文したテーブルへ向かう

受け流しながらも男の言葉を思い出す。

 

子供が居るなんて面白い

 

あながち間違ってない、オラリオで子供が働いてる店なんて殆ど居ないだろう。況してや1人ではなく3人だ、

もっと言うとこの店の従業員の四人中三人が子供だ。100人で換算すると75人だ。流石に注目されるだろう

 

「(これからは子供を目立たせたら売れるんじゃ……………シルとルノアが看板娘で…………………うん、悪くない。)」

 

そんな妄想を膨らませていると、いつの間にか五番のテーブルに着いてしまった

 

「お待ちしました。サーモンのカルパッチョです。」

アトラは元気にそう言った

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

時計の短い針が10を指す

 

この時間帯になると流石に人が少なくなる。普通の居酒屋なら今からが良い時間なのだが、なんせ子供が三人いるような普通じゃない店だ。俺らの事情を考えて店は11時に閉めるらしい

 

 

 

「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」

店先でアトラは頭を下げる。もう店には奥のカウンターにいる一人だけだ。

お客さんを送り出す余裕が出てくる

 

「美味かったぞ~、また来るわ~」

 

冒険者も後ろ向きに手を振りながら去っていく

 

 

「ふぅー」

 

疲れたぁ~と声を漏らすと店内からミアさんの呼ぶ声が聞こえる

アトラは店の中に急いで入っていった

 

「アトラ、悪いけどこれを冷蔵庫にしまって来てくれないかい」

 

「はい」

ミアさんに食材を受け取り、冷蔵庫に向かう。凄く簡単な仕事なのでササッと終わらせて、ゆっくりと戻る

 

 

 

「やめてください!」

 

いきなり、その叫び声が聞こえた

明らかにシルの叫び声だったと分かったアトラは急いで戻ると

 

シルが下衆な男に手を掴まれていた

 

「あの、離してください!」

 

明らかに嫌がるシルに男はニヤリとした笑顔を作る

 

そんな状況をアトラが見て見ぬ振りできる訳もなく、

 

 

 

「離してください」

アトラも気付いた時には二人の間に割って入っていた

 

「ア、アトラ!」

 

「あぁ~誰だテメェ!」

 

シルは眼に涙を浮かべていて、直ぐにアトラの後ろに隠れる。そんな光景にあからさまに怒る男

 

「おい、お前。後ろのガキを出せ」

 

そんなのを許せるわけもなく、ただ最低限度の接客はしようと考えたアトラの出した答えは

 

「すいませんお客さま、うちの大事な従業員に手を出すのは止めていただけませんか」

穏便に済ませる事だった

 

「はぁっ!……ガキがしゃしゃりでてんしゃねぇぞ!」

 

「大変申し訳ありません」

 

 

 

 

 

「ミア母さん、あれは不味いんじゃ………」

 

端から見ていたルノアがミアさんに問いかける

 

「黙って見ときな。アトラだって男なんだ、自力でなんとかするよ」

 

だがミアさんの答えは“手を出すな”だった

 

「(さて……どうするんだアトラ)」

 

ミアさんはこれから起こる事を考えて少し微笑んだ

 

 

 

 

 

「ガタガタうるせぇんだよ!痛い目みてぇのか、あぁ~!」

 

「本当に申し訳ありません。ですが、ここは酒を飲んで料理を楽しむ場所。それ以外の事は許容できかねます。酔っているようですので、早めにお帰りください。」

 

 

「俺はLv2の冒険者だぞ!さっさと出せよ、女一人くらい……じっくりと楽しませてやるからよ」

 

「ひっ!」

男の舐め回すような言葉にシルは恐怖する

そしてアトラも流石に我慢の限界で、

 

「………粋がるなよ、クソ野郎……」

 

そう言って男の足を思いっきり踏んだ

 

「つっ!?ぎゃゃぁぁぁ」

 

痛がる男に透かさず、鳩尾を繰り出す

顎を殴るか迷ったが面倒なので鳩尾にした

男は瞬時に腹と口を抑える

 

「…ぶほっ、あぁ……クソ……」

 

流石の冒険者でも堪えきれなかったのだろう、腹を抱えて膝をついてしまう。

 

「(なんでだ………俺はLv2の冒険者だぞ………一般人の……しかもガキに負けるなんて……)」

 

粋がる冒険者だが所詮Lv2の冒険者なんてこんなもの、何時如何なる時も警戒をしなければいけないのに、怠ったのが良い証拠だ

 

痛いながらも何とか顔を上げる男は見てしまった

 

「黙って去れ」

常人を遥かに凌駕する殺気を放つ少年を、ひいては第一級冒険者に匹敵する程の殺気に男が立ち向かえるわけもなく、

 

「す、すいませんでしたぁ~~」

そそくさと逃げていく

 

 

のならまだ良かったのだが

 

「あほたれぇ!ツケはきかないよ!」

 

ミアさんの怒号に又もビビった男は有り金全てを置いて去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~、何とかなりましたね。」

数秒後に、さき程までの殺気が嘘のように安心しきった顔でアトラが振り向いた

 

「全く、殴られるんじゃないかってヒヤヒヤしたよ、」

 

そう言うミアさんだが顔は全然ヒヤヒヤしてない感じだ、寧ろ面白いものが見れて良かった的な顔をしている

 

「まあまあ殴られなかったんで勘弁して下さいよ、……………シルもごめんな、怖い思いさせて」

アトラは、あははっと苦笑いして謝罪をするがシルからの返答がない

 

「………………シル?」

恐る恐る見てみるとシルと目が合う

見るとシルは頬を赤くして呆然とした目でアトラを見つめていた

 

「………………かっこいい……」

ぼそりとシルは呟いた

 

「えっ?」

 

「あっ!ち、ち、ち、違うの!別にアトラがやっつけてくれた時の姿が格好良かったとかそんなんじゃないの!あ、格好悪いんでもなくて、寧ろ凄く格好良くて…………じゃなくて!、そ……そ、そう!アトラの顔が格好良いの、………じゃなくて!今の無し!全て忘れてぇ~!」

 

「とりあえず落ち着け」

 

あり得ない程早口なシルにアトラは唖然としたが、このままでは不味いのでシルを力ずくで静止させる

俗に言う“チョップ”だ

 

「痛ぁぁ~い、うぅ~~ごめんね」

 

シルは手でチョップされた所を擦る、恥ずかしさのアトラの顔を直視出来ないので下を俯く

 

「別にいいよ、さっきの言葉も早口過ぎて殆ど聞こえなかっし」

 

「本当に!」

 

「(すいません、嘘です。全部聞こえてました。俺って昔から耳だけはいいんですよねぇ~。でもここで全部聞こえてましたって言ったらシルがどうなるか分かったもんじゃないからなぁ)」

難聴系主人公なるものが世間ではいるらしいが、どうやらアトラはそうでは無いらしい

 

「うん、本当だよ」

やっぱり嘘を通すしかなかった

 

「良かった………………危うくバレるところだった」

 

「(シルさん、だから聞こえてますよ。小声でも言わないようにしないと)」

 

「それじゃ私は帰る支度してくるから」

 

「お、おう!」

 

元気になったシルは厨房の奥に行ってしまうが、それと入れ替わるようにミアさんがアトラの前に来る

 

「やるじゃないかアトラ、Lv2の冒険者を倒すなんて」

 

「いえ、ただ不意をついただけですし」

 

「それでもだよ、曲がりなりにもLv2の冒険者だ。誰に教わった?」

 

「あははっ……」

やはりミアさんには敵いませんね、と言って言葉を続ける

 

「実は俺の育ての親のシスターに護身用にと対人戦術をちょこっとばかり習ってまして」

 

「へぇ、面白いシスターだね一度でいいから会ってみたいよ」

 

陽気なミアさんにアトラは又も苦笑いを浮かべるのだった

 

「(まぁ、あたし的には最後の殺気が一番気になったけど………それには触れないでおこうかね)」

 

そう心に思うミアさんだった

 

 

 

 

 

 

 

「いや~格好良かったねアトラ」

 

場所は変わって豊穣の女主人の更衣室

着替えをしているシルにルノアが近寄る

 

「……はい」

シルも小さくだが頷く

 

「やっぱり……………あんたアトラに惚れてるでしょ」

 

「っ!………な、な、な、何言ってるんですか!そ、そんなわけ………」

ルノアの言葉にあからさまにシルは動揺する

そんなシルを見てルノアは更にちょっかいをかけたくなってしまう衝動に駆られる

 

「あれ違うんだ………なら私が彼女に立候補しようかなぁ~」

 

「えっ!?……………だ、だめですよ!」

 

「なんでよ」

 

「うっ………それは……」

更に近寄いてくるルノアにシルはたじろぐ

 

「………………はぁー、別に純真無垢なのはいいんだけどね………早くしないと取られるわよ」

 

「それはどういう?」

 

「私が思うにアトラは超がつく程のお人好しでしょ、もしも街で困った人がいると」

 

「直ぐに助けちゃう」

 

「そう、まして相手が女だったら、徐々に仲良くなって私達の知らぬ間に仲良くなってくっつくかも」

 

アトラが他の女の人とイチャイチャしている

その光景を想像したシルは胸をチクリと痛める

 

「い………いや…」

 

「なら積極的にアピールしな、そしたらアトラだってシルに振り向いてくれるわよ」

 

「……………分かった!何としてもアトラを私に振り向かせてあげるんだから!」

 

「その息よ!」

 

決意に燃えるシルとそれを応援するルノア

ここに新たな関係が結ばれる

 

 

 

 

「(ふふっ、これからは楽しくなりそう♪)」

 

いや、間違っていた。本当の関係は“恋する乙女”と“それを端から面白そうに見守る奴”だった

 

 

 

 

 




あからさまに字数を稼いでる気がする……なんて…

アトラの殺気はまあ小さな伏線ってことで……
(実は思い付きでやってるのであんまり先を考えてない作者です。)もしかしたら回収しないかも………
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