戦慄さんの幼馴染   作:ちょもらんま

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第2話

お互い口喧嘩のボキャブラリーが少ないため、最後の方は「葉っぱ」とか「電球!」と言ったよく意味の分からないものになっていった。

ちなみに「電球」は僕が金髪だから言われたのであって、ハゲだからではない。断じてない。

 

 

最後に「ふん!」と言ってそっぽをむかれてしまったので、この先友好的な関係を築いていくのは難しいかもしれない。

僕としては、喧嘩友達ができたようで嬉しかったりする。こんなところにずっと一人でいるとなると悲しくてたまらないが、二人となれば話は別だ。正直嬉しい。嬉しくてにやりと笑ってしまう。

 

 

「何一人で笑ってんのよ。気持ち悪いわね」

 

 

本日2度目の口喧嘩が始まる。

こうして僕の監禁生活1日目は終わった。

 

 

監禁生活2日目~

 

 

なんとかこの場所から脱出できないものだろうか。いつまでもこんなところにいたら頭から苔が生えてきそうだ。お風呂に入りたいと切に願う。

うろうろと部屋を飢えた熊のように回るが、この部屋には窓一つない。脱出も何も扉をこじ開けるしかないみたいだ。

試しに思いっきり蹴っ飛ばしてみる。信じるんだ。もしかしたらこの身体は信じられないくらいのパワーを備え……てなかった。ビクともしなかった。

 

 

僕は痛みで悶絶した。アホすぎる。

 

 

「……ぷっ」

 

 

緑の子に笑われた。

 

 

売られた喧嘩は買うしかない。しかし、それでは昨日の続きだ。そんな不毛なことばかりしていても仕方ない。癇に障るが、ここは年上の僕が大人になるべきだ。

まずは冷静に。そうだ。彼女から情報を引き出そう。僕にはここが何の施設だか、一体自分が地球のどこにいるのかも定かではないのだ。

 

 

「……聞きたいんだけど」

 

 

「ぷふ……なによ」

 

 

笑いすぎだろこいつ。像にでも食べられてしまえ。

 

 

「ここどこ?」

 

 

「知らないわ」

 

 

「……使えない」

 

 

「なんですって!?」

 

 

監禁生活2日目は前日に続き不毛に終わった。

 

 

監禁生活3日目~

 

 

「超能力?」

 

 

「そうよ。弱いあんたにも、一応あるんでしょ?」

 

 

あるわけないだろ馬鹿。と思うも、ここは何かの実験施設。ついでに人体実験が行われている可能性が高い。ありえなくはないだろう。僕は超能力を持っているからここに連れてこられたのか。そういえば非常用のスペアって言われた気がする。

となると、この緑の子もそうなのだろうか。

 

 

聞くと、複雑そうな表情で「……そうよ。使えなくなっちゃったけど」と答えてくれた。

 

 

どうやらあまり触れてはいけない部分だったようだ。そうか。超能力が使えるならこんなところにいるわけない。少し無神経だったか。

 

 

「元気出して。きっと、もう少し大きくなればまた使えるようになるよ」

 

 

「私はあんたより年上よ!!」

 

 

めっちゃ怒られた。臍を曲げた緑の子は、その日はもう口を聞いてくれなかった。

 

監禁生活4日目~

 

 

朝、空腹で目が覚めた。

ご飯が少ないのだ。一日に3回食事が届けられるが、僕の分はなんか適当というか余りものをそのまま持ってきた感じがする。足りないし、味気ない。何故か緑の子のは豪華なのに。

 

 

配膳係の人に文句を言ってみるも、「生かしてやるだけありがたいと思え」とにべもない。一蹴である。いっそ清々しかった。じっと空の容器を見る。うん。虚しい。

 

 

「………」

 

 

確かに食事をくれるだけありがたいのだ。悲しげな表情で同情を誘いたいところだが、表情を表に出す機能が欠落したらしい今の自分には無理な話だ。今日は体育座りでもして、無言の抵抗でもしてみようか。

 

 

昼、虫けらを見るような目つきの配膳係に、この体育座りは無意味だと悟った。

ふて寝をすることにした。

 

 

「……ふん……」

 

 

それから数時間後、目覚めると、空の容器の横に、美味しそうな肉料理がのったお皿が追加で置いてあった。まさか……視線を感じて、向かいの緑の子を見る。

 

 

「……なによ」

 

 

あれ、なんかばつが悪いというか、いつもの彼女ではない。目をちらちらとそらすし、心なしか緑のぐるぐるもしなびている。昨日、あんなに怒らせた手前、目を合わせれば罵詈雑言の嵐だと思っていたが、杞憂だったみたいだ。

 

 

今はそれより、あの人のことだ。あんなごみを見るような目をしつつもちゃっかり差し入れをしてくれるなんて、ツンデレだな。男のツンデレってあるんだと初めて知った。

需要もここでならある。

 

 

「あの人、実は優しかったんだ」

 

 

感謝の念を配膳係の男に込めながら、僕はありがたく食事に手をつけた。美味しい。何杯でもいける。

 

 

「…はぁ?」

 

 

そんな僕に納得いかないような顔の緑の子。

 

 

「ちょっと。それは……」

 

 

「それは?」

 

 

頬張りながら、その先を促す。もしかしたら、僕の現状を憂いてくれる違う人からの差し入れかもしれないし。この子なら誰が持ってきたのか見ていただろう。

 

 

「わ、わた……何でもないわよ!」

 

 

「ぶべ!」

 

 

緑の子が叫ぶと同時に、僕は首に強い衝撃を感じ、意識を手放した。

暫くして目覚めると、半分以上あった肉料理は、昼の容器とともに片付けられていた。夜の分は何故か置いてなかった。

失意とともに、監禁生活4日目は終わった。

 

 

監禁生活5日目~

 

 

「妹?」

 

 

「そうよ。フブキっていうの」

 

 

僕は緑の子と少し打ち解けていた。何せ、やることがない。目の前の子と会話するぐらいしか楽しみがないのだ。この子も実は寂しがり屋なのだろう。怒っても次の日には話しかけても無視はしない。

 

 

たまに癇癪を爆発させるが、NGワードにさえ触れなければ、意外と会話を続けることができる。

 

 

「ふーん。可愛いの?」

 

 

「……言っとくけど、フブキに手を出したら……殺すわよ」

 

 

得体のしれない恐怖が背筋を凍らせた。よく覚えておこう。

 

 

 

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