Fairy tale for illustrations 作:テオ_ドラ
近未来SF×ロボ
※01「機械仕掛けの狐と姫」と同じ舞台設定です
【コラボしたイラスト】
DZ3-xx「狐火」
【挿絵表示】
ピクシブで知り合った
akinoさんの作品にショートストーリーをつけさせてもらいました。
http://www.pixiv.net/member.php?id=6162674
前回掲載した「機械仕掛けの狐と姫の物語」に勝手に登場させた
『狐火』をAKINOさんが描いてくれたので
あわせてまた物語を追加した形です。
ショートストーリーなので連続した話ではありませんが、
イラストを見て物語を読み、楽しんでもらえたら幸いです。
SF好きな人はぜひAKINOさんのホームページにも遊びにいってください。
まだ作品数は少ないですけど
凄く頑張ってる方なので、私も楽しみにしています。
http://311akinori.wix.com/core
こんな形で一緒に創作を楽しんでいける方を探しています。
――DZ3-xx。
正式なナンバーはない。
理由は単純、正規モデルではないからだ。
ベース機は「DZ3-05」ではあるものの、
改修を重ね続けた結果、
オリジナルとは随分と姿が変わってしまっていた。
05はプロレスラーを思わす
少しずんぐりとした屈強な体格なのに対して、
XXはアスリート……陸上選手のスプリンターというのが
一番近いデザインと言えるかもしれない。
スマートで無駄のない
なだらかなシルエット。
パワータイプからスピードタイプへ……
その大胆すぎるカスタマイズは
余程注意深く見なければ
元々がDZ3-05であったとわかる者もいないだろう。
「で、お姫様。
表でアキが不貞腐れていたんだが?」
自称トレジャーハンターを名乗る
『レッドフォックス』が所有する格納庫。
そこにDZ3-xx『狐火』は置かれていた。
まるで姫に忠誠を誓う騎士のように、
跪いて手をあわせて彼女の前に鎮座している。
ケージは買ってきたばかりの
安物のバケットを彼女の横に置く。
「あら、褒めて上げただけよ?
これだけ継ぎはぎな構成にしては
バランスが良くできているわって」
車椅子の彼女は薄く笑う。
風が吹くだけで掻き消えてしまいそうな
淡く儚い少女……自称「PRINCESS」。
不健康に痩せた華奢な体に
色素が抜け落ちた白く長い髪。
はっきりとした輪郭に優しげな瞳と、
そして綺麗に整いすぎた顔出ちは
美しいと思うより先に不気味にすら思えてしまう。
仕草一つ一つとっても洗練され、
まるで水が流れるようだった。
今も静かに『狐火』と繋いだ端末を叩いているが、
ピアノを弾いていると錯覚しそうなくらい
優雅な指さばきに一瞬魅入られそうになる。
「不思議よね。
『少し』問題点を指摘してあげたら、
なんだか怒って出て行ってしまったわ」
ただまあ、そんな見た目とは裏腹に
意地の悪そうな笑みを浮かべる彼女は
相当な曲者であるというのは
既に嫌と言うほど理解している。
「少し、ね……」
ため息をつきながら彼女と並ぶ。
ケージとアキの二人、
『レッドフォックス』は基本的に、
スパイやら強奪を生業としていた。
とはいえ生身では限界がある……
そんな時にDZ3-05を手に入れたのだ。
メックガーディアンなんて正直、
一介のコソ泥が持つには贅沢すぎるものだ。
正規のパーツも手に入らないため、
破損や交換の度に
様々なプロトタイプの部品を流用して
なんとか動かしているのが実情。
なおDZ3-05の特徴である分厚い装甲は
早い段階で取り払われている。
彼らの運用にあわせて
防御力より機動性を優先した結果だ。
「アキもこいつに関しては
絶対の自信があったはずだからなぁ」
そもそも正規の整備士でもないのに、
独学のアキがメックガーディアンを
きちんと運用できているだけでも
にわかには信じられないレベルなのだ。
しかも16歳という若さ……
天才といっても過言ではない。
出自さえきちんとしていれば
十分にメタルアリーナを所有する企業の
メインメカニックにもなれていただろう。
そんな彼女が手塩にかけて改修してきた『狐火』。
これに関しては
誰よりも理解していると自負していたが……
「ハードウェアはうまくバランスが取れていて
正規品としても通用するくらいの出来よ。
でもそれに伴うドライバ……
ソフトウェアがお粗末ね。
ほんっと、馬鹿みたいなスパゲッティコード」
彼女はいくつかウインドウを表示する。
そこには真っ赤な文字で改善点が
ずらっと並んでいた。
ケージには内容がよくわからないが、
まあ、なんだ、
相当きつい駄目出しだということだけはわかる。
「この子はオリジナルより小型化しているのだから
それにあわせて組みなおしてあげているのよ。
駆動部の出力の自動調整と
ラジエーターのアルゴリズムも見直しておいたわ」
「もしかして出力を下げたのか?
それは困るな、こいつは機動性がウリなんだか」
「馬鹿ね、120%の力で30分しか動かないのと、
100%の力で3時間動くこと、
どっちが良いと思ってるの?
このセッティングから想像するに、
基盤を何度か焼き焦げさせて
動作不良を起こしているのではないかしら?」
「……よくわかるな」
「あと武装はヒートナイフはやめた方がいいわ。
ただでさえオーバーヒート気味なのに
武器まで熱を放つなんて馬鹿なのかしら?
超振動ブレードにしておきなさい。
熱で壊れる部品交換の費用を考えれば
トータルで安くなるわ」
アキと同じくらい幼い容姿の彼女に
馬鹿馬鹿と言われると、
さすがにケージも頭を抱えたくもなる。
プライドの高いアキのことだ、
正しいとわかってても素直に認められずに
不貞腐れてしまうのも無理はない。
「私を連れ出してくれた他にも
一宿一飯の恩もあるわ。
だから天才である私が
出来る範囲でプログラムを組みなおしてあげる。
あなたにとっても使いやすくなるはずよ」
彼女は恩着せがましく言い、
横に置かれたバケットを取り出し
はむっとかじる。
けれどすぐに顔をしかめた。
「……なにかしら、これ」
彼らが普段食べているバケットは当然ながら安物。
質の悪いガッチガチのパンに
引き籠りだった彼女は勝てないようだった。
「お姫様の口にはあわなかったか。
薄く切って焼いてくるよ」
「……いえ、これで十分だわ」
からかうよな口調に、
彼女は不機嫌そうに言い返し
必死にかみ切ろうとしていた。
その様子に苦笑いしながら、
ケージは改めて『狐火』を視線を戻す。
隠密に適さない真っ赤なカラーリングは
『レッドフォックス』にちなんだものだ。
狐の駆る真っ赤な機体、だから『狐火』。
安直なネーミングではあるが、
人を煙に巻く仕事をする
自分たちには悪くないと思っている。
「PRINCESS」を強奪したことで、
どうやら運命という名の歯車が
激しい音を立てて回転し始めたらしい。
巷ではキナ臭い話で溢れかえってるし、
自分たちを狙う勢力も一つや二つではない。
「頼むぜ、相棒」
不安はないわけではない。
けれどそれ以上に
何か面白いことが起こりそうだと、
どこか期待してい自分がいる。
「狐」と「姫」の物語は
まだ幕が開けたばかりなのだから。
「……やっぱり焼いて。
あとバターもつけてほしい」
彼女が歯型のついたバケットを、
むすっとした表情で差し出してきた。
「はいはい、仰せのままに、
『PRINCESS』」
まるで剣を賜る騎士のように
狐は恭しくバケットを受け取る。
その後ろでは
そんな二人を見守るように『狐火』が
ただじっと跪いていた……
【イラスト書いてくれた人のプロフィール】
名前:AKINO
紹介: http://www.pixiv.net/member.php?id=6162674
HP : http://311akinori.wix.com/core
作品: http://311akinori.wix.com/core#!dz3-xx/z7plz