自らの父親の行方を探す少年、東城 城介。
スタンドを使う謎の少年、虹村 奥谷。
この二人の戦いをえがいた短編小説。
ジョジョの奇妙な冒険 第X部 白銀の震撼。


続きません。

1 / 1
ジョジョの奇妙な冒険 第X部 白銀の震撼

「ここが……親父の故郷か」

 

俺は長い間旅を続け、ようやく辿り着いた町を見てこうつぶやいた。

 

「杜王町……」

 

ここで親父の行方の手掛かりが見つかればいいのだが……俺は遠くに自動販売機があるのを見つけた。そして、その前に少年が立っているのも見た。

 

「丁度いい。ジャストだ。彼に聞くとしよう」

 

俺はその少年に近づいて行った。俺があと三メートルぐらいまで近づくと、少年はイキナリ、地面に倒れこんだ。

 

「たくっ! ついてねぇぜ。本当についてねぇ。……まさか自販機の下の隙間に百円玉を落としちまうとはなぁ」

 

どうやら、彼はお金を落としてしまったらしい。俺は足を止めた。

そこには……あり得ない物が見えたから。

 

「どうせ、普通の人間にゃあ見えねぇんだ。使ったって問題なんてナッシングッ!」

 

少年の後ろに……緑色の人型の形が居たのだから。俺はあの人型の正体を知っている。

 

「……スタンド」

 

「あぁ?」

 

俺がそうつぶやいた時、少年がこちらを向いた。その手には百円玉が握られている。どうやら、スタンドを使って取ったようだ。

 

「……まさか、こいつが見えてるんか?」

 

俺はどう答えるか迷った。正直に答えるべきか……いや、相手は友好的な雰囲気を持っていない。ここは、やり過ごそう。

 

「あん? 何言ってんだ。何が見えるって言うんだよ。俺はただ、スタンドバイミーを聞いてるだけだぜ」

 

嘘はついていない。現在、俺の両耳にはイヤホンがつけられている。最近は便利になった。音楽プレイヤーを買わずとも、スマートフォンとか言う携帯電話で様々な事ができるんだからな。

 

「へぇ……そうかい。そうか、スタンドってのは、スタンドバイミーの事か」

 

「知ってるだろ? 名曲だ」

 

「ああ、知ってる。勿論知ってる。全部知ってるぜ……お前がスタンド使いって事もなぁ!」

 

緑色の人型はイキナリ俺に殴りかかってきた。だが、その拳は俺に届く前に止められる。

俺と人型との間に割って入るように現れた、謎の新たな人型によって。

 

「……グラン・シルバー」

 

「それがてめぇのスタンドか」

 

こいつが俺のスタンド……グラン・シルバー。銀色で、筋肉隆々な男の姿をした人型。

 

「俺はなぁ……てめぇに恨みがあるわけじゃねぇ。けどなぁ……ある人から頼まれてるんだよなぁ」

 

「何を頼まれてるんだ?」

 

俺は一歩後ろに下がる。

そして緊迫した空気が俺と少年の間を流れる。

 

「てめぇを試せってな……行け、プラント・ソーン!」

 

「迎え撃て、グラン・シルバー!」

 

敵の人型、プラント・ソーンは俺の人型に迫る。俺のスタンドは地面を蹴り、一瞬でプラント・ソーンとの距離をつめる。

 

ーーまずは先制攻撃だ。

 

グラン・シルバーがプラント・ソーンを殴りつける。そして、プラント・ソーンは後ろに吹き飛ぶ。しかし、それと同時にプラント・ソーンの反撃が来る。後ろに吹き飛びながら、プラント・ソーンは右腕を振るったのだ。

それは鞭のようにしなりながら、グラン・シルバーにヒットする。

……おかしい、今の距離で攻撃ができるなんて。後ろに吹き飛ばしたんだ。それと同時に、奴の攻撃範囲から出たはず……何か能力があるな。

 

「んだよ、つまんねぇな。ただ殴るだけか……んなんじゃあ俺のスタンドは倒せねぇぞ!」

 

少年がそう叫び散らした瞬間、プラント・ソーンの猛攻《ラッシュ》が始まった。

鞭のようにしなる拳が俺のスタンドを捉える。やはり、見かけの腕の長さよりも攻撃範囲が広いようだ。

 

「ダリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャッ! ほらほら、どうした! 攻めてこいよぉ」

 

言われなくても。

 

「グラン・シルバー! グラララララララララララララララララ!」

 

グラン・シルバーもラッシュを始める。両者のスタンドが超接近戦を始める。

 

「ダリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャ!」

 

「グラララララララララララララララララ!」

 

互いに一歩も引かない攻防が続く。そして二つ気づいた事がある。一つは、俺の方がパワーは上だが、奴の方がスピードは上だと言う事だ。あきらかに、奴の攻撃の方がヒット数が多い。まるで、腕が何本もあるように見える。

そして、もう一つ。これは奴に取っての致命的な弱点だ。奴のスタンドはラッシュ中、無意識の内だと思われるが、まるで防御がない場所が生まれる。完全にフリーだ。多少のダメージを覚悟してでも叩く価値がある程、大きい弱点だ。

 

「貰った……グラン・シルバー!」

 

グラン・シルバーの腕がプラント・ソーンの胴体を貫く。絵面だけ見れば、俺の完全勝利だ。しかし、俺の拳には、手応えが全く無かった。

 

「フェイク……フェイクだよ。人型はフェイクなんだよ! それぐらい気づけよ、このどたんチンが!」

 

腕が抜けない……!? 何かに締め付けられている。弱点に見えていた、あの隙は……罠だったのか。

 

「プラント・ソーン。てめえの本当の姿を見してやれ」

 

少年がそう言葉を発すと、緑の人型が崩れ始める。そして、最後に残ったのは、巨大な八本の蔦だった。その内の一本にグラン・シルバーは締め上げられていた。

 

「プラント・ソーンの本体は文字通り植物だ。こいつの蔦を複雑に絡ませる事によって、人型のように見えるスタンド象を作り出していたのさ」

 

そうか……

先ほどからの違和感はこのためだったのか。伸びたように見えた腕。何本もあるように見えた腕。それが腕ではなく、絡みついていた蔦だったとなれば、説明がつく。

 

「で、だ。どうやらてめぇは雑魚らしいな。生きる価値のねぇ雑魚だ。……あの人に会わせる価値なんてねぇ。だから……ここで死にやがれ! 身動きとれねぇ状態で残りの七本の蔦のラッシュをくらいやがれ!」

 

七本の蔦が俺のスタンドを貫こうと、襲いかかる。しかし、俺の口元には笑みがあった。

その瞬間、爆発が起きた。

グラン・シルバーを拘束していた蔦が赤く燃えながら吹き飛んだのだ。

 

「何ッ!? 一体何が」

 

「緋色の《スカーレット》波紋疾走《オーバドライブ》」

 

これが俺のスタンドの能力の内の一つ、スカーレットオーバドライブ。

 

「てめぇ、一体何をしたぁ!」

 

「振動だ。俺のグラン・シルバーが持つ能力、振動の力だ。お前のスタンドを高速振動させる事で、熱エネルギーを発生させる。その熱エネルギーで植物スタンドを燃やしたのさ。流石植物だ、よく燃えるぜ」

 

グラン・シルバーの能力は触れている物体や、スタンド本体を振動させる事。これによって波紋と呼ばれるエネルギーを発生させ、様々な現象を起こす事ができる。

 

「このまま、戦闘を続ければ……焼け死ぬぞ」

 

俺は少年を見る。その右腕は赤く焼け焦げていた。どうやら、さっき焼いた蔦は、あのスタンドの右腕にあたる部分らしい。

 

「ちっ! それでも、男にはやらなきゃいけねぇ時があるんだよ! プラント・ソーン! ダリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャ!」

 

プラント・ソーンが残った七本の蔦でラッシュを仕掛けて来る。だが……その攻撃は、もう俺の敵ではない。

 

「グラララララララララララララララララ!」

 

俺はグラン・シルバーの拳で全ての蔦を叩き落とした。

 

 

 

 

「うっ……俺は一体」

 

ふむ、目が覚めたようだな。

 

「目覚めの気分はどうだ? 少年」

 

「……!?」

 

「驚いて声も出ないか。ああ、火傷や骨折は波紋で治しておいたぞ」

 

感謝しろ。本来なら多額の金を請求したい所だが、こいつは親父について確実に情報を持っている。

 

「さて、少年。俺の親父……東城《とうじょう》 晃久《あきひさ》について教えて貰おうか」

 

俺がそう言うと、少年は一瞬、口を閉じたが、ゆっくりと話し始めた。

 

「俺の名前は虹村《にじむら》 奥谷《おくや》っつうんだが、その晃久は突然、俺らの前に現れたんだ」

 

「俺ら?」

 

「ああ、俺の兄貴、虹村《にじむら》 圭洞《けいとう》も一緒に会ったんだ。そして、晃久はこう言った。君たちに不思議な力をあげよう。その代わりに、この写真の男がこの町を訪れた時、彼を試してやってくれ……ってな」

 

「その時に得た不思議な力が……」

 

「そう、スタンド能力……プラント・ソーンだ」

 

という事は、流れ的にその、こいつの兄である虹村 圭洞もスタンド使いだと考えた方がいいだろう。

 

「それで、伝言だ。これはてめぇが勝った時にだけ伝えるように言われていた物だ。……『俺はこの町のどこかにいる。探し出してみろ』ってな」

 

親父……ようやく見つけたぜ。

あんたの手掛かりを!

 

「それでだ、虹村。君も東城 晃久を探すのを手伝ってくれないか?」

 

「……そんな義理はねぇよ。一人で頑張りなッ!」

 

「んな、殺生な事言うなよ……この広い町でたった一人の男を見つけろって? 無理無理無理無理」

 

俺はリズムに合わせて首を左右に振る。

 

「……もしも断るっつーなら、治療代、78万9800円を今すぐッ! 払って貰おうか」

 

「はぁ!? 治療代ってなんだよそりゃ!」

 

「火傷や骨折は波紋で治しておいたぞ、って言ったろ。誰も無償なんて言ってねぇよ」

 

「くっそ! てめぇ、はめやがったな」

 

「虹村、君が一人で突っかかって来て、一人で負けただけだろ? もしも、俺に治されず、救急車に運ばれてたら、もっと治療に時間がかかるのに、同じくらいの額を取られてただろうよ」

 

感謝しろ! と、俺は虹村を指さしながらそう言った。

 

「……ち! わーたよ、やりゃいいんだろ。仕方ねぇから手伝ってやるよ。まあ、俺も晃久には言いてぇ事があるからな」

 

「協力感謝するぞ」

 

俺は笑顔で虹村にそう言った。

 

「で? てめえの名前は何て言うんだよ」

 

俺の名前か?

 

「俺の名前は東城《とうじょう》 城介《じょうのすけ》だ」

 

俺はそう言うと、財布から免許証を取り出して虹村に見せてやった。

 

「お前、名前に二つも『城』って言う漢字が入ってるのか? 面白え名前だ。よし、今日からてめえのあだ名は『城城《ジョジョ》』だ!」

 

「何とでも呼べ。ジョウジョウとでも、ジョジョとでもな……」

 

 

……こうして新たなジョジョは生まれた。杜王町で、新たなジョジョの伝説が始まる!

 

ジョジョの奇妙な冒険 第X部 白銀の震撼

 

……続きません。




なんとなく、ノリと勢いで書いてしまいました。
後悔はしていません。公開はしていますけど。
この小説が続く事は絶対無いでしょう。
私なんかが書き続けたら、それはジョジョの侮辱になってしまうような気がするからです。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。次回作もよろしくお願いします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。