トータスナイトが基地に着任しましたっ!   作:林屋まつり

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二十四話

「…………レオナルド、どうしたの? その頬」

「聞いてくれる? ……いや、聞かないでくれ、ブラック」

「どっち?」

 

 と、言うわけで店を出る。女性陣はそれぞれ満足の表情。成功したらしい。

 微かに腫れた頬のレオナルドに疑念が向けられるが、レオナルドは苦笑して大丈夫と応じ、レーベが小さくなっていたので大した事ではないと判断。

 で、次は、

「失敗したわ。お昼、作ってくればよかった」

 がっくりと肩を落とすビスマルク。ウィリアムは苦笑。

「ま、いいじゃないか、適当に買って食べれば」

 食べる場所は決まっている。ここに来る途中に見かけた高原。ここで食べたら気持ちよさそうだね、と。そんな話をしていた。

 というわけで、買った服を乗ってきたバンに詰め込み、お昼の調達。

「あ、……」ふと、ウィリアムはスマートフォンから顔を上げて「次の、次、……右に入ったところに食べ物屋の通りがあるみたいだね」

「そんなところもあるのね」

「もともと、観光も盛んなところだからね。

 屋台の食べ歩きもやってたんじゃないかな」

「それなら持ち帰りも出来そうね」

「うん、じゃあ、そこで何か買って高原で食べましょうか」

 ビスマルクの提案に皆が頷く。

「どんな、ごはんがある、ですか?」

「いろいろな食べ物。って感じかな。

 ユーの好きな食べ物も、きっとあるよ」

「……楽しみ、です」

 嬉しそうに笑うユーの傍ら、グラーフは「そうか」と、頷く。いいことを考えた。

「そうだね」

 と、話をしているうちに到着。街の一画に屋台が並んでいる。観光を想定していたのかショッピングモールとして整備されているらしい。

 華やかな色とりどりの看板。深海凄艦が出現したという事で海に行けず、少し閑散とした印象がある。けど、

「ふぁー」

 ユーがそんな街の一画を見て感嘆の声を上げる。きらきらした目で振り返って、

「す、すごい、お店が、たくさん、です。

 ゆー、早くみたい、です」

「そうだね。それじゃあ行こうか」

「弟くん」

 ふと呼びかけられた言葉に、沈黙。……………………「あ、僕か」

「…………それで、提案なのだが。

 各々店を見て回って、好きなものを買ってくる、というのはどうだろうか?」

「あっ、それ面白そうっ!」

 ぱっ、とプリンツは笑顔で応じる。その方がいろいろなものが食べられそうだから。

「いいですね」では、とシャルンホルストはプリンツを捕獲「いろいろ見て回りましょうか」

「あ、え? あれ、私は兄さまと一緒に?」

「私はまだこういう事には不慣れなので、案内をお願いしますね。プリンツ」

「あ、あれー?」

 ずるずると連れていかれるプリンツ。服を買うために渡したお金がまだ残ってるから、まあいいか、とウィリアムは彼女を見送る。で、

「では、行くぞ、レオっ!」

「え? グラーフさん?」

 レオナルドの腕を抱いてどこぞを指さすグラーフ。キョトンとする彼に、というよりはレーベとマックスに、

「二人は服を見てもらったのだろう。

 だから今はレオを貸せ」

「貸せって? 僕は賞品か何かっ?」

「それならいいな。やる気が出るな。いろいろと。

 というわけで行くぞレオ。私だって服を見てもらいたかったのに我慢したんだ」

 我慢した、と言われたらレーベとマックスも引き下がるしかなく、

「ちなみに、どんな服を見てもらいたかったの?」

「下着」

「おおいっ?」

 不穏当な発言をしてレオナルドを引っ張っていくグラーフ、レーベとマックスは顔を見合わせて慌てて追いかける。

 で、

「…………えと、行こうか」

 なんとなく散っていくみんなをぽつんと見ていたウィリアムは、同じようにキョトンとしていたビスマルクとユーに声をかけた。

 

 ユーと手を繋ぎ隣を歩くウィリアム。……ふと、ビスマルクはこんなことを考えた。

 周りから見たら、私たちはどう見えるか、と。

「あ、……うぃる、あれ、美味しそう、です」

 ユーが示した先にはケバブの屋台。切り盛りしているらしい恰幅のいい女性が真剣な表情で調理している。

 確かにおいしそうだ、とウィリアムは思ったので、

「じゃあ、みんなの分も買っていこうか」

「う、うん、……えへへ、みんな、喜んでくれるかな?」

「そうだね。

 おいしい、って言ってくれたら、ユー、お手柄だ」

 少し乱暴にユーを撫でるウィリアム。ユーは嬉しそうに笑う。そして店の方へ。

「すいませーん」

「あいよー」

 メニューは一つ、だからウィリアムは指折り数えて「九個、ください」

「ホームパーティーでも開くんかい?

 こんなに綺麗なお嫁さんと可愛い娘さんがいるんだ、目移りなんてしちゃだめだよ」

「へ?」

 動きを止めるウィリアム。

「お、……およ、よ?」

「うぃる、パパ?」

「あ、いや、違うと思うよ」

「そうなのかい? なんだい、そんな綺麗な女性ならさっさと捕まえないと、あっという間にどっかいっちゃうよ」

「そんな事はしないわっ!」

 店主の軽口にビスマルクはむきになり反撃。ウィリアムを抱きしめて、

「私はどっかいったりしないわっ!」

 怒鳴り声に彼女はキョトンとして、……豪快に笑った。

「あはははっ、そりゃあいいやっ!

 勘違い悪かったよ。けど、愛されてるならさっさと結婚しちまいなっ」

 笑いながら紙袋に商品を押し込む。手を伸ばすユーに持たせる。

 ユーはお代を払ってお釣りを受け取る。両手で抱えるように持つ。店主に軽く手を振って歩き出す。

 で、

「えーと、ビスマルク」

「あ、……う」

 顔が赤くなる。お嫁さん、と。言われていろいろ想像してしまった。……けど、

「あ、あの、ウィル」

「ん?」

「わ、……私は、」

 

 貴方が好きだから。

 

「それでも、いい、わよ」

 …………一瞬、本当に、一時。

 何もかも蹴飛ばして、ただ、彼の傍にいるのも、いいと思ってしまったから。

 けど、

「ごめん」

「ううん、いいのよ。

 私も、変なことを言ってごめんなさい」

 困ったように言うウィリアムに、ビスマルクは微笑み応じる。……出会ってまだ数日。確かに、そこまで話を進めるのは早いわね、と。

 苦笑。けど、

「まあ、…………えーと、ビスマルク」

「え?」

 少し困ったような、照れた様な微笑。

「その、……そういってくれるのは、嬉しいよ。

 けど、ほんとごめん」

「ううん、いいわよ。

 もっと、一緒にいて、ちゃんとウィルから好きって言ってもらえるまでは、我慢するわ」

「あはは、お手柔らかに」

「ええ、私は焦ったりしないわ。……けど、」

 焦ったりはしない。けど、それでも、

「今くらいはいいわよね?」

 笑って、ウィリアムの手を取る。彼の腕を胸に抱えるように、

「あ、……え? び、ビスマルク?」

 途端に顔が赤くなる。理由はわかる。腕を胸に抱えて、密着するようにそばに寄り添ってる。……もちろん、ビスマルクも気恥ずかしい。けど、

「だめよ。……ウィルが待たせたんだから、少しくらいは我が侭を聞きなさい」

「あ、ビスマルク姉さん、ずるい、です。

 ゆーも、うぃると手、つなぎたい」

「あ、うん」

 困ったように手を差し出すウィリアム。ユーは嬉しそうに手を繋ぐ。

「ふふ、けど、こうしていると本当に家族みたいね」

「かぞく? ……うぃるがパパで、ビスマルク、……ママ?」

「え、ええっ、そうよっ!

 ふふ、ねっ、旦那様、それとも、パパ、がいいかしら?」

「あ、……え、えーと、」

 嬉しそうに身を寄せるビスマルクに口ごもるウィリアム。

「い、今まで通り、ウィル、でいいかなあ?」

「えー、いいじゃない。

 少し、呼び方を変えるだけ、変えるだけだからっ」

「か、変えるにしても、それはあ」

 あまりにも、意味が凄い。…………けど、

「今、……三人でいる間だけでいいの。

 だめ、かしら?」

 腕をぎゅっとつかんで、困ったように見上げるビスマルク。

 年上、……そんなイメージを覆す彼女に、ウィリアムは視線を逸らす。その顔は、赤い。

「い、…………あ、えと、……せ、せめて旦那様、の方がいい、かな?」

 精一杯の抵抗で、そんな事を言った。ビスマルクは満足そうに微笑む。

「ふふ、旦那様、次はどこに行くのかしら?」

「あ、……えーと、しゅ、主菜は買ったから、な、何か、野菜、かな?」

「お野菜? あの、ゆー、お野菜のスープ、好き、です」

「そうだね。探してみようか」

「うんっ」

 とてとてと走り出すユー。ウィリアムとビスマルクは顔を見合わせる。動きを止めた二人に、かけられる声。

「うぃるっ、急がないと、だめ、です。

 お昼の時間、になっちゃいます」

 ユーのはしゃいだ声。辺りを見渡し、くるっ、と振り返って笑顔。手を振る。

「あんまり走ると転ぶよー」

 言ってみた。けど、ユーに止まる気配はない。だから仕方ない、ビスマルクと微笑を交わす。腕に抱き着いたままだと追いかけられないから、せめて、手をつないで、

「待ちなさい、ユー」

 先行するユーを二人で追いかけた。

 

 で、

「か、……買いすぎたね」

 目的の高原でレジャーシートを広げる。並べられたいろいろな食べ物。

 ウィリアムは苦笑。食べきれる自信は、ない。

「まあ、お土産でもいいんじゃないの? ……うん、夕食分もありそうだし。

 っていうか、誰だよお菓子買ったやつ?」

「ふふ、……いい、レオ君。

 女の子は買い物に行くと、お菓子を買っちゃうものなんです」

 眼の光がなくなったプリンツが笑う。シャルンホルストは楚々と微笑み「自棄買いしていましたね」

「だってぇえ、わ、私、……私、兄さまと一緒が良かったのにぃいぃいっ!」

 空に吼えるプリンツ。シャルンホルストは変わらずに楚々と微笑む。

 ユーは嬉しそうにウィリアムの手を握って、

「ユー、ビスマルク姉さんと、うぃると、お買い物しました。

 楽しかった、です」

「ふぁぁぁああああああっ」

「マジ泣きっ?」

 レジャーシートの隅でめそめそし始めるプリンツ。慄くレオナルド。

 だから、

「ブラックっ、出番だっ」

「丸投げっ?」

「頑張れブラック」「が、頑張ってっ」「うん、応援してる」「弟くん、君なら出来る」「ウィル、貴方の出番です」「が、がんばって、です」

「…………び、ビスマルク」

「ウィルの、困って私に頼ろうとする表情、可愛いわ」

 旗艦は頼りにならない。だから、仕方ない。

「え、……えーと、プリンツ」

「くすん、……兄さま?」

「あ、……えーと、…………機嫌、直してくれないかなあ?」

 愛想笑いを浮かべて恐る恐る問いかけるウィリアムに、プリンツは、ぷぅ、と頬を膨らませる。

「………………いくら兄さまのお願いでも、そればっかりは聞けません」

 困ったな、とウィリアムの背中に鈍い汗。これはわかる。妹、メアリとの付き合いで経験がある。

 完全に拗ねてる。こうなると長い。

「ぼ、……僕はどうすればいいのかなあ?」

「ブラック、それ地雷」

 ぽつりと小さな声が聞こえた気がした。聞いてからやっちゃった、と思ったけど。

 時すでに遅し。

「じゃあ、……私と一緒に寝てください」

「え?」

「私っ! 今夜は兄さまと同じベッドで、ぎゅってして寝ますっ!」

「な、……ちょ、ぷ、プリンツっ?

 それはさすがにまずいよっ!」

「………………じゃないと、機嫌直しません」

「いや、直しません、って言われても」

 つん、とそっぽを向くプリンツに困り果てた表情のウィリアム。

 視線を向ける。レオナルドはGoサイン。無視。

「待て、待つんだプリンツ」

「ぐ、グラーフ」

 ずい、と前に出るのはグラーフ。頼りになるその姿にウィリアムは感動。グラーフは自信を持って頷く。

「パジャマパーティーというのをしてみたい」

「…………へ?」

 何言いだすの? と、ウィリアム。

「私はパジャマパーティーをしたい」

「あ。あの、グラーフ?」「ぱじゃまぱーてぃー?」

 淡々と繰り返すグラーフにプリンツも顔を上げる。で、

「グラーフ、それ、なんですか?

 ゆー、やったことない、です」

「ああ、それなりに広い部屋にマットレスを人数分程度広げて、パジャマで寝転がりながら飲み食いしながら語り合ったりする事だ。

 もちろん、そのまま眠ってもいい。ちょうど、プリンツが自棄買いした菓子もある」

「わっ、た、楽しそうっ!

 ゆーも、やりたいです」

「そうだろう。

 だが、そのためにはプリンツが弟くんを独占するのはだめだ。プリンツ、弟くんを独占してはだめだ」

「なんでそれ繰り返すの?」

「とても大切な事だからだ。

 私は弟くんともパジャマパーティーをしたい。もちろん、」振り返る、その先にいる彼「レオ、君ともだ。私はみんなと語り明かしたい。どうだろうか?」

 レオナルドは頷く。いろいろ話をしたいのは、自分も同じだから。

「私も、楽しみです。

 ふふ、そうですね。ビスマルクたちとも、改めて話をするのもいいでしょう」

 シャルンホルストも乗り気に応じ、それは皆の総意。……そうなれば、…………プリンツは溜息。

「もう、……そんな楽しそうなことで釣るなんて、卑怯です」

 ぷい、とそっぽを向いて頷いた。

 

 レジャーシートに買ってきた食べ物を広げ、準備万端。

「では、」

 ウィリアムの声に、みんなで声をそろえて、

「「「「「「「「「いっただっきまーすっ」」」」」」」」」

 サンドウィッチをつまみ、ソーセージにかぶりつき、揚げ物を切り分けスープを傾ける。

「はーっ、美味しいわ。

 ちょうどお腹すいてたのよ」

 服を選んで食べ物を探して、……考えてみればずっと歩き回っていた気がする。

 楽しかったから全然気にならなかったけど、腰を下ろすと歩き回っていたことを改めて実感。そして、お腹鳴らなくてよかった、と密かに安堵。

 というわけでビスマルクは手早くソーセージを食べ終え、サンドウィッチに手を伸ばす。

「美味しい?」

「ええ、とてもっ」

 ウィリアムの問いにビスマルクは笑顔で応じる。「それはよかった」と、ウィリアム。

「だが、気をつけねばならない」

 不意にグラーフが口を開く。その重々しい口調にレオナルドと話をしていたレーベやマックスも視線を向ける。

「食べ過ぎると、太る」

 ……………………動きが止まった。

「そんなの別に気にすることないよ」

 レオナルドは気にせず食事を口に運ぶ。けど、

「き、気にするよっ!

 太ったら、…………ふ、……太ったら」

「ちょ、レーベっ?」

 軽く震え始めたレーベにレオナルドは首を傾げる。マックスは眉根を寄せる。

「レオ、それ、女の子にしてみれば深刻。

 っていうか、レオは気にしないの?」

「してない、な。……太ったとか、そんな記憶はないし」

 幸か不幸か、HLの生活、特にライブラでの活動で太る余裕はない。

 体型維持に気を使ったことはほとんどない。誰かのようによほどの不摂生な食生活を送らなければ、太る事もほとんどない。

 故の言葉にマックスとレーベは羨ましそうな表情。

「だ、大丈夫よっ! グラーフっ!

 ほら、……えと、私たち、海を駆け回っているじゃないっ!」

「ほとんど駆動器任せだが?」

「食べたものは全部胸に行くのよっ!」

 むんっ、と胸を張るビスマルク。グラーフは首を横に振る。

「ビスマルク。そういって食いすぎて腹にいく女性はいくらでもいる。

 弟くんに肥えた姿をさらしたいか?」

 ビスマルクは崩れ落ちた。まあ、それはともかく、

「やっぱり、気にした方がいいかな」

 レーベは片手に持つソーセージを置く。けど、

「今は、気にしなくていいよ。

 せっかくみんなで食べてるんだしさ。それに、これから軍でいろいろ訓練するんだから、大丈夫だよ」

 だから、とレオナルドはレーベが置いたソーセージを手に取って、

「せっかくみんなで遊んでるんだから、遠慮なんて、なし、にしようよ」

「う、……うん」

 少し躊躇しながらレーベはソーセージを受け取る。苦笑。

「やっぱり気にするんだねえ」

「レオ、当たり前。……私も、レオに、太ったところ見られたく、ない、わ」

 顔を背けて呟くマックス。けど、

「僕はあんまり痩せこけたっていうのも、好きじゃないけどね。

 レーベもマックスも、これから成長するんだろうし、今から気にしてたら痩せすぎるよ」

「…………そう、……ん、気を付ける」

「僕も、……そっか、レオ君、痩せすぎはだめか。

 うん、気を付けないとね」

「うん、……太らず痩せすぎず。バランスをとらないと」

 難しい表情で頷きあう二人。そんな難しい事を言ったかな、と首を傾げるレオナルド。そして、

「ほらっ! レオもああいっているから大丈夫よっ!」

 ビスマルクは両手にサンドウィッチを掲げて立ち上がる。傍らで拍手するプリンツ。ウィリアムはよくわからない、と首を傾げ、グラーフは苦笑。

「育ち盛りの二人と一緒に考えるのは間違えていると思うぞ。ビスマルク」

 

「ほむ、……ゆー、お腹いっぱい、です」

 ケバブを食べ終え、満足そうにお腹をさするユー。

「そうだね。無理に食べたらだめだよ」

 隣に座るウィリアムの言葉にユーは頷く。そして、

「ユー?」

 こてん、とウィリアムの頭に肩を預けた。

「のんびり、です」

「そうだね。…………のんびりだね」

 丁寧に頭を撫でる。ユーはその感触が心地よくて、嬉しくて、…………「あの、うぃる」

「ん?」

「お膝、いい、ですか?」

「ああ、いいよ」

 ぽん、と太ももを叩く。ユーはころん、と寝転がる。

「…………まあ、あんまり寝心地よくないと思うけどね」

 男の膝枕なんていいものじゃないだろうけど。そう言って苦笑するウィリアムにユーは「そんな事ないです」と、否定。

「うぃるのお膝、すごく居心地、いいです。

 とても安心、出来ます。あ、…………あの、うぃる」

「ん?」

「あの、……な、なでなで、してくれます、か?」

 子供っぽい。そんなお願いをして顔を真っ赤にするユー。

 けど、ウィリアムは軽く微笑んで「こう?」

 ユーの柔らかい金色の髪を丁寧に撫でる。子供っぽいお願いに顔を赤くしていたユーは、すぐに、頬を緩める。

「えへへ、……ぽかぽか、です」

 いいものかなあ、と。ウィリアムは内心で首を傾げた。

 けど、

 暖かな日差しと静かな風。……確かに、昼寝にはもってこいの陽気だし、

「そうだね。……こういうのもいいよね」

 静かに穏かに、ウィリアムはユーの頭を撫でながら呟いた。

 

「レオ君っ、僕も膝枕っ!」「レオ、私も」

 がつんっ! と、音。

「…………二人とも、なにやってるの?」

 悶絶するレーベとマックスを見て、レオナルドは首を傾げた。

 

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