トータスナイトが基地に着任しましたっ!   作:林屋まつり

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最終話

 ユーはパーティーは初めてで、だから、どんなものがよくわからなかった。

 試着室で着たのは、カタログ通り可愛いドレス。袖を通して、薄化粧をして、……着替えを手伝ってくれた女性はとても可愛いって褒めてくれた。

 褒めてもらえるのは嬉しい。だから、

「れお」

 つい、と、男の人と話をしてるレオナルドの手を引く。

「ユー? えと、」

 その人に視線を向ける。彼は親指を立てて「可愛い子が最優先だ。少年っ」と、笑う。

「……あ、ごめんなさい。

 お話し中、でしたか?」

 邪魔しちゃった。と、呟くユーに彼は笑顔で、

「こんなかわいい娘に話しかけられるなんて、一発なぐ、……はっはっはっ」

「何を言いかけたっ!」

「ふははははっ」

 軽く手を振って笑って去っていく男の人。

「えと、ごめんなさい」

「いいよ、また話をすればいいんだから。

 それで、どうしたの? ユー」

 レオナルドは視線を合わせて優しく微笑む。よかった、と。安堵。

「あ、あの、……似合って、ますか?」

 軽く、ドレスの裾をつまんで問いかける。レオナルドは頷く。

「もちろん、すっごく可愛いよ。ユー」

 可愛いと言ってくれて、撫でてくれた。ユーは頬を紅潮させて微笑む。

「えへへ、嬉しい。……れおに褒めてもらえて、よかった、です。

 れお、あの、……一緒しても、いい、ですか? ゆー、パーティー、初めてだからよくわからない、です」

「ああ、いいよ。僕でよければね」

 そんなこと言われたら、ユーは頬を膨らませる。

「れおが、いいです。

 れお、……あの、か、格好いい、から、れおと一緒がいい、です」

 格好いい、そんな事を言ったら顔が熱くなった。不思議です、とユーは内心で思う。悪い気は、しないけど。

「はは、ありがと。そういってくれると嬉しいよ」

 微笑み撫でる。少し緊張していたユーが表情をほころばせる。

「じゃあ、行こうか。

 ユー、何か食べる? それとも、」

 つい、と示した先。

「踊る?」

「え、え?」

 踊る、と言われてみた先、演奏に合わせて踊る人たち。肩を組んで歌う人たち。みんな、笑顔で、楽しそう。

「あ、……楽しそう、です。…………うう」

「ユー?」

「踊るの、楽しそう、です。

 けど、料理、美味しそう、…………迷い、ます」

「そうだなあ」

 と、微笑。

「なら先に食べておくといい。食事は全部どかして、ここ広間全域で踊ろうとか言っていた者もいたからな」

「あ、大提督」

 声の先、ヴィルヘルムがいる。思わず、ユーはレオナルドの後ろに隠れる。

 大きい、体重だけならユーの倍はありそうな巨漢。彼は少し困ったように「怖がらせたか」

「……あ、…………」

 いけない、と思う。いつか、絶対に行くと決めた場所。HL。そこにはいろいろな姿の人がいると聞いている。

 だから、相手の見た目に怯えてばかりではだめ。ユーは、ぐっ、とヴィルヘルムに視線を向ける。

「だ、大丈夫、ですっ」

 思った以上に力が入ってしまった言葉。思わず恥ずかしくなり、ヴィルヘルムは微笑。その大きな手でユーを撫でる。

「それならいい。

 軍にもいろいろな者がいる。外見だけで判断をするのはいいことではない、特に、」

 不意に、彼は、にや、とレオナルドに視線を向ける。

「HLに行くのならば、なおさらだ。

 気のいい異界の、……異形の者もいれば、人と大差のない姿でも、桁外れに危険な存在もいる。血界の眷属など、後者の典型だろう」

「血界の眷属?」

「俗に、吸血鬼。と呼ばれる存在だ。……まあ、それは正式に入ったらにしよう。

 話がそれたな。知らぬものと会う時は、警戒は必要だ。だが、悪戯に怯える必要はない。ましてやこういう場なら、堂々としなさい」

「は、……はい、が、頑張ります」

 幼い少女の言葉にヴィルヘルムは眼を細める。

「そうだ、頑張るといい。そして、相応の能力があるのならば、HLに渡航を許可しよう。レオナルド、彼と会えるように調整もしよう。

 私が、それを約束する」

 海軍の長からの言葉。それを聞いて、ユーは笑みを浮かべる。

「よ、よろしく、お願いますっ!

 ゆー、れおに会いたいから、がんばりますっ」

「そうだな、……もちろん、君だけではない」

 不意に、ヴィルヘルムは笑う。

「レオナルド。その時は、……そうだな、最低でも七人は行くことになる。

 大所帯だが、頼むぞ」

「もちろんです」

 歓迎しない理由は何もない。寝床とかが厳しいが、その時はクラウスに頭を下げればいい。

 楽しんでほしい。のだから。

 レオナルドの即答にヴィルヘルムは頷く。

「では、楽しんでいきなさい」

「はい」

 軽く手を振りヴィルヘルムは歩き出す。ユーは、ほう、と吐息。

「緊張した?」

 レオナルドは膝を折り、視線を合わせて問いかける。

「…………はい、……あの、ゆーも、そういうの、だめ、だと思います。

 けど、緊張、しちゃいました」

 困ったように、少し肩を落として応じるユー。けど、レオナルドは微笑。

「だめじゃないよ。初対面の相手には誰だって緊張するさ。それに、ヴィルヘルムさんも言ってただろ? そんなに怖そうに見えなくても、すっごく怖いのもいるんだ。だから、緊張するのはだめな事じゃない」

 大丈夫、そういわれてユーは安堵の吐息。

「けど、見た目が怖いからってだけで避けてばっかりじゃだめだよ。

 ヴィルヘルムさん、悪い人じゃなさそうだろ?」

「うん」

 ユーは頷く。まだ、数度言葉を交わしただけ。けど、悪い人とは思えなかった。

 だから、

「ゆー、がんばります。

 あの、まだちょっと、怖い、と思うけど、お話しできるように、がんばります」

「そうだ。頑張れ」

 笑顔で頭を撫でられる。その感触が嬉しくて、心地いい。……だから。

 頑張ります、と。内心で呟き、彼への思いを胸に刻んだ。

 

 頑張って、…………そして、また、いつか、貴方に会いに行きます。

 

 夢みたい。と、プリンツは笑う。

 綺麗なドレスを身にまとって、お化粧をして、……思いっきり、おめかしして、

 聞こえてくるのは賑やかな音楽。笑う声、歌う声、ステップを刻む音。床を叩く音。手を叩く音。誰かの歓声、囃す声。

 そして、

「あはっ、楽しいねっ、兄さまっ」

「そうだね。……いや、ちゃんとできてる自信ないけど」

 手を取り踊るウィリアムは困ったように言う。ちゃんとできてるかわからない。けど、それはプリンツも同じ。……だから、「楽しければ、関係ないですっ!」

「ま、そんなものだよねえ」

 くるっ、とターン。ぎこちないけど、彼が支えてくれる。それだけで十分。

 くるくる回る。ステップを刻む。聞こえてくる賑やかな歌。……不意に、聞きなれた声に視線を向ければレーベとマックスが並んで歌っている。そこにレオナルドとユーが加わって、一緒に歌いだす。

 少し外れた音程。ちょっと狂ったリズム。あんまり上手じゃない。けど、大切な友達の歌声だから、嬉しい。楽しい。その音楽を聴きながらくるくるくるくる、大好きな人と手を取って踊り躍って、ステップを刻んでくるくる回る。

 誰かが笑う声が聞こえた。誰かが囃す声が聞こえる。羨ましい、とウィリアムに向けられる声。代わって、とプリンツに向けられる声。

 けど、ごめんね、と舌を出す。……だって、

「兄さまを離したくないんだもん」

「ん?」

 胸に秘めたはずの言葉が思わず零れた。問い返すウィリアムには舌を出して回答を拒否。

「なんでもないっ、兄さまっ、もっとペースあげていくよっ」

「お、お手柔らかにぃいっ!」

 ちょっと意地悪。力を込めて振り回してみたらウィリアムがバランスを崩す。

「ちょ、プリンツ、いきなりはやめてよ」

「ごめんねっ、…………けど、兄さまにだったら押し倒されてもいいですよ」

「そういうんじゃなくてっ」

 プリンツの言葉に顔を赤くするウィリアム。もちろん、そんな事を言ったプリンツも同様。だから、

「ほらほらっ、どんど、ひゃぁあっ!」

「プリンツっ!」

 我慢できない、とビスマルクがプリンツを後ろから押し倒す。べしゃっ、とつぶれるプリンツ。そして、

「なんでーっ?」

 困ったように笑うウィリアムを横目に、さらに上に圧し掛かるグラーフとシャルンホルストに抗議の声。は、無視された。

「い、いつまで提督を独り占めしているのよっ! そんなの許さないわっ!

 っていうかっ! グラーフっ! シャルンっ! どきなさいっ!」

「だが断るっ」「いいではないですか、いいではないですか」

「よくないわよっ! 断らないでよっ! 重いわよっ!」

「ぷ、……プリンツの方が、重い、です」

「私は重たくないわよっ!」

 錯乱気味のビスマルク。「じゃあさ」

 仕方ない。

「みんなで一緒に踊ろうか」

「みんなで? どんなのです?」

 独り占めが出来なくなったプリンツは、微かに頬を膨らませる。ウィリアムは首を傾げて、

「えーと、……みんなで肩を組んで、だったような」

 曖昧な言葉にグラーフは頷く。

「ラインダンスというやつか。……では、」

 みんなで一緒に、となれば当然。

「レオっ! こっちにこい」

「ん、じゃあ、レーベ、マックス、ユー、行こうか」

「うんっ」「ん」「が、頑張りますっ」

 レオナルドたちが駆け寄ってくる。そのまま肩を組む。ステップを踏む。パーティーの参加者は楽しそうに手を叩く。歌を歌う。奏者は軽やかに音を鳴らす。

 

 賑やかな音に囲まれて、一緒に戦った皆で肩を組んでステップを踏んで足を振り上げて、……少しテンポがあわないのはご愛敬。誰も気にせず笑顔で思うままにステップを踏んで進む。

 そして至るステージの中央。思い思いに回って踊って、音と光の洪水、手拍子と囃す声歌う声を聞きながら、好きなようにくるくる踊りって回る。

 

 光と音の中で、みんな笑顔で、それぞれのステップを刻んでいく。

 

 そして、…………終わり。

 …………そして、始まり。

 

 存分に騒いで、遊んだ夢の一夜は終わり、翌日空港。

 レオナルドはHLに戻る。

 ヴィルヘルムやカルツをはじめ、多くの人が見送りに来た。その場にいる皆が敬礼する。そして、

「レオ君」

「ん」

 一歩、レーベは前に出て彼の手を取る。強く、握る。

「僕、絶対に、会いに行くからね。……その、時間、かかっちゃうかもしれないけど、絶対、絶対だからねっ!」

「うん、楽しみにしてる」

 ぽん、とレオナルドは握られていない方の手で彼女を撫でる。丁寧に、……楽しみにしている、来てくれるって、わかってる。

「レーベは、強いからね。だから、大丈夫だよ」

「う、……うん。あ、…………あの、そ、それで、ね」

 このくらいの我が侭は、いいよね。

「ま、……また、会えたら、僕をね。……ぎゅってして、欲しいな」

「え?」

「だ、…………だめ?」

 HLにいるレオナルドに会いに行く。それはとても大変なことだと思ってる。軍船の魂を宿すレーベは軍の厳しさを知っている。

 だから、

「僕、頑張るから。……だから、それが出来たらね。レオ君に、甘え、たい、な」

 最後の言葉を、顔を真っ赤にしていう。これ以上は無理、これが、精一杯。

「あ、う、……ええと、僕でよければ」

 いいのかな? とは思うけど、と。

「レオ」

 不意に、声。いつの間にか隣に来たマックスは、ちょん、と、彼の頬に、触れるような、キス。

「へ?」

 不意打ちに動きを止めるレオナルド。マックスは微笑み。

「レオ、貴方の事が、好き。

 私も、いつか、絶対に貴方に会いに行くから、……もし、レオが私の思いを受け入れてくれたら、貴方から、キス、してほしいわ」

 唇に触れる。それを見て、自分の身に起こったことを自覚して、レオナルドの顔は真っ赤になる。

 その様子を見てマックスは満足気に微笑む。もちろん、自分もすごく照れる。けど、彼がそんな反応をしてくれた。それなら、恥ずかしい思いをしてやった甲斐があったというもの。

 …………それに、言いたかった。嘘偽りのない本音。それを伝えられた。

「うー、……えいっ」

「って、うわっ!」

 そして、レーベは握っていた手を引く。彼の胸に、ぽすん、と飛び込む。

「僕も、……君の事、好き、だよ。

 だから、また会ったら、たくさん、甘えたいの」

「あ、……え、えーと」

 二人の少女からの告白。初めての事に言葉を止め、何か、口を開こうとして、

 ぱしん、と。

「あ、……び、ビスマルクさん」

「安心しなさいな。

 二人は、私が絶対にHLに連れていくわ。だから、ここで答えなくてもいいわよ。

 けど、次に会ったら二人の気持ちも、少しは考えてあげなさい」

 難しそうだな、と。レオナルドは思う。こんな思いを向けられたのは、初めてだから。

 けど、二人は真っ直ぐに気持ちを告げてくれた。……だから、

「…………うん」

 自分も、それにふさわしい誠意で応じよう、と頷いた。

 レーベとマックスも頷く。それでいい、と。

 いきなりの告白。けど、真剣な思いだから、ちゃんと答えて欲しい。急がなくても、いいから。

 そして、彼の近くにいる二人は押しのけられる。だって、

「ゆーもっ、ゆーも、また会ったら、頭なでなでして欲しい、ですっ」

「ああ、そうだな。では私はぎゅってしてもらおう。

 なに、遠慮は不要だ。君が望むのなら、私が抱きしめてもいい」

「では、私はHLのお話をお願いします。……ふふ、お酒とお菓子を用意して、存分に語り明かしましょう」

「次会った時は、絶対に負けないからねっ! レオ君っ!

 絶対に私が兄さまの一番になるんだからっ!」

 だから、賑やかな仲間たちに微笑し、ビスマルクは宣言する。

「みんなで会いに行くわ。だから、待ってなさい」

 ビスマルクは不敵に笑い。皆が頷く。会いに行く、と。

 決意と覚悟、その意思を見て、レオナルドは頷く。

「そうだね。」

 頷く。…………不意に、彼の、《神々の義眼》と眼があった、だからかもしれない。彼の記憶が見えた。

 

 ――――――こんな、幻視。

 

 自分は、世界にとってほとんど意味のない存在と思っていた。

 あの時、動くことも、口を開くことも出来ず、妹の光を奪った卑怯者、と。…………だから、せめて妹の光を取り戻そうと、それだけはあきらめる事が出来なくて、必死になって足掻いていた。

 無力感と自責に叩き潰されそうになりながら、それでも、必死になって探し求め、見つけた場所。

 そこで手を差し伸べた彼は、その意思を認めてくれた。

 その言葉を受け継いだ。胸に刻んだ。だから、あの時、崩壊したHLで彼と彼女を救う事が出来た。

 

 それは、世界を救う言葉。

「光に向かって一歩でも進もうとしている限り、人間の魂が真に敗北することなど、断じて無い」

 

 ――――――そんな、幻視。

 

「大丈夫、望んだことはなんだってできるよ」

 レオナルドの言葉に、頷く。彼がそう言ってくれたのだ。だから、大丈夫。

「……ええ、そうね。…………ふふ、貴方に言われると、なんだってできそうな気になるわ」

 諦めず、決して敗北することなく進むトータスナイトの言葉。だから、ビスマルクは応じる。

「そうかな?」

「ええ、もちろんよ」

 そして、

「レオナルド」

 差し出される手。二つ。

「ああ」

 手を握る。そして、もう一つ、手が重なる。

 二つ。

「また、会おうね。親友」『また、会おうぜ。オレの敵』

 温和に笑う親友と、兇悪に嗤う悪魔。二つの声が、重なる。

「ああ、また会おうな」

 二人の言葉に頷き、笑顔を交わす。手を離す。歩き出す。そして、最後にかけられる言葉。

 

「皆で救ったこの世界を、これからも、歩いていこうなっ! トータスナイトっ!」

 ああ、もちろんだよ。とレオナルドは頷いた。

 

 そして、彼はHLに帰る。

 空港に到着。飛行機を降りる。

 と、同時に、

「レオーっ!」

「うおわぁっ! な、なんすかっ? ザップさんっ?」

「おお、よく、よく戻ってきてくれたっぁああっ!」

「マジ泣きっ? え? どうしたんっすか?」

 まさか、自分が戻ってきたことを喜んで泣いているわけがないだろう。けど、一応。

「ええと、僕のこと心配してくれた、とか?」

「ああ? なんでお前みたいなふてぶてしいクソガキを一々心配しなくちゃならねぇんだよ。

 じゃなくてっ! お前がいない間、旦那がマジで怖かったんだよおお」

「クラウスさんが?」

「ああ、そうだ。聞いてくれるか? 少年」

 こちらも安堵した表情のスティーブン。おそらく、自分の無事に対してではない。

「クラウス、心配すると怖くなるだろ?」

「え、そうなんっすか?」

「そうなんだよ。……それで、君を送り出した責任でも感じてたのか、プロスフェアーさえしなくなってね」

「……重症っすね」

 想像できない。ちなみに怖くなったクラウスを思い出したのか、ザップががたがた震え始める。

「ああ、それで、……まあ、少年がいない間もいろいろとあってね。

 暴走したジャンキーなんて殴ればいいような相手に、初見十字型殲滅槍を叩き込んだりとか、……周りを固めていた機動警察がどん引きしてたよ」

「うわー」

 クラウスさん、心配性だしなあ、と。レオナルド。……と。

「スティーブン」

 困ったような、咎めるような声。スティーブンは苦笑。「事実じゃないか」

「…………いや、まあ、そうだが」

「あ、クラウスさん。

 ただいま戻りました」

 ぺこり、頭を下げるレオナルドにクラウスは頷く。彼は困ったように口を開く。

「まあ、その、……なんていうか。

 レオナルド君、君の事を信頼していないわけではないのだが、やはり、自衛手段を持たない君を、戦場に近い場所に送り出すというのは、少し、気になって、だね」

 少し、気まずそうに告げるクラウス。「あれで少し気になった、っすか?」「本気で心配したらどうなるんだ?」と、隅で言葉を交わすザップとスティーブンは無視。

 なんか、変わらないなー、と。レオナルドは微笑。

「大丈夫ですよ。

 無事、帰りましたから」

「そうか、……その、それで、だが」

 不意に、クラウスはレオナルドに視線を向ける。

「私の実家経由、になるのだが。多少はドイツにも意思を通せる。

 その、ビスマルクさんたちと仲良くしていたという事は、カルツ中将から聞いている。だから、もし会いたいというのなら、協力は出来る、と思うが?」

 問いに、レオナルドは首を横に振る。

「大丈夫ですよ。

 会いに来てくれる、って言っていましたから」

 簡単なことではない。それはわかってる。……けど、彼女たちなら、大丈夫。

 強い娘たちだから。そんなレオナルドの返事に、クラウスは軽く目を見開いて、……不意に、微笑む。

「わかった。では、HLに戻ろうか」

「さっさと行くぞクソガキ。てめえがいなかったせいで仕事たまってんだよ」

「そうそう、その、会いに来てくれる娘たちの事、教えてくれるかい?

 宿泊場所とか、確保しておいた方がいいからね。…………気が早いかもしれないけど、ほら、準備は早めの方がいいだろう」

「スカーフェイスさん、ノリノリっすね」

「そりゃあ、少年が友達を連れてくるわけだしね。

 せっかくなんだし、ぱーっと騒ごうじゃないか」

「…………そっすね」

 そんな事を言いながら歩き出す三人。レオナルドは後を追う。

 

 ふと、……振り返る。…………ぽつり、口から言葉が零れそうになり、苦笑。首を横に振る。

 そして、もう振り返る事なく、狂騒と混沌の街に向かって歩き出した。

 




 れおくんだって らぶこめしても いいじゃない

 …………失礼しました。
 というわけで、『トータスナイトが基地に着任しましたっ!』完結となりました。
 此処までお付き合いくださった読者の皆さま、ありがとうございました。

 血界戦線の二次創作を書きたくなって、書き始めてしまいました。やっちゃった感はありますが、後悔はない。………………ソニックを出せばよかった。
 血界戦線と艦隊これくしょんのクロスオーバーと銘打っておきながら、ライブラのメンバーはほぼ登場無し、これでいいのか? という感じでしたが、大体私のせいです。すいません。
 ライブラのメンバーが真面目に深海凄艦と戦ったら、手数、応用力などの面でライブラのメンバーが圧倒する戦闘しか想像できませんでした。せっかくの出撃でも、艦娘ほぼ空気が確定です。そんな話は書きたくありません。
 艦隊これくしょんの二次創作なら、艦娘が活躍しなければなりませんからね。
 艦娘も、ドイツ艦娘だけ、……といっても、私ではこれでちょうどよかったです。これ以上出たら各艦娘をちゃんと書けなくなります。第六駆逐隊を出して、金剛四姉妹を出して、……と、沢山の艦娘を出演させている作家さんは凄いです。私では力不足でした。
 そんな形で出演者を少なくして、なんとか納得いく形で艦娘も書いていけました。

 最後に『眼がいいだけの一般人』であるレオナルド・ウォッチ、戦う力を持っていない、格好いいわけでもない、よく周りに振り回される普通の少年。けど、とてもとても強いトータスナイト。
 そんな彼の魅力をほんの少しでも表現出来ていれば何よりです。
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