SONIC:ancient's romance   作:高機動ちくわ

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第10話

テイルスはトリガーを引いた。サイクロンのマシンガンが火を吹き、エッグポーンが次々と吹き飛ばされる。テイルスは続けてゴーレムに照準を合わせる。ゴーレムは弾をはじきつつ、新たに姿を現した敵を目掛け突進した。

 

 

「照準オッケー!キャノン発射!」

 

 

辺り一帯に射撃音が響き、大気が揺れた。ゴーレムの体が破裂し、一瞬で粉々になってしまった。テイルスがレバーを引くと、その機体に不相応な程大きなキャノンが音をたて次の弾を装填した。

 

 

「テイルス、いつの間にこんな物作ってたんだな?」

 

「ゴーレムに備えたつもりだったんだけど…これじゃあ威力がありすぎるね。」

 

 

ソニックの問いに答えつつテイルスは再びキャノンを撃つ。重い炸裂音と共に敵の集団が四方へ飛び散って行く。それでもエッグマンの軍勢は、怯むこと無くこちらに向かってくる。

 

 

「エッグマンの奴、急にやる気出しやがったな。俺達も行くぜ ‼」

 

「待ってソニック!さすがにこの数を全部相手にするのは無茶だよ!」

 

「Humm...成る程?それじゃ先にエッグマンを見つけなきゃいけないってことか。」

 

「敵の集団は僕が引き付けるよ。今のサイクロンなら千人力だよ。」

 

「OK。任せたぜ、テイルス。さくっと見つけてみせるさ。」

 

 

テイルスは周囲にミサイルをばら蒔いた。辺り一面が煙に包まれ、何も見えなくなる。走り出したソニックの姿は、たちまち煙の中へ溶け込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まったく、派手なことをやりおるわ。じゃがの、ワシのこの物量作戦を前に何をしても無駄じゃぞ?」

 

 

エッグマンは立ち昇る煙を眺めながら呟いた。そんな彼の隣を、強烈な風が吹いた。続いてとてつもない激突音、エッグマンはマシンから身をのり出し地上を見下ろした。

 

 

「メタル、さっさとソイツを倒さんと、ソニックが他の奴に取られてしまうぞ?」

 

 

「はあ…はあ…この野郎…」

 

 

ナックルズは反撃の機会を見出だすことが出来ずにいた。音速で突っ込み、一撃加えては離れていくメタルのペースに完全にのまれていた。

 

高圧電流を身に纏い、再びメタルが迫ってきた。ナックルズは拳を握り、地面を踏み締めた。

 

 

「このまま…このまま終わって…たまるか‼」

 

 

エッグマンに騙され、いいように利用され、自らの手でソニックを窮地に陥れてしまった。その癖に親友の窮地を目の前に、たった一体のメカを相手に一方的に殴られて…なんと情けないことか。ナックルズの自身に対する怒りはこれまでに無いほどに燃え上がっていた。

 

 

「うおおおおおっ!!」

 

 

目前までに迫ったメタルに、渾身の一撃を繰り出しす。

 

 

 

荒々しく突き出された拳は、

 

 

 

 

 

豪快な音を上げ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空を切った

 

 

 

「………えっ?」

 

 

刹那、頭上からの重い衝撃がナックルズを襲った。受け身をとることもままならず、地面に突っ伏す。メタルはそんなことにお構い無く、ナックルズを押し潰そうとスラスターの出力を上げ続ける。周囲の地盤が重みに耐え切れず、音を立ててひび割れ始めた。

 

 

「う、ぐ…あ……がぁ………!」

 

「頑丈ナ奴ダナ、サッサト……ウッ!?」

 

 

スラスターの出力が下がり、白い煙が吹き出した。ジェネレーターがオーバーヒートを起こし安全装置が動作したのだ。メタルは咄嗟にその場を飛び退いた。

 

ナックルズが立ち上がった。だが先程の負傷でその場に立っているのがやっとのようだった。

 

 

「ハァーッ…ハァーッ…」

 

「体力ハ大分消耗シテルヨウダナ…冷却ガ完了シタ瞬間ニ『ギャーッ!?きっ貴様どこからー!?』ーッ!?」

 

 

二人は同時に顔を上げた。頭上に浮かぶエッグマンのマシン、その上に佇む影。見覚えのあるツンツンしたシルエットがこちらを見下ろしていた。

 

 

「どこからだって?エッグマンが見えたから思いきり跳んでみたのさ。」

 

「ソニッ…ク…?ソニック!無事だったのか !?」

 

「ヘヘッテイルスがいてくれたからな、助かったぜ。…それよりナッコー、ボロボロじゃないか。助けがいるんじゃないか?」

 

 

離れた場所から砲撃音が聞こえた。そうか、あれはテイルスが戦っているのか…。アイツが一人で戦っているのに、俺がこんな所でくたばる訳にはいかないな。

 

 

「…必要無いさ。俺一人で十分だ…!」

 

 

体の底から力が沸いてきた。もう一度拳を握りなおし、前を向く。体の痛みはどこかへ吹き飛んでしまった。

 

 

「ソニック…!今日トイウ今日コソハ!!」

 

「ーおい。」

 

 

我に帰ったメタルのカメラに、大きな拳が映った。大きな衝撃と共にメタルは地面に叩きつけられた。

 

 

「ッ!?、ーッ!?」

 

 

視界いっぱいに真っ赤なアラートが広がる。そのアラートの向こう側に、こちらを見下ろすナックルズが見えた。ジェネレーターはまだ冷えきっていない。逃げようにも逃げられないだろう。

 

 

「オマエッ、サッキマデ…!?」

 

「散々やってくれたな、メタル。お返しだ、覚悟しろ ‼」

 

 

拳が振り落とされる。頭に電流が走った。二発目、バイザーがヒビ割れた。三発目、四発目…打撃の間隔が早くなっていく。

 

 

「オラッ!オラッ!オラオラオラ‼」

 

「グッ…ウグゥッ…!」

 

 

フレームが歪み、装甲が剥がれだした。このままでは不味い。左の爪をナックルズの喉元に伸ばした。だが伸ばした途端、肘から先が吹き飛んでしまった。

 

 

「……コノッ!」

 

「うおおおおお!!」

 

 

眼前に、トドメの一撃が迫る。赤いアラートと警告音で今にも頭脳が破裂しそうだ。

 

 

 

 

 

真っ赤な視界の隅に、グリーンの一文が映った。

 

 

 

ー冷却完了、ジェネレーター再起動ヲ確認。

 

 

「ッ!!オオオオッ!!」

 

「うわあっ!?」

 

 

拳が触れる正に寸前、ありったけの電流を放った。ナックルズが怯んだすきにその場を脱出した。身体中から細かいパーツがこぼれていく。

 

 

「おいっ待ちやがれ!…グハッ!?」

 

「Uh!いてて…あっおい!?ナックルズ!?」

 

 

エッグマンに振り落とされたのか、空から落ちてきたソニックとぶつかり、ナックルズはその場に倒れてしまった。

 

残った右の爪を光らせ、メタルがそこに襲いかかる。

 

ソニックが構えた瞬間、大きなアームがメタルを捕らえた。

 

 

「そこまでじゃ、メタル。雲行きが悪くなってきたんで撤収するぞい!」

 

「………了解。」

 

 

ソニックが辺りを見回すと、エッグポーンやゴーレム達が撤退していくのが見えた。

 

 

「おいおい、逃げちまうのか、Dr.エッグマン?俺はまだ遊び足りないぜ。」

 

「ふんっ勝手に言っておれ!じゃがな、ワシの計画はもはや最終段階を迎えておる!それまでせいぜい、大人しくしておくことじゃな。ホーッホッホッ!」

 

 

エッグマンは空高くマシンを飛ばした。その先に、いつの間に現れたのか、巨大な空中戦艦″エッグキャリア″が航行していた。エッグキャリアはエッグマンを乗せると、轟音と共に雲の向こうへと消えていった。

 

 

「追いかけるか?…いや、ナックルズの手当てが先だな。」

 

 

ナックルズを担ぎ上げ、テイルスの秘密基地へと駆け出した。

 

夜が明け、空も白みがかり始めた。しかし朝日は雲に遮られ、湿った重い空気が辺りを覆っていた。

 

ぽつり、ぽつりと、雨が降り始めた。

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