SONIC:ancient's romance 作:高機動ちくわ
テイルスは窓から外の様子を伺っていた。彼の秘密基地の周りはエッグマンのゴーレムに取り囲まれている。
しかしそれだけである。ゴーレム達は基地に攻めこんで来るわけでもなく、ただ律儀にその場に整列しているばかりである。ただ一度、ソニックをこの場に呼ぶように要求したきりであった。
「エッグマン…何か罠でも仕組んでいるのかな…」
その時、そよ風がカーテンを揺らした。この風は...とテイルスが窓から身を乗り出そうとした時、そよ風はたちまち突風に変わった。突然の風圧に思わず床に尻もちをつく。
「ソニック…?ソニックだ!」
急な出来事に唖然としている様子のゴーレム達は次々と青い残像に砕かれていく。一瞬、ソニックと目があった気がした…と思うと、その時にはもう彼は窓から部屋に飛び込んでいた。
「テイルス!怪我は無いか!?」
「えっああ、うん!大丈夫だよ!」
テイルスの無事を確認し、引きつったままだった口元が少し緩んだ。そこにやかましいスピーカー音声が流れる。
『遅かったじゃねえかソニック。こっちは首を長くして待ってたんだぜ?』
「…?どっかで聞いた喋り方だな。」
『…まあいいさ、エッグマンから聞いたぜ?遺跡の調査に協力してくれるんだってな。このゴーレムの力、お前で試させてもらうぜ‼』
その声と共に、静かに佇んでいたゴーレム達が一斉に動き出した。初めて戦った時は只暴れるだけだったゴーレムが、今は非常に統率のとれた動きをしている。
「ソニック!こっちに来るよ!」
「Not problem. 俺が全部ぶっ倒してやるさ。」
ゴーレムの隊列の後方、そこにはエッグマンのマシンが浮いていた。
「…おいエッグマン、このスピーカー壊れてんじゃねえのか?俺の声、なんかおかしかったぞ。」
「気のせいじゃ、それよりナックルズ!コクピットの前に立つのをやめんか!前が全然見えん!」
「うるせえ!そんな狭い所に一緒に籠るなんてごめんだぜ‼」
「全クソノ通りデスヨ。我々ノ席モチャント設ケテ欲シイモノデス。」
「オイラモ同感デゴワス!」
「オーボット!キューボット‼お主ら今ここから放り出されたいか!?」
後ろで騒ぎ始めたエッグマン達をひとまずおいて、ナックルズは前を向いた。そして石盤に触れ、ゴーレムに指示を送った。
「さて…手加減は無しだぜ、ソニック。お前も全力でかかって来い!」
ソニックは窓から飛び降りた。それを見たゴーレム数体が、ソニックを目掛け駆け出した。ゴーレムが地面を蹴る度に、重い振動がソニックに伝わった。
「へへん…まずは様子見って所だな。」
こちらに向かってくるゴーレムに向かい、ソニックも地を蹴った。
風が吹いた、次の瞬間、先頭のゴーレムが粉々に砕けた。
残ったゴーレム達は一斉に立ち止まり、敵の姿を探した。
「ー遅すぎだぜ?」
振り向くと、すぐ目の前にソニックがいた。叩き潰そうと腕を振り上げる。
「ドロップズ・ドリル!」
時間にして1秒、いったい何発の攻撃を受けたのか。無数の衝撃を受けたゴーレムは何もできずに砕かれてしまった。
ソニックはそのまま次々とゴーレムを撃破していった。周り一面に瓦礫と砂ぼこりが立ち込めた。
「ヘヘッ楽勝楽勝…うおっ!?」
砂ぼこりの向こう側から次のゴーレムが迫っていた。振り下ろされた拳を躱そうと後ろに飛び退く。背中に固いものが当たった。
「ん…?うわぁ!?」
それがゴーレムだと気づいた時には、彼はその腕に捕らえられていた。何とか逃れようともがいたが、ゴーレムは微動だにしない。
「このっ…放せっ…!」
『残念だったな、ソニック。次からは後ろにも気をつけろよ。』
勝負あり、ナックルズはゴーレムに撤収の指示を出そうとした。序盤に数体が破壊された時はヒヤリとしたが、思ったよりあっさり勝負がついた。貴重な古代の出土品を多く失わずに済んだ。そんなことを思ったとき、エッグマンのやかましい声が鼓膜に突き刺さった。
「何をしておるナックルズ!そこで撤収したらソニックが逃げてしまうぞ?」
「お前こそ何いってんだ?ゴーレムの性能はこれで十分証明できただろ。」
「ソニックを捕まえる絶好のチャンスじゃ!ゴーレムの性能なんぞどうでもよい!」
「…ちょっと待て、俺はゴーレムのテストをすると聞いて一緒にここまで来たんだぞ?それにソニックとは話がついてるって、お前いってたじゃねえか!話が違うぞ!」
「ホッホッホッ……ホーホッホッホッ!ようやく気付いたようじゃな、ナックルズ。そうとも、お主はまたワシに騙されておったのじゃよ!」
「…っ!こっのおぉぉぉ‼」
エッグマンはナックルズを嘲笑った。ナックルズは怒りに身を任せエッグマンに掴みかかろうとした。伸ばした腕を、冷たい金属の手に掴まれた。
「メタル…?てめえ、基地にいたんじゃ!?」
「降リロ、オ前ハ用済ミダ。」
そのままエッグマンのマシンから強引に引き下ろされ、地面に叩きつけられた。メタルはゴーレムを操っていた石盤をナックルズから奪いとり、エッグマンに放り投げた。
「ホッホッ、よくやったぞメタル。これでゴーレム共はワシのもんじゃ。」
「この野郎!古代人の残した遺物を悪用するつもりか!」
「つもりも何も、ワシは最初からそのつもりじゃよ。使えるものは全部利用させてもらうわい。メタル!そいつを黙らせろ!我が兵士よ、今の内にソニックを捕まえるのじゃ!」
メタルは一瞬で間合いを詰めてきた。とっさに構えたグローブをその鋭い爪で引き裂かれる。視界の端に拘束具を構えたエッグポーン達が見えたが、今は目の前の強敵をどうにかしなければならない。このままではソニックが…最悪のケースが彼の頭をよぎった。
ー全部…俺のせいだ…。
「う…ん…もう少しで…!」
ソニックはゴーレムの腕から逃れようとずっともがいていた。ゴーレムの腕は物を壊すには適していたが、物を掴んだり、運んだりすることには向いてなかった。実際、もがき続けた結果、ソニックの体は少しずつゴーレムの腕からずり落ちていた。
…だが最後に頭が引っ掛かり、拘束から抜け出せないのであった。
カチャリ、足にひやりとした物が触れる。
「あっ!Stop, Stop ! やめろって!」
エッグポーンが足枷を取り付けようとしていた。蹴り飛ばして追い払おうとするが、複数のポーンに押さえつけられてしまった。
「観念シロ、観念シロ、」
「このっ!放せったら…ん?」
ソニックの目に、こちらにとんでくる大きな弾丸が映った。弾丸は、ソニックも巻き込み周囲の敵達をぶっ飛ばした。ソニックは受け身をとり、なんとか怪我を防いだ。
「いててて…サンキュー。助かったぜ、テイルス!」
「ごめんね、ソニック。すっかり遅くなっちゃった。サイクロン重装カスタム、出撃するよ!」
硝煙の香りを漂わせ、歩行戦闘メカ"サイクロン"はエンジンを唸らせた。