SONIC:ancient's romance   作:高機動ちくわ

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第9話

テイルスは窓から外の様子を伺っていた。彼の秘密基地の周りはエッグマンのゴーレムに取り囲まれている。

 

しかしそれだけである。ゴーレム達は基地に攻めこんで来るわけでもなく、ただ律儀にその場に整列しているばかりである。ただ一度、ソニックをこの場に呼ぶように要求したきりであった。

 

 

「エッグマン…何か罠でも仕組んでいるのかな…」

 

 

その時、そよ風がカーテンを揺らした。この風は...とテイルスが窓から身を乗り出そうとした時、そよ風はたちまち突風に変わった。突然の風圧に思わず床に尻もちをつく。

 

 

「ソニック…?ソニックだ!」

 

 

急な出来事に唖然としている様子のゴーレム達は次々と青い残像に砕かれていく。一瞬、ソニックと目があった気がした…と思うと、その時にはもう彼は窓から部屋に飛び込んでいた。

 

 

「テイルス!怪我は無いか!?」

 

「えっああ、うん!大丈夫だよ!」

 

 

テイルスの無事を確認し、引きつったままだった口元が少し緩んだ。そこにやかましいスピーカー音声が流れる。

 

 

『遅かったじゃねえかソニック。こっちは首を長くして待ってたんだぜ?』

 

「…?どっかで聞いた喋り方だな。」

 

『…まあいいさ、エッグマンから聞いたぜ?遺跡の調査に協力してくれるんだってな。このゴーレムの力、お前で試させてもらうぜ‼』

 

 

その声と共に、静かに佇んでいたゴーレム達が一斉に動き出した。初めて戦った時は只暴れるだけだったゴーレムが、今は非常に統率のとれた動きをしている。

 

 

「ソニック!こっちに来るよ!」

 

「Not problem. 俺が全部ぶっ倒してやるさ。」

 

 

ゴーレムの隊列の後方、そこにはエッグマンのマシンが浮いていた。

 

 

「…おいエッグマン、このスピーカー壊れてんじゃねえのか?俺の声、なんかおかしかったぞ。」

 

「気のせいじゃ、それよりナックルズ!コクピットの前に立つのをやめんか!前が全然見えん!」

 

「うるせえ!そんな狭い所に一緒に籠るなんてごめんだぜ‼」

 

「全クソノ通りデスヨ。我々ノ席モチャント設ケテ欲シイモノデス。」

 

「オイラモ同感デゴワス!」

 

「オーボット!キューボット‼お主ら今ここから放り出されたいか!?」

 

 

後ろで騒ぎ始めたエッグマン達をひとまずおいて、ナックルズは前を向いた。そして石盤に触れ、ゴーレムに指示を送った。

 

 

「さて…手加減は無しだぜ、ソニック。お前も全力でかかって来い!」

 

 

 

 

 

ソニックは窓から飛び降りた。それを見たゴーレム数体が、ソニックを目掛け駆け出した。ゴーレムが地面を蹴る度に、重い振動がソニックに伝わった。

 

 

「へへん…まずは様子見って所だな。」

 

 

こちらに向かってくるゴーレムに向かい、ソニックも地を蹴った。

 

風が吹いた、次の瞬間、先頭のゴーレムが粉々に砕けた。

残ったゴーレム達は一斉に立ち止まり、敵の姿を探した。

 

 

「ー遅すぎだぜ?」

 

 

振り向くと、すぐ目の前にソニックがいた。叩き潰そうと腕を振り上げる。

 

 

「ドロップズ・ドリル!」

 

 

時間にして1秒、いったい何発の攻撃を受けたのか。無数の衝撃を受けたゴーレムは何もできずに砕かれてしまった。

 

ソニックはそのまま次々とゴーレムを撃破していった。周り一面に瓦礫と砂ぼこりが立ち込めた。

 

 

「ヘヘッ楽勝楽勝…うおっ!?」

 

 

砂ぼこりの向こう側から次のゴーレムが迫っていた。振り下ろされた拳を躱そうと後ろに飛び退く。背中に固いものが当たった。

 

 

「ん…?うわぁ!?」

 

 

それがゴーレムだと気づいた時には、彼はその腕に捕らえられていた。何とか逃れようともがいたが、ゴーレムは微動だにしない。

 

 

「このっ…放せっ…!」

 

『残念だったな、ソニック。次からは後ろにも気をつけろよ。』

 

 

 

勝負あり、ナックルズはゴーレムに撤収の指示を出そうとした。序盤に数体が破壊された時はヒヤリとしたが、思ったよりあっさり勝負がついた。貴重な古代の出土品を多く失わずに済んだ。そんなことを思ったとき、エッグマンのやかましい声が鼓膜に突き刺さった。

 

 

「何をしておるナックルズ!そこで撤収したらソニックが逃げてしまうぞ?」

 

「お前こそ何いってんだ?ゴーレムの性能はこれで十分証明できただろ。」

 

「ソニックを捕まえる絶好のチャンスじゃ!ゴーレムの性能なんぞどうでもよい!」

 

「…ちょっと待て、俺はゴーレムのテストをすると聞いて一緒にここまで来たんだぞ?それにソニックとは話がついてるって、お前いってたじゃねえか!話が違うぞ!」

 

「ホッホッホッ……ホーホッホッホッ!ようやく気付いたようじゃな、ナックルズ。そうとも、お主はまたワシに騙されておったのじゃよ!」

 

「…っ!こっのおぉぉぉ‼」

 

エッグマンはナックルズを嘲笑った。ナックルズは怒りに身を任せエッグマンに掴みかかろうとした。伸ばした腕を、冷たい金属の手に掴まれた。

 

 

「メタル…?てめえ、基地にいたんじゃ!?」

 

「降リロ、オ前ハ用済ミダ。」

 

 

そのままエッグマンのマシンから強引に引き下ろされ、地面に叩きつけられた。メタルはゴーレムを操っていた石盤をナックルズから奪いとり、エッグマンに放り投げた。

 

 

「ホッホッ、よくやったぞメタル。これでゴーレム共はワシのもんじゃ。」

 

「この野郎!古代人の残した遺物を悪用するつもりか!」

 

「つもりも何も、ワシは最初からそのつもりじゃよ。使えるものは全部利用させてもらうわい。メタル!そいつを黙らせろ!我が兵士よ、今の内にソニックを捕まえるのじゃ!」

 

 

メタルは一瞬で間合いを詰めてきた。とっさに構えたグローブをその鋭い爪で引き裂かれる。視界の端に拘束具を構えたエッグポーン達が見えたが、今は目の前の強敵をどうにかしなければならない。このままではソニックが…最悪のケースが彼の頭をよぎった。

 

 

ー全部…俺のせいだ…。

 

 

 

 

 

「う…ん…もう少しで…!」

 

 

ソニックはゴーレムの腕から逃れようとずっともがいていた。ゴーレムの腕は物を壊すには適していたが、物を掴んだり、運んだりすることには向いてなかった。実際、もがき続けた結果、ソニックの体は少しずつゴーレムの腕からずり落ちていた。

…だが最後に頭が引っ掛かり、拘束から抜け出せないのであった。

 

カチャリ、足にひやりとした物が触れる。

 

 

「あっ!Stop, Stop ! やめろって!」

 

 

エッグポーンが足枷を取り付けようとしていた。蹴り飛ばして追い払おうとするが、複数のポーンに押さえつけられてしまった。

 

 

「観念シロ、観念シロ、」

 

「このっ!放せったら…ん?」

 

 

ソニックの目に、こちらにとんでくる大きな弾丸が映った。弾丸は、ソニックも巻き込み周囲の敵達をぶっ飛ばした。ソニックは受け身をとり、なんとか怪我を防いだ。

 

 

「いててて…サンキュー。助かったぜ、テイルス!」

 

「ごめんね、ソニック。すっかり遅くなっちゃった。サイクロン重装カスタム、出撃するよ!」

 

 

硝煙の香りを漂わせ、歩行戦闘メカ"サイクロン"はエンジンを唸らせた。

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