恋と進路と召喚獣   作:秀継

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第十二話

 

 

 

「秀吉!」

 

「どうしたのじゃ、明久よ」

 

 翌日の放課後、僕は秀吉に話しかけた。

 

「ちょっと秀吉と話したいことがあって……僕の家に来てくれないかな?ここじゃ都合が悪くて……」

 

「そうじゃな……今日は演劇部の練習も無いから、構わんぞ」

 

「やった!じゃあ行こうか!」

 

 秀吉は快く了承してくれた。よし、とりあえず第一段階クリアだ。

 僕の家に着くと、秀吉が切り出してきた。

 

「して、どうしたんじゃ。学校で話せないというからには、大事な話なんじゃろう。それに、ワシだけに声をかけたというのも妙じゃのう。いつもなら雄二やムッツリーニも一緒だと思うのじゃが……」

 

「色々事情があってね……まあ、とりあえず座ってよ」

 

 秀吉が座ったのを確認して、僕は話を始めた。

 

「まず……秀吉。秀吉は、学生恋愛の全面禁止っていう校則について、どう思う?」

 

「んむ?そうじゃな……別にワシは好いておる相手などおらぬから、このままでもいいのじゃが……」

 

 そこで一旦秀吉は言葉を切ったが、僕の顔を見てこう言った。

 

「明久がその校則を変えたいというのなら、ワシは喜んで協力するぞい」

 

「ほ、本当!?本当に!?」

 

「もちろんじゃ。友が困っておるのじゃからな」

 

「よかったぁ〜……安心したよ……」

 

 本当によかった。ここで秀吉に断られたら、僕らの計画が全ておじゃんになってしまうところだった。

 

「して、ワシは何をすればいいんじゃ?」

 

「ちょっと待ってね。僕じゃ上手く説明できないと思うから」

 

「どういうことじゃ?」

 

 僕は携帯を取り出して、近くのコンビニで待機していた根本君を呼び出す。すぐに根本君はやってきて、僕らの前に現れた。

 

「ね、根本!?明久、お主、根本といつの間に仲良くなっておったのじゃ!?」

 

「なんだ、まだ木下に俺のことを話してはいないのか」

 

「うん、実際に根本君と会った方が早いと思ってね」

 

 それから、僕と根本君の二人で、今まで話し合ってきたことを秀吉に話した。全てを聞き終わった秀吉は、大きく息をついた。

 

「そうか……そんなことを考えておったのか……」

 

「雄二たちにこれを知られる訳にはいかなくて……学校では話せなかったんだ」

 

「……なるほどのう。お主らの考えはよく分かった。ワシも微力ながら手伝うことにしよう!」

 

 秀吉は力強く頷き、微笑んだ。

 

「ありがとう、秀吉!」

 

「じゃあ早速だが、木下、校則撤廃を求める文書を書いてくれないか」

 

「あれ?根本君が書いて秀吉がサインするのじゃダメなの?」

 

「それだと俺がこれに関わっていることがバレるだろう」

 

 そっか。それじゃあ根本君は書けない。

 

「試召戦争の時、この文書を作成した者がこちらのチームの大将となる。吉井は大将でいるより遊撃の方が多くの仕事ができるだろう。そして今言った通り、俺はこの文書を作成できない。となると、木下、お前に書いてもらうしかないんだ」

 

「なるほどのう。分かった、やっておこう」

 

 秀吉が了承してくれたところで、根本君が秀吉に尋ねた。

 

「木下。さっき話したことなんだが……どうすれば須川に彼女ができると思う?」

 

 秀吉は顎に手を当てて、考え始めた。

 

「そうじゃな……たしかにこれは難問じゃのう……。うーむ……」

 

「なんでもいい。思いついたら言ってくれ」

 

「……つまり、須川が誰かと付き合っているという事実が明るみになればいい訳じゃな?」

 

「そうだ。出来ればその決定的瞬間をカメラに収めて証拠にしたい。その写真を新聞部の奴らに頼んで校内新聞に掲載してもらうつもりだ」

 

「ふむ……」

 

「須川に彼女を作る、これの一番の障害は、須川のことを好きな女子なんていないってことだ。これを何とかしないといけない」

 

 うーん。どう考えても無理だと思う。須川君は校内新聞で何度も取り上げられるほど、失恋が多い。さらに幸せなカップルたちを粛清して回る鬼畜集団の長だ。そんな彼を好きになるような物好きな女子なんて、まずいないだろう。

 

「須川に見せ場を作るのはどうじゃ?例えばワシらがチンピラ役として女子に絡んで、そこに須川が助けに入る小芝居とか」

 

「須川は普段チンピラの方だろ……あいつがヒーロー役をやるのは違和感しかない。すぐにバレるだろう。もしバレなかったとしても、だ。彼氏をステータスで選ぶ女子も多いと聞く……。異端審問会会長、モテないと校内で有名、Fクラス、こんなにマイナスのステータスが多い奴と付き合う気にはならんだろう」

 

 Fクラスってだけでマイナスのステータスか……。改めて聞くと心にくるものがある。

 

「うーむ……」

 

 秀吉はしばらく考え込んでいたが、突然思い出したように呟いた。

 

「女装……」

 

「え?秀吉?なんか言った?」

 

「そうじゃ!女装すればいいのじゃ!」

 

「ひ、秀吉!?」

 

「そうか!その手があったか!」

 

「えぇーっ!?根本君までどうしちゃったの!?」

 

 女装!?とんでもない提案に僕は面食らってしまった。二人ともふざけているのだろうか。

 

「いいか吉井。説明してやるからよく聞け」

 

 どうやら本当に真剣なようだ。とりあえず二人の話を聞いてみることにする。

 

「この作戦の最大の難関は、須川のことを好きな女子がいないという点だ。だが、俺たちが女装するならこれは簡単にクリアできる」

 

「そうか!僕らが須川君の彼女のフリをすれば、そもそも須川君のことを好きな女子がいるかどうかなんて関係なくなるってことか!」

 

「その通りじゃ!」

 

 なるほど!目からウロコが落ちた思いだ。けど、僕たちはまだ話し合うべきことがある。

 

「ねえ……誰が女装するの?」

 

 そう聞いた途端。

 

「ワシは嫌じゃぞ」

 

「いやいや!秀吉が適任だって!演技もできるし、可愛いし!」

 

「嫌なのじゃ!ワシは須川を誘惑なぞしたくはない!明久、お主の出番じゃ!」

 

「僕だってそんな気持ち悪いことしたくないよ!」

 

 壮絶な押し付け合いが始まる。僕だってもう女装なんてこりごりだ!すると、

 

「お、俺がやっても……いいぞ?」

 

 なんと根本君がおずおずと挙手した。けど……

 

「根本君は……ダメだよ……見た目がキモいもん……っていうか、根本君そんなキャラだっけ……?」

 

「明久よ……根本の女装趣味は、Bクラスとの試召戦争の後、根本に無理やり女子の制服を着せて写真を撮ったりしたから目覚めたのではないのかのう……?」

 

「え!?根本君に女装趣味なんてあったの!?」

 

「校内では結構有名じゃぞ……?」

 

「知らなかった……。そうか、僕は知らないうちにとてつもないモンスターを生み出していたのか……」

 

「…………」

 

「あ……ね、根本君、別に、いいと、思うよ?趣味は人それぞれだから……」

 

「そ、そうじゃ!いくら自分の女装がキモいからといって落ち込むことはないぞい!」

 

「フォローになっていないぞ……」

 

 根本君は涙目だった。こんな根本君を見るのは初めてだ。

 

「と、とりあえず申し訳ないけど根本君の女装はやめよう」

 

「そうじゃな……根本、よいか……?」

 

「ああ……分かった……」

 

 引き下がってくれて助かった。これ以上粘られたら、もう優しい言葉で根本君を励ますことはできなかっただろう。

 

「じゃあ秀吉……じゃんけんでも、する?」

 

「うむ……」

 

 ところで、皆は言い出しっぺの法則という言葉を聞いたことがあるだろうか。じゃんけんしようと提案した奴が負けるという法則だ。今回もその例に漏れず。

 

「「じゃんけんぽん!」」

 

 僕が女装をすることになった。

 

 

 




書き溜めてあった分が尽きたので、ここから本当にノロノロペースになります。三日で一話分投稿できるように頑張ります。
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