恋と進路と召喚獣   作:秀継

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第十三話

 

 

 

「女装……もう嫌だよ……バレたら僕もうお婿にいけない……」

 

 僕が泣き崩れると、秀吉は、

 

「大丈夫じゃ。絶対にバレないようワシがメイクしてやろう」

 

 そういえば前に秀吉が僕の女装に協力してくれたことがあったな。その時の女装は、僕に好意を持ってくれている姫路さんと美波以外にはバレることがなかった。僕の女装に関して恐ろしい程鼻の効く、あの玉野さんですら気付かなかったんだ。須川君相手なら心配はなさそうだ。

 

「それで、女装するのはもう受け入れるけど……具体的にどうやって須川君を誘惑するのさ?」

 

 僕が質問すると、根本君は、

 

「そうだな……文月学園内の生徒として近づくのはダメだろうな。前に言った通り、須川は校内でモテるはずがないからな」

 

「うむ。あの須川を好きになるような、そんな気の違った女子はおらんじゃろう」

 

 秀吉にこんな酷いことを言われたなんて須川君が知ったら、彼はきっと屋上から飛び降りる(ダイブ・トゥ・ブルー)だろう。

 

「設定は、他校の女子生徒。街で偶然出会った須川を逆ナンっていうのはどうだ?」

 

 根本君が提案する。でも、あの須川君を逆ナンか……。

 

「逆ナンは無理があるんじゃないかな?絶対怪しまれると思う」

 

「いや、そこまで無理でもないと思うぞい。須川は別に顔立ちが良い訳ではないが、悪い訳でもない。奴の汚名を知らん他校の女子からすれば、そんなにモテないようには見えんじゃろう」

 

「ならいいんだけど……」

 

 その逆ナンを実行する僕からしたらやっぱり不安だ。というか逆ナンって言うけれど、僕は秀吉と違ってれっきとした男だ。男が男を誘う。よく考えると……いや、よく考えなくてもとても不快な絵面だ。

 

「今は4月の頭。生徒総会は5月の終わりだ。時間は十分にある。焦らずに攻略しよう」

 

 ゲームが好きで、結構ギャルゲーもやってきたと思う僕でも、こんなに攻略したくないと思うヒロイン(仮)は初めてだ。

 

「それはそうと、一年生以外の仲間集めはどうするのじゃ?元カップルを狙うと言っておったが、どうやってそれを割り出すのじゃ?」

 

 秀吉が根本君に尋ねる。たしかにそれは僕も疑問に思っていた。

 

「異端審問会の、異端者リストを使う」

 

 異端者リストって……須川君とか異端審問会の幹部が持っている、カップルとかの異端者の名前が載ってるリストか!

 

「たしかにそれがあれば、誰が誰と付き合っていたか分かるのう」

 

「でも、どうやってそれを手に入れるのさ?僕は元異端審問会だったけど、そのリストは貰ってないよ?」

 

 根本君は、にいっと笑みを浮かべた。

 

「入手経路は確保済みだ。心配いらない。既に異端審問会の中に協力者を作っておいた」

 

「協力者じゃと?異端審問会の中に学生恋愛の禁止を快く思っておらん者がおるのか?」

 

 異端審問会は他人の幸せを許さない。恋愛禁止の校則は彼らにとって都合の良いもののはずだ。秀吉の言う通り、協力者がいるとは思えない。

 

「……俺はあの校則が追加されてから、ずっとそれを何とかする策を考え続けてきた。その中で、異端審問会の中から情報を流してくれる協力者は絶対に必要だという結論にたどり着いた」

 

 根本君は真剣な表情で話し始める。

 

「だから二年の後期からとある奴に接触し、コネを作っておいた。奴には、『他人の幸せを奪うだけではお前自身は幸せになれない。お前は女子と付き合いたくはないのか』という話を何度もした。最初は煙たがられたが、根気よく話し続けた結果、なんとか説得に成功した」

 

 すごいな……!異端審問会の幹部を説得するなんて……。雄二の影に隠れていただけで、根本君も相当頭が良かったんだなあ。

 

「いや〜、大変だった。頭の悪い奴を説得するのがこんなに難しかったとは。バカを論破するのは難しいというが、本当だったな」

 

 根本君があからさまに僕へと視線を向ける。

 

「ねえ、根本君。ちょっと前から不思議には思ってたんだけど、僕にこんなに懇切丁寧に色々説明してくれたのって……」

 

「お前は学校一のバカだからな。一から分かりやすく説明しないと分からんだろう?」

 

「正論だから反論のしようがないよ……」

 

 悔しいっ!でもたしかにここまで説明してくれないと僕の頭では理解できない。……悔しいっ!

 

「それで、そのとある奴とは誰なのじゃ?」

 

「福村だ」

 

 ちょっと意外だった。福村君は元2ーFの中でもかなり過激派の方に位置していたように思っていた。

 

「福村君か……」

 

「なるほど、たしかに異端審問会の中では幹部クラスじゃな。奴なら異端者リストも持っておるじゃろう」

 

「じゃあ早速明日クラスで……って、あれ?」

 

「どうしたのじゃ明久よ」

 

「そういえば……福村君って自己紹介してた?」

 

「うむ?言われてみれば……福村はおらんかったの。休みじゃったかのう?」

 

 そうだ。自己紹介の時に福村君の名前を聞いた覚えはない。

 僕らが首を傾げていると、根本君がため息をついた。

 

「何だお前たち、知らなかったのか?今年は福村はFクラスじゃないぞ」

 

「「ええっ!?」」

 

 そんなバカな!福村君は僕と同等、もしくはそれ以下の成績だったはず……!

 

「俺が福村を説得したことで奴は吹っ切れたようでな。自分がモテるためにはFクラスなんかには居られないと判断したらしく、勉強を必死にやっていた」

 

 モテるために勉強。成績は上がっても根性はFクラスだ。福村君の人格はそこまで変わってないようで、安心した。

 

「ということは、福村はEクラスかのう?」

 

 秀吉の質問に対して、根本君は口の端を吊り上げた。

 

「ああ、たしかにEクラスだが……」

 

「Eクラスだが……?」

 

「福村は、今年はEクラスのクラス代表だ」

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