恋と進路と召喚獣   作:秀継

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更新できず本当に申し訳ありませんでした!またノロノロ投稿を始めたいと思います。そして、物語は少しシリアスになっていきます。


第十五話

「平賀君と三上さんは付き合ってたのか!」

 

 そういえば肝試しの時に、平賀君と三上さんがペアになっていい雰囲気になっていたのを思い出した。そうか、それだったら異端審問会に目をつけられてもおかしくない。

 

「明久よ。処刑執行済みと書かれておるが、異端審問会の処刑とはどのようなものなのじゃ?」

 

 秀吉が首を傾げて僕に聞いてきた。

 

「ああ、人によってまちまちだよ。磔とか、火炙りとか、紐なしバンジージャンプとか」

 

「それらの刑を本当に行うと人は死んでしまうのじゃが……」

 

「大丈夫!女子にはしないし、男子だって泣いてひたすら土下座して靴を舐めて許しを乞えば、死ぬような刑にはならないから!」

 

「それをしなかったら死ぬのか……」

 

「恐ろしいのう……」

 

 根本君と秀吉がドン引きしている。でもこの文月学園の中では割と日常茶飯事だと思う。

 

「まあ基本的には、机の中の教科書の配置を変えておくとか、その人が読んでる本のネタバレを大声で話すとか、そんなもんかな」

 

「地味だが実際やられるとかなり効く嫌がらせだな」

 

「器が小さいのう……」

 

 だって羨ましいんだもの。他人の幸せは毒の味。他人の不幸は蜜の味。これが異端審問会のポリシーだ。

 

「まあとりあえず、だ。これで元カップルの情報も手に入った。明日からはこいつらを中心に声をかけていくことにしよう。俺は動けないから、お前らで声をかけてみてくれ」

 

「分かった!」

 

「了解なのじゃ」

 

 明日からの段取りを確認して、この日は解散となった。元カップル達が力を貸してくれるとなると、とても心強い。無理やり校則で別れさせられてしまったのだから、この校則を快く思っているはずがない。きっと協力してくれる!

 

 

 ★★★

 

 

「またダメか……」

 

「まずいのう……」

 

 あれから一週間。僕らは異端者リストに載っていたカップル達に片っ端から声をかけたけれど、良い返事をもらうことは出来ずにいた。

 

「何で協力してもらえないんだろう……。悪い話じゃないと思うのに」

 

 僕がため息をつくと、秀吉が答えてくれた。

 

「きっと異端審問会に目をつけられるのが怖いのじゃろうな。ワシらに協力したとなれば、試召戦争で勝っても負けても処刑はされてしまうじゃろう」

 

 そっか……。校則を撤廃できてもまた以前のように異端審問会は裏で暗躍するだろう。

 

「やっぱり異端審問会を解散させるしかないじゃろうな。そのためには……」

 

「女装か……」

 

 責任重大だ。とても大切なこのミッションは明後日の日曜日にすることになっている。

 

「明久、そのことはまた考えることにして、今は最後のカップルに声をかけるのじゃ」

 

「そうだね。最後は……平賀君たちか」

 

 今は放課後。もう帰ってしまっているかもしれない。でも幸運なことに、平賀君と三上さんの二人は教室に残って勉強をしていた。凄い。Fクラスで誰かが残って勉強する光景を見ることになるとは思わなかった。

 

「あの……ちょっといいかな?」

 

 僕が声をかけると、二人は怪訝な顔をして、こっちを見た。

 

「吉井か。なんだい?」

 

「……何か用?」

 

「えっと……かくかくしかじかで……僕らに手を貸してもらえないかな?」

 

 今までの経緯を説明して、協力を求める。でも、やっぱり彼らの顔は、今までのカップル達と同様に険しいままだった。

 

「……すまない。僕たちは協力できない」

 

「悪いけど他をあたってちょうだい」

 

「なぜ協力してもらえんのじゃ?悪い話ではなかろう?」

 

 秀吉が尋ねる。平賀君は周りを警戒しつつ、答えた。

 

「やっぱり異端審問会が怖い。物凄い嫌がらせもされるし」

 

 ……ん?物凄い嫌がらせ、という言葉が少し引っかかる。

 

「……物凄い?というと例えば?」

 

 僕がそう訊いた途端、三上さんが突然立ち上がって叫んだ。

 

「しらばっくれてるんじゃないわよ!!あんただって元異端審問会なんだから、どういうことするかくらい知ってるでしょ!?」

 

 今まで静かだった三上さんのいきなりの罵声に、僕たちはすくみ上がってしまった。

 

「ど、どういうことって……」

 

「もういい!あたし帰る!」

 

「よ、美子!」

 

 平賀君の呼びかけを無視して、三上さんは鞄を乱暴に掴むと、教室から飛び出していってしまった。

 

「…………」

 

 教室には、呆然とする僕と秀吉、疲れ切った顔をした平賀君だけが残された。

 

「……追いかけなきゃ」

 

「ちょ、ちょっと待って!!」

 

 三上さんを追っていこうとする平賀君を呼び止める。

 

「今の三上さんの反応は明らかに変だ!異端審問会はたしかに人の嫌がる事をするけれど、超えちゃいけないラインは守ってる!」

 

 僕が必死で呼びかけると、平賀君はゆらりと顔をこちらへ向けた。

 

「……本当に君達は知らないのか?」

 

「……え?」

 

 意味深な質問に、固まってしまう。

 

「美子がどんな嫌がらせをされたか、君達は本当に知らないんだな?」

 

「う、うん。何も知らないよ」

 

 僕が答えると、平賀君は大きく肩で息をした。そして鞄を置いてちゃぶ台の前に座ると、僕らにも座るよう促した。

 

「分かった。話そう。俺たちがどんな嫌がらせを異端審問会からされたか」

 

 

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