恋と進路と召喚獣   作:秀継

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第四話

 

 

 バカな!!雄二が、治安維持生徒会の、しかも会長だって!?

 

「恋愛は勉学の妨げとなる。俺は、お前たちの進路、将来のためにこの身を尽くして、この学校からカップルを粛清する決意をした」

 

 いやいや、その雄二自身が霧島さんとカップルじゃないか!粛清されるべきなのは雄二だ!

 

「様々な手段を用いて文月学園の治安を守るつもりだ。覚えておけ。じゃ、次」

 

 ただの脅しにしか聞こえないんだけど……。くそう!雄二め!と嘆いていると、マイクが雄二の隣の人に渡った。

 

「同じく3ーA、久保利光です。副会長を務めさせていただきます。全力を尽くしますので、どうか応援よろしくお願いします」

 

 久保くぅん!?久保君、君はいつでも僕の味方をしてくれるって言ってたじゃないか!何でそんなことしてるのさ!?

 残りの3人も、全員僕の知り合いだった。

 

「…………3ーF、土屋康太。会計を務める」

 

「3ーD、清水美春です!庶務としてこの学校から全ての豚どもを抹殺します!」

 

「3ーF、須川亮だ。書記をすることになった」

 

 何てこった……!久保君以外の人は、皆この学園の中でもS級の超危険人物ばかりじゃないか!それなのに、生徒会だなんて……!学園長は頭がおかしくなってしまったのだろうか?

 

「このメンバーで治安維持生徒会を運営してもらうよ。アタシの話は以上さね」

 

 学園長はそう言うと、雄二たちと一緒に舞台袖へと引っ込んでいった。

 

「緊急集会を終わります。生徒の皆さんは教室でHR(ホームルーム)の後、放課になります」

 

 アナウンスが入り、僕らは教室に戻る。鉄人のHR(ホームルーム)が終わった後、放課後の教室は騒然としていた。

 

「おい須川、ムッツリーニ!さっきのはどういうことなんだ!?」

 

「詳しく説明してくれ!」

 

 クラスの皆が須川君とムッツリーニに詰め寄っている。須川君はフッと笑い、手で皆を制した。

 

「俺は、異端審問会の会長だ。その名誉ある地位が評価され、今回生徒会のメンバーとなることとなった」

 

 汚名の間違いではないだろうか。

 

「ムッツリーニは異端審問会の中でも特に情報収集、暗殺などでの功績がずば抜けていた上、ムッツリ商会の資金運営の能力も買われ、会計になった」

 

 ……改めて聞くとムッツリーニって物凄いハイスペックなんだなあと思う。世間一般のいうハイスペックとはまた違う方向だけれど。

 

「そして、異端審問会の皆、よく聞いてくれ、嬉しい知らせだ」

 

 まだ何かあるのだろうか。きっと僕にとっては悪い知らせに違いない。

 

「これまで異端審問会は文月学園の影の組織として、表舞台に顔を出すことはなかった。だがしかし!Aクラス坂本により、我ら異端審問会は風紀委員と同様の権利を得られることとなった!」

 

「つ、つまり……どういうことだ?」

 

「つまり……合法的に異端者に刑を執行できるようになったというわけだ!!」

 

「「「な、なんだってぇぇええーーっっ!」」」

 

 これは……まずい!!僕はとっさに廊下へと逃げ出した。このままではテンションの上がった連中によってミンチにされてしまう!

 

「追え!吉井を逃すなあ!」

 

「「サー、イエッサー!」」

 

 須川君の指示のもと、すぐに皆が追ってきた。こういう時だけ無駄に団結するのはやめてほしい!でも、僕は足の速さには自身がある。先手さえ取られなければ僕の勝ちだ!

 と、思っていたが、廊下の向こう側から走ってくる異端審問会の連中の姿が見えた。ちいっ!他クラスの連中に連絡をとったか!本当にこういう時だけ頭が回るんだから!

 万事休すか。そう思われた時だった。突然横から腕を引っ張られて、僕は男子トイレへと連れ込まれた。

 

「だ、誰!?」

 

「静かにしろ!」

 

 そいつはトイレから外へ続く窓を開くと、僕と一緒に個室の中へ入り、カギをかけた。

 

 その直後、勢いよく男子トイレのドアが開く音がした。

 

「どこへ行った!?」

 

「窓が開いてるぞ!」

 

「外へ逃げたか……追え!」

 

 僕らが外へ逃げたと勘違いした、連中の足音が遠ざかるのを確認して、僕は大きく息をついた。

 

「助かったよ、ありがとう……って君は!?」

 

 僕を助けてくれたその人は、なんと根本君だった。

 

「大声を出すな……。まだ連中が近くにいるかもしれん」

 

「ご、ごめん……」

 

「俺が様子を見てくる。お前はここで待っていろ」

 

「わ、分かった」

 

 根本君が個室を出て行った。僕はまだこの状況を理解できなかった。

 根本君はなぜ僕を助けたのだろうか。僕は、自分で言うのもなんだけど、かなり根本君には嫌われていると思っている。それなのに僕を助けるなんて……本当に、根本君らしくない。

 

「吉井。外に出ていいぞ。奴らは諦めたようだ」

 

 根本君の声がかかり、僕は個室から出た。

 

「ねえ、根本君、何で僕を助けてくれたの?」

 

 根本君が何の見返りもなしに人助けなんて、そんな事するはずない。何か裏があるはずだ。

 

「そんなに知りたいか?」

 

「え?まあ……うん、知りたい」

 

 この根本君の違和感の正体を知らなければ、僕はこれからどうやって根本君に接していけばいいのか分からない。

 

「なら俺の家まで来い」

 

 一瞬思考が止まる。

 

「……え、ええ!?別にここでいいんだけど!?」

 

 根本君の家!?僕を家に連れ込んでどうしようというのか。もうさっきから訳がわからない。僕の頭は処理落ち寸前だ。

 

  「……ここでは話せない、知りたいなら来い」

 

 そう言うと根本君はスタスタ歩き出してしまった。どうしよう……何かの罠かもしれない。でも、不思議と今の根本君に対して僕は以前ほどの嫌悪感を感じてはいなかった。それに……根本君は、これから一年間一緒に過ごすクラスメートだ。僕は、根本君のことをもっと知っておいた方がいいかもしれない。

 

「分かった、行くよ!行くからちょっと待って!」

 

 虎穴に入らずんばなんとやら。僕は根本君の家へ行くことにした。

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