恋と進路と召喚獣   作:秀継

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第六話

 

「試召戦争……」

 

 そんなところまで召喚獣を使うのか。でも、一体どういうルールで試召戦争をするんだろうか?

 

「根本く」

 

「お前の聞きたいことは分かっている。黙って聞け」

 

「……はい」

 

 怒らせると面倒なので僕は言われた通りに黙っておくことにした。

 

「この生徒総会で校則を変える時の手順を説明する。まず生徒総会の前にあらかじめ、校則の追加、撤廃に関する要望を文書にして提出する必要がある。これは誰でも提出することができるが、提出する者のクラスのクラス代表の署名が必要となる。クラス代表自身が提出する場合は必要ない」

 

 ふむふむ。要は、うちのクラス代表、秀吉の許可を得れば校則の撤廃を要求できるというわけか。

 

「生徒総会には、全校生徒が参加する。生徒会はそこで、このような要求があったということを公表する義務がある。よって、一度文書を提出することさえできれば、生徒会は俺たちの要求を無視することができなくなる」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!それで校則を変えられるなら、試召戦争とか全然関係ないじゃないか!」

 

「ああもう、黙って聞け!続きがある!」

 

 つい聞いてしまった。今度こそ黙ろう。

 

「治安維持生徒会は生徒総会で、このような要求があったと公表する。普通の学校なら、これを認めるか否か、多数決とか三分のニ以上の賛成とかで決めることになるが、文月学園は試召戦争がここに関わってくる」

 

 ふむふむ。

 

「この提案された校則に関して中立、もしくは興味のない者は、多数決の後は退出して放課後となる。普通の選挙でいう無投票ってやつだ」

 

 なるほど。

 

「さて、ここからが本題だ。試召戦争のルールを説明する。まず、生徒会がこちらの要求を受け入れ、尚且つ全校生徒の過半数が要求に賛成した場合、俺たちの勝利だ。恋愛禁止の校則は撤廃され、試召戦争は起きない。生徒会が要求を受け入れなかった場合、もしくは生徒会は受け入れたが過半数の生徒が要求に賛成しなかった場合、試召戦争は起きる」

 

 まとめると……雄二たち生徒会が、恋愛禁止の校則の撤廃を認めて、それで全校生徒の過半数も撤廃を認めれば、僕らの勝利で試召戦争は起きない。ということか。

 

「生徒会は要求を受け入れたが、全校生徒の過半数がそれに賛成しなかった場合、提案者と、要求に賛成しなかった者のうちから一人をお互い大将として、試召戦争が起こるんだが……ここら辺は実際に起きるとは思えないから割愛する」

 

 うん。もう訳が分からないから余計な情報は逆に無い方が嬉しい。

 

「実際に起こるだろうと思われるのは、生徒会が俺たちの要求を受け入れなかった場合だ。この時、試召戦争は起きる。提案者と、生徒会会長をお互いの大将としてだ」

 

 と、いうことは……?恋愛禁止の撤廃を求める側の大将は、文書を提出する僕か根本君ということになり、恋愛禁止のままでいいという人の大将は、生徒会会長の雄二ということになる。

 

「生徒たちは自分の意思でどちらかの陣営を選び、生徒会側につきたい生徒は体育館へ、提案者側につきたい生徒は旧校舎の屋上へ移動する。中立の奴らはここで退出。お互いの用意ができたら試召戦争開始だ。お互いの勝利条件は、敵の大将を倒すこと。以上だ。何か質問はあるか?」

 

「うーん…っと、時間切れは?真夜中まで試召戦争するわけにはいかないよね?」

 

「その場合は、18時で中断、翌日の放課後から再開となる」

 

「なるほどね……」

 

 なるほどとは言ったものの、難しすぎて頭に入ってこない。僕が理解してないことを察したのか、根本君はため息をついた。

 

「……具体的に俺たちがこれからやらなければいけないことを説明してやる」

 

「あ、うん」

 

 ありがたや。上から目線はいただけないが、今はそこに噛み付いてもしょうがない。

 

「まず、俺たちは木下秀吉を説得し、恋愛禁止の校則の撤廃を求める文書を作成する」

 

「ふむふむ」

 

「そして生徒会に提出、生徒総会できっと生徒会はこの要求を受け入れない」

 

「そうだね。生徒会は、要求を受け入れたら多数決にもってかれちゃうもんね」

 

 多数決で負ける可能性があるなら、雄二は最初から僕らの要求を受け入れずに得意の試召戦争でケリをつけようと思うはずだ。

 

「その通りだ。そして、試召戦争で坂本の召喚獣の首をとる。分かったか?」

 

「分かったよ。なんとかね……」

 

 根本君が、ここに来てから何度目になるか分からないため息をつく。

 

「吉井、やらなければいけないことは実はこれだけじゃない」

 

「え!?まだあるの!?」

 

 もうここまでで僕の頭はパンクしそうなんだけど……。

 

「俺たちは、木下秀吉だけじゃない、もっと多くの奴らに根回しをしておく必要がある」

 

「根回しってことは……試召戦争で、僕らの味方をするよう説得するってこと?」

 

「そうだ」

 

 説得か……観察処分者と、学校一の卑怯者の言うことを聞いてくれる人が、果たしてどれだけいるだろうか。

 

「まず秀吉は説得するとして、後は誰を中心に声をかけていくのさ?」

 

「あの校則ができるまでカップルだった奴らだ」

 

 なるほど。その人達なら、僕らと同じくこの校則を嫌がっている可能性が高い。つまり僕らに協力してくれる可能性が高いってことだ。

 

「他に協力してくれそうな人はいないかな?」

 

 僕がそう尋ねると、根本君は予想外なことを言った。

 

「新入生、つまり明日入学してくる一年生だ」

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