破天荒騎士銀河道中物語   作:放浪人

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シリアス「シリアスは……何度でも蘇るッ!!!」
ギャグ「何だとォォォォォッ!?」

【速報】シリアス死なず。

 という訳で、今回は99%シリアス回と言いますか、アッシュの人物像を原作キャラと絡ませつつ書きました。おかげでそのキャラの原作乖離がひどい……賛否両論色々あるとは思いますが、ご意見批判いずれもお待ちしております。

 それではどうぞ。


バカは時にこんがらがった物事を解き解す鍵となり得る

 CHAPTER 02 「バカは時にこんがらがった物事を解き解す鍵となり得る。

         ただしそれに伴う犠牲は勘定外」

 

 

 銀河共和国が首都として定めた惑星コルサント。ギャラクティック・シティと名づけられた惑星全体を覆う外殻都市には無数の摩天楼が聳え立ち、至る所に人工の光を届かせている。共和国と言う巨大なコミュニティの中枢と定められ、様々な政治・経済・交易が日中夜を問わず行われるという環境故の光景だった。

 星に意思と言うものがあるならば、自身の体を無粋な金属で覆い隠して好き勝手騒いで生きる地表より上の生物達を、身勝手で害悪な存在と見做しているかも知れない。

 

 そんなコルサントの都心部に、ジェダイ騎士団の総本山であるジェダイ聖堂(テンプル)もまた存在する。

 聖堂と言う厳かな様相とコルサントの風景に通じるものがある近代的意匠が程よく融合したその建物の最上層は、限られた数のジェダイマスター、その中でも更に実力と見識を絞り込み選りすぐった者達により構成される《ジェダイ評議員》の会議室となっている。

 

 そして評議会の集会が無い時は専ら、名実共に現騎士団の指導者である二人――グランド・マスターたるヨーダとそれに次ぐジェダイ・マスター、メイス・ウィンドゥの談合部屋、若しくは精神修養の場となっていた。

 あるいは、どこかのバカ(アッシュ)の仮眠室、もといサボり部屋になっていたりもするのだが。

 

 

「気に懸かるかの、ナブーのこと」

 

 

 最低限の人型という点を除けばプレーンなヒューマンタイプとは大きく異なった外見の、実に小柄な――というよりは小人の老人。緑の肌の上に年季を感じさせるジェダイの着物を身に纏うその老人ヨーダは、彼の視線の先にいる人物――夜の摩天楼を臨める展望窓に立ち、景色を見下ろしている大柄な黒人の男性――ジェダイ・マスターが筆頭たるメイス・ウィンドゥに問う。

 問われたウィンドゥはというと、元から無愛想で厳格さを顕したような顔を更に硬くし、険しい表情を浮かべていた。パダ=ワン見習いの子供達が向かい合えば泣き出すこと必至の、鬼の形相一歩手前の顔である。

 

 そんな彼は、ヨーダの問いにからかうようなニュアンスが含まれていることを察し、彼にしては珍しく不貞腐れたような色を浮かべる。多くのジェダイ達がその表情を見たらば、きっと驚いていたことだろう。

 

 

「そもそも私は反対でした。あれは特使などという役割をこなせるような人間ではない。

 一時的とはいえケノービのマスター代行にしたこともです。クワイ=ガンが間を取り持つならともかく、二人だけにすれば必ず反発する」

「うむ、あの生真面目な若者があそこまではっちゃけるとはのぅ。クワイ=ガンも喜んどったわい」

 

 

 苦虫を噛み潰したようなウィンドゥに反し、ヨーダは普段と同じく飄々とした態度で面白がるばかりだった。

 

 ヨーダにも言った通りウィンドゥは、今回の二つの案件におけるアシュヴェル・クロームレインの登用を反対していた。

 そもそもは本来の任命者であったはずのクワイ=ガン・ジンが負傷し、その場で彼がアッシュを代行として推薦したことがことの始まりである。ウィンドゥはそれを即座に却下しようとしたが、どういう訳かヨーダは意外と乗り気であり、更に腰は痛めてもヨーダの孫弟子――ヨーダの弟子であるマスター・ドゥークーがクワイ=ガンの師を務めた――らしく、相手をやり込めてしまう飄々さを身に着けているクワイ=ガンが機転を回して共謀、結局アッシュがオビ=ワンのマスター代行となり、加えてそのまま、ナブーを封鎖している通商連合艦隊への特使も務めることになったのである。

 

 アッシュ自身は特使としての仕事を面倒くさがり拒否したがっていたが、クワイ=ガンに腰の怪我の件を盾にされたことと多額の報酬によってあっさりと靡いたことで、最後の希望も潰えた。

 

 ヴァローラム?官僚の言い成りである形骸に何を期待するというのか。少し説明したらポンと許可を出しやがった。

 

 ――かくして、今に至っている。

 

 

「笑い事ではありません。ケノービの件は百歩譲って良いとしましょう。しかし正味なところ、あれに特使が務まるとお思いですか?」

「無理じゃな。相手が似た気質の者なら戦争状態でも和解に持っていくかも知れんが、総督のヌート・ガンレイは典型的な拝金と権力主義の商人(あきんど)、小狡い悪党じゃ。問答無用で切り捨てるじゃろうのう」

 

 

 いっそ清々しいまでの否定だった。肯定など期待していなかったウィンドゥも、流石に呆れ顔になる。

 

 

「……それを承知で認められたので?」

普通の(・・・)特使ならわしも容認はしなかったが、のう」

 

 

 そこでヨーダの雰囲気が変わる。茶目っ気を湛えていた老人の表情は、憂いと険が皺を作らせていた。

 それに気づいたウィンドゥは居住まいを正し、ヨーダに向き合う。

 

 

「今回の一件、裏があると?」

「そもそも何故通商連合がこんな強気に出たか、という時点での」

「強硬手段でナブーを武力制圧し、統治者であるアミダラ女王に占領が合法なものであると認めさせる――というのが、連中の思惑なのでしょうが……」

「手順はのう。しかしリスクが大きすぎる。根が商人であるガンレイが、いかに莫大な利益を得られるからといって危険を犯してまでそんなことを自発的にするかの?」

「……誰かが裏で手を引いている、と」

 

 

 その可能性自体はウィンドゥとて推察はしていた。理由はヨーダの語った通り。

 しかしだからといって、それで資質不適任なアッシュを特使として送り込む理由にはならない――つまりは。

 

 

「……最初からアシュヴェルを陽動にするおつもりで」

「さて、のう。あやつならいっそのこと、裏に潜むものまで引きずり出しそうではあるが」

「…………」

「ま、そこら辺は今後の動き次第かの」

 

 

 ヨーダの真意を聞かされ、しかしウィンドゥは賛同も否定も示さず、ただ沈黙を通す。

 ヨーダを批難しているためではなかった。余人からして見れば非情かもしれないヨーダの思惑は、アシュヴェル・クロームレインという人間の実力を見込んだ上のものであり、ウィンドゥ自身も不快ではあるが(・・・・・・・)、アッシュの死など微塵も想像できない。

 

 むしろドロイドの大軍はスクラップにし通商連合の者達を血祭りに上げ、「ねえ、今どんな気分?人の国占領した挙句、横入りしてきたジェダイにぶっ殺されるのってどう言う気分?ねえねえwww」とか言いそうである。というかそれしか思い浮かばない。最悪だ。

 

 ウィンドゥが気にしているのは、既にそうした公的なものではなく、彼自身の私的な感情に基づくものだった。

 

 

「不安かのう、あやつが間違いを犯さぬかと」

「ッ…………」

 

 

 そしてそれすらヨーダは容易く見抜く。ジェダイ史上最強とされるグランド・マスターの前では、如何に今代最強とされるウィンドゥとて、一枚も二枚も下手(したて)な若造であるらしかった。

 

 

「その不安は最もなものじゃ。仮にもお主は、一時とはいえ(・・・・・・)あやつの(マスター)であったのだからの」

「…………」

 

 

 そう。ウィンドゥがアッシュを殊更に気にする理由の一端は、他ならないウィンドゥ自身がマスターとしてアッシュの面倒を見たからであった。

 それもヨーダが語ったように、ほんの『一時』だけ。

 

 文面通り捉えるなら、それはあり得ないものだった。厳格なウィンドゥが破天荒極まりないアッシュを弟子にしたとして、破門でもされていない限り一時しか師弟関係でいなかったというのは辻褄が合わない。現に、アッシュは正式なジェダイどころかマスターの位にいるのだから、つまりはウィンドゥがアッシュのパダ=ワン卒業を、短期間で認めたということである。

 ちなみに言うなら、今回のオビ=ワンのように他の人間が代行を務めたという訳でもないし、例えアッシュ達のような理由で代行したとして、元の師が死にでもしない限りはその人物の認定が必要なので、やはり『ウィンドゥ自身がアッシュの卒業を認めた』という結果しか残らない。

 

 

「……私は今でも思います。あれをジェダイにして良かったのか、と」

「ふむ、無理もないのう」

 

 

 ウィンドゥの苦悩に満ちた自問を、ヨーダは静かに受け止め肯定する。

 

 

 アシュヴェル・クロームレインを直に知る者ならば、それがジェダイであろうとそうでなかろうと、誰もがこういうだろう。

 

 ――型破りな破天荒。ジェダイとしても、『人間』としても。

 

 アッシュという人間には既存の善悪や倫理観への拘泥が無い。もちろん、ジェダイの掟や価値観にも。

 彼が遵守しているのは『己の法』であり、今までのところは、ギリギリでそれが世の法理と辻褄を合わせられるものであるから目立った角が出ていないだけで、もしその気になったら彼は法など平然と破るだろう。

 いや、報告こそされていないが、バレていないだけで違法行為などいくつもしている。中には、無抵抗な相手の虐殺や拷問など、道徳的には容認し難いものもある。

 

 ウィンドゥもヨーダも、そんなことはとうの昔に気づいてはいる。それでも黙認しているのは、明確な証拠が尽く消されていたことに加え、そこにそれなりの理由が伺えたからである。例えば前述した虐殺云々なら、確かにその相手というのはその時点では無抵抗ではあったが、その前までは他ならない彼ら自身が虐殺を行っていた側だった、など。拷問も、掛けられた相手は十人中十人全員が黒である。

 結果論だといわれればそうだが、しかし同時に結果は結果だ。状況からの推測でしかないが、彼の行動が多くの犠牲の抑止になっているのはほぼ間違いない。

 

 そして何より、アッシュ自身が負の感情――ジェダイにとって最も忌避すべき『暗黒面』に繋がるようなものを、一切発露していなかったためだった。

 理屈で語るなら、『正』であるジェダイの規範に囚われないのだから、真逆の『負』である暗黒面にも囚われないのだろう――というのは簡単だが、当然それは暴論に近い理屈だ。ましてやアッシュは、相手に非があるとしても多くの命を手にかけている。それでもなお、『己』という中庸を保っているのである。

 ――あるいはそれは、暗黒面への堕落よりも余程おぞましいものではないだろうか。

 

 改めて述べるが、アッシュという人間は善人でもなければ悪人でもない。少なくとも、彼自身はそうあろうとしたことは無いし、そんな見方を意にも介さない。

 

 彼は常に己が『正しい』と思ったことを為しているに過ぎないのだ――それが、他者にとっては『善行』にも『悪行』にもなり得ると、それもまた理解した上で。

 狭い見識による『自分だけの正当化』ではない、何もかも、善し悪しもひっくるめて背負い、その上で『己にとっての正しさ』を貫くということ。

 およそ、全うな人間の精神構造ではない。善と秩序を尊ぶジェダイにおいてなら、尚のことである。言ってしまえば、ジェダイですら個人の差はあれど『善』という価値観に従順する走狗なのだから。

 

 

 では、何故そんな彼がジェダイに招かれたのか?

 

 

 

「じゃが、そんなあやつだからこそ、あの()は何かを見出したのかも知れんのう」

「…………」

 

 

 ヨーダの言葉に、ウィンドゥは瞼を閉じてその暗黒の奥底に思いを馳せる。

 

 そこにいるのは、一人の人間。それは、メイス・ウィンドゥにとって掛け替えの無い、過去の肖像。もう二度と会う事の無い、失われた存在――かつてウィンドゥが共に研鑽を積み、好敵手として競い、しかし最後は道を違えた友。

 そんな彼女の、あの何も写し返さなかった静謐な瞳が一瞬、アッシュのものと重なった。

 

 

「ッ――――」

 

 

 馬鹿な――そう己を叱咤し、一瞬でも自分が思い浮かべてしまった虚妄を振り払う。

 それはまだ(・・)、ウィンドゥには受け入れられないものだった。

 

 

「しかし、こうして語っていると思い出すのう」

「……何をですか?」

 

 

 そんなウィンドゥの内心を知ってか知らずか――この賢人に限ってそれはないのではあるが――、ヨーダは何かを思い出しては楽しげである。

 

 

「ほれ、あやつ(アッシュ)の卒業認定試験じゃよ。お主(マスター)との一騎討ち、流石にあの時はわしも目を丸くしたわい」

「私は腸が煮えくり返る思いでしたがね」

「ほう。今はもう納まったかの?」

「いいえ。思い出しただけでまた腸が煮えくり返りそうです」

 

 

 そんなウィンドゥの返答に、カラカラとヨーダは楽しげに笑う。それを受けて、ウィンドゥは今日一番の渋面となった。

 

 

 そう、それこそ短期間でアッシュがウィンドゥからパダ=ワン卒業をもぎ取った真相だった。世にあり得ない、師と弟子の一騎討ちによる卒業認定試験――それをパダ=ワンだったアッシュは、臆面もなく突きつけたのである。

 当然ウィンドゥは論外として拒否しようとしたのだが――次のアッシュの吐いた一言で、当時の彼の理性は吹っ飛んだ。

 

 

 

『俺の『師』を気取りたいんだろ?だったら俺を地に捻じ伏せてみろよ。でなきゃ、アンタが『あの人』と同等だなんて死んでも認めねぇ』

 

 

 

 そこから先は、正直ウィンドゥにとって忌まわしい以外の何ものでもない記憶だった。

 ヨーダの了承と見届けの上でとはいえジェダイ同士、それも仮にも師弟が、修練ではなく本気で命を賭けた『殺し合い』を演じたのだから、今も昔もジェダイの掟を厳しく遵守するウィンドゥにとっては、若気の至りなどといったものでは済まされない恥部である――実際に若かったかどうかは別として。

 

 しかし、それにも増して酷かったのが、その殺し合いの内容と結果である。

 流石にこんな事を他に知られる訳にもいかず、辺境惑星にあるジェダイ所縁の場所で決闘と相成ったのだが――結論から言うと、その場所はもうない。

 理由は簡単で、二人の決闘のせいで地形が崩壊、見るも無残な災害跡地と化したためである。

 そして、そんな状況を生み出すに至った二人の戦いはというと――――

 

 

「飲まず食わずに眠らずで三日三晩。最後の辺りなど既に殴り合いだったからのう。いやはや、さしものわしも、肉弾戦でお主と渡り合えるヒューマンがいるとは思わなんだわい」

 

 

 最初の内は、ジェダイらしい純粋な剣戟――などではなかった。開始直後に姿を暗ましたアッシュとそれを追跡するウィンドゥ。命懸けの鬼ごっこの始まりだった。ただし命懸けなのは鬼の方だったが。

 周囲の地形を崩したり原生生物を(けしか)けさせたりして天然のトラップに仕立て上げ、やっていることは悪ガキの所業だが、内容が洒落にならない。ウィンドゥか彼に準じるクラスでなければ死んでいても可笑しくは無いレベルだった。

 それでもトラップの数々を潜り抜け、二日目に差し掛かる頃にようやく対面。そんな状況を作り出した張本人はというと、それはそれは憎たらしいドヤ顔でウィンドゥを待ち構え、こう言い放った。

 

 

『あの程度突破するのに丸一日とかマジワロスw

 言っとくけどアレ、『師匠』が俺にやらせてた基本的な修行だから。あんなの序の口だから』

 

 

 ウィンドゥが一瞬白目になったのは秘密である。

 

 何はともあれ、そうして対峙した二人は、いよいよジェダイの本命というべきライトセーバーによる剣戟を始めた。

 

 ――そしてそこからが、戦いの舞台となった星にとっての、本当の悪夢の始まりだった。

 

 斬る、薙ぐ、防ぐ、斬る、薙ぐ、流す、斬り返す、防ぐ、薙ぐ、防ぐ、斬り返す、流す、斬る――最初から全力全開。今まで狡い手でウィンドゥを翻弄していた相手とは思えない凄まじい技量の剣戟に、さしものウィンドゥも度肝を抜かれ、当然手心など加えられようはずもなく、両者は正真正銘『本気の殺し合い』を繰り広げることとなった。

 

 そうなれば、単にセーバーを振るうだけでは済まない。ジェダイの戦いの本領は、プラズマの刃である故に恐ろしく軽いライトセーバーを自在に操り、その上で、超常の力たるフォースを運用することにあるのだから。

 

 ――ただまあ、その時に二人が用いたフォースの運用規模が既存のものに当て嵌まるか、と言われれば、うん。

 

 崩れた岩場の巨岩が放り投げられる。フォースを込めた掌底で巨岩を破壊する。礫と化した岩石を散弾のごとく相手に投射、相手はそれを目にも留まらない斬撃で切り払うと、地面に掌を当て、極小規模な地割れを引き起こす。

 フォースで空中に足場を作り三次元的な跳躍を駆使、周囲から縦横無尽に迫り来る斬撃を、フォースで生み出した力場の障壁で弾き、カウンターでフォース込みの必殺の拳を叩き込む。フォースによる力場を緩衝材にして受け止め、その勢いを使って一気に距離を開いたと思ったら、退き様に何もない空間を一閃――フォースの『斬撃』を飛ばし、それを同じフォースの力場で咄嗟に防ぐが勢いを止められず大きく後退する。

 そんな攻防の応酬が繰り広げられた。

 

 

 ――ここで一つ、補足となる。

 フォースとは、それ自体は銀河やそれを構成する万物に付属しており、資質を持たない普通の人間はともかくジェダイはそれを感知したり操ることが出来る。生物の細胞の中に含まれる共生生物ミディクロリアンが関わっているとかなんとかあるが、それはまあいい。

 そんな宇宙を満たしているフォースは、言うならば無形無色のエネルギー体であり、ともすればやり方次第で様々な運用が可能である。それが、ジェダイを超小規模精鋭でありながら銀河最強たらしめる所以なのだ。

 

 提議すべき問題は、ジェダイにおいてこのフォースの『攻撃的な運用』が禁止されている、という点である。その理由は、フォースの運用とはそれ自体がジェダイの在り方に大きく影響をもたらし、ともすればそこに『攻撃性』を付与したら自ずと使用者も攻撃的になる――即ち、攻撃性に伴われる憎しみや怒り、戦いへの興奮・狂気といった感情の負の側面を内包しやすくなり、最悪、暗黒面へ転落してしまいかねない、そうでなくともジェダイに不適格な攻撃的な人間になりかねない、ということ。

 その逆――使用者が攻撃的だからフォースも攻撃的になる――もあり得るので、鶏か先か卵か先かは、判然としないが。

 要は獅子身中の虫を生み出さないための予防である。

 狡いとか思われるかも知れないが、それ程にフォースという超常の力の扱いは難しく、またそれを用いるジェダイは、所詮身も心も脆弱な生き物(人間)である、ということだ。

 

 

 さて、ここで思い返していただきたい――銀河の辺境の名も知れない惑星で師弟決闘を行っている彼の二人は、一体何回フォースを攻撃に用いたのか。

 フォースを込めた掌底、フォースの障壁、フォースによる地割れ、フォースによる拳撃、フォースによる斬撃の放射――戒律もへったくれも無い。

 

 しかも最大の問題はこれではなく――――

 

 

 

『死に腐れクソハゲェェェェェェェェ!!!!』

『貴様が落ちろクソガキィィィィィィィィィ!!!!』

 

 

 

 両者共に、殺意と闘争心と怒りと憎しみを、これでもかという程に込めていた点である。

 ぶっちゃけ、フォース以前に使用者が既に殺す気満々なのだから、フォースの運用で一般的なはずのテレキネシスですら必殺の凶器と化していた。

 

 ウィンドゥ自身、よく暗黒面に落ちなかったな自分、と、しみじみ思わずにはいられない。おかげで『最も暗黒面に近いフォーム』とされるジュヨーを更に改良・攻撃化したヴァーパッドを、今では問題なく、それも長期間運用できるようになってしまった。全く嬉しくないが。

 短期決戦用なのに一日中振り回せばそら慣れるわな。なんというか、この技の共同開発者で暗黒面に落ちてしまった亡き友や、使い手だった弟子に凄く申し訳ない。

 

 

 まあそんなこんなで、ヨーダが語った通りアッシュとウィンドゥの仮面師弟は殺意全開、殺す気満々で三日三晩死闘を繰り広げた挙句――――

 

 

「全く、わしが止めなんだらどうなっていたことやら」

「……面目次第もありません」

 

 

 結局、ヨーダの介入により試合は中断。星の一角を悲惨な災害跡地にした挙句、勝負着かずの引き分けとなった。

 その後、見届け人を務めたヨーダの采配の下、アッシュは『条件付き』でパダ=ワンを卒業、晴れて正式なジェダイの騎士として迎えられたのである。

 

 ――その後の彼のジェダイとしての所業は、うん、まあ。言わずもがなだろう。

 

 

「まあ、あそこまで心の内を晒したお主を見たのは、後にも先にもあの時だけだったからのう。わしとしては悪くない事象だったと思うよ」

「…………」

 

 

 ヨーダの言葉にウィンドゥは再び沈黙する。

 

 戒律を重んじ、自他に厳しいジェダイ・マスター――それが自身に向けられている評価の(ひとえ)であることは、ウィンドゥ自身も知っている。しかしそんなウィンドゥも、ジェダイである以前に人間――否、『人間』であるからこそジェダイなのだ。ならば必定、そこには強さも弱さも背中合わせに存在する。

 彼のような厳格な人間程、自身の感情、特に負の側面を溜め込んでしまう。他者を導く立場にあるなら尚のこと、その規範となり見本となるべくより己を律し、感情を抑制する。しかしそれは、負の感情の『解消』にはなり得ない。ともすればそれらが蓄積されるのは自明の理である。

 それを力に転用したのがヴァーパッドなのだが、それが解決になる訳ではなく、むしろ増長させかねない。それでも運用できていたのは、単にウィンドゥという人間の鋼の精神のおかげに他ならない。

 

 ――そんな彼にとって、胸の(ふち)の何もかもを否応無く引きずり出された、あのジェダイにあるまじき死闘は、ヨーダが語る通り悪いものばかりではなかったのだろう。

 ウィンドゥが昔から溜め込んでいたものに加え、アッシュという人間に関わって以降、彼に抱いていた様々な感情を曝け出しその全てを相手にぶつけた。

 

 

 気に入らない。何だお前は。何でお前が。お前などが『彼女』の後継?ふざけるな、認めない、許さない、消えてなくなれ――もはやウィンドゥ自身にすら分からなくなる程ごった煮になったドロドロの黒い感情は全てセーバーや拳に込められ、相手に振るわれる。正義も何も無い、醜悪で身勝手な暴力。

 

 

 そして、アシュヴェル・クロームレインはその全てを受け止め――そして殴り返した。

 

 

 気に入らない?こっちの台詞だ。何様だよ、いきなり師匠面しやがって。俺の師は『あの人』だけだ。お前なんぞがおこがましい。そんなもの(正義)を俺に押し付けるな。俺の正義も俺の悪も俺が決める俺だけのものだ――世の法理にも道理にも囚われない、身勝手な己だけの『法』を貫く暴力。

 

 

 そこに通じるものがあったのか、ウィンドゥには今も尚分からない。アッシュなど恐らくとっくに忘れていることだろう。

 ただ、あの戦いの後、ウィンドゥに溜まっていた『何か』が大きく減ったのは確かだった。全く無くなった訳でもなかったが。

 

 

「……そうかも知れません。しかし――――」

「うん?」

 

 

 

「――私はあいつが嫌いです」

 

 

 

「ほっほっほっ」

 

 

 およそ普段のメイス・ウィンドゥにはあるまじき、極めて私的な感想。しかしそれを聞いたヨーダは楽しげに笑う。まるで子の成長を見た親のようである。

 

 

 

                  †   †   †

 

 

 

 ――拝啓。敬愛する我が師、マスター・クワイ=ガン。

 今いかがお過ごしでしょうか。あのあんちくs……バk……クz……ろくでなs…………マスター・クロームレインとの共闘で貴方が負傷され、今も治療に努めておられると存じます。この特使としての任務が終わったら、お見舞いに行きたいと思います。

 ……お見舞いに行きたいです。切実に。

 

 ……マスター、貴方は彼を、マスター・クロームレインを『偉大な戦士』と語りました。私が尊敬する貴方よりも遥かに強く、偉大なジェダイだと。中身はアレですが。

 確かに、彼の力量・技巧は凄まじい。中身はアレですが。マスター・ヨーダやマスター・ウィンドゥと共に最強と呼ばれる程だと思います。中身はアレですが。そんな彼と行動を共に出来るのは、実に心強いことなのでしょう。中身がアレですが――中身がアレですが。

 

 

 …………マスター。それを承知で言わせて欲しい。

 

 

 私は死んでしまうかも知れません。

 

 

 

 

 

「ちょ、まだドア開かないんですか!? 段々包囲されてるんですけど!」

「あぁん?そんなの気合だお前。そんなバリアー張って撃ちまくるしか能の無いフンコロガシなんて楽勝だろうが」

「じゃああなたがこっちやってくださいよ!私がドア破りますから!」

「ふざけんなお前。ちっとは師匠を敬いなさいよ。俺マスター、お前パダ=ワン。

 つー訳でおら、もっと気張れ。あと十分ぐらいしたら開くから。それまでそいつら全滅させとけ。これ命令だから。マスター命令だから。絶対遵守だから」

「この外道がァァァァァァァァァ!!!」

 

 

 

 

 主に、あのバカ(アッシュ)のせいで。




■自己啓発こーなー。
○タイトル
 格言風のクローン大戦と銀魂具合をけっこう出せたと思う。CV若本さんでお願いします。

○シリアスの復活
 ちゃうねん。なんか書いとったら二人が勝手に喋りだしてん。したらこんなことに……
 まあ前回がギャグだったんだから大丈夫だよね!(白目

○大御所二人
 フライング登場。原作ではどうか知らんけど、ここでは「なんか裏がありそうだなぁ」くらいは疑っている、んで「一つ炙り出してみるか」ということで劇薬(アッシュ)投入。全てはフォースの意志(ヲイ

○ウィンドゥ先生
 実はアッシュの元マスター。ただし超短期間、仲もEP3後半のオビとアニーが目じゃないくらい険悪(現在進行形)。ぶっちゃけ師弟関係ではあったけど何も教わっていないし教えていない。仮面夫婦ならぬ仮面師弟。

○マスター代行云々
 作者的にはオリジナル。原作にこういう設定があるかは知らない。ぶっちゃけアッシュとオビのコンビを書くためだけの設定。

○アッシュという人間
 作者的にはシスなどよりよっぽど危険なヤツという位置づけ。
 ジェダイもシスも結局は普遍的な規範の善悪に則っているけど、アッシュはそれらに無頓着。知識としてそういうものがあるし大多数の人間はそれに属していると知っているけどそっちはそっち、こっちはこっち、俺は俺がやろうと思ったことをすると自己完結している。なので賞賛されようと罵倒されようと「あっそう」で済ませる。

○あの娘/彼女/師匠
 同一人物。作者オリジナルのキャラクターで、アッシュの師匠。
 軽く設定を述べると元ジェダイでありウィンドゥの同期で戦友、種族は一応ヒューマン。卓越したジュヨーの使い手であり、ヴァーパッドとはまた違う独自の戦闘型を創造、残っていればウィンドゥを超えて最強となっていたという設定。しかし元からジェダイのあり方に興味を持たない人間であり、ある日ジェダイを退団、行方を暗ました。
 一言だけ。イメージCVは早見沙織さん(ぇ

○アッシュの卒業試験
 例外どころか前代未聞。ウィンドゥさんは旧友を掛け合いに出されてあっさりに挑発に乗ってしまいましたとさ。ヨーダが何故容認したかはまた今後に。

○死闘
 原作最強の一人となっているウィンドゥさんとガチで殺し合う主人公。斬り合いあり、ファンタジーよろしくなフォース攻撃あり、殴り合いありという世紀末闘争。

○フォース攻撃
 掌底・拳撃・攻撃の跳ね返しなどはクローン大戦で実際に使われたのをモデルにしました。斬撃飛ばしはアッシュのもので勿論オリジナル。
 他にも空中三次元跳び、地面にフォースぶち込んで地割れ、相手を直接圧殺若しくは体内から吹き飛ばすなどなど。そらシスも涙目になるわ。

○激突師弟
 遠慮のないアッシュはもとより、蟠りを爆発させたウィンドゥも正面から生の感情丸出し。人間、適度な心のぶつけ合いが肝心です。

○ウィンドゥ強化
 ヴァーパッドの制限解除。煩悩は消え長期間運用が可能となりました。やったねウィンドゥ先生、これで腕切り落とし→電撃からの墜落という三重苦コンボから逃げられるよ!(ヲイ
 なお、上記の『彼女』の存在が影響しウチのウィンドゥ先生は元から原作より心身ともに強化されていたりします。競い合える相手って大事だよね(白目
 でもその相手のことが最大のトラウマと化している矛盾。

○先生ツンデレですね分かります。
 おいバカやめろ。

○最後のって………
 おぉオビ=ワンよ。死んでしまうとは情けない。
 誰が最後までシリアスだと言った?(ズバッ


 シリアス+捏造設定+原作キャラオリジナル化のオンパレード。お、お許しを……!(震え
 さて、次回はシリアルだ(え
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