魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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久々の投稿です。

WIXOSSの映画観てきましたが、感動しました!本当に素晴らしかったですよ!


14. 考えている余裕さえ無かったわ……

夕日が辺りを照らす中、さやかは1人で、幼なじみの上条 恭介のお見舞いに来ていた。その顔は夕日に劣らず、赤く染まっている。さやかは一度深呼吸してから、室内に入った。

 

「やぁ、さやか。今日は君1人かい?」

 

上条はさやかにそう言いながら微笑んだ。

 

「う、うん。まあね」

 

さやかは上条に続いて微笑んで、それからカバンの中にいれてある、先日買ってきたCDをプレゼントした。

 

「はい、これ」

「わぁ……! いつも本当にありがとう、さやか! 君はレアなCDを見つける天才だね」

 

上条は本当に嬉しそうにケースの写真を眺めながら、机の上に置かれたCDプレーヤーにCDをセットした。対するさやかは、

 

「そんな事無いって。仁美が一緒に探してくれたんだし、何より運が良かっただけだよ」

 

と言った。

それから上条はイヤホンの片方をつけてから、もう片方のイヤホンをさやかに差し出した。

 

「この人の演奏は本当に凄いんだ。よかったら聴いてみる?」

「え……? いいの、かな……?」

 

さやかは顔を赤くして困惑したように言った。対する上条は微笑みながら、

 

「本当はスピーカーで聴かせたいけど、病院の中だからね」

 

と言って、イヤホンが外れないようにさやかに顔を近づけた。その瞬間、さやかはさらに顔を紅潮させた。

 

「(えぇ……⁉︎)」

 

さやかが困惑しているのをよそに、上条は再生ボタンを押した。流れてくる優雅な音楽を聴きながら、さやかは幼少期の頃を思い出し始めた。

始めて彼の演奏を聴いたのは、小学1年生の時。まだまどかやタケルといった友達はおらず、広い舞台の中央でバイオリンを美しく奏でる姿を、誰よりも間近で見ていた。

この時、近くには上条と同じレッスン教室に通っていた晶もいて、上条の演奏に憧れていた。それからしばらくして、晶は上条の紹介でさやかと知り合った。

そして熱心に演奏するその姿に、さやかや晶はもちろん、他の観客達も口を開けてしまうほど、心が奪われていた。

 

「……うっ……」

 

不意に泣いているのを押し殺しているような声が聞こえてきたので、さやかが視線を上げると、上条がさやかに顔を見せないようにしながら、怪我を負っている左手を、演奏しているかのように動かしていた。

昔を思い出して、辛く感じたのだろう。それを見たさやかも、胸が苦しくなった。

今の自分に出来るのは、上条の腕を治す事ではなく、あくまでCDをプレゼントして、曲を聴かせてあげるだけ。

彼の苦痛を和らげるために自分に出来る事が少ない事に、さやかは悔しさを感じていた……。

もし、魔法の力があれば、自分の決断次第で彼を元の体に戻す事が出来る。毎日の、絶望を撒き散らす存在との戦いという代償を払えば……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ダイカイガン! ムサシ! オメガドライブ!』

「はぁぁぁぁぁっ!」

 

その日の夜、さやかはそのままタケル達の魔女退治のパトロールに参加していた。傍らには、同じくまどか達候補生もいる。そして今、ムサシ魂となっているタケルはとどめを刺そうとしていた。

 

「ティロ・フィナーレ!」

 

マミもまた、目の前にいた、黒い猫のような敵を撃破した。

 

「これでどうだ!」

 

タケルが最後の一体を斬りつけて倒すと、辺りが元の公園の景色に戻った。

 

「おぉ! やったぞ!」

「やっぱマミさん達ってカッコいいなぁ!」

 

さやかがそう言いながら飛び跳ねていると、マミが少し呆れたように呟いた。

 

「もう、見せ物じゃないのよ。危ない事してるって意識は忘れないでほしいわ」

「イエース!」

 

そう言うさやかは楽しげだった。もっとも、それも致し方無いのかもしれない。実際、タケル達の勇姿はまどか達から見れば華麗に映っていたのだから。

そんな中、仁美がある事に気付いた。

 

「そういえば、グリーフシードは落としませんでしたわね……」

「あ、そうでしたね……」

 

晶も気付いたのか、辺りを見渡していた。そこへ、隠れていたキュゥべえがまどかに近づいて説明した。

 

「まぁ、今倒したのは使い魔でしかないからね。グリーフシードは持ってないよ」

「魔女じゃなかったんだ?」

「……にしても、ここんところハズレばっかりじゃん」

 

誠司が持ってきたバットを肩に担ぎながらため息をついていた。そこへ、隼人の真剣な声が聞こえてきた。

 

「だが、使い魔もあまり放ってはおけない。成長すれば、分裂元と同じ魔女になるからな」

「なるほど……。確かにそれは一大事ですな」

「利益が出なくても、倒す事に意味があるんですね」

 

御成と晶が納得したように頷くと、タケル達は変身を解き、マミが言った。

 

「じゃあ、行きましょう」

 

皆が静かな夜の公園を後にして、家路につくと、しばらくしてマミが口を開いた。

 

「そういえば、みんなは何か願い事は見つかった?」

「いいえ、まだ……」

 

誠司がそう答えてから、まどか達は黙り込んでいた。彼女達もまだこれといった願いが見つかっていないのだろう。

 

「……まぁ、そういうものよね。いざ考えろって言われたら」

 

マミが苦笑しながらそう呟くと、まどかが不意にこう尋ねた。

 

「あの……。マミさんや隼人さんは、どんな願い事をしたんですか……?」

 

参考程度に尋ねてみたその質問に対し、マミと隼人は足を止めた。その表情は暗く沈んでいた。まどかは慌てて謝った。

 

「いや、あの、すいません。どうしても聞きたいわけじゃ無くて、その……」

「……ううん、いいの。別に隠すほどの事じゃないしね。八谷君もそうでしょ?」

「……そうだな」

 

それから、マミと隼人の2人は橋の上で、川の流れを見つめながら、魔法少女や仮面ライダーになるきっかけを話し始めた。

 

「そもそも私達は、数年前の同じ事件を通じて知り合った仲なのよね」

「えっ? 事件って……?」

 

タケルも気になって2人に尋ねた。最初に口を開いたのはマミだった。

 

「あの日は久しぶりに家族でドライブに出かけててね。その帰り道に大規模な交通事故に巻き込まれたの。……気がついた時には、私は大破していた車の中にいたわ。逆さにひっくり返っててね。両親に助けを求めたんだけど、2人とも、既に息を引き取っていたわ……」

「……」

 

まだきっかけの序盤しか語っていないのに、まどか達は既に胸が苦しくなっていた。一度聞いていた星斗もその1人である。

 

「私は必死に割れた窓ガラスから手を伸ばしていたわ。誰でもいい。誰か助けてほしい。死にたくない。そう思っていた矢先に、キュゥべえが目の前に現れたの……」

 

マミの目線がキュゥべえに向けられたが、キュゥべえは無表情のまま、マミを見つめていた。

 

「『君の願いは何だい?』……それがキュゥべえの第一声だったわ。訳が分からなかった私は、とっさにこう答えたの。『生きたい』ってね……」

 

そして、マミは暗闇に染まった空を見上げた。

 

「考えている余裕さえ無かったわ……」

 

どうやらマミは決断する以前に、そうせざるを得ない状況の中で、戦いの日々に明け暮れるという運命に導かれていたらしい。

次に、隼人がカバンの中からあるものを取り出した。それは、一丁のおもちゃのピストルだった。

 

「隼人さん、それって……?」

「……これは、弟の形見だ」

 

隼人はそのピストルを握りしめながら、当時の事を話し始めた。

 

「あの日は俺もマミと同じように、家族で旅行をしていた。弟は俺によくなついていた。その旅行もそうだが、いつも家での家族同士の会話が、俺にとって幸せ以外の何物でも無かった。……けど、あの事故が、そんな幸せを無残に奪っていった」

「それって、まさか……」

 

誠司が恐る恐る尋ねると、隼人は静かに頷いた。

 

「そう。マミが巻き込まれたのと同じ事故によって、俺は両親と、弟を失った。俺はすぐに気絶していたから、その後の事は分からなかった。……気がついた時には病院にいたからな」

 

隼人は当時の事を思い出して、辛くなっているのだろう。何度もうなだれていた。

 

「病院で全てを知った時は、本当にショックだったな……。何よりも、あんなに一緒にいた弟が突然いなくなった事が、苦痛で仕方がなかった。唯一残されていた、弟の宝物だったこのピストルが、俺と弟との繋がりの証だった。……だが、ものはいつか壊れる。いずれその形を失う。そんな恐怖に怯えていた俺の前に現れたのが、他でもない、キュゥべえだった……。キュゥべえから、俺に仮面ライダーの素質がある事、そして願い事と引き換えに魔女と戦う事を聞かされた時、俺は迷わず答えた。俺にはもう遠い親戚しかいない。今の俺には、戦う事でしか生きていけない。家族の繋がりを大切にするためにもな……」

「じゃあ、隼人さんの願いって……」

「そうだ。俺の願いは、この弟の形見を壊れないようにする事。そしてその願いは叶えられ、俺は仮面ライダーハウンドとなった。マミと知り合ったのは、それから数日経ってからの事だった」

 

すると、今度はマミが口を開いた。

 

「偶々通りかかった道で、魔女と戦っている八谷君を見かけてね。それで助太刀して、その魔女をやっつけたの。それから話をしてね。偶然同じきっかけで仮面ライダーになった事を聞いて、それからは、私達2人でこの街を、それぞれの家族が親しんでいた見滝原を守っていこうと決意したの。小川君と出会ったのも、今から3ヶ月前だったわね?」

「あ、はい……」

 

星斗がそう頷く中、まどか達はあまりにもショッキングな過去話に呆然としていた。タケルも、マミが自分と同じ境遇で魔法少女になったと知って驚いていた。

 

「(初めてマミさんと会ったあの日に、マミさんが呟いていた事はこれの事だったんだ……)」

 

その表情に気付いたマミはまどか達を安心させるように言った。

 

「でも、後悔してる訳じゃないのよ。今の生き方も、あそこで死んじゃうよりは余程良かったと思ってるから。……でも、だからこそちゃんと選択の余地がある子には、きちんと考えた上で決めてほしいの。私に出来なかった事だからね」

 

すると、それまで黙っていたさやかが口を開いた。

 

「ねぇ、マミさん、隼人さん」

「?」

「どうした?」

「願い事って、自分のための事柄でなきゃ、ダメなのかな……?」

 

そう呟くさやかの表情は真剣そのものだった。

 

「た、例えばの話、あたしなんかよりも、余程困ってる人がいて、その人のために願い事をするっていうのは……」

「それって、上条君の事?」

 

まどかが思わずそう呟くと、さやかは顔を赤くして、慌てて顔の前で手を振った。

 

「た、例え話だって言ってるじゃんか!」

「……で、どうなんだ? キュゥべえ?」

 

誠司に尋ねられたキュゥべえはそっけなく答えた。

 

「もちろん可能だよ。別に契約者自身が願い事の対象になる必要性は無いし、前例も無い訳じゃないからね」

「そうなんだ……?」

 

晶がそう呟くと、不意にマミが言い添えた。

 

「……でも、あまり感心出来た話じゃないわね」

 

皆が一斉にマミの方に注目した。

 

「他人のために願いを叶えるのなら、尚の事自分の望みをはっきりさせておかないといけないわ。美樹さん、あなたは彼に夢を叶えてほしいの? それとも、彼の夢を叶えた恩人になりたいの?」

「……」

 

その言葉に、さやかは黙り込んだ。隼人が言葉を繋いだ。

 

「今言った2つの事は、同じようでも全然違う。それに、それを知ってしまったその男は、その後どんな気持ちになるか考えているのか? もっと言えば、その願いがそいつのためになるとは限らない」

「……その言い方は、ちょっと酷いと思います」

「さやかちゃん……」

 

さやかは悔しげに俯きながら、バットを持つ右手に力を込めた。そんなさやかに2人は優しく言った。

 

「ごめんね、美樹さん。でも、今のうちに言っておかないと。そこを履き違えたままさきに進んだら、あなたはきっと後悔するから」

「俺は後悔しない選択だと判断した上で、今言ったような契約をキュゥべえと結んだ。だから、さやかはもちろん、他のみんなも、後悔だけはしないようにしてほしい」

「……そうだね。あたしの考えが甘かった。ごめん」

さやかはそう結論を出して呟いた。それから、一同は再び歩き始めた。

やがて、星斗がポツリと呟いた。

 

「……でもまぁ、難しい事だよな。焦って決めるべきじゃないし」

「僕としては、早ければ早いほどいいんだけどね」

「ダメよ。女の子を急かす男子は嫌われるぞ」

 

キュゥべえの言葉に、そうマミが茶化すと、辺りは笑いに包まれた。ただ1人、仁美だけは、さやかの話を聞いてから、どことなく元気が無いような表情を浮かべていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、まどかは自室でベッドの上に転がっていた。そして数時間前の事を思い出しながらポツリと呟いた。

 

「やっぱり、簡単な事じゃないんだよね……」

「さっきはああ言ってしまってたけど、僕の立場で急かす訳にはいかないからね。助言するのもルール違反だし」

 

キュゥべえがまどかのすぐ隣でしっぽを振りながらそう言った。まどかは魔法少女達の絵が描かれたノートを眺めながら、自分自身に問いかけた。

 

「ただなりたいってだけじゃ、ダメなのかな……?」

「まどかは、力そのものに憧れているのかい?」

「いや、そんなんじゃなくて、う〜ん……」

 

まどかは悩みながら、自分の思っている事を全てさらけ出した。

 

「……でも、そうなのかな? 私ってどんくさいし、何の取り柄もないし、だからタケル君達みたいにカッコよくて、素敵な人になれたら、それだけで充分に幸せなんだけど……」

 

すると、キュゥべえがこんな事を口にした。

 

「まどかが魔法少女になれば、マミよりずっと強くなれるし、タケルと同じくらいの力を手に入れれるよ」

「……へ?」

 

思わずまどかは上半身を起こした。

 

「もちろん、どんな願い事で契約するかにもよるけれど、まどかが生み出すかもしれないソウルジェムの大きさは、僕にも測定しきれない。これだけの素質を持つ子と出会ったのは初めてだ」

「はは……。何言ってるのよ、そんなの嘘でしょ?」

 

まどかは笑って誤魔化すが、キュゥべえの赤い目は真剣だった。そして、キュゥべえはさらにこんな事を言った。

 

「まどかだけじゃない。あのタケルも、僕が見てきた中では、トップクラスの素質を持っていた」

「タケル君も?」

「あぁ。さっきも言ったように、まどかと同じぐらいの魔力を持っていた。僕としても、どうしてあんな子に最初から目をつけなかったのか、不思議なくらいにね」

「? それってどういう……」

 

まどかが、キュゥべえの言い方に疑問を抱いて尋ねようとした時、部屋の扉がノックされて、外から知久の声が聞こえてきた。

 

「まどか、起きてるか?」

「うん、どうしたの?」

「ママが帰ってきたんだが……。ちょっと手伝ってくれないか?」

 

そう言われて、まどかはカーディガンを羽織ってからとりあえず知久と共に一階に降りた。玄関を見ると、飲み会に出かけていた詢子が倒れこんでいるのが確認出来た。

 

「み、水……」

 

……あぁ、またか、とまどかはため息をつきながらそう思った。詢子はお酒に酔いすぎると、このような状態になる事が度々あるのだ。知久が水を持ってきて、詢子の口に含ませると、彼女は上機嫌になった。それを確認したまどかは、ベッドまで運んで着替えさせるために、知久と共に肩を担いだ。

 

「うぅ……。あのスダレハゲ……、飲みたきゃ手酌でやってろっての……」

 

誰かの悪口を垂れ流しながら愚痴る詢子に呆れつつも、2人はどうにかして詢子を着替えさせ、ベッドに寝かせた。

 

「ありがとう。ココアでも淹れようか」

 

そう言って知久は、まどかと共にキッチンに向かい、ココアを淹れ始めた。

席についたまどかは、不意に知久に尋ねてみた。

 

「なんでママはあんなに仕事が好きなのかな……? 昔からあの会社に憧れてて、働くのが夢だった……なんて事は無いよね?」

 

その疑問に、知久はこう答えた。

 

「ママは仕事が好きなんじゃなくて、頑張るのが好きなのさ。嫌な事も辛い事もいっぱいあるだろうけど、それを乗り越えた時の満足感が、ママにとって最高の宝物なのさ。そういう意味で、今の難しくて大変な仕事は、ママにとってとてもやりがいがあるんじゃないかな」

 

知久がココアの入ったコップをまどかに差し出すと、まどかは笑顔で受け取って、また質問をした。

 

「ママは、満足なのかな? それで」

「そりゃあ、会社勤めが夢だった訳じゃないだろうけどさ。それでもママは、理想の生き方を通してる。そんな風にして叶える夢もあるんだよ」

「生き方そのものを夢にする……?」

 

やや難しい内容に、まどかは首を傾げていた。やがて、まどかはこんな事を尋ねてみた。

 

「ねぇ、パパ。パパは、ママが外で働きたいって言ったから、我慢して家にいてくれるの? 私達の世話をしてくれてるの?」

「つまり、パパがママの為に我慢してるのかって事かい?」

 

知久が若干驚いたような表情を見せながらそう言うと、まどかは頷いた。そしてすぐに微笑んでこう言った。

 

「パパはね、ママのそういうところが大好きなんだ。尊敬出来るし、自慢出来る。そのおかげで、こうしてまどかやタツヤとゆっくりと話せる時間が出来たからね」

 

それを聞いて、まどかは微笑みながら、胸の奥が熱くなるのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーその日の深夜ーーー

 

 

 

 

 

マミは隼人と共に、まどか達と一緒に行動してた時とは別にパトロールをしていた。彼らはまどか達と違って家族がいない為、夜遅くても心配してくれる人はいない。

途中で隼人と分かれて、公園内を散策していた時、何かの気配に気づいて、手にあったソウルジェムを指輪の状態に戻した。

すると、背後から声が聞こえた。

 

「……分かっているの?」

 

マミが振り向くと、そこにはいつの間にか、ほむらが立っていた。彼女の冷たい目は、マミを見据えている。

 

「あなたは、無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」

「あの子達はキュゥべえに選ばれたのよ。もう無関係じゃないわ」

 

マミがそう反論するが、ほむらはそれを無視して言葉を続けた。

 

「あなたはあの6人を魔法少女や仮面ライダーに誘導し、天王寺 タケルを味方につけようとしている」

「それが面白くないわけ?」

「えぇ。迷惑よ。特に、鹿目 まどかと天王寺 タケル……」

 

それを聞いて、マミは何かを察したように、うっすらと笑みを浮かべた。

 

「ふうん……。あなたも気づいていたのね、あの2人の素質(・・)に」

 

それは、先ほどキュゥべえがまどかに向かって言っていた事とほぼ同じ内容だった。

ほむらはさらに表情を険しくしながら呟いた。

 

「天王寺 タケルはああなってしまった以上は仕方がない。けど、鹿目 まどかだけは、契約させる訳にはいかない」

「自分より強い相手は邪魔者って訳? いじめられっ子の発想ね」

 

マミはそう軽くあしらった。風が吹き、ほむらのマミに対する敵意はさらに強くなる。

 

「あなたとは戦いたくないのだけれど……」

「なら、2度と会う事の無いように努力して。話し合いで事が済むのは、きっと今夜が最後だから……」

 

それは完全なる決別を意味していた。ほむらが何も答えないのを確認すると、マミはほむらに背を向けて、公園を立ち去っていった。

ただ1人取り残されたほむらは悔しそうに歯ぎしりしていた。

 

「(……あなたは、いつもそうだった。巴 マミ。この時間軸でも、結局同じ……。このままだと、あなたは明日……)」

 

空を見上げながらそう思ったほむらは、どこか諦めつつも、どうにかしようと悩むそぶりを見せながら、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、隼人は人気の無い、橋の下を通っていた。が、目の前に現れた人影を見て、その足を止めた。

 

「……何の用だ、工藤 マコト」

「……」

 

突如現れたマコトは、隼人の前に立ちふさがるように前に出た。だが、何も語らない。

 

「ちょうどいい。お前達に聞いておきたい事があったからな」

 

そして隼人は、包み隠さず、マコトにこんな質問をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前とほむら、それにタケルは、いつキュゥべえと契約したんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この事をまどか達が聞いていたら、相当ビックリしていたはずだ。それもそのはず。本来魔法少女や仮面ライダーになる為には、キュゥべえの仲介が必要だ。だが、隼人の口から出た言葉は、予想だにしないものだった。

 

「昨日キュゥべえから話を聞いた。あいつは、お前達だけでなく、タケルとも契約をかわした覚えが無いと言っている。何か心当たりはあるのか? そもそも、お前達2人は、いつから魔法少女や仮面ライダーとして戦っている……?」

「……それが知りたいなら」

 

ようやく口を開いたマコトは、その右手にスペクターゴーストアイコンを持った。

 

「……直接口を割れって事か」

 

マコトの意図を理解した隼人も、ハウンドゴーストアイコンを取り出した。

2人の腰にゴーストドライバーが出現し、同時にスイッチを押してバックルに嵌めた。

 

『『アーイ!』』

『バッチリミテー! バッチリミテー! バッチリミテー!』

『バッチリミロー! バッチリミロー! バッチリミロー!』

 

双方のパーカーが飛び出して、互いに火花を散らせた。隼人は右手を左胸に近づけて、マコトは右腕をそのまま右に持って行って、同時に叫び、レバーを引いて押した。

 

「「変身!」」

『カイガン! ハウンド! ヒァウィゴー! 覚悟! オーオーゴースト!』

『カイガン! スペクター! レディゴー! 覚悟! ドキドキゴースト!』

 

2人の上半身にパーカーが羽織られたと同時に、2人は走り出した。

 

「はぁっ!」

「ふん!」

 

隼人がパンチしてくるのを、マコトは身を低くしてかわし、懐に入って突きを入れるが、隼人はこれを足でガードする。

 

『ガンガンガンマン!』

『ガンガンハンド!』

 

2人は各々の武器を取り出すと、銃を使って遠距離攻撃を仕掛けながら、時折接近戦に切り替えていた。

激しい殴り合いや蹴り合いが続き、2人は坂を転がっていった。すぐさま立ち上がった隼人はビリー・ザ・キッドの英雄アイコンを取り出して、バックルに嵌めた。

 

『アーイ! バッチリミテー! カイガン! ビリー・ザ・キッド! 百発百中! ズキューン! バキューン!』

 

2丁のガンガンガンマンで撃ちまくる隼人だが、マコトも引けを取らずに、最低限の動きでかわしていた。

 

「そっちがその気なら……」

 

マコトは英雄アイコンを取り出して、バックルに嵌めた。

 

『アーイ!バッチリミロー! バッチリミロー!』

 

紫色のパーカーが飛び出してきて、隼人を引き離すと、レバーを引いて押した。

 

『カイガン! ノブナガ! 俺の生き様! 桶狭間!』

 

尾張の三大将軍の1人、織田 信長の力を宿したノブナガゴーストアイコン。どうやらそれが彼の契約の対価と関係あるようだ。隼人はそう思いながらも、果敢に攻めていった。

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!」

「……はっ!」

 

だが、先ほどと違ってマコトのパワーは上がっており、いとも簡単に隼人を押し返した。バランスを崩したその隙に、マコトは隼人の腹めがけてガンガンハンドの銃口から弾を乱射した。

 

「ぐぅ……⁉︎」

 

体から火花が散って、隼人は倒れかけた。隼人も負けじとマコトに撃っていたが、照準が定まらず、かすりもしない。

 

「……その程度で、俺から情報を聞き出せるとは、あなたはやはり甘い」

「ぐ、がはっ……!」

 

マコトは躊躇なくガンガンハンドを、ゴーストドライバーにかざした。

 

「そろそろ終わりにしよう……」

『ガンガンミロー! ガンガンミロー!』

 

マコトの周りにいくつものガンガンハンドの分身が出現し、そしてトリガーを押した。

 

『オメガスパーク!』

 

一斉に放たれたその弾丸は、隼人に回避や迎撃をさせる暇さえ与えず、全て直撃させた。

 

「ぐ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

隼人は吹き飛ばされ、川の中に落ちた。それを見届けたマコトは変身を解き、隼人が落ちた所に踵を返して、何事も無かったかのようにその場を離れた。

しばらくして、隼人は岸辺にたどり着き、変身を解いた。その表情は先ほどの攻撃による恐怖に染まっていた。

 

「あれが、あいつの力……。なんて、パワーだ。あんな奴に、敵うのか……⁉︎」

 

隼人は、思わず内ポケットに入っていた、弟の形見でもあるおもちゃのピストルを外から握りしめた。後から駆け付けたマミに回復させてもらい、ある程度の情報を交換してから、各自、家に戻っていった。

 

 

 

 




今回はマミと隼人の過去の話、そしてハウンドvsスペクターという形になりましたが、いかがでしたでしょうか?

そして、前書きでも話したように、先日WIXOSSの映画を観てきましたが、本当に良い内容でした。私自身、テレビ版ではどうしても腑に落ちない所があったのですが、この劇場版を観て、それもスッキリしました。特にラスト15分はファンなら絶対に必見です! まだ観てない方は、是非ともご覧になってください!「まどマギ」に引けを取らない感じになってます!
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