魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜 作:スターダストライダー
まどかとマミが先を急いでいた頃、タケルと御成は病院外で隼人の到着を待っていた。
「まどか殿にマミ殿は大丈夫なのでしょうか……」
「大丈夫だって。俺はマミさんを信じてるからさ……」
「信じる、ですか。タケル殿らしいですな」
2人がそう話していると、遠くに人影が見えた。それは間違いなく隼人だった。
「タケル! 御成!」
「隼人さん!」
「マミは?」
「この結界の中に先に入って行きました。誠司達も中にいます!」
「分かった。すぐに向かうぞ!」
そう言って3人は、結界内に入っていった。
結界の中は、まどか達が最初に入った時とは形状が変わっており、通路が入り乱れていた。
「こんなに複雑になってたら、どこにいるのか分かんないな……」
タケルが頭を悩ませていると、隼人が言った。
「キュゥべえがみんなのところにいるはずだ。テレパシーで呼んで位置を確認しよう」
それから意識を集中してキュゥべえに話しかけた。
『キュゥべえ、聞こえるか?』
『隼人か! タケルもいるんだね?』
『あぁ。御成と一緒にな。そっちはどこにいるんだ?』
『今は結界の最深部近くにいる。なるべく急いでくれ。もうすぐ魔女が孵化しそうなんだ!』
『分かった。すぐに向かう』
隼人は振り返って、2人に告げた。
「魔女が孵化しかけているらしい。急ぐぞ」
「「はい!」」
2人も返事して、先に進もうとした時だった。
「どこへ行くつもりだ?」
後方から声が聞こえてきたので、全員が声のした方に目を向けると、そこにはマコトがいた。
「マコト……! どうしてここに……⁉︎」
「そんな事はどうでもいい。ここから先は俺が行く。お前達は邪魔をするな」
「んな事言われたって、この奥にはまどか達がいるんだ! このまま引き返せるかよ!」
タケルが反論するも、マコトは全く聞く耳を持たない。それどころか、低い声でこう呟いた。
「……また、他人の為、か」
「?」
「……まぁいい。ここでお前達を倒せば、それで済む話だ」
マコトはスペクターゴーストアイコンを取り出して、腰にゴーストドライバーを出現させた。それを見て、隼人は昨晩の事を思い出した。圧倒的な力の差に敗れてしまい、その事が、今日まで恐怖として体に染み付いていた。隼人が震えているのを確認したタケルは、疑問に思いながらも声をかけた。
「隼人さん! 一緒に戦いましょう! 今はそれしか、まどか達にたどり着く方法がないんですよ!」
「……あ、あぁ。分かった」
隼人も、止むを得ずといった表情で、ハウンドゴーストアイコンを取り出した。タケルもオレゴーストアイコンを取り出し、3人同時にアイコンをバックルに嵌めた。
『『『アーイ!』』』
『バッチリミナー! バッチリミナー! バッチリミナー!』
『バッチリミロー! バッチリミロー! バッチリミロー!』
『バッチリミテー! バッチリミテー! バッチリミテー!』
「「「変身!」」」
『カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』
『カイガン! スペクター! レディゴー! 覚悟! ドキドキゴースト!』
『カイガン! ハウンド! ヒァウィゴー! 覚悟! オーオーゴースト!』
3人の上半身にパーカーが羽織られると、同時に走り出した。
「うぉぉぉぉぉぉっ!」
「はぁぁっ!」
タケルが先制してマコトに向かうが、軽く足払いされて、転がった。
「! タケル殿!」
「御成! 危ないから下がってるんだ! 」
「は、はい!」
御成は慌てて近くの物陰に隠れた。
タケルに変わって今度は隼人が、ガンガンガンマンで撃っていたが、マコトは余裕でかわしていた。その隙をついて、再びタケルが接近戦に持ち込んだ。
「本当はこんな風に戦いたくないけど、みんなのところに行く為だ!悪く思うなよ!」
「そんな事を気にしてる場合か?」
タケルのパンチを抑えつけていたマコトはそう呟くと、回し蹴りでタケルを吹き飛ばした。
「ぐわっ⁉︎」
「タケル! この……!」
隼人も狙い撃ちを続けるが、一向に当たる気配がない。
「その程度の攻撃など……!」
『ガンガンハンド!』
マコトはガンガンハンドを取り出して、一気に隼人との距離を詰めると、ガンガンハンドで殴り倒した。
「ぐぅ……!」
「! 隼人さん!」
「昨日の一件で敵わないと分かっていても、かかってくるか……。あなたもやはり、巴 マミや他人の為に、戦うのか」
「……あぁ、そうだ。分かっていても、やらなきゃならない時もあるからな」
「無駄な事だな」
「何……?」
皆が不審に思う中、マコトはこんな事を口にした。
「巴 マミは、間も無く死ぬ運命にある」
「な……⁉︎」
「何ですと……⁉︎」
タケルと御成は仰天し、隼人は何も言えずに驚いている。
「どうしてそんな事が言えるんだよ⁉︎」
「それはお前が一番よく知っているはずだ。八谷 隼人」
そう言ってマコトは隼人を見据えた。
「巴 マミは繊細な心の持ち主だ。ああいうタイプは上機嫌になればなるほど、周りへの意識が薄れる。それが油断となって、自ら滅んでいく。そういう人なんだ」
「でも、だからってなんでマミさんが死ぬ事になってるんだよ⁉︎」
「今、この結界を張っている魔女は、これまでのやつとは別格だ。今まで通りの戦法では、まず倒せない。油断しているあの人なら、なおさらだ。そして、周りを巻き込んでいく。死への道のりへとな」
「! そんな、事が……!」
隼人は愕然としていた。家族を亡くし、精神的にズタズタになっていた彼に手を差し伸べてくれたマミが、消えるかもしれない。そう思うと、隼人は次第に動揺を隠せず、混乱していた。
そんな隼人を、冷徹な目で見下ろしていたマコトは、隼人を蹴り飛ばした。
「ぐぁっ……!」
「! 隼人殿!」
「……あなたも弱い。所詮仮面ライダーになったところで、周りの全員をどんな時でも救えるなどといきがっているうちは、俺には敵わない。全を捨て、個を選ばない限りはな……」
「(俺には、何も、出来ないのか……? こんな、ところで、マミが死ぬのを黙って見ているだけなのか……?)」
とどめを刺さんとばかりに、マコトがガンガンハンドを振り下ろそうとした時だった。
「……そんな事、俺がさせない!」
そう叫んでマコトに体当たりしてきたのは、仮面ライダーゴーストこと、タケルだった。
「!タケル殿!」
「タケル……!」
「……何のつもりだ? 今更お前が抗ったところで、巴 マミの運命は……!」
「勝手に決め付けられて、たまるかよ! そんなもの、俺が変えてやる!」
タケルはマコトを睨みつけながらそう宣言した。それから、隼人の方に振り向いて叫んだ。
「隼人さん! しっかりしてください! まだマミさんは生きてるかもしれないんですよ! だから、諦めないでください! 諦めなければ、どんな運命も変えられる!」
「タケル……」
「マミさんは、絶対に俺が救ってみせます!だから、隼人さんも、一緒に助けましょう!」
「ふん!」
そこへ、マコトがタケルに接近して腹にパンチを決めた。タケルは後ずさったが、根性でギリギリ立っていられた。
「また他人の為か。いい加減その思考から外れたらどうなんだ? お前が抗ったところで……」
「何度も言わせるな! 俺の答えは、お前の話を聞いて、最初から決まってる! マミさんやまどか、みんなを助けるってな!」
そう言ってタケルはムサシゴーストアイコンを取り出して、スイッチを押した。対するマコトも、ノブナガゴーストアイコンを取り出し、同じようにスイッチを押した。
『『アーイ!』』
『バッチリミナー! バッチリミナー!』
『バッチリミロー! バッチリミロー!』
両者のパーカーが激突する中、2人は同時にレバーを引いて押した。
『カイガン! ムサシ! 決闘! ズバッと! 超剣豪!』
『カイガン! ノブナガ! 俺の生き様! 桶狭間!』
ムサシ魂と、ノブナガ魂にゴーストチェンジした2人は、各々の武器を駆使して、接戦を繰り広げた。類い稀なる動きをしているマコトからは、ベテランの風格が溢れており、まだ仮面ライダーになって日の浅いタケルでは追いつくのが精一杯だった。だが、次第にタケルの動きが良くなりつつあった。
「! こ、これは……!」
「おぉ! いけますぞ!」
それを見ていた隼人と御成も歓声を上げた。
マコトも、タケルの順応性の高さに驚いているようだが、それでもなお、タケルの攻撃をしのいでいた。
「考えるのを放棄しただけか……」
「それは違う! 俺は、覚悟を決めたんだ! マミさんやみんなを救うってな!」
一瞬の隙をついて、遂にタケルがマコトを二刀流で斬りつけた。マコトは後ろに下がりながら、タケルを睨みつけた。
「貴様……!」
「確かにお前は強い! それは最初にお前と戦った時によく分かってる!」
それでもなお、タケルはマコトを恐れなかった。その理由を、タケルは思いっきり叫んだ。
「けど、どんなに強くたって、諦めなければいいんだ! 負けたと思わない限り、俺は負けてないから!」
「……!」
それを聞いて、マコトは初めて動きを止めた。
『アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー! カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』
その間に、タケルはオレゴーストアイコンを使って、通常形態に戻った。
「俺は、俺を信じる!」
そして、隼人に目を向けた。
「だから隼人さんも、自分自身を信じてください! その為なら、俺はいつでも力になります!」
「タケル……。お前って奴は……」
隼人には、タケルがいつも以上に輝いているように見えた。タケルはレバーを1回引いて押してから、人差し指と中指を立てて、右足に気合いを込めた。
「命、燃やすぜ!」
『ダイカイガン! オレ! オメガドライブ!』
対するマコトも、ガンガンハンドを放って、レバーを1回引いて押した。
『ダイカイガン! ノブナガ! オメガドライブ!』
「はぁぁぁぁぁっ!」
マコトも右足に気合いを入れて、両者は同時に飛び上がり、ほぼ同時に飛び蹴りが炸裂した。辺りに爆音が鳴り響き、煙が辺りを支配した。
「! タケル!」
「タケル殿!」
2人が心配する中、やがて2人が煙の中から現れて、地面に落下して倒れこんだ。
「ぐ……⁉︎ やるな……」
「これほどの、強さ……、とは……!」
互いに立ち上がる中、隼人と御成がタケルに駆け寄った。
「タケル殿! ご無事ですか⁉︎」
「あ、あぁ。何とかな……」
タケルが頷いていると、隼人が声をかけた。
「……タケル。お前には礼を言わなければならない。俺は、失う事が怖かった。あの時の家族みたいに、周りから人が消えていくのが、たまらなく怖かった。……けど、お前が教えてくれた。自分を信じれば、誰かの運命も変えられる。失われるはずの人を助けられる」
そして、隼人はタケルをまっすぐ見つめてこう言った。
「もう何も恐れない」
それから、マコトの方を向いて呟いた。
「俺は、マミを助ける……!」
「! 八谷 隼人、あなたは……!」
マコトが動揺する中、隼人は2人に言った。
「行くぞ。みんなのところへ!」
「はい!」
「行くぜ!」
3人はマコトのそばを通って、結界の奥へと向かった。
「!待て……!」
マコトが追いかけようとした時、テレパシーでほむらの声が聞こえてきた。
『マコト……!』
『! どうした……!』
『ごめんなさい。巴 マミとまどかが奥に向かったわ。私も巴 マミに拘束されて動けないの。こっちに向かえる?』
『……あぁ。こっちもタケル達を行かせてしまった。先にそっちに向かう。今のあいつらだけでは、あの魔女には勝てん』
『……そうね。じゃあ、すぐに来て』
『分かった』
マコトはテレパシーを切ると、魔力を辿ってほむらのいるところに向かった。そして、先ほどのタケルの言葉を思い返していた。
「(負けたと思わない限り、負けてない……か。お前らしい考えだが、それでどうにかなるほど、現実は甘くないぞ、タケル)」
久々に出ました、タケルの名言! 本編の方でも、結構カッコいいですよね、「負けたと思わない限り、俺は負けてない」や「命、燃やすぜ!」といったセリフ!
次回で第1章は完結します。果たして、マミの運命や如何に。
次回もお楽しみに。