魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜 作:スターダストライダー
今回は新しい契約者が登場! 誰がなるのかはお楽しみに。
……それにしても、イゴールの性格の悪さといったら……。
「お二方に大事な話がございます」
そう言って目の前にいるマミと隼人に向き合って語ったのは御成だった。
まどかとタケルの2人と別れた後、御成はマミと隼人にある決意を話そうと思い、3人だけで人気の無い所に集まったのだ。
「どうしたの? こんな所で話なんて……」
「……何か、重要な事なんだな?」
隼人にそう言われて、御成は静かに頷いた。
しばらくの沈黙の後、御成はこう話した。
「……今の拙者は、あまりにも無力にござるのです」
「?」
「まどか殿があれほど必死にさやか殿を大切に想い、力を合わせようと、共闘を持ちかけたのに、拙者はただそれを見てるのみ……。タケル殿も自らの考えを持ち、ほむら殿にマコト殿、彼らを説得されていた。にもかかわらず、拙者はタケル殿に声をかけられずに、あのような仕打ちを受けられた……」
そうやって自分の気持ちを吐露している御成の表情はいつもと違って暗かった。
「このままこれからも、ただタケル殿達の裏に隠れているだけなど、拙者には耐えられません! この臆病な拙者を変えていきたいのです!」
そこまで御成が語った時、隼人が何かを悟ったようにハッとした。
「御成、お前まさか……」
「その通りにてございます」
御成は気を引き締めて、強い眼差しを2人に向けたままその一言を口にした。
「拙者も、キュゥべえ殿と契約を結び仮面ライダーとなり、タケル殿に助太刀したいのでございます!」
「! 待って御成君! あなたも知ってるはずよ……! 仮面ライダーになれば、もう普通の日常には戻れなくなる……! 文字通り命がけの戦いが待ち受けているのよ……!」
マミが反対する中、隼人は黙って御成を見ていた。
「命がけである事は拙者も承知の上であります。ですが、それはお二方やタケル殿、さやか殿も同じ事。それ以上に、拙者もタケル殿の仰っておられた理想を実現させていきたいのです!」
いつにも増して強気な御成の言葉に、2人は何も言い返せなかった。やがて、隼人が観念したかのように口を開いた。
「……本当に、それで後悔はしないんだな?」
「もちろんでございます!」
「……なら、俺も無理には止めない。強い意志を持っている今のお前を止めた所で聞かないかもしれないからな」
どうやら隼人は、御成が契約する事を認めたようだ。隣にいたマミも少し考えてから、意を決して御成に言った。
「……分かったわ。だけど無茶しちゃダメよ。後輩が傷つくのはもっと嫌な事だから」
「はい!」
御成はいつものように元気良く返事をした。
「一昨日さやかが契約したと考えれば、恐らくキュゥべえはまだこの街にいるはずだ。テレパシーであいつを……」
『それなら大丈夫。僕はここにいるよ』
すると、3人の頭にキュゥべえの声が聞こえてきた。3人が辺りを見渡すと、近くにあったベンチにチョコンと座っているのが見えた。キュゥべえは御成をジッと見つめながら話しかけた。
「君の決意は聞かせてもらった。改めて聞くけど、本当に良いんだね?」
御成は強く頷くと、キュゥべえも同じように頷いた。
そして、マミと隼人が見守る中、御成の体は輝き始めた。
その頃、日も暮れてきた時間帯にタケルは母親にバレないように家の外に出た。この日も魔女退治に向かう為、さやか達と合流する事になっていた。
が、家を出てすぐの所で待っていた人影がいた。それはまどかだった。
「……まどか?」
「タケル君……」
「こんなとこで何してんだ?」
「タケル君は、今日も行くの……?」
恐らく魔女退治に行くかどうかを聞かれているのだろう。そう思ったタケルは首を縦に振った。
すると、まどかがタケルの腕を掴んで言った。
「あ、あのね。私じゃ何も出来ないし、足手まといになるのは分かってるんだけど、でもね……。邪魔にならない所まででいいの。行ける所まで、一緒に、ついていきたいの……」
「まどか……」
「タケル君やさやかちゃんが辛い目にあってるのに、私だけが何もしてあげられないのは、その……。とても、辛いの」
その言葉を聞いて、タケルは昼間にマコトに言われた事を気にしつつも、まどかの手を掴み返した。
「……分かった。ありがとな。じゃあ、今までみたいに後ろからついてきてこいよ。俺が守るからさ」
「……うん」
まどかも少し安心した顔つきになり、2人はさやか達との待ち合わせ場所に向かった。集合場所にはすでにさやかと星斗がいたが、なぜかマミと隼人の姿は無かった。そしてさやかと星斗もまどかがいる事に驚いている。
「まどか⁉︎ どうしてあんたが……」
「う、うん。まぁね……。それよりも、マミさんと隼人さんは?」
「いや、まだ来てないんだ。いつもなら集合時間よりも少し早く来てるはずなんだけど……」
星斗が首を傾げていたが、仕方なく今いる4人だけでパトロールする事にした。
そうしてしばらく歩くうちに、3人の持つソウルジェムやアイコンに反応があった。
「これって……!」
「魔女の結界が近くにあるみたいだな」
「行くぞ、みんな!」
4人が反応のある方へ走っていくと、周りの空間が歪み始め、薄暗かった周りの景色が、より濃い闇へと変貌した。
「ま、真っ暗だよ……」
まどかが怯える中、ようやく暗闇に目が慣れてきた星斗が何かを指差して叫んだ。
「おい、あれ!」
3人の視線の先には、一際目立つ、ケタケタと無邪気に笑う子供のような、黒い物体があった。その魔女は黒い霧に包まれて、全貌が見えない。
〜かくれんぼの魔女、レムレス〜
〜彼女に見つかれてしまったら最後、暗闇に怯え続ける恐怖に支配されてしまうだろう〜
「早速お出ましか……」
「じゃあ、行くわよ!」
さやかの合図と共に、タケルと星斗はゴーストアイコンを、さやかはソウルジェムを掲げた。
『『アーイ!』』
『バッチリミナー! バッチリミナー! バッチリミナー!』
『バッチリミロー! バッチリミロー! バッチリミロー!』
「「「変身!」」」
『カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』
『カイガン! アリトル! レディゴー! 覚悟! ドキドキゴースト!』
3人の変身が完了した後、まどかは後ろに下がり、3人の様子を見守っていた。すると、かくれんぼの魔女はスゥ……、と後ろに下がり、周りの景色に溶け込んだ。
「⁉︎ どこいった⁉︎」
さやかが剣を構えながら警戒していると、背中に衝撃が走り、さやかは吹き飛ばされた。
「きゃあぁぁぁぁぁっ!」
「さやかちゃん!」
「さやか!」
慌てて星斗が駆け寄り、さやかを地面に当たる前にキャッチした。
「今度は俺が……!」
さやかを下ろした後、星斗が殴りかかるが、またしてもかくれんぼの魔女は消えてしまった。と、今度は上空から体当たりしてきたが、星斗は素早く身を翻して、直撃を避けた。
「! みんな……!」
タケルも応戦しようとしたが、不意にマコトに言われた事を思い出した。
[お前のその想いが、どれだけの人を死なせてきたと思ってるんだ!]
「(俺は……、みんなを守りたい。そう思って今まで戦ってきた……。でも、それが本当に正しい戦い方なのか……? ひょっとして、マコトの言うように、俺のせいで周りが傷つく事もあるのか……?)」
「! タケル! 前!」
「⁉︎」
不意にさやかにそう言われてタケルが前を見ると、かくれんぼの魔女が暗闇から急接近してきたのが見えた。タケルはかろうじてガンガンセイバーでガードしたが、敵の押す力が強く、次第に後ずさっていた。
「タケル!」
と、さやかが素早く接近して、剣を突き立ててかくれんぼの魔女に攻撃したが、それに気づいたかくれんぼの魔女は後方に下がり、またしても暗闇に溶け込んだ。
「どうしたのよ⁉︎ さっきから全然らしくない動きして……。なんか調子が悪いの?」
「え、そ、それは……」
さやかは今日のタケルの動きに違和感を抱いているようだが、まどかと星斗には、その理由が何となく理解出来た。
「(もしかしてタケル君、あの時マコト君に言われた事を気にして……)」
「(まずいな……。かなり不安定な状態になってるぞ……⁉︎)」
星斗が警戒する中、再びかくれんぼの魔女が暗闇から飛び出してきて、タケルとさやかに攻撃した。
「うわっ!」
「きゃあ!」
「タケル君! さやかちゃん!」
まどかが叫ぶ中、かくれんぼの魔女はまどかに目もくれず、近くに転がったタケルに狙いを定めた。
「(! くそっ! このままじゃ……! 何も、守れない……!)」
タケルが片膝をついたまま、迫り来るかくれんぼの魔女の突進を見て、目を瞑った時だった。
「ティロ・フィナーレ!」
聞き覚えのある声と共に、巨大な銃弾がかくれんぼの魔女めがけて迫ってきた。銃弾は直撃こそしなかったが、その爆風でかくれんぼの魔女は横に吹き飛んだ。4人が一斉に振り返ると、そこにはマミが巨大化させたマスケット銃を構えて立っていた。
「マミさん!」
「遅れてしまってごめんなさいね。でも、もう大丈夫」
マミが微笑んでいると、彼女の後方から何者かが飛び出してきて、タケルに駆け寄った。
タケル達の目に映ったのは、鈴のついた冠をつけており、外見は僧侶のような感じの仮面をつけた人物。紛れもない、仮面ライダーがそこにいた。
「? あんたは……?」
タケルが声をかけると、そのライダーは大きな声で叫んだ。
「タケル殿! ご無事であったか!」
その、思わず耳を塞ぎたくなるほど大きな声を聞いて、タケルだけでなく、遠くで聞いていたまどかやさやか、星斗も驚きを隠せなかった。
「⁉︎ ま、まさかお前、御成なのか⁉︎」
「左様でございますぞ!」
目の前にいる仮面ライダー……御成は力強く頷いて肯定した。
「ど、どうしてお前が……⁉︎」
「拙者はタケル殿のように、誰かに手を差し伸べる姿に憧れを抱いておりました。そしてこの力ならば、拙者は変われる! そしてタケル殿の信念を実現させられるのです!」
自分の想いをぶつけた御成は、最後にタケルにこう言った。
「タケル殿! ここからは拙者も共に参りますぞ! ですから、自分の意思を、確かに強く持ってくだされ! そうすれば、きっとマコト殿やほむら殿もいずれ分かってもらえるはずです!」
その言葉を聞いて、タケルの足に、不思議と力が湧いてくるのを感じた。
「(……そうか! マコトに反対されたのは、俺の気持ちがまだ完全に伝わっていなかったからなんだ……! でも、御成の言うように心に強く念じていれば、いつか分かってもらえる! その為にも、ここで挫けるわけにはいかない!)」
タケルは立ち上がると、御成にお礼を言った。
「ありがとな、御成。俺、頑張ってみるよ。そんでもって、絶対に分かってもらうんだ。マコトやほむらに、俺の戦い方を。そしていつか、一緒に戦えるように強くなってみせる!」
「それでこそ、タケル殿らしい!」
2人の周りにさやか、星斗、マミが集まってから、5人はかくれんぼの魔女を見据えた。
「さぁ、みんな。行くわよ!」
「「「「はい!」」」」
マミの合図と共に、他の4人は返事をして、かくれんぼの魔女に立ち向かった。
先に先行して突撃したのはさやかと星斗だった。星斗が正面から攻防する中、さやかは背後に回り込み、剣を振りかぶってかくれんぼの魔女に攻撃した。攻撃が命中し、魔女が悲鳴のような声をあげると、再び逃げるように暗闇に紛れた。
「これじゃあ、また……!」
「拙者にお任せを!」
星斗が舌打ちする中、御成がそう言って取り出したのは、ピンク色の英雄ゴーストアイコンだった。御成はアイコンのスイッチを押して、バックルにはめ込んだ。
『アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!』
バックルから飛び出してきたのは、ピンク色のパーカーだった。御成はそのままレバーを引いて押した。するとパーカーが御成の上半身を覆い、体が輝き始めた。
『カイガン! ヒミコ! 未来の予告! 邪馬台国!』
御成のゴーストチェンジした姿、ヒミコ魂を見て、タケルは目を輝かせた。
「あれってもしかして、30余国を統治し、魏の明帝に朝貢した後に親魏倭王の称号や「漢委奴国王印」と記された金印を受けたとされる伝説の女王、日本のクレオパトラと言われた、あの卑弥呼の……!」
『ガンガンミラー!』
御成はバックルに手をかざして、中から手鏡のような形をしたガンガンミラーを取り出した。
「はぁっ!」
御成がガンガンミラーを掲げると、鏡から光が溢れ出し、辺りに降り注いだ。その優しい光に見惚れる中、暗闇が消え去り、暗闇に隠れていたかくれんぼの魔女の姿が確認出来た。
「! しめた! これならもう怖くも無いぜ!」
そう言って星斗はかくれんぼの魔女に殴りかかった。逃げ場を失ったかくれんぼの魔女はどうする事も出来ずに吹き飛ばされた。
「今度はあたしが!」
さやかが飛び上がり、剣をかくれんぼの魔女の脳天に突き刺した。かくれんぼの魔女は暴れまわり、苦しそうにしている。
「はぁっ!」
そこにマミの乱射の雨が降り注ぎ、かくれんぼの魔女は吹き飛ばされた。
「命、燃やすぜ!」
『カイガン! ムサシ! 決闘! ズバッと! 超剣豪!』
タケルもムサシ魂にゴーストチェンジして、二刀流で斬りつけた。ある程度斬りつけたところでタケルはガンガンセイバーをバックルにかざした。
『ガンガンミナー! ガンガンミナー!』
そしてタケルはガンガンセイバーのスイッチを押して、飛び上がって十字にクロスしてから、
『オメガスラッシュ!』
「はぁぁぁぁぁっ!」
そのまま斬り裂き、かくれんぼの魔女に攻撃を命中させた。すでにかくれんぼの魔女は虫の息だ。そう思ったタケルは御成に呼びかけた。
「御成! 今だ!」
「はい!」
御成もタケル同様、ガンガンミラーをバックルにかざした。
『ガンガンミナー! ガンガンミナー!』
御成がガンガンミラーをかざすと、そこに光が集約した。
「この仮面ライダー"シーザー"、邪気を滅しますぞ!」
『オメガシャイニング!』
ガンガンミラーから巨大な光線が放たれて、かくれんぼの魔女に直撃した。かくれんぼの魔女は声を出す暇もなく、光に包まれて消滅した。かくれんぼの魔女がいなくなった事で結界が崩れ去り、辺りは元の景色に戻った。
「やった!」
さやかが歓喜しながら変身を解除すると、マミもそれに続いて解除した。
『『『オヤスミー』』』
他の3人も各々のゴーストアイコンを取り出して変身を解除すると、一同は御成の所に集まった。
「助かったぜ、御成」
「うん! メッチャ強かったじゃん!」
「いやいや、それほどでも!」
星斗とさやかに褒められて、御成は上機嫌になった。が、後ろに仰け反って高笑いしすぎたのか、足を踏み外して、地面に背中から転がり落ちた。それを見て一同は笑いを抑えきれなかった。
「まだまだ修行が必要みたいね」
マミが苦笑しながらそう呟いた。御成が腰を抑える中、タケルが歩み寄って、御成に手を差し伸べた。
「これからもよろしくな、御成」
「こちらこそ!」
御成は笑いながら、タケルの手を掴んで立ち上がった。その様子をまどかはジッと見つめながら、
「(御成君も、叶えたい願いがあって、自分を変えたいと思って仮面ライダーになった……。私も、あんな風に変われる時が来るのかな……?)」
これから戦いの渦中に巻き込まれる事になる御成の身を案じる事の不安と、御成のように臆病な自分も、もしかしたら変われるかもしれないという期待を入り混じらせながらそう思っていた。
そんな彼らの様子をビルの上から見ていたのは、言わずと知れたほむらとマコトだった。
「……やっぱり、こうなってしまうのね」
ほむらが、どこか悔しげな表情を浮かべながら呟いた。
「あぁなってしまった以上、もうあいつも救われない。
マコトは踵を返すように振り向いて歩き始めた。ほむらもそれに続いた。
「……どのみち、あいつも後から死ぬ事に変わりは無い」
マコトがそう呟くと、2人はそのビルから立ち去っていった。
というわけで、今回は御成が契約して、仮面ライダーシーザーとなった回でした。本編の方でも、意外と活躍していた所もあったので、いっその事仮面ライダーにしてみれば良いと思い、このような展開になりました。
次回は、仁美の方にスポットを当てていきます。