魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました!

今回から、もう一つのスピンオフ作品も入っていきます!更に盛り上がる事間違い無し!

ハードル上げ過ぎかもしれませんが、よろしくお願いします。


28. 記憶喪失のかずみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……その少女が目を開けた当初、自分が本当に目覚めたのかまだ寝ているのか判断に迷っていた。

辺りを見渡しても、暗闇が支配している。どことなく狭苦しい感覚がした。

 

「(真っ暗だ……。ここは、どこ……?)」

 

少女が困惑している最中、不意に声が聞こえてきた。くぐもっていた為、性別までは判断出来なかったが、誰かと話しているようだ。

 

『……そうだ。金はいらない。約束を果たしてくれれば良い。使用方法は簡単だ。その赤いスイッチを押せば、3分後には、ボン! だからな』

「(何がボン、なの……?)」

 

会話の内容は全く理解出来なかった少女だが、それよりも重要な事を思い出した。

 

「(……って言うより、ここから出してよ〜⁉︎)」

 

少女はその狭い空間から脱出する為にとにかく暴れまくった。

 

「うぅ〜! 出ーせー!」

 

やがて少女が足で何かを蹴飛ばした時、目の前が急に明るくなった。どうやら少女はトランクの中に閉じ込められていたようだ。

彼女の目の前には、見知らぬ男性が開いた状態の携帯電話を片手に持って、少女を見て呆気にとられていた。少女は目の前にいた男性を誘拐犯だと思ったのだろう。すぐに男性を睨みつけて飛びかかった。

 

「私を閉じ込めていた誘拐犯は、お前かー!」

 

少女が男性の胸倉を掴んだ時、男性も抵抗するように少女の右手首を掴んだ。

 

「えぇい、離せ……!」

 

少女も抵抗していた時、男性が少女を見て何かに気づいたように固まっていた。その目線は少女の全身に向けられている。

 

「?」

 

その異変に訝しんだ少女が不意に視線を下に向けると、そこでようやく気づいた。

どういうわけか、少女は身につけるものを全く羽織っていない、つまり全身裸の状態で男性に馬乗りしていたのだ。

さすがに少女も恥ずかしくなり、顔を最高潮に赤らめていると、少女の腹の虫がマンションのワンルームに鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして、落ち着きを取り戻した両者はテーブルに向かい合った。少女の目の前には、男性が作ってくれたビーフストロガノフとコーヒーが並べられている。ちなみに少女は今、男性のお古を着ている。

 

「……じゃあお兄さんは、ショッピングモールを爆破する為に、爆弾入りのトランクを手に入れたんだね」

「……そうだ」

「なのに、入っていたのは私だったと」

「……あぁ」

 

少女は自分が入っていたトランクを見ながら、これまでの状況を整理していた。男性も静かに相づちをうっている。

ショッピングモールを爆破する、という内容だけでもかなり物騒な話ではあるのだが、少女にとって、今はそれほど重要では無かった。本題は目の前の料理にあった。

 

「なら、私を毒で殺す必要も無いよね?」

 

男性が無言で頷くと、少女は目を輝かせた。

 

「じゃあ、いっただっきま〜す!」

 

少女は目の前にいる誘拐犯らしき人物を前にしても恐れる事なくビーフストロガノフを味わっていた。

 

「……おぉ! 美味しい! ていうか超ウマ! うまーい!」

 

まるで久しぶりに美味しい料理に出会えたかのように元気良く食べる姿に、男性は少しばかり呆れていた。ちなみに男性はコーヒーを飲むだけだった。

 

「ご馳走様!」

 

そうこうしているうちに、少女はビーフストロガノフを食べ終えた。そして少女は目を輝かせながら男性に質問した。

 

「ねぇお兄さん。この味プロの人でしょ⁉︎ お店どこ? 私行きたい!」

「……ご飯粒残すやつには教えない」

「……あ」

 

男性がそう言うと、少女は皿にご飯粒が残っている事に気づいた。ここまで食事にこだわるところから見て、かなり腕の冴えた料理人である事が伺える。

 

「ごめんね、今食べるから。食べるからそのまま教えて」

 

少女はご飯粒残さず食べる事にした。その一方で男性は呆れながらツッコんだ。

 

「……いや、俺の事より、他に気になる事は無いのか?」

「え?」

「え、って……。どうして誘拐されたのか、とか、どうして丸裸だったのか、とか……」

「いや〜。お腹空いててそれどころじゃ無かった! でも何でだろうね! 何で……」

 

そこまで喋った時、突然少女がハッとしたかのように立ち上がった。ようやく事の重大さに気づいたのだろう。

 

「あれ、何で⁉︎ っていうか私、何も覚えてない!」

「じゃあ名前は?」

 

男性にそう言われて、少女は記憶の断片を辿って、自分の名前を言った。

 

「かずみ! でも苗字も家も分かんない!」

 

少女……かずみは動揺しながら、耳たぶにつけられていた鈴のようなイヤリングをチリンと鳴らして叫んでいたが、本人はそれ以上何も思い出せなかった。いわゆる記憶喪失という類かもしれない。

 

「どうしよう⁉︎ 私、記憶がない!」

 

どうやら自分が思っていた以上に厄介事に巻き込まれてしまったのかもしれない。男性が困り果てたようにうなだれていると、男性の所持していた携帯から音が鳴り響いた。

2人は顔を見合わせると、男性は携帯をとって電話に出た。もしかしたらかずみを誘拐した真犯人からかもしれない。そう思ったかずみは耳を近づけて電話の内容を聞いていた。

電話の向こうからはダミー声が聞こえてきた。

 

『オマエノ爆弾ヲ預かカッテイル。30分後、「BUY-LOT」ノベンチデ交換ダ。コナケレバ警察ニ渡ス』

それだけ告げた後、すぐに電話は切れた。向こうは取引を持ちかけているようだ。

 

「どういう事……?」

 

かずみが困惑していると、男性は携帯の画面を見つめながら当時の事を思い出して呟いた。

 

「……思い出した。このトランクを運ぶ途中、道で女にぶつかった。多分その時に入れ替わったんだ」

「じゃあ今の電話が誘拐魔なんだね」

「恐らく……」

「なら、取引しよう!」

「!」

 

男性が振り向くと、かずみは真剣な表情をして男性の持つ携帯を見ていた。

 

「今、私を知る手がかりは、誘拐魔だけなんだから」

 

そしてかずみと男性は仕度した後、男性がターゲットにしていたショッピングモールでもあり、誘拐魔の指定した、「BUY-LOT」に足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「BUY-LOT」は、見滝原の隣に位置する、あすなろ市の中でも最大級のショッピングモールだ。連日人が多く訪れて繁盛している。休日ともなれば、普段の倍以上の客がやってくるのだ。

そんなショッピングモールの中を、幾人もの中学生グループが辺りを見渡しながら歩いていた。

 

「デケェな……」

「ねぇ、さやかちゃん。CDショップの場所って分かってるの?」

「う〜ん……。あたしもこないだネットで見つけたばっかだし……。ちょっと分かんないかも」

「では、ここは手分けして探すというのはいかがでしょうか?」

「……けど、こんなに広いんじゃ、逆に迷っちまうぞ?」

「まぁ、まだ時間はあるわけだから、このまま固まって歩いて行きましょう」

 

それは、まどか、タケルなどといった、見滝原で活動している魔法少女に仮面ライダー及び候補生の面々だった。なぜ彼らがこの隣町に来ているのか。

それは、仁美が新たに魔法少女になって一週間近くが経とうとしていた頃の事。この頃になると、負傷していた隼人の右腕もようやく完治して、戦闘に参加出来るようになり、頼もしい戦力が復帰していた。そして久々に息抜きでもしようというマミの提案の元、どこかに出かける計画を立てていた際、さやかの頼みで、あすなろ市にある「BUY-LOT」に来ていた。彼女の目的は、上条にプレゼントするCDを買う事。見滝原の駅前のショッピングモールにもCDショップはあるのだが、目的のものが中々見つからず、困り果てていたので、あすなろ市のショッピングモールに来ていたのだ。

ちなみにこの日は仁美だけが習い事の都合で参加していない。残った9人で「BUY-LOT」にショッピングを楽しもうと、フロアを歩いていた時、後ろを歩いていたタケルが、大きなトランクを引いていた男性と肩がぶつかった。

 

「あ、すいません……」

「……こちらこそ」

 

男性は静かに謝ると、そそくさと立ち去っていった。タケルは男性の方を見つめながら訝しんでいた。

 

「タケル君? どうかしたの?」

 

まどかが気になってタケルの目線の先を追った。

 

「あ、ううん。何でもないぜ。(気のせい……か? あのトランクから女の子の声が聞こえたような……)」

 

タケルはトランクに違和感を感じながらも、気にせずマミ達の所に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、タケルの感じたものは決して気のせいでは無かった。そのトランクの中ではかずみが、先ほどタケルとぶつかった時の衝撃で頭を打って抑えていたのだ。

 

「いてて……」

 

どうにかして声を抑えていた時、男性の持つ携帯から再び音が鳴った。誘拐犯からだ。

 

「もしもし。……ブツは?」

『ソノベンチノ奥ダ』

 

男性が近くのベンチを確認すると、裏手に白いビニールで覆われたトランクを見つけた。間違いなく男性が元々所持していたものだ。男性はかずみの入ったトランクと、爆弾の入ったトランクを入れ替えた後、かずみに合図を送るようにかずみの入ったトランクをノックした。

 

「じゃあ、俺は行くよ」

 

すると、かずみの声が聞こえてきた。その声はどことなく寂しそうに聞こえる。

 

「ねぇ……。本当に爆弾使うの……? だってお兄さんのビーフストロガノフ、すっごい美味しかったよ。それなのに……」

「……そうしなきゃならない理由があるからな」

「……私、もし無事に助かったら、町中のお店全部探して、そんでもって、お兄さんのお店、絶対見つけるの。だからね、出来たら、使わないで欲しいな……」

「(……俺も、出来るならそうしたいものだ)」

 

勘違いしてもらっては困るが、男性は本気でショッピングモールを爆破しようとは思っていない。確かにこの「BUY-LOT」には因縁はあるが、そこまで大それた事は考えていないのだ。そもそも爆弾は彼が作ったものでは無く、謎の人物から渡されたものなのだ。

 

「(……ま、そんな事どうでも良いし、もう後には退けないからな)」

 

そう心の中で呟いた男性はトランクを引いてその場を立ち去ろうとした時だった。

 

「……なぁ、ちょっといいか」

「⁉︎」

 

男性の前に、5人の少年少女が立ちはだかったのだ。

両者が向き合う中、最初に口を開いたのは見た目は大人しそうな、メガネをかけた少年だった。

 

「あなた、今そこにあるトランクをすり替えてましたよね?」

「な、何の事だ……」

「とぼけなくても結構。改めさせていただいてもよくて?」

 

次に口を開いたのはこれまた賢そうな、腕組みをした少女だった。

その横にいた、オレンジ色の髪の毛の少女がニヤニヤしながら男性を見ていた。

 

「怪しいねぇ。犯罪の匂いがするんだな〜。そう思わねえか、龍?」

「おうよ。まるで取引でもしてたみたいじゃねぇか。ひょっとしてアレか? 俗に言う真っ白い粉的な?」

 

龍と呼ばれた、スタイルの良い少年も、話しかけてきた少女同様、その表情はニヤついていた。

 

「何なんだ、お前達は?」

 

男性の疑問に答えたのは、5人の中心にいた、背の低い少年が指を指して言った。

 

「通りすがりの中学生だ。覚えておけ!」

「(いや、覚えておけと言われても、名前も知らないんだが……)」

 

男性は心の中でそうツッコんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を、まどか達は偶然にも目撃していた。

 

「……何やってんだ? あいつら」

 

5人の男女と、トランクを引いている男性が対峙している奇妙な光景を見ていた隼人がそう呟いた。

 

「何かあったんでしょうか……?」

「さぁ?」

 

晶と星斗が首を傾げる中、背の低い少年が前に出た。

 

「さてと、とりあえず挨拶も済んだところで、早速……」

「お、おい、何をする気なんだ⁉︎」

「何って、そのトランクを調べさせてもらうに決まってるだろ?」

 

少年がトランクに近づく様子を見ていたタケルは思わず体が動いて、2人に接近していた。まどか達も気になって近くまでついていった。

 

「あの……」

「ん?」

 

少年と男性がタケルの方を振り向いた。

 

「どうかしたんですか? さっきから変な感じがするんですけど、何があったんですか?」

「いや、これは……」

 

男性の注意がトランクからタケルに移ったのを、オレンジ色の髪の毛の少女は見逃さなかった。すぐさま少年を追い抜いてトランクを奪取した。

 

「隙あり!」

「あ、おい! 待て!」

 

男性が慌てて取っ手部分を掴んだ事で、その衝撃でトランクが開き、中からボールのような形をした布切れが飛び出してきた。

 

「え、何だあれ⁉︎」

「⁉︎ こっちに来る⁉︎」

 

ボールはさやかの方に向かい、さやかはそのボールをキャッチした。

 

「……ボール? にしては変な作りだよね……?」

「それを返せ!」

「……わ⁉︎」

 

男性は慌ててさやかからボールをひったくった。

すると、その勢いで男性はボールにつけられていた、スイッチのようなものを押してしまった。と、その時、ボールにつけられていたモニターに数字が表示されて、3分を指し示した後、メモリが減少していった。男性はメモリを見て激しく動揺した。

 

「! しまった!」

「何だそれ⁉︎ カウントダウンみたいに減っていくぞ⁉︎」

「これって、まさか……」

「時限爆弾よ」

 

誠司と賢そうな少女の問いに答えたのは男性では無く、後方から聞こえてきた女性だった。一同が振り返ると、そこには拳銃を構えた女性がまどか達に向かって歩み寄っていた。その後ろからはゴツい装備をした警官隊がいる事から、女性が刑事である事が伺える。

 

「警察よ、動かないで」

 

女性は男性を睨みつけながら近づいた。

 

「あ、あの……」

「あなた達は、危ないから下がってて」

 

女性警官は一般人であるまどか達を下がらせた。

その一方で、ベンチの裏に置かれているトランクの中に身を潜めていたかずみは、外での剣幕に戸惑っていた。

 

「(け、警察? どういう事? 何が起きてるの……?)」

 

かずみが困惑する中、女性警官は男性に拳銃を向けながら口を開いた。

 

「あなたが立花 宗一郎ね」

「……」

「あなたがこのショッピングモールを爆破しようとしている事は分かってる」

「ば、爆破ですと⁉︎」

「ば、バカ! そんな大声出すなよ……!」

 

御成が思わず叫んだのを聞いていた、周りの野次馬達が驚いて後ずさっていた。中には携帯を取り出して動画を撮っている人もいる。

 

「少しでも抵抗すれば、あなたを撃つ」

「!」

 

あまりにも殺伐とした状況に、タケル達はその場から動けなかった。

と、その時だった。

 

「ちょっと待ったぁ!」

 

男性……立花の前に現れたのはトランクから飛び出てきたかずみだった。

 

「! かずみ……⁉︎」

 

背の低い少年が、少女の名前を口にした。周りの4人も含め、どうやら面識があるようだ。

一方、何も知らないまどか達は、突然の乱入に戸惑っていた。

 

「お、おい! 危ねえぞ!」

「危険よ! 早くその人から離れて!」

 

誠司とマミが呼びかけるが、かずみは首を横に振った。

 

「この人は悪い人じゃないもん!」

「……どういう事⁉︎ 立花は誘拐までしたって言うの⁉︎ そんな情報、私には届いて無かったはずなのに……」

 

女性警官も、かずみの登場に驚きを隠せない。

 

「違う! 立花さんは記憶喪失の私を助けてくれたの!」

「それと爆弾とは話が別よ! そもそも立花は「BUY-LOT」の経営者に騙されて、ここにあった店も土地も奪われた! 動機があるの!」

「マジかよ……」

 

タケルは思わず呻いた。が、かずみはそれでも動じなかった。

 

「でも……! でも、違う! 私、記憶は無いけど、覚えてるもん!」

 

かずみはそこで一度目を閉じ、何かを思い出すように黙り込んだ。そして再び目を開き、女性警官に言った。

 

「『食べ物を粗末に扱った奴は、本当の悪人。生きてエンドマークを迎えられない』」

「「「「「!」」」」」

 

それを聞いて、5人の少年少女は顔を見合わせた。

 

「お兄さんは、ご飯粒一つでも大事にする。だから悪人じゃない! 撃っちゃダメだよ!」

 

その威圧に押されてしまい、女性警官は動けなかった。

 

「爆弾が本物かどうか、確認してから撃ったって、遅くないでしょ?」

 

かずみが説得する間にも、時間は刻々と過ぎていき、遂に残り40秒を切った。

女性警官や立花にも焦りが見え始めた。

 

「! マズイわ! もう時間が無い!」

「かずみ! 逃げるんだ!」

「いや! お兄さん、爆弾を止めて!」

「か、解除する方法は無いんですか⁉︎」

 

隼人が男性に尋ねるが、男性は首を横に振っている。

 

「だ、ダメだ……! そんな事言ったって、分からない!」

「マジで⁉︎」

「! みんな、伏せて!」

 

マミの叫び声で、その場にいた何人かが身を伏せた。そんな中、タケルは男性が抱えている爆弾に向かって走り出した。

 

「(あの爆弾を、早くあの人から離さないと、あの人まで巻き込まれる……!)」

「(お願い……! 爆弾、止まって……!)」

 

かずみは必死に願った。

爆弾が止まってほしい。そう思っていた時、かずみの耳についていたイヤリングが鳴り響いた……ように、タケルとまどかは聞こえた。

 

「(⁉︎ 今のって……)」

「(何だ……⁉︎)」

 

2人は気になったが、それよりも早く、タケルが爆弾にたどり着いた。

 

「はぁっ!」

 

タケルが爆弾を叩き飛ばした後、オレンジ色の髪の毛の少女が胸でトラップして、

 

「ナイスパスだ!」

 

そう叫んで、少女は爆弾を思いっきり真上に蹴り上げた。はるか上空に蹴り上げた爆弾は、カウントダウンが0を迎えた時、爆発した。

が、そこから飛び出てきたのは爆炎では無く、紙吹雪だった。

 

「「「「「えっ……⁉︎」」」」」

 

かずみやタケル、まどか達だけで無く、その場にいた全員が呆気にとられていた。当然だ。てっきり規模の大きい爆弾かと思っていたのに、蓋を開けたらパーティで使うようなくす玉程度の爆弾だったからだ。

かずみは体の全身の力が抜けたのか、立花に腰掛けるように、その場にヘナヘナと座り込んだ。立花も、聞いていた爆弾と違っていたのか、呆然としていた。

女性警官も唖然とする中、

 

「……何だよ、イタズラじゃないか」

「女のくせに出しゃばるからだろ……」

「やれやれ、これだから女の捜査は……」

 

呆れた表情を見せながら後ろにいた警官達は立ち去って行った。

女性警官が悔しがる表情を見た時、かずみの脳裏に、ある可能性が電流のように走った。

 

「……刑事さんだよ」

 

かずみが思わずそう呟いたのを聞いて、女性警官はビクッとした。

 

「……へ?」

「爆弾置いてお兄さんをハメたの、刑事さんだよ」

「えっ⁉︎」

「ど、どういう事ですか……⁉︎」

「何でそんな事が分かるんだ……?」

 

まどか達が動揺する中、女性警官はゆっくりと振り向いた。

 

「な、何を根拠に……。そもそも、あなたは一体……?」

 

女性警官にそう尋ねられて、かずみは立ち上がって叫んだ。

 

「かずみ。記憶喪失のかずみ」

 

それを聞いて、まどか達は呆気にとられていた。

 

「き、記憶喪失……?」

「初めて見た……」

「き、記憶が無いって……。なら早く病院に……」

 

女性警官がそう言うが、かずみは詰め寄った。

 

「誤魔化そうったってそうは……」

「あ〜、こらこら、かずみ」

 

と、そこにオレンジ色の髪の毛の少女がかずみを抱きしめて動きを止めた。

 

「えっ? 何で私の名前知ってるの? というより、あなた達、誰……?」

「……覚えて、無いのか?」

 

龍と呼ばれていた少年が訝しんでいると、賢そうな少女がポケットから一枚の写真をかずみに見せた。近くにいたまどか達も覗き込んでみると、そこにはかずみや目の前にいる5人が遊園地のような施設で写真に写っている姿があった。

 

「……えっ?」

 

かずみが驚いて、その写真をマジマジと眺めていた。かずみには記憶に無いが、どうやらこの6人は古い付き合いらしい。

まどか達は、困惑したまま、その場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本来なら、何の接点も無かった彼らが、運命に導かれるように出会ってしまう。

 

 

 

その出会いは偶然なのか、それとも必然か。

 

 

 

 

 

 




というわけで、今回から「かずみ☆マギカ」も参戦!

詳しい人物の名前等は次回から。

次回もお楽しみに。
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