魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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今回は互いの勢力の自己紹介がメインとなっています。


29. ただいま

「……どう思う?」

 

「BUY-LOT」の上階から、まどか達の様子を見ている2つの人影があった。

1人は長いつばの帽子をかぶった少女。もう1人は半袖に長ズボン、ベルトにはジャラジャラと音の鳴るチェーンをつけた、いかにもヤンキーに見える短髪の少年。

少女は少年に尋ねると、少年は髪の毛を掻き毟りながら呟いた。

 

「どうったってなぁ……」

 

少年は爆弾を所持していた立花の方を見ながら、先ほど見ていた、爆弾が爆発した時の事を思い出していた。

 

「変だって事は確かだよな……。あの時確認した限りは、本物に違いないはずだけど……」

「だよな……」

 

どうやらこの2人が立花に爆弾とかずみを交換しようと取引を持ちかけてきた連中らしい。彼らも今回の結末に違和感を感じているらしい。

 

「……つーかどうする? 結局あのガキもあいつらのところに持ってかれたし」

「あの女も使えねぇ奴だな。せっかくあたしらがチャンスくれてやったってのにさ」

「ま、どのみちあいつも用済みだし……」

 

少年はポケットの中から何かを取り出して、それを眺めながらニヤリと笑った。

 

「せいぜい最後にひと暴れしてもらうとしますかね」

 

少年が手に持っているそれは、グリーフシードと酷似している、針のついた球体だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒動の後、かずみは現れた5人の少年少女と共に歩いていた。彼らの側にはまどか達もついてきている。

女性警官が去り、辺りも落ち着きを取り戻してきたところで、立花もどさくさに紛れてその場を去っていった。途中で気づいたかずみが服を返そうとして脱ぎ始めたが、それはまどか達に止められた。賢そうな少女の誘いを受けて、まどか達も彼女達が住む家に招待された為、現在に至る。

 

「じゃあ、私がいなくなったのは、昨日なんだね?」

「おうよ。探してた矢先に、あの事件だぜ。焦ったなぁ〜」

 

スタイルの良い少年が腕を後ろに組みながらそう呟いた。オレンジ色の髪の毛の少女も続けて口を開いた。

 

「まさか記憶がないとは思わなかったけど」

「いやぁ……。自分でもびっくりだよ。どこで記憶がぶっ飛んじゃったのか」

「……きっと、誘拐犯に何かされたんでしょうね」

 

賢そうな少女がそう推測した。

 

「まぁ、警察も捜査してくれるって仰ってましたから、そのうち分かりますよ」

「そうだな」

「こういう時は警察に任せれば万事解決だしな」

 

メガネをかけた少年の意見に、タケルや背の低い少年も賛同した。

 

「そっか。でも、あなた達が来てくれてよかった! みんなもありがとね!」

「いやいや、俺達は別にそこまで……」

「無事に戻ってこれただけでも良かったと思いますよ」

 

かずみにお礼を言われて、隼人と晶は手を振って呟いたが、知り合いと思われる5人は複雑な表情だった。

 

「「あなた達」ねぇ……」

「どうやらマジで覚えてねぇみたいだな」

「じゃあかずみ。そこの角を曲がったところが我が家って事も?」

「え?」

「家ってもしかして……」

 

一同が角を曲がった後に、目の前に見えたのは、一際目立つ屋敷だった。どうやらこの豪邸がかずみ達の住む家らしい。

 

「すっご〜い!」

 

その規模の大きさに、まどか達も開いた口が塞がらなかった。

 

「おぉ……!」

「で、デカすぎじゃない⁉︎」

「ひょっとしてあんたら、大金持ちだったりする?」

 

家の中に入ると、広いリビングが目についた。

 

「うわぁ〜! 信じられない! こんな大きな家に住んでたなんて!」

 

家主でもあるはずのかずみは、まるで友人の家に初めて訪れたかのようにはしゃいでいた。

賢そうな少女とマミが紅茶を用意している間、他の一同は広いリビングを見渡していた。

 

「凄く広いですね〜」

「ここって、家族と一緒に住んでるのか?」

 

誠司が尋ねると、メガネをかけた少年が説明した。

 

「僕達は6人とも帰国子女なんです。両親はそれぞれ海外勤務ですから」

「んで、ここには俺達6人で暮らしてるのさ」

「もっとも、この豪邸は海香先生のおかげだけどね」

「先生……とは?」

 

御成が尋ねると、オレンジ色の髪の毛の少女が後ろを指差した。

 

「そこの本棚見てみ」

「ん?」

 

かずみやまどか達が本棚を確認すると、そこには「御崎 海香」という著者の本がズラリと並べられていた。

 

「えっ⁉︎ これってもしかして全部海香さんの⁉︎」

 

と、ここで反応を示したのは、読書好きの晶だった。

 

「そだよ。海香はなんてったってベストセラー作家だから」

「すっご〜い!」

「あ、そういや晶。あんたこの人のファンだったよね?」

 

さやかが晶にそう尋ねると、晶はいつにもなく興奮していた。

 

「そうですよ! この人の内容がとっても面白くて、早く続きが読みたくなっちゃうぐらい引き込まれるような文章がとにかく凄くて……。! それじゃあ、あなたがもしかして……!」

「もしかしても何も、私がその御崎 海香よ」

 

賢そうな少女……海香が紅茶を淹れながら答えた。晶は慌ててカバンから本を取り出した。それは彼の愛読書でもある、海香の小説だった。

 

「あ、あの……! この本に、サインしてもらえますか⁉︎ 大ファンなんです!」

「お安い御用よ」

 

海香はティーポットをテーブルに置いて、ポケットからペンを取り出すと、裏表紙に直筆のサインを書いた。

 

「はい、どうぞ」

「わぁ! ありがとうございます! これ、宝物にします!」

「良かったわね、野沢君」

「はい!」

 

晶は心底嬉しそうに頷いた。考えてみれば、ここまでハキハキしている晶を見るのは、タケル達も初めてだった。

 

「んじゃあさ、海香の紹介も済んだから、ついでに俺達も自己紹介しとくか。かずみも覚えてないみたいだし」

 

そう呟いたのは、スタイルの良い少年だった。

 

「俺は木村 龍。よろしくな」

 

龍と呼ばれた少年の次に自己紹介したのは、メガネをかけた少年だった。

 

「石田 士道と言います。どうぞよろしく」

「あっ! この写真ってもしかして士道の?」

 

かずみが指差した先には写真があり、そこには弓道着を着て、弓矢を持ったメガネの少年……士道がカッコよく写っていた。

 

「はい。弓道部に所属してまして、それでその写真は県大会に出た時のやつなんです」

「へぇ。凄いな」

 

タケル達も感心していた。すると今度はその隣にあった、オレンジ色の髪の毛の少女が他の少女達と仲良しげに写っている写真に注目が集まった。

 

「お、こっちはサッカーやってるんだね」

「あぁ、そうさ。クラブチームに入っててね。あ、ちなみにあたしは牧 カオルね」

「カオル、さっきはナイシューだったね」

「そういやそうだったな」

「でしょ? 将来は全日本で10番をもらうんだ」

 

オレンジ色の少女……カオルが得意げに答えた。最後に、背の低い少年が自己紹介をした。

 

「んで、俺が高町 アラタ。一応、この中じゃかずみとは古い付き合いなんだぜ。確か、小さい時から近所で一緒だったからな」

「へぇ……。でも、覚えてないや。記憶が抜けてるもん」

「……なんか、それはそれでショックだな」

 

背の低い少年……アラタは残念そうに呟いた。

 

「でも、私って凄い5人と住んでたんだね〜」

 

かずみが呑気そうに呟いているが、どういうわけか、5人の表情は暗そうに見えた。

かずみも気になったが、それを遮るように今度はタケル達が自己紹介をした。

 

「じゃあ今度は俺達の番だな。俺は天王寺 タケル。みんなと同じ、中学2年生だ。んで、こっちが幼なじみの……」

「鹿目 まどか、です。よろしくね」

「あたしは美樹 さやか。よろしく!」

「拙者は御成 修治と申します!」

「野沢 晶です。さっきはありがとうございます!」

「秋永 誠司だ」

「俺は 小川 星斗。星斗で良いぜ」

「私は巴 マミ。あなた達の一個上の3年生。それでこっちがクラスメイトの……」

「八谷 隼人だ。よろしく」

「後は他にも仁美とか恭介とかいるけど、今日は来てないの」

「へぇ、友達多いねぇ」

 

かずみがタケル達の人脈の広さに驚いていた。軽く自己紹介も終わったところで、アラタがかずみに提案した。

 

「そうだかずみ。部屋でも見に行かないか? もしかしたら何か思い出すかもしれないし」

「良いの⁉︎」

「もちろんよ。あなたの家だもの」

「うん!」

 

かずみは頷くと、まどか達と共にリビングを出て階段を上った。

 

「私の部屋……、2階かな……?」

 

かずみが辺りをキョロキョロしていると、不意にある部屋を見て叫んだ。

 

「む! 奥の部屋が呼んでいる! ……ような気がする!」

「なんだそりゃ」

 

カオルがツッコむと、かずみはさっそくドアを開けた。

部屋の中は綺麗に整理整頓されており、清潔感があふれていた。壁に掛けられたカバンについてあるキーホルダーには、ローマ字で「KAZUMI」と彫られてある。それを見て、かずみも察した。

 

「ここが私の部屋ね」

「正解!」

 

龍が指を鳴らしながら頷いた。海香も同じように頷いている。

 

「記憶がないなんて信じられないほど、いつものかずみね」

 

かずみはベッドに転がると、気持ち良さそうに、猫のようにゴロゴロしていた。

 

「あぁ〜、落ち着く〜。全然覚えてないのに、変な感じ」

「じゃあ落ち着きついでに、今からは名前で呼んでくれる?」

「うん」

 

かずみが頷くと、アラタ達は微笑みながらかずみに言った。

 

「「「「「かずみ、おかえり」」」」」

「……うん。ただいま、海香、カオル、龍、士道、アラタ……」

 

そう返事した後、かずみはぐっすりと眠りについた。よほど疲れたのだろう。

 

「起こさないように、そっと出ましょうか」

「そうですね」

 

タケル達は、かずみを起こさないようにそっと部屋を出て、1階に下りた。

その後、アラタ達からの質問で、まどか達が「BUY-LOT」にいた経緯を話し始めた。

 

「へぇ。CDを買いに見滝原から来たのか」

「はい。あっちにもCDショップはあるんですけど、なかなか見つからなくて……。それで、この街にあるCDショップならあるんじゃないかと思ってあそこに行ったんです。そしたら……」

「私達と出くわして、あの事件に巻き込まれた……と」

 

海香がそう呟くと、まどか達は頷いた。

と、今度はマミが真剣そうな表情で考え事をしていた。

 

「マミさん? どうかしましたか?」

「え、えぇ……。さっきの事件の事で、変だと思ってたんだけど、あの爆弾って、本当に偽物だったのかしら……?」

「そういえば変だったよな。あの男の人も、びっくりしてたし……」

 

星斗も唸りながら当時の事を思い出していた。

 

「じゃあ何か? あの爆弾は、本当は本物で、魔法か何かで変わっちゃったって事になるのか?」

「ま、まっさかぁ……。そんなのって……」

 

タケルは半信半疑のまま呟いた。いくら自分達が魔法少女や仮面ライダーをやっているとはいえ、あのような魔法は見た事がない。

と、今度は海香が口を開いた。

 

「それに、あの女刑事も変ね。匿名の連絡で情報を得てあのショッピングモールに駆けつけたって言ってるけど、それにしても対応が早すぎる。最初からあの男を撃ち殺そうとしてたみたいに……」

「それってまさか、あの人がわざとこの事件をでっち上げたっていう事なのか?」

「あくまでも可能性だけどね」

 

とはいえ、それ以上は何も考察する手がかりが見つからなかった為、以降は談笑した後、日が沈みかけた頃に、まどか達は家を出た。

 

「それじゃあ、またどこかで会えたら良いわね」

「あぁ。また会おうぜ!」

「さようなら!」

「おぅ! またな!」

 

一同は手を振ると、屋敷の中に戻って行った。

5人だけとなったリビングで、5人は先ほどとは違って、表情を険しくしながら話し合った。

 

「……それにしても、一体誰がかずみを誘拐したんだろうな……」

「まさか、私達の目的を知る誰かが、かずみを狙って……?」

「考えすぎじゃねぇか? だってかずみの事は、俺達やあいつら以外に知られないように手配してたのは、海香自身じゃないかよ」

「そうね。ありえないはずだけど……」

「やれやれ。今回は面倒な事になったな……」

 

カオルが天井を見上げながら、正確にはかずみが寝ている部屋の方を見つめながら呟いた。

 

「……こうなった以上、今度こそ成功させないとな」

 

アラタが呟くと、他の4人も決意を固めたように頷いた。

 

「とりあえず、兼やみんなに連絡しましょう。一応、彼らにも相談しておいた方が……」

 

士道がそう提案した時、電話のベルが鳴った。

海香が代表で電話に出ると、かけてきた相手を知って、警戒心を一層強めた。

 




キリが良いので、今回はこの辺で。

次回はいよいよ、新たな魔法少女や仮面ライダーが登場!

次回もお楽しみに。
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