魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜 作:スターダストライダー
「何だこれ⁉︎」
仮面ライダー"ゴースト"として力を得た次の日の朝、タケルは枕元を見てそう叫んだ。
そこには、オレゴーストアイコンや赤、黄色のアイコンに加えて、全く別のアイコンが置かれていたのだ。そのアイコンは、オレゴーストアイコンのようなオレンジ色と、ピンク色のラインが入っているものだった。よく見ると、眼の部分には、天使の羽根のような模様が描かれている。
「もしかして、また新しいアイコンが出てきたって事か……?」
タケルは真新しいアイコンを手に取って眺めて見たが、どんな能力が秘められているのか、見当がつかなかった。
「……まっ、その時になったら分かるかも」
タケルは特に気にせず、ベッドから降りて下のリビングに向かった。
この時、タケルはまだ知らなかった。このアイコンの存在が、後に大きな意味を持つ物である事に……。
それから、タケルは特に何もする事なく午前中を過ごしていた。午後になって、あまりにも退屈すぎたので、
「……どっか出かけるか」
と呟いてから、アイコンを全てポケットに入れて、街の中をブラブラ歩く事にした。
見滝原は、ここ最近になって再開発が進み、今では発電所だけでなく、ショッピングモールやレジャー施設など、様々な分野で発展し、公共施設の設備も充実している。いわば、古いものと新しいものが上手く組み合わさった街なのだ。
タケルはそんなこの街がお気に入りだった。タケルがレンガ通りを歩いていると、前方に見慣れた人物がいる事に気付いた。
「おっ、誠司!」
その声に、目の前の少年も反応した。
「よぉ、タケル!」
タケルが話しかけた少年の名は、秋永 誠司。見た目は少し怖そうだが、タケルの大親友の1人である。
「タケルは、何か買い物でもしに来たのか?」
「いや、別に暇だったから適当に歩いてただけ。そういう誠司は、なんか買い物か?」
タケルは、誠司の手に握られた、大きめなスーパーの袋を見て呟いた。
「いつもの買い出しだよ。どうせ暇なんだから、なんか買ってこいってお袋に言われてさ」
誠司の家は、昔から営業している茶屋であり、そこの名物である茶菓子は、一部の常連の間では人気があるのだ。
「……っても、ここ最近は売れ行きが良くないって、叔父も親父も愚痴っててさ。まぁ、店をたたむつもりはまだ無さそうだけどさ」
「そりゃあそうだろ。誠司の店って結構前からやってるわけだし、今更店じまいってのも難しいもんだぜ」
「そう言ってくれると助かるぜ。……おっと、そろそろ戻らねぇと。じゃあな、タケル」
「おう、それじゃあ」
タケルは手を振って誠司を見送った。
「……俺も帰るか」
タケルは、空に夕日が見えているのを確認してから、家のある方に向かって歩いていると、ポケットの中が熱くなっているような気がした。
「な、何だ⁉︎」
タケルが驚いてポケットからオレゴーストアイコンを取り出すと、アイコンが自ら光っていた。そのアイコンは、ある方向に向けると、光が強くなっていた。
「この先に何かあるのか?」
タケルは不思議に思いながら、光の反応に従って路地裏に入っていった。しばらくすると、道沿いのレンガ通りの一角に、奇妙な印が付けられていた。
「これって……」
タケルがアイコンを近づけると、更に輝きを増した。恐る恐る印に触ってみると、不意に自分の体が印の中に吸い込まれていった。
「おわっ⁉︎」
タケルはそのまま地面に投げ出され、しばらくして起き上がると、目の前の光景に驚いた。そこは、昨日森の中で魔女に襲われた時と同じような、不気味な雰囲気を漂わせた一本道だった。
「これって昨日の……。って事は、もしかして……」
タケルが何かに導かれるように奥に進んでいくと、予想通り目の前に、あの鎧武者の魔女が立ちはだかっていた。
〜鎧武者の魔女、バサラ〜
〜彼女に魅入られた者は最後、その身を斬り裂かれるまで戦い続ける事になるだろう〜
「やっぱり、昨日の奴だったのか……!」
タケルの声に反応して、鎧武者の魔女も目を怪しく光らせながらタケルを見据えた。だが、タケルは以前と違って怯える事は無かった。何故なら、今の彼には力があるのだから。
「昨日は、よくも俺を殺してくれたな! 今度はそうはいかないぜ!」
タケルは迷う事なく、腰にゴーストドライバーを出現させて、オレゴーストアイコンを手に取ってボタンを押した。そしてそれをベルトに装填した。
『アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー! バッチリミナー!』
タケルは右手の人差し指と中指を立てて、意識を集中させてから、
「変身!」
とカッコよく叫んでからレバーを引いて押した。
『カイガン! オレ! レッツゴー覚悟! ゴゴゴゴースト!』
タケルはゴーストに変身すると、拳を固めて、鎧武者の魔女を睨みつけた。
「いくぜ!」
タケルは走り出すと、鎧武者の魔女は刀を振り下ろした。が、タケルは横に飛んで回避してから、左足めがけてスライディングタックルした。バランスを崩した鎧武者の魔女は前のめりに倒れ、その隙に、タケルはその背中に蹴りを入れた。
「おらぁ!」
タケルの攻撃が決まり、鎧武者の魔女は唸り声をあげた。
「このまま決めてやる!」
タケルがそう叫んでからレバーを引こうとした時、周りから、鎧武者の魔女の援護をするように、骸骨達が襲いかかってきた。
「ま、マジかよ⁉︎ 卑怯だぞ!」
タケルも慌てて回避したが、以前よりも数が多すぎる。
『ガンガンセイバー!』
タケルはガンガンセイバーを取り出して対抗したが、次第に押され始めていた。
「うぅ、くそ……! こんなに手こずるなんて……!」
タケルがガンガンセイバーを振り回しながら呟いたが、その目はまだ諦めていなかった。
「……けど、こんなところで諦めてたまるかよ! 俺だってみんなを守る為に仮面ライダーになったんだ! 絶対に諦めないぜ!」
タケルは目の前の脅威に屈する事なく立ち向かい続けたが、不意に背後から骸骨達が飛び上がって、武器を振り下ろそうとしていた。
「! やばっ……!」
今のタケルには回避する事が出来ない。タケルが身構えた時だった。
「はぁっ!」
という叫び声と共に、骸骨達が吹き飛ばされた。
「⁉︎」
タケルが驚いて振り向くと、そこには青色のラインが入った、牙の生えた面をつけた、仮面ライダーが立っていた。
「(も、もしかして、あいつも仮面ライダー⁉︎)」
タケルが困惑していると、そのライダーはタケルに寄ってきた。
「大丈夫か?」
「あっ、あぁ、ありがとう……」
タケルはとりあえずお礼を言った。謎のライダーは、タケルの姿を見て首を傾げていた。
「見た事ないライダーだな……。ひょっとして、最近契約したのか?」
「え、えぇ、昨日キュゥべえと契約して……。もしかして、あなたも?」
「もちろんさ。俺もキュゥべえと契約して、この力を手に入れたんだ。あっ、ちなみに、この姿は、仮面ライダー"アリトル"。んで、本名は……って言いたいところだけど、それはこいつらを倒してからの方が良いかもな」
アリトルは骸骨達を見ながら呟いた。
「とりあえず、先ずはこの使い魔をどうにかしねぇとな。そういや、お前のその姿の名前は?」
「あっ、ゴーストって言います」
「ゴーストか。分かったぜ! じゃあ協力して、あいつらをやっつけるぞ!」
「はい!」
タケルは新たに現れた助っ人に感謝しつつ、再び戦闘体制に入った。
「はぁっ!」
「うりゃあ!」
2人は次々と使い魔をなぎ払っていった。タケルはガンガンセイバーで、アリトルは拳一つで応戦していた。一通り近くにいた使い魔は全て倒した2人だが、依然として使い魔の数は多い。
と、ここでアリトルがある行動に移った。
「さすがに多いな……。なら、こいつの出番だな!」
そう言ってアリトルが取り出したのは、水色のラインが入ったアイコンだった。
「? 何をするんだ?」
『アーイ! バッチリミロー! バッチリミロー! バッチリミロー!』
タケルが不思議に思っていると、アリトルはそのアイコンを装填した。すると、ベルトから水色のパーカーが現れて、使い魔を追い払った。アリトルがレバーを引くと、パーカーはアリトルの上半身に羽織られた。
『カイガン! ニュートン! リンゴが落下! 引き寄せまっか!』
その姿は先ほどと違って、両手に球体を取り付けたような格好になっていた。
タケルは思わずアリトルに尋ねた。
「あの……。それって?」
「何って、英雄アイコンの力を使っただけだけど?」
「英雄アイコン?」
「えっ、知らないのか? 仮面ライダーとして契約したら、最低でも一つは英雄アイコンが生まれるんだぜ。お前も契約した時になんか別のアイコンを拾わなかったか?」
「あっ、そういえば……」
タケルは思い出したように、赤と黄色のアイコンを手に持った。これらがその英雄アイコンなのだろう。すると、今度はその2つを見たアリトルが興味を示した。
「おっ。アイコンを2つも持ってるのか。確か、魔力が多い奴は英雄アイコンが2つ以上生まれる事もあるってキュゥべえが言ってたっけ。……ていうか、キュゥべえから何も聞いてないのか?」
「いいえ、全く……」
「ならしょうがねぇな。早速使ってみなよ。結構役に立つんだぜ」
「それじゃあ!」
タケルは言うが早いか、赤色のラインの入ったアイコンのスイッチを押して、オレゴーストアイコンと取り替えた。
『アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー! バッチリミナー!』
すると、腕が刀になっている赤色のパーカーが飛び出てきて、タケルの周りを旋回した。タケルがレバーを引くと、パーカーはタケルの上半身に羽織られた。
『カイガン! ムサシ! 決闘! ズバッと! 超剣豪!』
すると、ガンガンセイバーが2つに分かれて、二刀流となってもう片方の手に握られた。タケルはゴーストチェンジした自分の姿に驚きながら喜んでいた。
「すげー! ムサシの力が使えるのか! しかも二刀流!」
「めっちゃ嬉しそうだな」
「だってムサシは俺の憧れなんですよ! こんなに嬉しい事なんて無いですよ! よろしくな、ムサシ!」
タケルの言葉に、パーカーはユラユラと揺れた。どうやら褒めてもらえた事が嬉しいようだ。
「そんじゃあ改めて、いこうぜ、ゴースト!」
「はい! 命、燃やすぜ!」
気合いの入った返事をしたタケルは、アリトルと共に構えた。鎧武者の魔女は刀を振り上げると、使い魔に指示を出すように奇声をあげた。使い魔が突撃してくるが、2人は背中合わせになって難なくそれらを倒していった。
「ふっ! せいっ! やぁっ!」
タケルは身を翻しながら、使い魔を斬りつけていき、徐々にその数を減らした。
「はぁぁぁぁぁっ!」
一方、アリトルは右手を突き出して、使い魔を引き寄せてから左手を突き出して、一斉に吹き飛ばして消滅させていた。ニュートンが説いた、斥力と引力を駆使して倒しているのだ。
「よしっ、これで残るは……」
「お前だけだ!」
遂に使い魔を全滅させて、残る敵は、鎧武者の魔女だけだった。タケルがガンガンセイバーを突きつけると鎧武者の魔女は唸りながら刀を振りかざした。2人は回避すると、タケルはすれ違いざまに2回斬りつけて、アリトルは左手の引力で刀を逸らした。
「「セイヤァ!」」
タケルとアリトルがダブルキックで鎧武者の魔女を蹴り飛ばした。鎧武者の魔女は怒ったように睨みつけていた。そして、アリトルはタケルに指示を出した。
「剣をベルトにかざすんだ! そうすれば必殺技が出せるぜ!」
「なるほど! じゃあこれで決める!」
タケルがガンガンセイバーをベルトにかざすと、ガンガンセイバーにエネルギーが溜められた。アリトルも同じように、手につけられた"ガンガングローブ"をベルトにかざした。
『『ダイカイガン!』』
『ガンガンミナー! ガンガンミナー! ガンガンミナー!』
『ガンガンミロー! ガンガンミロー! ガンガンミロー!』
「うぉぉぉぉぉぉっ!」
タケルは何度も斬りつけて、鎧武者の魔女を弱らせた。
『オメガグラビティ!』
「はぁぁぁぁぁっ! ダァァァァァ!」
アリトルは重力を使って鎧武者の魔女を引き寄せると、そのままパンチして鎧武者の魔女を吹き飛ばした。飛ばされた先には、タケルが待ち構えていて、タケルがガンガンセイバーにつけられたスイッチを押すと、
『オメガスラッシュ!』
「やぁぁぁぁぁっ!」
ガンガンセイバーをクロスして、鎧武者の魔女を斬り裂いた。鎧武者の魔女はそのまま呻き声と共に爆散した。
「よっしゃあ!」
「やったぜ!」
2人が喜んでいると、周りの風景が歪み、元の路地裏に戻った。
『『オヤスミー』』
2人は辺りに誰もいないのを確認してから、お互いに変身を解いた。タケルの前に見えたアリトルの素顔は、少し髪が跳ねている、同じ背丈の少年だった。2人は改めて自己紹介した。
「俺、天王寺 タケル。2年生なんだ」
「2年生って事は、俺と同じなんだな。俺は小川
「こっちこそよろしく! 小川君!」
「星斗で良いぜ」
2人は早くも意気投合して、握手していた。タケルもそうだが、星斗も相当フレンドリーな性格らしい。
「なぁ、もし時間があるならさ。家に寄ってこないか? 今なら家に誰もいないし、さっきの話からしても、タケルがまだ知らない事も多そうだしな」
星斗の言う通り、タケルはまだ仮面ライダーになったばかりで、魔女の事も、自分の力の事もあまり分かっていない。
「分かった。じゃあ頼むわ」
タケルも同意して、星斗の家に向かう事にした。
星斗の案内で向かったのは、タケルの家から少し離れた街中にあるマンションだった。星斗が鍵を開けて、彼の部屋の中に入った。中は男子特有の、少し散らかっている感じの雰囲気があって、どことなく親近感を覚えた。
「少し汚いけど、まぁ我慢してくれ」
「気にしなくていいぜ。俺もこんな感じだし」
それから星斗は、机を挟んでタケルに説明し始めた。
「タケルは知ってると思うけど、願い事を持って契約すると、その証であるゴーストアイコンに加えて、英雄アイコンが生まれるんだ」
「願い事……?」
「知らないのか? キュゥべえに頼めば、何でも願い事が一つ叶うんだぜ」
タケルは、昨日キュゥべえが喋っていた内容を思い出した。
「そういえばそんな事言ってたな……。けど俺、あの魔女に殺されかけて、それでもう無我夢中で契約したからな……」
「そっか……。そいつは災難だったな。じゃあ半ば強制的にこの戦いに入る事になったんだな」
「どういう事だ?」
タケルが聞くと、星斗は真剣な表情でこう語った。
「キュゥべえと契約した対価として、俺達は魔女と戦う使命を課されるんだ」
「……なぁ、その魔女って一体何なんだ?」
「魔女っていうのは、人目を避けて悪さをする奴らの総称なんだ。もちろん、普通の奴には見えない。見えるとすれば、魔女が作り出した結界に巻き込まれた人達か、俺達のような仮面ライダー、あるいは、魔法少女だけだ」
「ま、魔法少女⁉︎ そんなアニメみたいな奴もいるのか⁉︎」
「そう。主に男が仮面ライダー、女が魔法少女になるもんなんだ。キュゥべえと契約する事によってな」
新たに登場した、魔法少女というキーワード。タケルは驚きを隠せなかった。
「ちなみに、俺の先輩の1人がその魔法少女なんだ。んでもう1人の先輩が仮面ライダーで、魔女の事も戦い方も全部その人達から教えてもらってたんだ。まぁ、その先輩達は今朝から遠くに出かけてるから、明日までは俺が1人でこの街を担当してるんだ」
「へぇ……。って事は、俺達以外にも仲間がいるって事か」
「一応そうなるけど……。でも、あんまりみんながみんな仲が良いかと言われたら、そうでも無いんだよな、これが」
「何で?」
「魔女を倒すと見返りが貰えるんだけど、そいつを求めて喧嘩になる事があるんだ。まぁ、少なくともこの見滝原を管理している俺や先輩達はそんな事は無いけどな」
どうやら力を持つ者は思っていた以上に複雑な関係化にあるようだ。タケルはそう結論付けた。
「……じゃあ、話を戻すけど、魔女が悪さをするって事は、現実世界では、原因不明の自殺や殺人事件となって出て来るんだ」
「! じゃあ、これまでのそういった事件のほとんどは……!」
「察しの通りさ。それに魔女は普段から結界の中に隠れてる。あそこに巻き込まれた人達は、普通は生きて帰ってこれない。仮面ライダーや魔法少女のような、特別な力を持つ奴じゃなければな」
「そう、なのか……」
タケルは思わずため息をついた。どうやら自分が思っていた以上に、とんでもない事に巻き込まれてしまったようだ。だが、契約した以上、もう後には退けない。まどか達を守っていくためにも、これからは頑張っていくしかない。そう思っていると、星斗がこんな提案をしてきた。
「でさ。これからは俺達と一緒に魔女退治をしてかないか? その方がお前も安全だろうし、俺も助かるからさ」
「い、良いのか? それだと手柄が減っちゃうようだけど……。それに今更かもしれないけど、何でそんなに俺にかまってくれるんだ?」
タケルがそう尋ねると、星斗はしれっと答えた。
「何でって言われてもなぁ……。ライダーはやっぱ助け合いっしょ? それ以外特に理由なんて無いぜ」
それを聞いて、タケルは嬉しくなった。新しい友達が出来るのは本当に久しぶりだったので、上機嫌になった。
やがて時間となったので、携帯の番号を交換して今日はお開きとなった。
「じゃあ、明日の夕方に、俺の家に集合な」
「分かった。じゃあまた明日!」
「おう!」
そう言ってタケルは星斗に手を振りながら別れた。
「(正直、怖いとは思うけど、この街を、みんなを守れるのは俺達だけなんだ。張り切って頑張らないとな!)」
タケルは新たな友達である星斗との出会いと、明日から始まる魔女退治に胸を躍らせながら、街灯を頼りに川沿いを早歩きで家路を急いだ。
英雄アイコンの設定は、星斗が述べた通りに進めていきますので、そのつもりで……。
また、オリキャラやオリジナルライダーは今後も増えます。