魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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今回はおりマギ編を進めていきます。時間軸としては、かずマギ編と同時刻となっています。




31. あなたに運命の輪を回せるのかしら?

かずみとアラタが魔女と戦っていた頃、風見野にある杏子の実家でもある廃れた教会の一室で早めの就寝をしていた。が、杏子だけは中々寝付けなかった。

杏子の見つめる先には、ゆまが気持ち良さそうに寝ている。

 

「……キョーコ……」

 

ゆまは杏子の名前を呟きながら杏子の赤い髪を握っていた。夢の中でも杏子と一緒にいるようだ。杏子は起こさないように手を髪から離して、布団を掛け直した。

 

「(……にしても)」

 

杏子の頭の中では、3つの疑問がよぎっていた。

1つ目は、キュゥべえがゆまを勧誘してきた事。どう考えても、ゆまは他の魔法少女やその候補と比べても幼すぎる。キュゥべえが契約しようとする少年少女は、大抵杏子と年齢の近い辺りに限られている。が、ゆまは中学生では無く、まだ小学校低学年だ。なぜ情緒不安定な年頃の少女に素質が備わっており、キュゥべえは危険を承知で目をつけたのか。

2つ目はキュゥべえが口にしていた、「織莉子」と呼ばれる人物について。キュゥべえ曰く、彼女から情報を得てゆまに接近したらしい。どうやってゆまの素質を見抜いたのか、杏子には見当もつかなかった。

そして最も警戒すべき3つ目は、魔法少女及び仮面ライダー狩りの件。以前ゆまと出会った土地や、キュゥべえと最近遭遇した土地を縄張りとしていたであろう魔法少女や仮面ライダーは、すでに殺された後だと言う。グリーフシードの取り合いで衝突する事は多々あるが、殺し合いにまで発展するケースは聞いた事が無かった。

 

「(なんか妙な事になってきたな……)」

 

さすがの杏子もこの不可解な謎に気味が悪くなってきた。その襲撃者に負けるつもりは無いが、やはりどこか不安は感じてしまう。

 

『まぁ、いざとなったらそっちの……』

 

キュゥべえがゆまの方を見て呟いていた事を不意に思い出した杏子はゆまの方を見た。

 

「(ゆまには魔法少女になる素質がある……。けど、ゆまが魔法少女になったところで、ゆま本人は辛い想いをするだけだ。出来ることなら、……いや、ゆまを魔法少女になんかさせたくねぇ……)」

 

杏子は知っている。魔法少女になる事がどれほど過酷な運命に晒されてしまうかを……。当時それを知らなかった彼女は、一度絶望し、今の生活に至っているのだ。

 

「……やっぱ、関わるべきじゃ無かったか」

 

思わずボソリとそう呟いた時、指につけられたソウルジェムが怪しく光り出した。魔女の反応である。それも、かなり近い所からだ。

 

「……チッ。のんびり考え事もさせてくれないのかよ……!」

 

杏子はゆまに気づかれないようにソッとベッドから降りて、窓を開けると、非常食のアンパンを手に持ちながら、

 

「変身!」

 

と叫び、飛び降りながら魔法少女に姿を変えて、魔女のいる所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あら、行ってしまったのね。かわいそうに」

 

教会の屋根の上に、織莉子が杏子を憐れむように見つめていたとも知らずに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして、ゆまが寝返りをうった拍子に目を覚ました。

 

「……う? キョーコ……?」

 

ゆまが辺りを見回したが、隣で寝ていたはずの杏子の姿は、どこにもいない。

 

「キョーコ、どこ? どこに行っちゃったの……?」

 

ゆまは不安な気持ちになりながら、ベッドから降りてキョロキョロと見渡して、杏子の名前を呼んだ。

すると、ゆまの応答に応えるかのように、それは現れた。

 

「お困りのようね」

「……誰?」

「私は美国 織莉子。運命を見通す予言者みたいなところかしら」

「織莉子……?」

「佐倉 杏子。彼女はまだ現世にいるのかしら。それとも、最早死神は彼女を連れ去ってしまったのかしら」

「しにがみ……?」

 

ゆまは恐る恐る振り返ると、そこには白い服装の美しい少女……織莉子が佇んでいた。いつの間にこの部屋に入ってきたのか。だが、今のゆまにはそれ以上に気になる事があった。

 

「キョーコ、が、し、死ん、じゃう、の……?」

 

ゆまが、唐突に告げられた言葉を受け止めて足をガクガク震わせる中、織莉子はニッコリと笑ってそれを肯定した。

 

「あなたは、杏子さんをお探しかしら?」

「キョーコがいる所分かるの⁉︎ おねーちゃん、教えて!」

 

ゆまは必死になって織莉子に杏子の居場所を尋ねた。が、織莉子はそれに答える事なく口を開いた。

 

「彼女が今戦っている魔女は、これまでとは違って特別なの。彼女はその魔女と戦って、そして、死ぬ運命」

「キョーコが……⁉︎ やだ、そんなの、いや……!」

 

ゆまは涙目になって狼狽えていた。その様子が滑稽に見えたのか、織莉子はゆまに近づき、

 

「千歳 ゆま。あなたに運命の輪を回せるのかしら?」

 

そして耳元に近づき、ゆまの目を見開かせるような、決定的な一言を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「可愛いだけの、役立たずさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ……、はぁっ……!」

 

ゆまは必死に、近辺を捜索していた。

あの後、ゆまはいてもたってもいられずに、外に出て杏子を探しに出かけた。

 

「キョーコ! どこにいるの⁉︎ キョーコ!」

 

ゆまはあらん限りの声を出して杏子の名前を呼んだ。が、返事は返ってこない。

やはり、織莉子の言った通り、杏子はもう……。

そんな悪い予感が一瞬よぎったが、溢れ出そうな涙を必死に堪えて、引き続き杏子を探しに駆け出した。

 

「キョーコ!」

 

すると、近くの木がガサゴソと鳴り始めた。

 

「誰かいるの? ひょっとしてキョーコ⁉︎」

 

ゆまは木に登り、杏子を探したが、ゆまの重みに耐え切れず、枝が折れてしまい、地面に転落してしまった。

 

「あうっ……!」

 

ゆまは辺りを見回したが、そこには誰もいなかった。

 

「うぅ……。痛いよぉ……」

 

ゆまの膝小僧からは血が流れていた。が、ゆまはすぐに杏子の安否を心配するように立ち上がろうとした。

 

「キョーコ……。早く見つけないと、キョーコが……!」

 

ゆまが目に涙を溜めながら、再び捜索を始めようとした時だった。

 

「杏子がどうかしたのかい?」

 

声のした方を見上げると、近くの街灯の上に、あらゆる願いを叶える事の出来る使者……キュゥべえがゆまに救いの手を差し伸べるかのように見下ろしていた……。

 

 

 




ゆまの前に現れたキュゥべえ。果たして、彼女の選択は如何に。
そして、杏子の運命は、どうなってしまうのか。

次回もお楽しみに。
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