魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。ここから一旦、本編に戻っていきます。

今回はあの魔法少女が本格参戦! そして最後に新たなライダーが登場!




38. 食物連鎖って知ってる?

「じゃあ行ってくる!」

 

ある日の朝、誠司はいつものように家族に挨拶をして、実家でもある茶屋を出ようとした。が、父の様子がおかしく、ため息ばかりついている。気になった誠司は父に声をかけた。

 

「親父、どうした?」

「……あ、あぁ。何でも無いぞ。それより早く行ったらどうだ? 友達が待ってるだろ?」

「お、おう」

 

父の事も気になったが、時計を見ると、もう集合時間ギリギリだったので、カバンを手に持つと、玄関の扉を開けてから振り返って両親と、新聞を読んでいた祖父の方を向いて呟いた。

 

「ま、まぁ、元気出しなって。笑顔がうちの店のモットーだろ? 親父が教えてくれた事だぜ?」

 

誠司がニヤリとした表情を見せたのに対し、父は苦笑いした。

 

「……はは、ありがとな」

「気をつけるのよー」

「へーい」

 

誠司が家を後にしてから、祖父はようやく顔を上げた。

 

「……孫があんな事を言うようになるとはのぉ」

「そうね……。本当にあの子は変わったわね。昔はやんちゃばかりしてたくせに……」

「これも、友達のおかげだな。出来る事なら、このままこの街でみんな仲良くやってけたらいいんだが……」

「あなた……」

 

父が悲しげに見つめるその先には、空の店棚があった。

 

「そろそろ潮時かもな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、そんな会話が繰り広げられてるとはつゆ知らず、誠司はいつものようにタケル達と屋上で昼食を食べていた。

 

「へぇ、誠司の家って茶菓子屋なのか」

「そうなんです。誠司君のお店って、誠司君のおじいさんの代からずっと続いてる、有名なお店なんですよ」

 

そう呟いているのは、先日仮面ライダーとなった、野沢 晶だった。対する誠司は照れながらこう答えた。

 

「有名って言っても、ここ最近は全然売れ行きが良くないみたいでさ。結構困ってるんだよな」

「そっか〜。最近は和菓子とかよりも、ケーキとかの洋菓子の方が新作とかバンバン出てるもんね。そういう意味じゃ、そっちにお客取られても仕方ないのかもね」

 

さやかはお茶を飲みながらそう呟いた。

 

「けど、誠司んとこの菓子だって味は悪く無いのにさ」

「うんうん」

 

一同が頷いていると、一緒に食事をしてしたキュゥべえが呑気そうに声をかけた。

 

「だったら、いっその事僕と契約して、願いを叶えてみるというのも一つの手だよ。まぁ、それが命がけの戦いと対価がつり合うと認識すればの話だけどね」

「う〜ん……。今はまだそこまで深刻じゃ無いみたいだしな。やっぱタケル達の事を考えると、そんな簡単に割り切れるもんじゃないもんな」

「それが一番かもな。いくら周りが次々と契約を結んでいるとはいえ、それに乗じて焦って契約するのは最も危険だ。本当に切羽詰まった時の事を考えて、手を退くのもアリだ」

 

隼人の言葉を聞きながら一同が食事にありついている中、まどかは1人、誰にも分からないように表情を曇らせていた。

 

「(さやかちゃんも、御成君も、仁美ちゃんも、晶君も、みんな、叶えたい願いを見つけて、魔法少女や仮面ライダーになった……。誠司君も、もしかしたら見つかってるのかもしれない……。でも、私はまだ迷ってる……。魔法少女になる事、本当は誰よりも早くなりたいって思ってたはずなのに、いつの間にか、先を越されちゃって、みんな必死に戦ってる……)」

 

そう思うと、まどかはますます劣等感に苛まれた。

いつかは魔法少女になりたいと思う気持ちは変わっていない。だが、何度も魔女と対峙するうちに、こんな自分に本当に戦う事が出来るのか、という不安がつきまとった。でも、目の前の事から逃げ出したくない。その両方の迷いがまどかをより悩ませてしまい、現在のように、タケル達の背中を見つめるだけに留まっている。

みんなは、いてくれるだけでも凄く心強いと言ってくれているが、本当にみんなの役に立っているのだろうか、邪魔しているだけではないのか。

そんなまどかの心情を察したのか、キュゥべえがまどかに顔を向けて、みんなに気づかれないようにテレパシーで声をかけた。

 

『でも、君には君の考えがあって、今日までみんなについてきたんだろう? まどか』

『え……?』

 

突然声をかけられて困惑するまどかに対し、キュゥべえは淡々と話した。

 

『タケル達を守りたい君の気持ちはよく分かる。実際、君が隣にいてくれるだけでも、最悪の事態に備えた切り札(・・・)を、一つだけ用意出来るしね』

 

キュゥべえのその言葉を聞いて、まどかは以前ノートに書いた、理想の魔法少女姿になった自分の絵の事を思い出した。キュゥべえに頼めば、いつでもその姿になれる。そして、みんなを守る事も出来る。

 

『私は……』

『今はまだ、何も言わなくてもいい。タケル達もきっと反対するだろうし』

 

キュゥべえは優しく、まどかに念を押すように呟いた。まどかがタケル達の笑いながら会話している姿を見つめていると、キュゥべえがもう一度声をかけた。

 

『ただ、もし君が心を決める時が来たら、僕の準備はいつでも整っている。それだけは覚えておいてくれ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後の授業もあっという間に過ぎていき、タケル達はいつものように見滝原市の魔女退治を行う事にした。一同は一旦各々の家に帰って、支度を済ませた後、昼休みの時に決めていたグループに分かれてパトロールする事にした。もちろんこの場には、契約していない誠司はいない。

 

「それじゃあ、ここからはグループ行動になるけど、危ないと思ったら、すぐに連絡をするのよ。いいわね?」

「「「「「「はい!」」」」」」

「了解ですぞ!」

 

まどか達は返事をすると、それぞれ決められた場所に向かっていった。

この日は、マミ、御成、晶ペア、隼人、星斗、仁美ペア、そして、タケル、さやか、まどかペアの3組に分かれて行動に移った。

 

「そういや、キュゥべえのやつ、どこいった?」

「どうせその辺ほっつき歩いてるんでしょ? どっかでバッタリ会ったりして」

「そーだな」

 

昼間は一緒にいたはずのキュゥべえがいない事に疑問を持ったが、タケル、さやかは気にせずソウルジェムやアイコンを取り出して、魔女の反応を追った。

しばらく歩き進むうちに、ソウルジェムとアイコンが点滅し始めた。反応を示した先には、古いビル同士の間にある、下の方へと続く、先が薄暗い階段があった。どうやらこの先にいるのは間違いないようだが、今までとは違い、強い反応を示しているわけではない。

 

「ひょっとして、使い魔の結界かもしれないな」

 

タケルはそう呟きながら階段を降りていった。さやかとまどかも後に続くと、階段は歪み、嘲笑う声が聞こえてきた。

 

「まぁ、それならそれで楽に越した事はないかもね」

 

さやかは少し安心したように呟いた。

とはいえ、使い魔とて油断は出来ない。マミが言っていたように、使い魔も成長すれば魔女に変貌する。どんな危険が孕んでいるか分からないのだ。

一同が慎重に進んでいくと、まどかが前方に見えた、子供が描いたような、飛行機に乗った少年らしきものを指差して叫んだ。

 

「タケル君、さやかちゃん! あそこ!」

 

2人もまどかが指差す先を見て、その姿を捉えた。使い魔もまどか達に気がついたのか、プロペラの音を鳴らしながら奥の方に飛んでいった。

 

「逃げちゃう!」

「任せろ! 行くぞ、さやか!」

「うん!」

 

さやかが頷くと、ソウルジェムを卵型にして、両手で包んだ。タケルもオレゴーストアイコンのスイッチを入れて、腰に出現させたゴーストドライバーにセットした。

 

『アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー! バッチリミナー!』

 

タケルが指を立てて意識を集中させ、さやかが両手を広げると、2人同時に叫んだ。

 

「「変身!」」

 

さやかの体は水色の光に包まれて、魔法少女姿になった。タケルもレバーを引いて押すと、オレンジ色のパーカーが上半身に羽織られた。

 

『カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』

 

さやかが一度、背中のマントに身を包むと、身を翻して、周りにいくつものサーベルを地面に突き刺した状態で出現させた。

 

『ガンガンセイバー!』

 

タケルもガンガンセイバーを取り出すと、使い魔に剣先を向けて叫んだ。

 

「命、燃やすぜ!」

 

タケルが先行して使い魔に斬りかかるが、使い魔も喚きながら器用にかわしている。

 

「タケル! そのまま追い詰めて!」

 

さやかの指示通りに、ガンガンセイバーを振り回しながら迫っていくと、さやかが剣を使い魔めがけて投げた。

 

「いっけー!」

 

一旦後退したタケルに代わってさやかが投げまくった剣は徐々に使い魔の逃げ場を無くすように壁に突き刺さり、行く先を封じるように使い魔を翻弄させた。遂に使い魔の動きを止めて、最後に投げた数本が使い魔に突き刺さろうとしたその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、剣は何かに弾かれたかのように地面に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……⁉︎」

 

一同が困惑した表情で地面に突き刺さった剣を凝視していると、その上に何者かが降り立った。

 

「ちょっとちょっと、何やってんのさ、あんた達」

 

それは、長い赤髪を結んだ少女だった。が、ただの少女ではない。赤いノースリーブの上着に、スカートを履き、右手に少女の身長よりも長い、一本の槍を携えているその姿を見て、まどか達は直感的に、それが魔法少女である事を察した。

目の前に現れた魔法少女に気を取られている間に、使い魔は奥の方へ逃げてしまった。と同時に結界も消滅し、元の地下街に戻った。

 

「な……逃しちゃう!」

「! 逃すか……⁉︎」

 

慌ててタケルが追いかけようとした時、その足が止まった。彼の首元には、少女が突き出した槍の穂先が突き立てられていたからだ。行く手を阻まれてしまい、タケルだけでなく、さやかも動けずにいた。

 

「あ、あんた何してんのよ⁉︎ 早く追いかけないといけないのに……⁉︎」

「見て分かんないの? あれ、魔女じゃなくて使い魔だよ。グリーフシード持ってるわけないじゃん」

「だって、あれ放っといたら、誰かが殺されるのよ⁉︎」

 

さやかがそう叫ぶが、少女はますます呆れたような表情になり、槍を構えながら、空いている左手でポケットからたい焼きを取り出して食べだした。そして、面倒くさそうに呟いた。

 

「だぁからさ、4、5人ばかり喰って魔女になるまで待てっての。そうすりゃちゃんとグリーフシードも孕むんだからさ。あんたら、卵産む前のニワトリ絞めてどーすんのさ」

 

冷徹な口調でとんでもない事を喋る少女に、3人は畏怖を覚えた。タケルが警戒しながらも、少女に尋ねた。

 

「お前……、一体何者だ?」

「ん? あたしかい? あたしは佐倉 杏子。見ての通り魔法少女さ。たまたまこっちに顔出しに来てみたら、とんだ茶番を見せられたもんでね。チョイと文句を言わせてもらったまでさ」

 

赤髪の少女……杏子は、ようやく槍をタケルから退かして、右肩に担いでから自己紹介をした。

 

「茶番って……。あんた、一体何の事……!」

「さっきのお前らのやってた事に決まってんだろ?」

 

杏子から放たれている、ほむらやマコトとは違った、異様な恐ろしさを感じながらも、さすがのタケルも少しばかり、杏子の発言に憤りを感じて、思わず叫んだ。

 

「お前、自分が何言ってるのか分かってるのか⁉︎ 魔女に襲われる人達を、見殺しにするっていうのかよ⁉︎」

 

タケルとさやかが剣を構えていると、杏子は2人を嘲笑うかのように勝気な笑みを浮かべて、その瞳を冷たく光らせながら、タケル達に言った。

 

「グリーフシードさえ稼いどきゃ、人生魔法で好き放題。それでこそキュゥべえと契約した旨味があるってもんでしょ? ……つーかさ。あんたら、なんか大元から勘違いしてんじゃない?」

「勘違い……だと?」

 

3人が訝しむ中、杏子はタケルとさやかに近づきながら、説明し始めた。

 

「食物連鎖って知ってる? 学校で習ったよね? 弱い人間を魔女が喰い、その魔女を、強い力を持つあたし達が喰う。これが当たり前のルールでしょ? そういう強さの順番なんだし」

 

そう言いながら詰め寄る杏子に、2人はプレッシャーのあまり、自然と後退した。まどかとの距離がある程度離れたところで、まどかと他の3人の間に赤い鎖で出来た壁が出来てしまい、まどかは近づくことすら出来なくなってしまった。

 

「そ、そんな……」

 

それ以上に、まどかは杏子の言った事に足が竦んでしまった。まるで魔女のようなその残忍な性格を目の当たりにして、止める事すら出来ない状態になった。

さやかは必死に杏子を睨みつけていた。

 

「あんたは……!」

「まさかとは思うけど、やれ人助けだの、正義の味方だの……その手のおちゃらけた冗談かます為に、キュゥべえと契約したわけじゃないよね? あんたら」

「……だったら、何だって言うのよ!」

「! さやか、待て……!」

 

遂に逆上したさやかはタケルの前に出て、剣で斬りかかった。タケルが止めに入ろうとしたが、それよりも早く、杏子は片手で槍を構えて、あっさりとその攻撃を受け止めた。

 

「……ちょっとさぁ、やめてくんない、マジで」

 

杏子はたい焼きに噛り付きながら、やれやれといった表情のまま、余裕な感じで立っていた。

火花こそ散っているが、杏子は片手で軽々と、さやかは両手に渾身の力を込めて押している姿から見ても、圧倒的に力の差があるように見られる。事実、さやかが足で踏ん張れば踏ん張るほど、焦りに満ちた表情を浮かべている。

 

「(な、何なのこいつ……⁉︎ こっちは本気でぶつけてるのに、向こうは余力が残ってるっていうの⁉︎)」

 

やがて杏子がたい焼きをまた一つ噛り付いた時、事態は動き始めた。

 

「……遊び半分で首突っ込まれるのってさぁ。ほんとムカつくんだよね!」

「……うぁ!」

 

杏子がさやかを押し返すと、その勢いのまま、槍を多節棍の形に変化させ、さやかめがけて振るった。

 

「! さやか!」

 

タケルがさやかの前に立ってガンガンセイバーを振り下ろしたが、勢いに押されて、吹き飛ばされてしまい、壁に激突して地面に倒れこんだ。

 

「ガハッ……⁉︎」

 

一気に肺から酸素を奪われて、意識が朦朧としだした。喉元が熱く、血が溜まっているように思えた。壁に設置されていたポンプが、タケルがぶつかった衝撃で亀裂が入り、地面が水浸しになっていった。

 

「! タケル! このやろー!」

 

さやかは怒り任せに杏子に斬りかかったが、それよりも早くさやかに詰め寄った杏子は、片足で剣が吹き飛ばした。

 

「ふん!」

「あぐ……⁉︎」

 

さらに槍をバットのように振って、さやかを後方にいるタケルの近くにまで吹き飛ばした。穂先がさやかの腹を掠め取り、鮮血が飛び散った。遅れてさやかの剣が地面に突き刺さった。

 

「た、タケル君! さやかちゃん!」

 

まどかが悲痛な叫び声をあげて、2人に近寄ろうとしたが、槍の壁に阻まれて、駆け寄る事すら出来ない。

 

「ふん、トーシロ共が。ちったぁ頭冷やせってんだよ」

「誰が、あんたなんかに……!」

 

杏子が勝負ありといった表情で背中を向けた時、さやかの体が青白く光り始め、傷が薄れていった。さやかはタケルに駆け寄り、手をかざすと、同じようにタケルの体も光り、意識がハッキリしてきた。

これにはさすがの杏子も訝しんだ。

 

「あん? おっかしいなぁ。そっちのライダーはともかく、あんたは全治3ヶ月ってぐらいにはかましてやったはずだけど」

「ど、どうなってんだ……? 痛みが、引いてく……。ってかよ、さやか、平気なのか?」

「前にキュゥべえに教えてもらったんだ。あたしの魔法は癒しの祈りを契約にして魔法少女になったから、ダメージの回復力はそこそこ上なんだってさ」

 

困惑するタケルに、さやかはそう説明した。

確かに、さやかは上条の腕を治したいという願いを叶えて魔法少女になったのだから、そうなるのも当然だろう。

そう納得したタケルは、立ち上がって、さやかの横に並び、ガンガンセイバーを構えた。さやかは剣を持ち直し、杏子を怒りの形相で睨みつけながら言った。

 

「あんたみたいな奴に、魔法少女や仮面ライダーの名前を汚されるわけには、いかないのよ!」

「そうだ! 俺は、みんなを魔女の脅威から守る為にこの力を使うんだ! お前みたいなグリーフシード目当てなんかとは違うんだよ!」

 

すると、杏子はたい焼きを全て胃袋の中に入れて、槍を両手に構え直して、ますます不機嫌そうな顔つきで2人を睨みつけた。

 

「……うぜー、チョーうぜーな。つーか何? そもそも口の利き方がなってないよねぇ。先輩に向かってさぁ」

「黙れぇ!」

 

そう叫んださやかが先に攻撃を仕掛けた。が、その攻撃も槍先で弾かれて、またしても翻弄されてしまう。

 

「はっ! チャラチャラ踊ってんじゃねぇよウスノロが!」

 

杏子は先ほどよりも倍近くのスピードで動いて槍を振り回していた。さやかも防戦一方に追いやられるが、それをサポートするかのように、タケルが杏子に体当たりした。

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!」

「んなろっ!」

 

杏子は大勢を立て直すと、飛び上がって大きく槍を振りかぶった。タケルは横に転がる形で回避し、空中に留まった杏子めがけて、さやかが突撃した。

 

「これなら!」

 

が、杏子にとってその程度の攻撃は予測済みだった。

 

「あめぇ、あめぇんだよバカが!」

 

杏子は素早く身を翻すと、多節棍に形を変えて振り回し、さやかの体に巻きつかせると、壁に叩きつけた。

 

「うっ……!」

「さやかちゃん!」

「来るな、まどか!」

 

慌てて駆け寄ろうとするまどかに対し、タケルは大声で制しながら、杏子に向かって駆け出した。杏子はニヤリと笑いながら、一歩下がり、再び多節棍を振った。タケルは前に前転しながら杏子に近づき、ガンガンセイバーを横に振った。が、杏子は体を仰け反る事で攻撃をかわし、多節棍をガンガンセイバーに絡め取り、タケルの動きを封じた。

 

「なっ……!」

「隙だらけだっつぅの!」

 

タケルが回避する間も無く、杏子は右足を突き出し、タケルの腹に思いっきり蹴りを入れた。

 

「ぐぁっ……⁉︎」

 

タケルが地面を転がっている間に、杏子は接近して槍を突き出した。慌ててタケルがガンガンセイバーを突き出して軌道を逸らす事で、直撃は避けられた。

そこからしばらくガンガンセイバーと槍が火花を散らしていたが、一旦距離を置いたタケルの息は上がっていた。対する杏子はまだ余力があるようだ。

 

「(くそっ……! なんつー野郎だ……! 隼人さんやマミさんどころか、マコトやほむらと互角にやりあえそうな強さじゃねぇかよ……!)」

 

タケルが杏子の強さに冷や汗をかいていると、杏子がやれやれといった表情を浮かべた。

 

「なーんだ。全然大した事無いじゃんかよ。イレギュラーって言われてるぐらいだから、どんなもんかと思ったら、とんだ期待外れだったねぇ。キュゥべえのやつ、かいかぶり過ぎてんじゃねぇか……?」

「イレギュラー……?」

 

不意に聞こえてきたワードが気になり、タケルは思わず杏子に声をかけた。

 

「そ。前にキュゥべえが言ってたんだ。あんた、とびっきりの素質を持ってる仮面ライダーらしくてさ。それこそ、将来大化けするかもしれないって」

「俺が……? どういう事だ……?」

「ま、それもお門違いだったみたいだね。所詮あんたはただの三流止まり程度なんだよ」

「……あたしの友達を、バカにするなぁ!」

 

すると、先ほどまで倒れていたさやかが全身に力を込めて杏子に攻撃してきた。が、それを難なく避けて、邪悪な笑みを浮かべて多節棍を振るい、さやかの剣に当てた。

地面を擦りながら後ずさるさやかに対し、杏子は多節棍を槍の形に戻し、手に力を込めた。

 

「言って聞かせても分からねーし、殴っても分からねーバカとなりゃ……。後は、殺しちゃうしか無いよねぇ!」

 

そう叫びながら杏子は急接近して、さやかにとどめを刺そうとした。

 

「! さやか!」

「(負けない……! 負けるもんか……!)」

 

さやかは真正面から攻撃を受け止めるかのように、その場を動かずに身構えた。

もう直ぐ互いの刃が激突する。誰もがそう思っていたその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィィィィィン! という金属音が、地下街に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ……⁉︎」

「……あ?」

「なっ……」

「⁉︎」

 

杏子の槍は受け止められていた。ただし、それを止めたのはさやかでは無かった。驚きの表情を見せるさやかの目線の先には……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄黄色のパーカーを羽織り、歌舞伎役者が塗っていそうな化粧の模様が入っている仮面をつけた、文字通り仮面ライダーが、両手に持った十手に似た武器で槍を押さえつけていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……⁉︎ てめぇは……」

「新しい、仮面ライダー……!」

「い、一体誰よ⁉︎」

 

一同が困惑する中、そのライダーは声を張って叫んだ。

 

「お仲間の危機に、助太刀するのが友の情! 困ってるやつに手を差し出すのが人の常ってな!」

 

その声の主を知って驚いたのは、まどか、タケル、さやかの3人だけでは無い。杏子も聞き覚えのある声に思わず口を開けてしまった。

それは、まどか達の親友であり、杏子にとっては、以前助けてもらった事のある人物……。

 

「誠司……! お前、なのか……⁉︎」

 

杏子は後ろに下がり、目の前にたちはだかったライダーを凝視した。

対する新たなライダー……誠司は、仮面の下で笑みを浮かべながら、まどか達を安心させるように言った。

 

「さーて。こっからはこの仮面ライダー"カエサル"が、ひと暴れさせてもらうぜ!」

 

 




というわけで、今回からいよいよ私イチオシの魔法少女、佐倉 杏子が登場しました! そして、誠司が新たな仮面ライダーとなって、物語はさらに加速します!

次回はなぜ誠司が仮面ライダーになる事を決意したのか、そこから話を進めていきます。

次回もお楽しみに。
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