魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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ゴエモン魂、カッコよすぎ……


4. 友達って、やっぱ良いよな

その日は朝から雲一つない晴天だった。

朝食を食べながら、タケルはテレビのニュースを見ていた。なんでも、この見滝原から少し離れている市内で、少年少女が刃物のようなもので殺害されている事件が相次いでいるという内容だった。タケル自身もその内容に心を痛めたが、それ以上に気になったのは、殺された人達の年齢層がほぼ同じである事だった。タケルが疑問を抱いていると、母親がキッチンから出てきた。

 

「タケルー。悪いんだけど、ちょっと買いに行ってもらいたい物があるの。今日の約束って、午後からって聞いてたから、まだ暇でしょう?」

「んー? 良いけど……」

 

タケルは特にする事も無かった為、承諾した。

朝食も食べ終わり、母親からお金を受け取ると、家を出る前にある事を告げた。

 

「あっ、そうそう。今日は夜遅くまで出かけるから、よろしく」

「はーい。気をつけなさいよ」

「分かってるって」

 

タケルはそう告げると、玄関のドアを開けて、近所のスーパーに向かった。

しばらくすると、スーパーに近い噴水場である人物と出会った。

 

「よっす。仁美」

「あら、天王寺君。おはようございます」

 

そう言ってお辞儀をしたロングヘアの少女の名は、志筑(しづき) 仁美(ひとみ)。彼女もまた、タケルの友人の一人である。

 

「ひょっとして、今日も何かの稽古か?」

「えぇ、そうですの。これから日本舞踊の稽古の方に……」

 

仁美は良家のお嬢様でもあり、普段から色々な習い事に行っているのだ。また美貌や容姿も美しく、ここ最近はラブレターをもらいすぎて、困っているとの事。

 

「そういう天王寺君は、これからどちらに?」

「買い物だよ。母さんに頼まれてさ」

「そうだったんですの。朝早くから偉いですわね」

「そうかー?」

 

タケルが苦笑していると、仁美は腕時計を見て時間を確認した。

 

「あら、もうこんな時間……。それじゃあ、私はそろそろ参りますわ」

「そっか。悪いな、時間取らせて」

「いえいえ、こちらこそ。では、また明日」

「おう、じゃ〜な〜」

 

そう言って仁美と別れ、タケルはスーパーで頼まれた食材を調達した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後になって、タケルは予定通り、家を出た。この日はやるべき事が2つあった。そのうちの一つがこれから行う事である。

タケルは待ち合わせしていた人物と近くの公園で会う事になっている為、そこに向かっていた。が、公園には幼稚園児以外誰もいない。

 

「まだ来てないのか……?」

 

タケルはしばらくベンチに座って待つ事にした。5分ぐらいしてから、その人物は姿を見せた。

 

「お〜い、タケル君〜……」

 

小さな声が聞こえてきたのでその方向を振り返り、手を振った。

 

「おっす、晶」

 

タケルの元に現れたのは、こちらもタケルの友人である野沢 (あきら)。晶は汗だくになりながら息を整えていた。

 

「ご、ごめんね、途中で持ってく物を買い忘れてたから、それで遅れちゃって……」

「気にすんなって。俺も今来たところだし」

 

タケルは晶の肩をポンと叩いてそれから晶に言った。

 

「さてと。そんじゃあ行くか。あいつにももうすぐ向かうって伝えてあるし」

「う、うん……」

 

晶は小さく頷いた。

公園から街中に入り、しばらくすると、見滝原では一番大きい病院が見えてきた。この日は入院しているもう一人の友人のお見舞いに2人で向かう事になっているのだ。タケルと晶は院内に入り、その友人が入院している部屋の扉の前に、静かにノックした。

 

「はい。どうぞ」

 

中から男の声が聞こえてきたので、2人は

 

「「失礼しまーす」」

 

と言って入っていった。部屋にはベッドに上半身だけ起こして座っている1人の少年が笑みを浮かべながら顔を2人に向けていた。

 

「やぁ、タケル、晶。わざわざありがとう」

 

そうお礼を言ったのは上条 恭介(きょうすけ)。彼もまた、タケルとは小学校以来からの友人である。

彼はさやかの幼馴染みであり、晶とは同じバイオリン教室に通っていた仲であった。そのバイオリンのセンスは抜群であり、全国大会に何度も出場している天才であった。タケルはまだ彼の演奏を聴いた事が無いのだが、誰からも将来を期待されていたそうだ。ところが今年の春に入って、悲運にも交通事故に遭ってしまい、足だけでなく、バイオリニストの命とも言える左腕を負傷してしまったのだ。なので、現在の彼はバイオリンを満足に弾けない状態にあるのだ。

 

『恭介のバイオリンを弾く姿を、みんなにも見せてやりたいよ。聴いている誰もが子供みたいな顔をするんだよね。みんな口を半開きにして、最後には涙溜めて拍手して……。あたしは小さい頃からそれがとても嬉しくて、誇らしくて……。あいつはあたしの友達だって大声で言いたかった。……つーか言いまくってたけどね』

 

いつの日か、さやかがタケル達に向かって言っていた一言をタケルは思い出した。

 

「はい、これお土産」

 

そう思っていると、晶は早速買ってきたお土産を恭介に渡した。

 

「いつもありがとう」

「本当はCDを買ってくれば良かったんだけど、なかなか良いのが見つからなくてね……」

「そこまで気を遣わなくてもいいよ。それよりも、さやかから聞いたんだけど、今度の演奏会に晶が代表で出るみたいだね」

「へぇ、そうなんだ」

 

恭介がふと思い出したようにそう言った事にタケルが反応した。恭介が事故でしばらく不在になった為、代わりに晶に白羽の矢が立ったようだ。晶は体をモジモジしながら恥ずかしそうに言った。

 

「う、うん……。……でも僕、正直言って自信無いんだ。僕なんかに恭介君の代わりなんて務まるのかなって……」

「そんな事ないよ。晶の演奏が上手なのは僕だって知ってるし、同じ教室のみんなも知ってる。何も心配する事無いんだよ」

「そーだぜ。お前ももう少し胸張って自信持てよ。俺達も応援するからさ」

 

まどかもそうだが、晶も彼女以上にシャイで引っ込み思案な性格の為、いつも自信なさ気な顔をしているのだが、それをタケル達はいつものように励ましていた。晶もその一言を聞いて、

 

「……うん。ありがとう」

 

また恥ずかしそうに微笑んでお礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから世間話をしているうちに時間が来てしまい、タケルと晶は病院を後にした。

 

「じゃあ、また明日」

「おう、それじゃあな」

 

タケルは晶とはその場で解散する事にした。晶が見えなくなったのを確認したタケルは、

 

「……っしゃ! じゃあ行くか!」

 

一つ気合いを入れて、家とは別の方向に歩き始めた。

タケルが向かったのは、家から離れたとあるマンション。その駐車場には、昨日知り合った星斗が待っていた。

 

「おっ、来たきた」

「待たせたな。じゃあよろしく頼むぜ」

「おうよ。これから色々とノウハウを教えてやるからな」

 

星斗はそう言ってアリトルゴーストアイコンを取り出した。そう、今回のもう一つの用事が、この魔女退治のレッスンなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タケルは星斗と同様に、オレゴーストアイコンを取り出して、星斗の横を並んで歩いた。星斗曰く、仮面ライダーはアイコンで、魔法少女の場合はソウルジェムと呼ばれる、アイコン同様、契約の証であるものを使って魔女の魔力を辿っていくのだそうだ。が、アイコンの光は昨日と違って未だに強く光らない。不意に星斗が説明し始めた。

 

「魔女探しは基本的にこうやって歩いて見つけるしか無いんだ。それに法則性がある奴とそうでない奴もいるから、結構見つけるのは厄介なんだ」

「へぇ。でも、何かよく出現するポイントとか無いのか?」

「そうだな……。絶対とまではいかないけど、大きな道路や不良の溜まり場、それに人気のないところとかにいたりする事は多いかもな」

「なるほどな」

 

タケルは納得したように頷いた。

 

「そういえば、昨日英雄アイコンは普通1人一つずつって聞いたけど、2つ以上持っている事なんてあるのか?」

「あるにはあるみたいだけど、少なくとも俺は見た事無かったな。まぁ、それだけお前は高い魔力を持っているって事なんだよな。俺の場合はこの一つしか生まれなかったからな」

 

そう言って星斗はニュートンゴーストアイコンを取り出した。それを見て、タケルは若干興奮しながらうんちくを話し始めた。

 

「ニュートンってイギリスの数学者、物理学者でもあり、天文学者だった人だよな。反射望遠鏡を開発し、更には万有引力の法則や運動の法則を作り上げた天才で、化学界では知らない人はいないぐらい有名なんだよな」

「け、結構詳しいな……」

 

星斗がたじろいでいると、不意に2人の持つアイコンの光り方に異変が見られた。明滅が強くなり、何かを感じ取ったように見える。

 

「星斗! これって……!」

「あぁ、間違いない……! 魔女の反応だ!」

「いよいよ戦闘開始って訳か……!」

「ここから近いかもな。行くぞ!」

 

タケルは頷くと、先に走り出した星斗の後を追った。

2人がやってきたのは、街外れにある風力発電所の一角だった。アイコンを見てみると、光の強さは更に激しさを増していた。

 

「ここで間違いなさそうだな……」

「! 星斗、あれは……!」

 

タケルが指差した先には、昨日タケルが見かけた印のような紋章が塀に浮かび上がっていた。

 

「あそこが結界への入り口みたいなもんだ」

「よし、それじゃあ……!」

 

2人は腰にドライバーを出現させて、アイコンのスイッチを入れた。アイコンをバックルにセットすると、パーカーが飛び出してきた。

 

『『アーイ!』』

『バッチリミナー! バッチリミナー! バッチリミナー!』

『バッチリミロー! バッチリミロー! バッチリミロー!』

 

タケルは右の人差し指と中指を立ててから、星斗は拳を上に突き出して、ゆっくりと引き寄せるように自分の顔の前まで持っていってから、

 

「「変身!」」

 

と叫んで、レバーを引いて押した。

 

『カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』

『カイガン! アリトル! レディゴー! 覚悟! ドキドキゴースト!』

 

2人は変身し終えると、同時に結界の中に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結界の中は異様な雰囲気が漂っており、現実とはかけ離れた世界だった。四方八方から、火の玉のような使い魔が行く手を遮るように迫ってきたが、2人は難なく対処していた。

 

「はぁっ!」

「そりゃ! だぁっ!」

 

ある程度数を減らしたところで、星斗は叫んだ。

 

「このまま奥に向かうぞ、タケル! このまま使い魔ばかり相手しても埒があかないからな」

「分かった!」

 

そして2人は、結界を作り出した主格でもある魔女のいる最深部へ走って向かった。

しばらくして、2人の目の前に扉が現れた。そこを開いていくと、最後の扉を開けた先に、電球とタコを合わせたような風貌の魔女がいた。

 

 

 

〜電球の魔女、ガウスマグナ〜

〜彼女の魅惑に取り込まれた者は、死ぬほど痺れる感覚を味わい続ける事になるだろう〜

 

 

 

電球の魔女は、2人の姿を確認した後に、タコの足のような、8本のコンセントのような足を鞭のようにふるって攻撃してきた。

 

「うわっ⁉︎」

 

2人は、二手に分かれて横に回避した。

 

『ガンガンセイバー!』

『ガンガングローブ!』

 

2人はそれぞれの武器を構えて、迫り来る足の攻撃を弾いていた。すると痺れを切らしたのか、電球の魔女は足の先端から電流のようなビームを放った。

 

「おわっ⁉︎」

 

直撃こそしなかったが、爆風で星斗が吹き飛んだ。よく見ると電流が当たった地面もえぐれていた。

 

「マジでヤバイかも……! だったら! 行くぞムサシ!」

『アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!』

 

タケルはすぐさまムサシゴーストアイコンを取り出してオレゴーストアイコンと入れ替えた。

 

『カイガン! ムサシ! 決闘! ズバッと! 超剣豪!』

 

ムサシ魂となったタケルは、二刀のガンガンセイバーで速攻勝負を決めようとしたが、それよりも早く電球の魔女はタケルに電流を浴びせた。

 

「ぐぁっ……! し、痺れ、て……!」

「! タケル!」

『アーイ! バッチリミロー! バッチリミロー! カイガン! ニュートン! リンゴが落下! 引き寄せまっか!』

 

星斗もすぐさまニュートン魂となって右手を使って足をタケルから引き離したが、今度は別の足から流れた電流が星斗に襲いかかった。

 

「うわっ! こいつは、ヤバイぞ……!」

 

さすがの星斗もかなり苦戦しているようだ。

 

「どうにかして、あの電撃をなんとかしないと……!」

 

その時、タケルはポケットにあったもう一つの英雄アイコンの事を思い出した。タケルが取り出したのは黄色のアイコンだった。

 

「そうだ! こいつを使えば、まだ勝機はあるかも……! やってみるしかない! 頼むぞ!」

 

早速タケルはその英雄アイコンをムサシゴーストアイコンと入れ替えた。すると今度は黄色のパーカーが飛び出して、電流を弾き返した。

 

『アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!』

「行くぜ!」

『カイガン! エジソン! エレキ! 閃き! 発明王!』

 

どうやらもう一つのアイコンには、エジソンの力が宿っていたようだ。タケルは自分の姿を見て興奮した。

 

「おぉっ! これってあの新聞売り子をしながら実験室を作り、蓄音機や映写機、それに電球を発明した、発明の父とも言われた、あのエジソンの力を……!」

「! タケル! 危ない!」

 

タケルが解説モードに入っている間に、電球の魔女はタケルに電流を浴びせた。星斗も途中で気がついたが、もう間に合わない。タケルはもろに電流を受けてしまった。ところが、

 

「……あれ? そんなに痛くない……?」

 

先ほどまでと違い、タケルはケロッとしていた。よく見ると、頭部に出来た2つの避雷針のような部分に電気が集約されているようだ。すると、タケルの頭がシャキッとして、何かを思いついた。

 

「! 閃いた! こうすれば!」

 

タケルは左手のガンガンセイバーを、元に戻すのではなく逆にはめ込んで、銃のような形に変形させた。

 

「! あの剣って、銃にも変えられるのか……!」

 

星斗だけでなく、電球の魔女も驚いているように見えた。

 

「よし! このまま決めてやる!」

『ダイカイガン!』

 

タケルはガンモードになったガンガンセイバーをベルトにかざすと、溜め込んだ電気エネルギーを収束させた。

 

「命、燃やすぜ!」

『オメガシュート!』

 

引き金を引き、ガンガンセイバーから放たれた一撃は、電球の魔女に強烈なダメージを与え、そのまま爆散した。

 

「よっしゃあ!」

「す、凄ぇ……」

 

タケルが喜び、星斗が呆然としていると、周りの空間が歪み始め、元の発電所の風景に戻った。やがて正気に戻った星斗は、あたりを見回していくと、前方に黒い球体のようなものが突き刺さっているのが見えた。

 

「何だそれ?」

 

タケルも興味深げに近寄ってみた。星斗は変身を解除してからタケルに説明した。

 

「こいつはラッキーだな。これはグリーフシード。言うなれば、魔女の卵みたいなもんだ」

「た、卵⁉︎」

 

タケルは驚きながら変身を解除した。

 

「こいつを使えば、使った魔力を元に戻す事が出来る」

「……どういう事?」

 

未だに理解出来ないタケルに、星斗はアリトルゴーストアイコンを取り出して見せた。

 

「タケルも自分のゴーストアイコンを見てみれば分かると思うけど、夕べよりも濁っているように見えないか?」

「……あっ、本当だ」

 

タケルも慌ててオレゴーストアイコンを取り出して見ると、確かに2つのアイコンの白い部分が一部分だけ黒く濁っていた。

 

「その濁りを取り除くのに必要なのがこのグリーフシードなんだ。こいつを近づければ……」

 

タケルは星斗に合わせてゴーストアイコンをグリーフシードに近づけると、黒い濁りはグリーフシードに吸い込まれていき、アイコンは元の白い輝きを取り戻していた。

 

「なっ? こんな風に魔力を回復しながら戦うんだ。そんでもってこれが昨日言ってた見返りなんだよ」

「そっか……。自分の回復アイテムを確保する為に衝突する事があるのか」

「まぁ、そういう事だ」

 

それから2人は休憩する為に、発電所の近くの丘に座り込んだ。

 

「あっ、そうそう。さっきはありがとな。お前のおかげであいつを倒せたわけだし」

「そんな事無いって。俺だって、お前がいてくれたから協力して魔女をやっつけれたんだからな。それもあってこの街の人達を守れたんだからさ」

「そっか……」

 

星斗は何時になく嬉しそうな表情を浮かべていた。それから沈み行く夕日を眺めながらポツリと呟いた。

 

「友達って、やっぱ良いよな」

「? 急にどうしたんだよ……?」

 

タケルが不思議そうに星斗の顔を見た。星斗は恥ずかしそうに、その言葉の真意を話し始めた。

 

「信じられねぇかもしれないけど、俺ってさ、少し前まではマジで友達なんて一人もいなかったんだよな」

「マジで⁉︎ 全然そんな風に見えないけど……」

「本当の事さ。彼女なんてもちろんいなかったし、周りの奴はすぐに話しかけて友達になってるのに、誰も俺に話しかけてこようとはしなかったんだ。……なんでかはよく分かんなかったけど、多分元々は暗かった俺の雰囲気を見て近寄りがたかったのかもしれない。それでずっと苦しかったし、悔しかった」

「……」

 

星斗の口から語られた真実に、タケルは黙るしか他に無かった。星斗は更に会話を続けた。

 

「……確か、あれは3ヶ月ぐらい前だったかな? あいつが、キュゥべえが俺の前に現れて話しかけて来たのは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やぁ、僕の名前はキュゥべえ!』

 

最初にそう話しかけられた時、星斗は唖然としていた。無理も無い。見た事も無い生き物が突然目の前に現れて、自分に話しかけて来たのだから。

それから星斗はキュゥべえから、願い事を叶えてあげる代わりに魔女と戦ってほしいという事を説明された。最初は半信半疑だったが、キュゥべえの真剣そうな眼差しから、嘘は言っていないように思えた。そして最後に、キュゥべえはこう告げた。

 

『君には素質がある。仮面ライダーとして、自分を変える事の出来る力がね。どうだい? 君も願いを持って、自分を変えてみたいと思わないかい?』

『俺は……』

 

星斗はしばらく悩んだが、やがて意を決してキュゥべえに告げた。

 

『……俺にも、叶えたい願いがある。俺の……、俺の望みは……!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……星斗の望みって?」

 

タケルにそう質問されて、星斗は、魔女との戦いと引き換えに叶えた願いを口にした。

 

「『周りの人から話しかけられるような自分になりたい』。それが俺の願いだったんだ」

「そうだったんだ……」

 

タケルは、ポツリとそう呟いた。その後、星斗は少し上機嫌に話し始めた。

 

「それからは、本当に周りから話しかけられるようになったんだ。もちろん俺からも積極的に話すようにして、自分を生まれ変わらせたんだ。そりゃあそれからの魔女との戦いは大変だったけど、なんだかんだ言って頑張ってこれたし、すぐに先輩達とも出会えたから、俺は仮面ライダーになって良かったと思ってる」

 

それから星斗はタケルの顔を覗き込むように見つめた。

 

「これは個人的な頼みなんだけどさ。これからも一緒に戦ってくれないか? そんでもって、俺と友達になってほしいんだ」

 

突然そう言われてタケルはポカンとしていたが、すぐに笑みを浮かべた。

 

「当たり前だろ? っていうか、もう俺達は友達だろ? 今更頼まなくたって良いよ。こっちこそよろしく。大変だけど、これからもこの街を守っていこうぜ」

「……ありがとな、タケル!」

 

2人は友情を確かめ合い、ガッチリと握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、やがてタケルは思い知らされる事になるのだ。魔女との戦いというものがどれほど過酷で、命がけである事かが……。

 

 




友達っていてくれるだけでも最高ですよね。
次回からいよいよ本編に入っていきます。
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