魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

40 / 74
遂に40話目に突入!

そして、今回で第2章は終わります。


40. あんたを巻き込めないよ

「ほ、ほむらちゃん、マコト君……!」

「あいつら……!」

 

突如目の前に介入してきた、ほむらとマコトの登場で空気は一変した。

 

「何しやがった、テメェ!」

 

杏子も、2人の登場に最初は困惑していたが、すぐに2人めがけて槍を突き出した。

が、目線を2人に向けた時にはすでに2人の姿はなかった。

 

「な……! どこに……」

「杏子、後ろだ!」

 

誠司の声が聞こえて杏子がハッと振り返ると、そこには2人が立っていた。いつの間にか背後を取られていたようだ。

誠司が杏子の前に出るように駆け寄り、杏子は慌てて2人から距離をとってから2人を睨みながら呟いた。

 

「……そうか。あんたらがキュゥべえの言ってた別のイレギュラーか。確かに妙な技を使いやがるな……」

「イレギュラー……?」

 

杏子の言葉が気になった誠司は杏子に尋ねた。

 

「あぁ、そうさ。そいつらは天王寺 タケルと同じように、キュゥべえと契約したはずなのに、キュゥべえ自身が、契約した覚えのない素質者らしい」

「えっ……?」

「どういう事だ……?」

 

杏子の言葉に、まどか達だけでなく、本人も訝しんだ。

魔法少女や仮面ライダーになるためにはキュゥべえの仲介が必要なはずなのに、仲介人であるはずのキュゥべえが全く覚えてないのはどう見ても不自然である。

一同が困惑していると、今度は別方向から声が聞こえてきた。

 

「キョーコ!」

 

一同が声のした方を見てみると、猫耳帽子を被り、ハンマーを担いだ少女が駆け寄ってきたのだ。

 

「えっ⁉︎ あの服ってまさか……⁉︎」

 

まどか達は、少女の服装を見て驚いた。それはまどか達よりもずっと幼く見える容姿だったからだ。そして少女の服装は紛れもなく魔法少女姿だった。

 

「まさか、あいつも魔法少女なのか⁉︎」

「どう見ても子供ですよね」

 

ただ1人、杏子だけが現れた少女の方を見て叫んだ。

 

「ゆま⁉︎ お前どうしてここに……」

「だって、いつまでたってもキョーコ来なかったもん! ゆま、それで心配だったから……」

「……あぁ、悪りぃ。ちょっとこっちに手間取っててな」

 

杏子がまどか達の方を見て少女……ゆまにそう説明した。

ゆまはムッとした表情になり、杏子を守るようの彼女の前に立って、両手でハンマーを握りながら叫んだ。

その堂々たる振る舞いに、まどか達もたじろいでいた。

 

「キョーコは悪い魔女なんかじゃないよ! キョーコをいじめたら、ゆまがやっつけてやる!」

「いやいや、別にいじめられてないから……」

 

杏子が先ほどタケル達と対峙していた時とは打って変わって態度を変えて、ゆまにそう言った。

 

「だって! ゆまのお願いは……」

 

ゆまがまた何かを言おうとしたが、杏子は優しく彼女の頭を撫でた。

 

「分かってるって。ありがとな」

「……えへへ」

 

杏子に褒められて嬉しかったのか、ゆまは笑みを浮かべた。

それから杏子は、自分とゆまを見ていたほむらとマコトの方に向き直った。

 

「……で、あんたらは何もんだ? 一体誰の味方についてるつもりだ?」

 

警戒しながら呟く杏子の質問に、ほむらはあっさりと答えた。

 

「私達は冷静な人の味方で、無駄な争いをするバカの敵。それだけよ」

「これ以上無駄な争いをするようなら、力ずくでも止めさせてもらうぞ。佐倉 杏子、そして千歳 ゆま」

「……?」

 

マコトの口から出てきたのは、なぜか杏子とゆまのフルネームだった。ゆまは自分の名前を見知らぬ2人が知っている事にキョトンとしていた。杏子も驚きを隠せないようだ。

 

「あたしだけでなくゆままで……。……あんたら、どこかで会ったか?」

「さぁ、どうだろうな……」

 

あくまでも冷たい呟きではぐらかそうとするマコトに、杏子は畏怖を覚えた。やがて舌打ちを一つしてから、槍を収めて呟いた。

 

「手札がまるで見えないとあっちゃあね。今日のところは降りさせてもらうとするか」

「賢明ね」

「お前はどうするつもりだ? 秋永 誠司」

 

マコトはガンガンハンドを構えながら、誠司に尋ねた。

 

「ま、まぁ、そっちが退くってんなら、俺も別に手を出す理由は無いし……」

 

誠司は両手を見せて、戦意が無いことを示した。

やがて杏子がゆまを連れて帰ろうとした時、ふと思い出したように立ち止まってまどか達に振り返った。

 

「消える前にあんたらに聞いときたい事がある」

「? 何かしら?」

 

マミがそう呟くと、杏子がある質問をした。

 

「白い魔法少女って、心当たりないか? 織莉子ってやつだ」

「……? 織莉子……? 白い魔法少女……?」

「(えっ? 織莉子ってもしかして、あの時の……?)」

「「……!」」

 

マミ達が首を傾げる中、ただ1人、仁美だけは、以前彼女の家に招かれてお茶会をした事を思い出していた。その時告げられた彼女の名前は織莉子。

だが、彼女との約束で、名前を公言しないようにするため、表情に出ないようにした。

その頑張りもあってか、仁美の表情の変化に杏子は気づかなかった。それ以上に、織莉子の名前を出した途端に、なぜかほむらとマコトの表情に僅かながら変化が見られたのを見逃さなかったため、2人に視線を向けた。

 

「……ひょっとして、あんた達知ってるのか? 織莉子の事……」

「……さぁ、そんな人物、知らないし知ったことではないわ」

「その通りだ」

 

が、ほむらとマコトはいつものように平然とした表情でそう告げた。

これ以上は情報を聞き出せないだろうと判断した杏子はため息をついてから呟いた。

 

「……ま、知らないならいいや」

「杏子。その、織莉子という人物と何かあったのか?」

 

隼人が尋ねたが、杏子は表情一つ変えずに返事した。

 

「まぁ、そいつにはちょっと借りがあってね」

「借り?」

「あんたらには関係ない事さ」

 

それだけ告げると、杏子はゆまに目線を向けた。

 

「行くぞ、ゆま」

「あっ、うん!」

 

ゆまは杏子にしっかりと組みつくと、杏子はゆまを支えながら跳躍して壁を蹴って上に上がり、そのままどこかに行ってしまった。

杏子が見えなくなったのを確認したまどかは、緊張が解けて、その場に座り込んだ。

そして、ほむらとマコトの方に顔を上げて呟いた。

 

「助けて、くれたの……?」

 

しかし、まどかを見るほむらの目つきは、今まで以上に冷たいものだった。そして、冷徹な口調で呟いた。

 

「……一体何度忠告させれば気がすむの? どこまであなたは愚かなの?」

 

それは初めて見る、ほむらの本気の怒りだった。

 

「おい! そんな言い方ないでしょ⁉︎」

「お、落ち着きなされ、さやか殿!」

 

まどかを侮辱されたと思って、怒ったさやかが2人に斬りかかろうとしたが、御成に動きを止められた。

 

「あなたは関わり合いを持つべきじゃないと、もう散々言って聞かせたわよね」

「で、でも、私は……」

「愚か者が相手なら、例えあなたでも、私達は手段を選ばない」

「……!」

 

まどかは、何も言えずに全身を震わせていた。

 

「ちょ、ちょっと待てよ。いくらなんでも言い過ぎじゃねぇのか? そりゃあまどかの判断もまずかったかもしれないけど、まどかだって俺達の事をちゃんと考えて……」

 

タケルが言い終わる前に、辺りに銃声が響いた。

タケルの足元には煙が上がっており、その目線の先にはマコトがガンガンハンドの銃口をタケルの足元に向けたまま立っていた。先ほどの銃声はマコトによる威嚇射撃のようだ。

 

「……どこまでも甘い奴らだな。興が冷める」

 

それは、明確な敵対を露わにした瞬間だったのかもしれない。

ほむらとマコトはそこから何も言わずに、まどか達に背を向けるように立ち去っていった。

 

「彼らが何かを企んでいるのは間違いない。みんな、用心しておいた方が良いかもね」

 

キュゥべえはポツリと警戒するように呟く中、2人の言動に違和感を感じていた。

 

「(あの2人は、もしかして……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少ししてから、ようやく緊張から解放された一同は、これからの事を話し合った。

 

「私と八谷君で、美樹さんの言ってた使い魔を追いかけるわ。他のみんなは、もう疲れたでしょうし、何より美樹さんと天王寺君、それから秋永君はさっきの一件でソウルジェムやアイコンが濁ってるでしょ?」

「あ、本当だ……」

 

3人は各々のソウルジェムやアイコンを見て呟いた。

 

「後は俺達でどうにかする。困った時はすぐに連絡するようにしてくれ」

 

隼人がそう言うと、まどか達は頷いて、2人と別れてから、近くの公園のベンチに腰掛けた。

さやかは、以前デビュー戦でハコの魔女を倒した時に手に入れたグリーフシードを取り出して、それを近づけて自分を含む3人のソウルジェムやアイコンの穢れを取り除いた。ソウルジェムやアイコンの輝きが戻ってきたのに対し、グリーフシードはより一層黒さを増した。

横でその様子を見ていたキュゥべえは呑気そうに呟いた。

 

「これでしばらくは大丈夫だね。ただ……」

「結構真っ黒になってるな……」

「大丈夫なんですか?」

「さすがにもう危険だね。これ以上穢れを吸ったら、魔女が孵化するかもしれない」

「えっ、マジで?」

「けど、大丈夫。そこで僕の出番なんだ」

 

キュゥべえがそう言うと、尻尾でさやかの手からグリーフシードを預かり、2、3回器用に跳ねさせて、頭を使って高く放り投げると、背中にあった、卵型の模様の部分がパカッと開いて、吸い込まれるようにグリーフシードが入っていった。そして再び閉じられるとキュゥべえの体が光り、そして、

 

「きゅっぷい。これでもう安全さ」

 

先ほどの行動とは裏腹に、可愛らしいげっぷをしてからキュゥべえは得意げに呟いた。

あまりにも異様な光景に、まどか達は呆然としていた。中には、キュゥべえの意外な一面を知って顔を引きつらせている者もいる。

 

「た、食べちゃったんですか……?」

「これもまた、僕の役目の一つだからね」

「何度見ても慣れねぇなぁ……」

 

何度かその光景を見た事もある星斗も苦笑しながら呟いた。

 

「でも、また次にソウルジェムやアイコンを浄化するには、早く新しいグリーフシードを手に入れないといけないんだ」

「だから、魔法少女や仮面ライダー同士が戦う事に繋がるのですわね」

「まぁ、そうなるね」

 

仁美の質問を、キュゥべえは肯定した。

誠司は納得のいかない表情を見せながら、自身の持つカエサルゴーストアイコンを持って見つめながら呟いた。

 

「これを綺麗にしておくのって、そんなに大事な事なのか?」

「もちろんさ。それに、佐倉 杏子は強かっただろう?」

 

キュゥべえが真面目な顔でそう言うと、さやかは顔をしかめた。

確かに、彼女は強かった。あの逸材とも言われていたタケルでさえも、苦戦を強いられていたぐらいだ。その理由を、キュゥべえはこう説明した。

 

「彼女は、常にソウルジェムを最良のコンディションに保っている。余分なグリーフシードがあれば、魔法を出し惜しみせずに無駄遣いする事だって出来る。それが杏子の強みだからね」

「……でも、だからって、グリーフシードのために、自分の魔力のためだけに、他の人を犠牲にするなんて、考えたくもないよな……」

 

タケルは、杏子と戦った時の事を思い出しながら、不満そうに呟いた。

 

「魔力を使えば使うほど、ソウルジェムやアイコンに穢れが溜まって、魔法が使えなくなる。君達がグリーフシードを集められない限り、杏子と戦っても、勝ち目はないと思っていいかもしれない」

「なんだか、その……。本末転倒ですわね」

 

仁美が、納得いかないように呟いた。

誠司もやれやれといった表情を浮かべていたが、不意にある事を思い出した。

 

「そういやさ。あの時杏子に寄ってきたあの子、一体何者なんだ?」

「あぁ、千歳 ゆまの事だね。彼女も、最近僕と契約して誕生した魔法少女だよ」

「あんな小さな子でも、魔法少女になれるの……?」

 

まどかが尋ねると、キュゥべえはう〜ん……、と唸った。

 

「彼女の場合は少し幼すぎるかもしれないけど、素質はちゃんとあったからね。それに彼女にもちゃんと叶えたい願いがあった。だから、僕は彼女の意思を尊重したまでさ」

「そう……なんだ」

 

キュゥべえに言われた事を聞いて、まどかは落ち込んでいた。

周りを魔法少女や仮面ライダーとなった親友達に囲まれていながら、未だに契約を結ぼうと決意出来ないまどかと、周りで頼れる人が少なく、まだ成長過程でありながら、魔女との戦いを決意したゆま。

年齢や背丈も違うのに、その意志の固さ、心の強さは雲泥の差があるように思えて、まどかはますます自分が情けなく思えた……。

 

「でも、あんな奴と一緒にいたら、あの子にとっても良い人生を歩めるとは思えないよ。今度あったら、絶対引き離してやらなきゃ」

 

さやかは、杏子の悪質な性格に、本気で腹を立てているらしく、ゆまを彼女の魔の手から救おうと、決意したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りが暗くなり、各々の家に戻る事にした一同は、夜道を並んで歩いていた。

そんな中、さやかがポツリと呟いた。

 

「マミさんや隼人さん、それにタケルだって、充分なグリーフシードを持ってたわけじゃないんだよね……」

「ん? どうしたんだ急に?」

 

突然自分の名前が出されて、タケルは思わずさやかの顔を凝視した。

 

「でも、3人ともちゃんと戦えてたよね。それって、やっぱあれ? 才能の違いとか関係してくるの?」

「確かに、それは事実だね」

 

まどかの肩に乗っかっていたキュゥべえに明るく即答されると、さやかが駄々をこねるように叫んだ。

 

「何それずーるーいー! そんなの不公平じゃん!」

「そ、そんな事言われてもなぁ……」

 

当の本人はどう反応すれば良いか分からずたじろいでいた。

 

「こればっかりは仕方ないよ。マミや隼人、それに杏子は素質がある上に、数々の魔女との戦いを経たベテランだもの」

「ですが、それではタケル殿が強い理由には繋がりませぬぞ?」

「タケルの場合は、変身した当初から天性の才能を持っているみたいだから、経験が浅くても、魔女と対等、いや、それ以上に戦ってこれたのさ」

「あっ、そういや聞きたい事があったんだけどさ、お前って……」

「それにね」

 

タケルが、自分が契約した時の事を問い詰めようとした時、キュゥべえがまた何かを告げようとしていた。

 

「全く経験がなくても、才能だけで杏子以上に、そしてタケルと同レベルの力を持つ魔法少女になれる天才だっているんだ」

「えっ? タケル君と同じくらいに……?」

「誰なんだ、そいつ?」

 

一同の視線がキュゥべえに集まる中、キュゥべえは目線をその意外な人物に向けて言った。

 

「君だよ。鹿目 まどか」

「……えっ?」

 

タケル達だけでなく、まどか本人も、その言葉に耳を疑った。

 

「まどかが……? それ、本当なのか?」

「あぁ。もちろんここにいる全員が団結すれば杏子に対抗出来るかもしれないけど、もしもの事を考えれば、いっその事、まどかに頼んでみるのも手だよ」

「わ、私が、魔法少女になれば……」

 

キュゥべえが明るくそう呟いたのを聞いて、まどかはなんとなく魔法少女になる事に前向きな気持ちになり始めていた。

自分が魔法少女になれば、全てがうまくいくのだろうか。

そう思ったまどかがキュゥべえに尋ねようとすると、さやかが首を横に振って言った。

 

「ダメだよ、まどか」

「さやかちゃん?」

「これは、あたしやタケルみたいにこの場にいる契約者達の問題なの。だから、あんたを巻き込めないよ」

 

さやかがまどかを睨みながらそう呟くと、タケルもそれに続くように口を開いた。

 

「俺も反対だな。だって契約するにしたって、それも一度きりだ。それこそマミさん達が言ってたみたいに中途半端に決めるのは良くない。本当に叶えたいものが出来てからじゃないと、どこかで後悔するかもしれないし……」

「そうだな。さっきの事だって、俺がもっとしっかりしてればまどかもそこまで思いつめる事なかったからな。今度はそうならないように、俺も頑張らないとな」

「まどか殿。貴殿が気に病む事はありませぬぞ! 拙者達は、決意を固めてこの戦地に足を踏み入れました。急いては事を仕損じますぞ」

「そうですわ、まどかさん。あなたがここにいてくれるだけでも、とても心強いのですから」

「大丈夫ですよ。僕達だって、まだ頑張れますよ」

「そうだぜ、まどか」

 

誠司達も同じようにまどかを説得した。

 

「う、うん……。ありがとう、みんな……」

 

まどかは未だにモヤモヤが晴れないながらも、皆の気持ちをありがたく受け取る事にして、お礼を言った。

それから、いつもの場所で解散し、同じ方向に帰るまどかとタケルは会話する事なくしばらく歩いていた。

やがて、まどかがポツリと呟いた。

 

「……ねぇ、タケル君」

「どうした?」

「このまま魔女退治を続けてたら、またさっきの子と会うんだよね……?」

「まぁ、そうなるよな……」

 

タケルも、まどか同様、夕方の件を思い出しながら、夜空を見上げた。

 

「だったら、先に会ってちゃんと話し合った方が良いと思うの。でないと、またケンカの続きになっちゃうよ……」

「ケンカねぇ……。俺にはそうは見えなかったけどな」

「えっ……?」

「最初に俺とさやかが戦ってた時はそうでもなかったけど、誠司と戦い始めた頃からは、苛立ってたみたいで、本気で終わらせようとしてた風に見えたんだ……」

「そんな……。でも、だったら……」

「もちろん話し合いで済めば良いし、出来ることなら俺もそうしたい。協力していけたらもっと良い。けど、あの杏子って奴は、グリーフシードのために人間の命を犠牲にしているのも事実だ。そんな奴にどこまで話が通じるかなんて、正直俺にも分からない……」

 

そう呟くタケルの表情は、普段と比べて暗かった。苦悩しているようにも見える。

 

「タケル君……」

「それに、杏子の方はともかくとして、問題はほむらとマコトだ。あの2人は絶対に向こうから組む気はない」

「そう……なのかな?」

「……もしかしたら、俺達や、あすなろ市にいるアラタ達のチームだけなのかもな。誰かの平和のために戦うのって。後のメンバーは、自分の都合しか考えてないのかもしれないって、最近思うようになったんだ……」

「そ、そんな事……!」

「……だけど」

 

まどかが強く反対しようとした時、タケルは立ち止まって、まどかの顔を見た。

 

「それでも、俺は分かってもらえるまで何度でもそいつにぶつかっていくぜ。それで魔法少女や仮面ライダーと戦う事になったとしても、俺は、守りたいものを守るために、最後まで戦う」

 

そして、タケルはポケットからオレゴーストアイコンを取り出して、見つめた。

 

「そのために、この力を使うって、俺はそう決めたんだ」

「……」

 

タケルの強い意志を聞き、まどかは少しだけ安心したような気分になった。これが、短気なさやかだったら喧嘩腰になってマコト達を敵視してただろうけど、タケルは違う。

心を持つ者同士だからこそ、分かり合える。その信念を持って戦うと言っているのだ。

まどかは自然とタケルの手を掴んだ。たとえ力になれなくても、自分も最後までそばにい続ける。そんな小さな決意を示すような行動だった。

タケルは何も言わずに、まどかに優しく微笑んだ。

 

「(ほむらやマコトの事は、俺もよく分かってない。けど、時間をかけてでも良い、何がなんでも、あいつらに俺の気持ちをぶつけていく。魔法少女や仮面ライダーが希望を守るために戦っていく存在なんだって事を。……それしか、分かり合えないんだ)」

 

タケルは2人に自分の気持ちを強く伝えていこうと、改めて決意したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、タケルは、否、まどか達はまだ気づいていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に分かっていなかったのは、自分達である事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真実は、時として残酷なものである事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てを知るその日は、刻々と迫りつつある。

 

 

 

 

 

 

 




というわけで、ここで一区切りつけさせていただきます。
おりマギ編と共に、かずマギ編とも重なっていき、登場するメンバーが増え続けていくこのシリーズ。最後までお付き合いお願いいたします。

「遊戯王」の映画を観てきましたが、とても素晴らしい作品でした!まだ観てない方は、是非とも、あの興奮を共感してほしいです!本当に往年のファンにとっては、出血大サービスな内容ですよ!

話が逸れてしまいましたが、次回からは第3章「真相の物語」に入っていきます。



様々な魔法少女や仮面ライダーと出会い、タケル達の周りはますます賑やかになっていく現状。
だが、彼らは知る事になる。このシステムに隠された、恐るべき真実を……。そして、それを知ったタケル達の選択とは……。

次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。