魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜 作:スターダストライダー
そして、分島 リクオの戦い方が明らかになります。
それはとある休日の、良く晴れた日の事だった。
見滝原の一角に佇む、一際目立つ豪邸の庭で、2人の男女が庭に植えられたたくさんのバラの近くに立っていた。
「ドロレス、ストロベリーカップ、銀世界、プリンセスダイアナ……。えーっと、あと何だっけな……?」
「意外と詳しいな」
やや短髪で、気だるそうな目をしている少女が植えられたバラの品種を呟いていると、バラの手入れをセッセとこなしている少年……分島 リクオが汗を拭いながらそう呟いた。
その近くで紅茶の葉が入っている缶を持って、ティータイムの準備をしていた織莉子も感心そうに呟いた。
「バラが好きなのね。なら、もっとたくさん植えましょうか? キリカ」
「へ? えっ?」
不意に、その少女……呉 キリカは素っ頓狂な声をあげた。
「あら? どうしたの?」
織莉子は不思議そうにキリカに声をかけた。
「あれ? 織莉子が好きなんじゃないの、バラって。それか、リクオの方が好きだったっけ?」
「いや、俺は特別そういうわけでは無いが……。織莉子は?」
「お父様が好きだったのよ」
織莉子がそう答えると、キリカはへぇ……と息を吐いた。
「それじゃあ、この情報は記憶から消しておく事にするよ」
「あら、折角覚えたのに、勿体ないわ」
「うむ。確かに」
織莉子の言葉にリクオも共感するが、キリカ首を横に振った。
「いやいや。勿体ないのは私の頭の容量だよー。私は
「でもキリカ。それではあなたは無知な子供になってしまうわよ」
それを聞いたキリカは少しムッとした。
「君はいつも私を子供扱いするんだね。たった121日と3時間年上なだけでさ!」
「(細かいな……)」
リクオがやれやれと思いながら軍手を外し、織莉子は苦笑しながら紅茶を淹れる準備をしていた。
なおも食い下がる事なくキリカは話しかけた。
「じゃあさ。「君のお父様が好きなものならもっと知りたい」と、私はこう答えるべきだったの?」
「それは困るわ。私なお父様を尊敬しているのに、あなたがお父様に興味を持ったら、お父様に嫉妬してしまうかもしれないわ。そう思わない、リクオ?」
「……まぁ、その気持ちも分からなくもない」
一方で、キリカは未だに首を傾げていた。基本的に記憶力は良いのだが、頭の回転がそれほど速くないのがキリカなのだ。
「なんだい、なんか矛盾してるなぁ。本当は織莉子の方がワガママな子供じゃないか?」
キリカがそう呟いた時、織莉子とリクオの表情が引き締まった。
それを見たキリカは、一瞬2人が怒ってしまったのかと思い込み、慌てて2人にすり寄った。
「え、えぇ⁉︎ ヤダヤダ怒らないでよ! 君達に嫌われたら、私は腐って果てるよ!」
「落ち着け、キリカ。それよりも……」
「ふぇ?」
よく見ると、2人の目線は豪邸の外に向けられていた。そして、リクオが手に持っているアイコンは点滅していた。キリカもまた、魔法少女の証でもあるソウルジェムを手にとって、それを確認した。
「この気配は魔女ね。近いわ」
織莉子がそう呟くと、一同は外に出た。
玄関を出てすぐの曲がり角にたどり着くと、織莉子が叫んだ。
「! キリカ、そのまま動かないで」
先頭を走っていたキリカが立ち止まると、キリカのすぐそばの地面に、どこからか銀色の物体が飛んできて突き刺さり、辺りは結界に包まれた。やがて暗闇に目が慣れてくると、目の前に、全身鎧に包まれた、一つ目の顔をもつ巨大な魔女が大きな音を立てながら現れた。
〜鎧の魔女、バージニア〜
〜彼女の前で無礼な振る舞いを見せれば最後、怒りの鉄槌が下されるだろう〜
「あぁ! 前から思ってたんだよね。あの家にあるといいなってさ」
一方、キリカは魔女を目の前にしても平然としていた。キリカだけではない。織莉子やリクオも微動だにしていない。それだけ自分達の力に自信があるのだろう。
「確か、ブルジョアは鎧置くのがしきたりなんでしょ?」
「初耳だわ……」
「俺もだ……」
織莉子とリクオはキリカの発言に若干呆れていた。が、リクオはすぐに気持ちを切り替えて、織莉子の前に出た。
「あれは俺とキリカでやる。行くぞ、キリカ」
「うん!」
キリカも頷くと、リクオの隣に立った。
そしてリクオは腰にゴーストドライバーを出現させると、手に持っていたアイコンのスイッチを入れて、ゴーストドライバーにセットした。
『アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー! バッチリミナー!』
すると、ゴーストドライバーから銀色のパーカーが出現した。
キリカも自身のソウルジェムを片手に持って掲げた。リクオが右手を前に突き出し、握りしめるように拳を固めた。まるで目の前のものを全て破壊するような仕草を見せた後、2人同時に叫んだ。
「「変身!」」
キリカの体は光に包まれ、黒い眼帯に黒い長袖の服、両手には3本ずつつけられたかぎ爪を装備した魔法少女姿に変貌した。一方、リクオもレバーを引いて押すと、全身に装甲がつけられて、パーカーが上半身に羽織られた。
『カイガン! フリード! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』
見た目や仮面も西洋の騎士をイメージさせる、リクオが変身した仮面ライダー"フリード"は、右手をドライバーにかざすと、
『ガンガンスピナー!』
これまた西洋の騎士が使用していた槍状の剣に酷似したガンガンスピナーを手に持った。
鎧の魔女は2人の姿が変わった事に驚いていたが、すぐに右手を振りかざして、無防備な織莉子に攻撃しようとした。が、その一撃はリクオによって受け止められた。その隙にキリカは鎧の魔女に飛びかかった。
そうして戦闘が始まると、織莉子は魔法の力でテーブルと椅子を出現させ、座って余裕そうにお茶を楽しみ始めた。
「リクオ、キリカ。紅茶に砂糖は何個入れるかしら?」
「俺はストレート派だ。そのままで良い」
「じゃあ私は3個! あと、ジャムも3杯ね!」
「あらあら、キリカったら。まるでシロップを飲んでるみたいね」
それを聞いて、キリカはまたムッとした表情になった。
「あぁ、もう! またそうやって子供扱いするんだね! 織莉子なんか、織莉子なんか……!」
「嫌い?」
織莉子が微笑みながらそう尋ねると、
「……だいっ好き!」
キリカが不敵な笑みを浮かべながら叫んで鎧の魔女をかぎ爪で斬りつけた。
その表情に恐れ慄いた鎧の魔女は逃げ出そうとしたが、
「この後に及んで逃げ出すとは、弱いな」
リクオが一言そう呟いて、ガンガンスピナーで突き刺した。鎧の魔女の表面にヒビが入り、鎧の魔女はよろめいた。
「……ふん」
『ダイカイガン! フリード! オメガドライブ!』
リクオはレバーを1回引いて押すと、右足にエネルギーを溜め始めた。
「それじゃあ、これで終わりだね!」
キリカがそう叫ぶと、目にも止まらぬ速さでかぎ爪を振り下ろし、鎧の魔女に大きな裂け目を入れた。同時に鎧の魔女の両腕も引き千切れるほどに物凄い切れ味だった。
「はぁっ!」
そしてリクオも軽く飛び上がり、強烈な蹴りを入れると、鎧の魔女は爆発し、その体は崩れ落ちていった。ただ、顔の部分だけは、キリカが持ち帰りたいというリクエストもあったため、傷一つついていない。
「私達の邪魔をするなんて、とんだ
結界が崩れ、元の風景に戻ると、織莉子が2人に拍手を送った。
「お見事ね。ただ……」
織莉子の目線の先には、鎧の魔女の腕がテーブルに突き刺さり、真っ二つに割れて、紅茶の入ったティーカップが割れてこぼれている様子が。
「紅茶が台無しになってしまったけどね……」
どうやらキリカの放った一撃が、勢い余って織莉子のいたテーブルにまで影響を及ぼしたようだ。
それを見たリクオはため息をつきながら頭を抱え、キリカは涙を流しながら発狂したのは言うまでもない。
それからしばらくして、一同は家に戻っていった。現在、キリカはリクオに背負われた状態で寝ている。泣き疲れてそのまま寝てしまったのである。
「もう……。世話の焼ける子だわ……」
「散々騒いで寝るんだから、運ぶこっちの身にもなってほしいものだ……」
ちなみに残しておいた鎧の魔女の顔は、結局いらないという事で、リクオが処分した。
2人は歩きながらも、キリカがスヤスヤと寝息を立てながら気持ち良さそうな表情を浮かべている様子を見て、自然と笑みがこぼれた。なんだかんだ言って、2人にはこの笑顔に癒されているのだろう。
「リクオ。もしあなたがいなければ、私はとっくに壊れてたでしょうね」
「それを言うなら、俺も同じだ。織莉子がいなければ、きっとこの場には立っていなかったし、この力も手にする事は無かっただろうな」
「それに、キリカにも感謝しないとね。色々と厄介事をいつも頼んでばかりだし」
やがて門にたどり着くと、織莉子は何かを察したように一旦振り返って、遠くを見つめた。
「織莉子……?」
「……あれに手を貸す者が近々出てくるわ」
「……そうか」
リクオも織莉子が言いたい事を察して、同じように空を見上げた。
「私達は、これからもずっと一緒にこうして生活していきたい……。そのためには、またあなた達を使う事になるけど……」
「気にするな。俺達で、なんとしてでも織莉子の言っていたあれだけは阻止しなければならない」
「えぇ、そうね」
両者のその瞳は、並々ならぬ決意のこもったものだった。夕日に照らされる中、織莉子はポツリと呟いた。
「私達の世界を守るために」
と。
今年はWIXOSSの新シリーズが、秋にアニメ化されると聞いているので、放送が待ち遠しいです!
そして次回は、かずマギ編の方を進めていきます。その際に、新たな魔法少女及び仮面ライダーも登場します。
次回もお楽しみに。