魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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遂に50話目に突入! これからもよろしくお願いいたします!

……言い忘れていましたが、ここからしばらくはおりマギ編に触れないつもりです。(時々その描写を入れるかもしれません)


50. 他人の為に使ったって、ろくな事にならないのさ

「黒い魔法少女が、ですか……⁉︎」

「星斗君、大丈夫だったの⁉︎」

 

次の日の昼休み、マミや隼人から、星斗が黒い魔法少女の襲撃を受けた事を話した。

当然まどか達は驚きを隠せず、まどかと仁美は思わず星斗に詰め寄った。

 

「だ、大丈夫だよ……。特別大怪我したわけじゃなかったし。なんとか勝てたからな」

「よ、良かったですぞ……」

 

星斗の言葉を聞いて、御成はホッと一安心した。

そんな中、隼人が未だに険しい表情を見せていた。

 

「しかし、これでハッキリしたな。その黒い魔法少女と、杏子が言っていた白い魔法少女は手を組んでいる事がな」

「えぇ。それに、彼女達についていたっていう仮面ライダーも気になるわ」

「なぁ星斗。その仮面ライダーって、どんなやつだったんだ?」

 

タケルが気になって星斗にそう尋ねると、星斗は唸りながら説明した。

 

「とにかく一瞬の事だったからよく分からないけど、キリカよりも相当強かった感じはしたよ。仮面ライダーの力を最大限発揮してたみたいだし、あのまま続けてたら、間違いなくやられてただろうな」

「そんなに強いなんてね……」

 

さやかも同じように唸りながらポテトサラダを口にした。

 

「とにかく、黒い魔法少女であるキリカという手がかりを掴めただけでも大きな収穫かもしれないわね。後は私と八谷君である程度調べてみるわ」

「本当はキュゥべえに聞き出してみれば割と楽なんですけどね……」

「だよな。こんな時に限って、あいつどこをほっつき歩いてるんだ?」

 

誠司が呆れたように辺りを見渡していた。彼の言う通り、キュゥべえは現在この場にはいない。どこへ行くとも連絡を受けてない為、マミと隼人も困っていた。

 

「まぁ、いないやつの事を気にしてもしょうがない。またそいつらが狙って来るとも限らない。みんなも充分警戒しておくようにな」

「あ、はい!」

 

隼人がそう念を押したところで、昼休みは終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方。さやかと仁美、それから晶は上条のいる病院に足を運んでいた。さやかの手にはお土産用のCDが握られている。

以前上条の腕が、さやかの契約の対価によって治ってからみんなで見舞いに行ったきり、一度も訪れていない為、久しぶりに顔を出そうと、3人だけで声をかけに行ったのだ。

ところが、いつもの通りに彼のいる病室の前にたどり着いた時、その病室に設置されているネームプレートのところに『上条 恭介』の名前がない事に気付いた。不思議に思った3人は病室の扉を開けて覗いてみたが、上条がいたはずのベッドは空で、私物等も綺麗さっぱり片付けられている。

病室を間違えたのだろうか。そう思っていると、近くを通りかかった看護婦が、3人に声をかけた。

 

「あら? あなた達、上条さんのご友人?」

「え、えぇ。そうですけど……」

「上条さんなら、昨日退院してたわよ」

「あら? そうなんですか?」

 

意外な事実を聞かされて、3人は驚きの表情を見せた。

 

「リハビリの経過も順調だったらしいから、予定が前倒しになったそうよ。……ひょっとして、連絡行ってなかったの?」

「えぇ、まぁ……」

 

さやかは曖昧そうな愛想笑いでそう答えた。

本人がこの場にいない以上、ここにいても仕方ない。3人は看護婦にお礼を言って、病院を後にした。

 

「連絡ぐらいしてくれても良かった気がしますよね……」

 

晶が珍しく不満げな口調で呟いた。それに対し、さやかと仁美は苦笑しながら呟いた。

 

「まぁ、本人も舞い上がっちゃってて、連絡し忘れてたんじゃない?」

「そうかもしれませんわね。それに、怪我も治って色々と忙しくなりそうですし、その事で時間が取れなかったのかもしれませんわ」

「そう……なんですかね」

 

晶も、納得のいかないまま2人の意見に肯定する事にした。

3人が途中の交差点で別れた後、さやかはそのままの足で上条が住んでいる家へ向かった。その表情は、仁美達といた時とは違い、微妙に暗い感じだった。実を言うと、彼女も上条が連絡してくれなかった事に不満だったのだ。

 

「(考えたら、恭介の家に行くの、割と久しぶりだったかも)」

 

そう思いながらも、ようやく彼の家の門前にたどり着いた。チャイムを押すかどうか、やや逡巡していると、不意に彼女の耳元に、微かではあるがバイオリンの旋律が鳴り響いた。顔を上げると、部屋の一室が明るくなっており、音源はそこから聞こえていた。

上条が演奏している。さやかはすぐにそれを理解した。こうして聞いているだけでも、かなり集中して練習している気迫が伝わってきていた。

本音を言えば、今すぐにでも上条に会いたい。労いの言葉をかけてやるのも良し、プレゼントだけあげるだけでも良い。とにかく、一目彼の様子を伺いたい。

 

「(……それで、あいつにどうしてほしいって言うつもりだったのよ)」

 

さやかはそう自分に言い聞かせて、チャイムを押そうとした手を引っ込めた。

自分は見返りも求めているわけでもないし、せっかく熱のこもっている演奏の邪魔をするわけにもいかない。手に持っていたCDをカバンにしまい、そのまま帰ろうとしたその時だった。

 

「会いもしないで帰るのかい? 今日一日中あいつらと追いかけ回してたくせにか?」

「……!」

 

背後から聞こえてきた、彼女の神経を逆撫でするようなその声を聞いて、さやかは緊張の面持ちで振り返った。

その視線の先には、予想通り、先日タケルや誠司と共に対峙した、隣町の風見野で活動している魔法少女……佐倉 杏子が街灯の光を浴びている状態で立っていた。片手には食べかけのチュロスが握られている。

彼女の隣では、行動を共にする魔法少女の千歳 ゆまが、同じくチュロスを無言で噛り付いている。

 

「……何のつもりよ」

「知ってるよ。この家の坊やなんだろ? あんたがキュゥべえと契約した理由って」

「……だったら何よ」

 

さやかがなるべく相手の挑発に乗らないように我慢しているのを見て、杏子はますます呆れた表情になった。

 

「……ったくよぉ。たった一度のチャンスを、くっだらねぇ事に使い潰しやがってさ」

「お前なんかに、何が分かるのよ!」

「ホントに分かってねぇのはそっちだろバカ。魔法ってのはね、徹頭徹尾、自分だけの望みを叶える為のもんなんだよ。他人の為に使ったって、ろくな事にならないのさ。……マミや隼人はその程度の事も教えてくれなかったのかい?」

「……っ!」

 

さやかは思わず歯ぎしりした。もちろん教えてくれなかった事はない。マミと隼人の過去を聞いたあの日にしっかりと咎められている。あの一言があったから、さやかは中途半端に契約せずに済み、魔法少女となったのだ。そう自分に言い聞かせていると、杏子が急に不敵な笑みを浮かべた。

 

「惚れた男をものにするなら、もっと冴えた手があるじゃんかよ。せっかく手に入れた魔法でさ」

「な、何よ……」

 

さやかがそう尋ねると、杏子は次のような事を語りだした。それはさやかにとって、体から何かが抉り取られるような感覚を覚えさせるのに十分な一言だった。

 

「今すぐ乗り込んでいって、坊やの手も足も、2度と使えないぐらいに潰してやりなよ。もう一度、あんた無しじゃ何も出来ない体にしてやるんだよ。そうすりゃ今度こそ坊やはあんたのもんだ。身も心も全部、ね」

「……!」

「ま、気が退けるってんなら、あたしが代わりに引き受けてやっても良いんだよ? 同じ魔法少女のよしみだ。お安い御用さ」

「……絶対に」

 

さやかは声や肩を震わせながら杏子を睨みつけた。その表情からは、明確な殺意が見られた。堪忍袋の緒が切れたさやかは、完全に頭に血が上っていたのだ。

 

「お前だけは、絶対に許さない……! 今度こそ、必ずお前を倒してやる……! んでもって、その子を、あんたみたいな奴から引き離してやる……!」

 

さやかが目線をゆまに向けると、ゆまはムッとした表情になり、チュロスを握り潰すぐらいに力を込めた。

 

「ゆま、キョーコとずっと一緒にいる! ゆま、おねーちゃんの所になんか行かない!」

「あんた! 自分が何言って……!」

 

さやかが、怒ってゆまに掴みかかろうとして右足を踏み出したが、それよりも早く、杏子が2人の間に入った。

 

「場所を変えようか。ここじゃ人目に付きそうだしな」

「……」

 

杏子の提案も一理ある為、さやかは無言で渋々承諾する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、さやかや杏子達も気付かなかった。さやかの左指につけられたソウルジェムの宝石の部分が、魔法を使ってないにもかかわらず、ほんの少し濁りだした事に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、まどかは勉強机について、宿題を片付けていた。が、全く集中出来ず、ため息ばかりついていた。彼女の脳裏によぎっていたのは、昼間の会話だった。

 

「(星斗君もタケル君もみんなも、本当に大丈夫なのかな……。魔法少女や仮面ライダーはみんな、黒い魔法少女に狙われちゃってるのに、私、何も出来ないままなんて、そんなの……)」

 

力を持たない自分には何も出来ない。そんな現実がまどかをネガティブ思考に陥らせていた。

が、そんな心配事をよそに、緊急事態が飛び込んできた。

 

『まどか……! まどか!』

『⁉︎ この声、キュゥべえ……?』

『急いで外に来てくれ! さやかが……!』

 

キュゥべえが親友の1人の名前を呟いたのを聞いて、まどかはとっさに立ち上がった。そして家族にバレないように外に出て、道路沿いに出た時に、左方向からタケルが駆け寄ってきた。その表情からは、まどか同様焦りが見られる。

 

「まどか! キュゥべえの話、聞いたか⁉︎」

「う、うん! さやかちゃんに何かあったのかも……!」

「まどか! タケル! こっちだ! ついてきてくれ! 急がないとさやかが危ない!」

 

声のした方を見ると、キュゥべえが遠くから呼んでいるのが見えた。それを確認した2人は、顔を見合わせてから頷くと、キュゥべえの所に向かい、そのままキュゥべえの案内でさやかがいる場所に駆け抜けていった。




本来なら、まどかと詢子の会話のシーンも取り入れようかと思ったのですが、それはまた別の機会に。(他のシーンで使えそうな所がありそうなので)

次回、遂に衝撃の事実が明らかに……!

次回もお楽しみに。
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