魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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この間アニメを見返しましたが、中々エグい内容だなぁ、と思いました。

そんなわけで、いよいよ物語が大きく動き出します。


51. どうして人間は、そんなに魂の在処にこだわるんだい?

キュゥべえの案内に従いながら夜道を駆け抜けているまどかとタケルは走りながら、キュゥべえからさやかの身に起こった事を話した。どうやら物陰からさやかと杏子、ゆまのやり取りを見ていたらしい。

 

「あんなに怒ったさやかは初めて見たよ」

 

事情を知った2人はそれぞれの反応を示した。

 

「そ、そんな……!」

「そりゃあ、さやかだったら絶対怒るぜ……!」

「他のみんなにも、この事は先に知らせてある。僕達はこのまま急いで彼女達がいる所に向かおう!」

「うん!」

「分かった!」

 

2人は頷くと、住宅街を外れ、さやか達のいる場所に向かってさらにスピードを上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、杏子に連れられてさやかがやってきたのは、上条の家からそれほど離れていない、4車線の高速道路を跨ぐ、小さな橋だった。眼下に見える高速道路は往来が激しく騒がしい事に加えて、橋の上は一種の死角となっており、確かにここなら誰の目にも留まらない為、決闘にはうってつけの場所に違いなかった。

街灯一つない橋の上で、やや距離を置いて、さやかは杏子とゆまの2人と対峙していた。

 

「ここなら遠慮はいらねぇからな。いっちょ派手にいこうじゃないか。いくぞ、ゆま」

「うん!」

 

そう言って2人はチュロスをポケットにしまって、指輪型のソウルジェムを卵型に変えて左手に持ち、同時に叫んだ。

 

「「変身!」」

 

2人の全身は光に包まれて、それぞれ、魔法少女の姿に変わった。杏子は槍を、ゆまはネコ型のハンマーを構えてさやかの方を見た。さやかも2人に続いてソウルジェムを卵型に変えて、手に身構えて変身しようとした。

と、その時、背後から聞き慣れた声が響いてきた。

 

「待って、さやかちゃん!」

「さやか殿!」

「さやか!」

 

さやかが振り返ると、そこにはまどかやタケルにキュゥべえ、そして途中で合流した仁美達が駆け寄って来るのが見えた。

 

「みんな……⁉︎」

 

一瞬虚をつかれたさやかだったが、すぐまた闘志を漲らせた目つきに戻った。

 

「邪魔しないで! そもそもみんなには関係ない話なんだから!」

「そんなわけあるかよ! 放っておけるわけねぇだろ!」

「いい加減止めるんだ、お前達! これ以上無駄な争いを続けるな!」

「八谷君の言う通りよ。それに美樹さん。あなたが今の佐倉さんに勝てるはずも無いわ」

「黙っててください! これはあたし個人の問題なんです! 口出ししないでください!」

「ダメだよ……! こんなの絶対おかしいよ!」

 

必死にさやかの暴走を制止しようとするまどか達を見て、杏子は冷笑を浮かべ、小バカにするように呟いた。

 

「はん! また止めての一点張りかよ。ウザい奴には、ウザい仲間がいるもんだねぇ!」

「じゃあ、あなたの仲間はどうなのかしら?」

 

不意に聞こえてきた、冷たく澄んだ声を聞き、一同が杏子とゆまの背後に目を向けた。そこには、いつの間にか魔法少女姿のほむらと、仮面ライダースペクターになっているマコトが立っていた。

ゆまが驚き、杏子が舌打ちしている事も気にせず、マコトは口を開いた。

 

「どういうつもりだ。話が違うぞ。あいつらには手を出すなと言ったはずだが?」

「あんたらのやり方じゃ手緩すぎるんだよ。どのみち、向こうはやる気だぜ」

 

マコトにそう言いながら振り向く杏子だが、すでに2人は杏子とゆまの前に出ていた。

 

「なら、私達が相手をする。あなた達は手出ししないで」

「……ふん。じゃあ、こいつを食い終わるまで待ってやる」

「充分だ」

 

杏子が短くなったチュロスを掲げると、マコトはガンガンハンドを持ってそう言った。つまり、短時間で決着をつけようというのだ。

そのやり取りを聞いたさやかはますます怒りを露わにした。

 

「……な、舐めんじゃないわよ!」

「お、おい! 2対1なんて卑怯だぞ! さやか! ここは俺も手伝うぜ!」

 

さすがに見てられないと思った誠司が、カエサルゴーストアイコンを片手に、さやかの横に並んだ。さやかは何も言わずにソウルジェムを乗せた左手を突き出した。

そのまま、さやかと誠司、ほむらとマコトによるツーマンセルバトルが始まる。誰もがそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

……が。事態は予想だにしない急展開を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さやかちゃん、誠司君! ごめん!」

 

不意にまどかが集団から抜け出して、2人の方に駆け寄ると、横合いから、2人のソウルジェムとアイコンをひったくった。

 

「なっ……⁉︎」

「ちょっ……!」

 

これには2人だけでなく、後方にいたタケル達や、杏子やゆま、そしてほむらとマコトも呆気にとられた。

そしてまどかはそのまま橋の中央の端の所に行き、なんと手に持っていたソウルジェムとアイコンを、橋の下に放り捨てたのだ。

2つのアイテムは、丁度通りかかったトラックの荷台の部分に落ちて、トラックはそのまま遠ざかっていってしまった。ソウルジェムやアイコンと共に遠く彼方へ。

まどかがホッと一息ついた時、

 

「……! まずい!」

「! ほむら!」

 

ほむらとマコトが今までに見せた事も無いほど尋常じゃないくらいに焦りだし、マコトがほむらの肩に触れると、瞬時に2人は瞬間移動したかのように姿を消した。

さやかと誠司は驚きと焦りの表情を浮かべながら、2人が消えた事に気づく事なくまどかに詰め寄った。

 

「ま、まどか! あんた何て事を……!」

「だ、だってこうしないと……」

「だからって、このままじゃあいつらにやら……」

 

刹那、誠司の言葉が途切れた。そして2人は脱力したかのように同時に前のめりに倒れこんだ。まるで、操り人形についている糸がプッツリと切れたかのように。まどかに近かったさやかはそのまままどかの体にもたれかかり、誠司は誰にも支えてもらえず、コンクリートで造られた地面にドサッと音を響かせて横たわった。

 

「さ、さやかちゃん……? 誠司君……?」

「な、何だ……⁉︎」

「どうしたんですの……?」

 

何が起こったのか分からずに困惑するまどか達。2人からは返事が一切返って来ず、体には力も入っておらず、唇は色を失いつつある。おまけに目から光が失われ、虚ろな目をしている。

異変を感じ取ったタケル達が3人に駆け寄ろうとした時、手すりの上に乗っていたキュゥべえが、咎めるようにまどかに言った。

 

「今のはさすがにまずかったよ、まどか」

「……え?」

「2人を止める為とはいえ、よりにもよって友達(・・)を放り投げるなんて、どうかしてるよ」

「……な、何? 何、なの……?」

「き、キュゥべえ? お前、一体何を……?」

 

タケルが声をうわずらせていると、対峙していた杏子とゆまも怪訝な顔になり、まどか達に近づいた。そして杏子はさやかの首の動脈を掴んだ。

 

「……!」

 

すると、突然驚愕の表情を浮かべ、そのままさやかの体を片手で吊り上げた。

 

「! や、止めて!」

「な、何してるんですか! さやかちゃんを離して……!」

 

まどかと晶が杏子を引き離そうとした時、杏子は目を見開き、押し殺した声で呟いた。

 

「……どういう事だよ、おい」

 

そして次に杏子の口から出た言葉は、その場にいた全員の心を凍りつかせるようなものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつ、死んでるじゃねぇかよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『⁉︎』

 

放たれた言葉の意味が理解出来ず、一瞬、タケル達は身動き出来ずに止まっていた。が、すぐに慌てて駆け寄り、マミは垂れ下がるさやかの手首に人差し指と中指を当てて脈を測った。

途端にマミの目が見開いた。脈が動いていなかったのだ。

まさかと思った隼人が、倒れている誠司の手首を掴んで同じように脈を測った。結果は同じだった。

さっきまで普通に生きていたはずの2人が、突然脈が止まり、呼吸もしなくなり、死んだ状態になったのだ。

一同はさやかを誠司のすぐそばに横たわらせた。依然として何の反応もしない。肩を揺らしても、壊れた人形のように首が揺れ動くだけ。

 

「さやかちゃん、ねぇ、さやかちゃん! 起きて! ねぇ、起きてよ、さやかちゃん! こんなの嫌だよ!」

「さやかちゃん! 目を開けてください!」

「さやかさん! 急にどうなさったのですか⁉︎」

「おい、誠司! どうしちまったってんだよ! 返事しろよ!」

「誠司殿! お気を確かに!」

「目を開けろよ! おい! 誠司!」

 

パニック状態になりながらも必死に2人の名前を呼び続けるまどか、晶、仁美、タケル、御成、星斗。その様子を、何も言えずに困惑した表情で見ているマミと隼人。何が起こっているのか分からず怯えているゆま。その彼女のそばについている杏子も、理解を超えた状況に焦りを隠せない。

 

「何が、どうなってるんだよ……⁉︎」

 

杏子がそう呟いた後、星斗は静かに振り返り、キュゥべえを睨みつけた。

 

「……おい、これってどういう事なんだよ……!」

 

星斗が問い詰めると、キュゥべえは冷静な口調でこう言った。

 

「君達魔法少女や仮面ライダーが体をコントロール出来るのは、せいぜい100メートル圏内が限度だからね」

「100メートル⁉︎ 一体何の話⁉︎」

「どういう意味なんだ! 分かるように説明しろ!」

 

マミと隼人も問い詰めると、キュゥべえは淡々と事の次第を話した。

 

「普段は当然、君達は肌身離さず持ち歩いているわけだから、こういう事故は滅多にある事じゃ無いんだけどね……」

「お、お前、何勝手に2人を死んだ事にしてんだよ! ふざけんな!」

「そうだよキュゥべえ! 助けてよ! さやかちゃんと誠司君を死なせないでよ!」

 

タケルとまどかは半狂乱でキュゥべえに訴えるように叫んだ。だが、当の本人は軽くため息混じりに、さらなる事実を伝えた。

 

「はぁ……。まどか、タケル。そっちはさやかや、ましてや誠司なんかじゃない。ただの抜け殻なんだって」

「……は?」

「だってさやかと誠司は、まどか、君がさっき投げ捨てちゃったじゃないか」

「投げ、捨てた……?」

「まどかが投げたのって、確か……」

 

キュゥべえの言葉を聞き、まどかを除く一同が、思わず自分の体についているものや、左指にはめられたもの、ポケットに入れてあるものを手にとって凝視した。

 

「! な……⁉︎ まさか……!」

 

隼人がハウンドゴーストアイコンを見ていち早く、キュゥべえの言葉の意味を理解した。反応の早かった隼人に関心しつつ、キュゥべえは語った。

 

「ただの人間と同じ壊れやすい体のままで、魔女と戦ってくれだなんて、とてもお願い出来ないよ。君達魔法少女や仮面ライダーにとって、元の体なんていうのは、外付けのハードウェアでしかないんだ。君達の本体としての魂には、魔力をより効率良く運用出来る、コンパクトで安全な姿が与えられている」

意味が、分からなかった。この小さい生き物が何を言っているのかを。

知りたくもなかった。それは、とても恐ろしい真実なのだから。

だが、タケルは声を震わせながら、オレゴーストアイコンとキュゥべえの両方を見て小さく呟いた。

 

「ま、まさ、か……」

「魔法少女や仮面ライダーとの契約を取り結ぶ僕の役目はね。君達の魂を抜き取って、ソウルジェムやアイコンに変える事なのさ」

 

告げられた、あまりにも残酷な事実に、一同は恐怖に顔を引きつらせていた。そんな中でも、キュゥべえは赤い瞳を爛々と輝かせていた。

 

「て、テメェは、何て事を……!」

 

杏子が拳を強く握りしめて、怒りに身を任せてキュゥべえの頭を鷲掴みにして持ち上げた。

「ふざけんじゃねぇ! それじゃああたし達、ゾンビにされたようなもんじゃねぇか!」

「そ、そうだぞ! 何とんでもない事してくれてんだ!」

 

星斗も便乗して喚いた。

だが、キュゥべえは悪びれもせずに、依然としてのんびりとした声でありのまま話していた。

 

「むしろ便利だろ? 心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても、その体は魔力で修復すれば、すぐにまた動けるようになる。つまり、ソウルジェムやアイコンが砕かれない限りは、君達は無敵状態でもあるんだよ。弱点だらけの人体よりも、よほど戦いにおいては有利じゃないか」

「そ、それは……!」

「キョーコ……!」

「大丈夫だ……。大丈夫だ、ゆま……」

 

仁美が涙目でガタガタと体を震わせ、ゆまが杏子に不安そうな表情でしがみついてきて、杏子はなるべく優しく安心させるように、ゆまを空いた手で抱き寄せた。が、本人も気が気でない為、その表情は険しい。

 

「酷いよ……! こんなの、あんまりだよ……!」

 

遂に堪えていた涙が溢れ出し、さやかに身を寄せるまどか。晶ももらい泣きして、同じようにさやかの体に顔を埋めた。マミ、隼人、星斗、御成も呆然としている。それを見たタケルは、血液が沸騰しているのではないかと思わせるぐらいに体全体が熱くなっているのを感じながら、キュゥべえに、怒りをぶつけた。

 

「何も説明しないで俺達をこんな体にしやがったのかよ……! お前、人の命を、何だと思ってるんだ!」

 

だが、事の元凶である白い生き物は、その質問に答えず、ただジッと泣きじゃくるまどかを見て、呆れたように呟いた。

 

「……君達人間は、いつもそうだよね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をしてくる。訳が分からないよ」

「……黙れ」

「どうして人間は、そんなに魂の在処にこだわるんだい?」

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

それまで静かに怒っていた隼人の憤怒の咆哮が、下を走る乗用車やトラックの轟音を上回るほどに響き渡り、まどか達の耳にこだました。

そして隼人は、腰にゴーストドライバーを出現させ、手に握られていたハウンドゴーストアイコンのスイッチを強く押した。

 

『アーイ! バッチリミテー! バッチリミテー!』

「変身!」

『カイガン! ハウンド! ヒァウィゴー! 覚悟! オーオーゴースト!』

『ガンガンガンマン!』

 

すぐさま仮面ライダーハウンドに変身した隼人は、ガンガンガンマンを構えると、杏子に握られていたキュゥべえに銃口を向けた。

 

「杏子ぉ! そいつから離れろぉ!」

 

それを聞いた杏子は突き動かされる形でキュゥべえを離した。隼人はキュゥべえを本気で撃ち殺そうと、銃を乱射していた。が、自由の身になったキュゥべえはひょいひょいとかわしていた。

 

「やれやれ。やっぱり人間の感情論は、理解に苦しむね」

「……!」

 

隼人は今度こそ命中させようと、ガンガンガンマンを握る手を強くした時だった。

倒れているさやかと誠司のそばに2つの人影が現れた。それは、先ほど消えたと思われた、ほむらとマコトだった。

2人は息を荒げながら、ほむらはさやかに、マコトは誠司に、各々が持っていたものを2人の手のひらに乗せた。さやかの持つ水色のソウルジェムと、誠司の持つカエサルゴーストアイコンであった。

一同が2人の方に振り返り、ほむらが長い黒髪をかきあげると、それが合図になったかのように、2人の体がブルリと身震いした。同時に、目にも輝きが戻った。

ほむらとマコト、そしてキュゥべえ以外の皆が驚きの表情を浮かべている中、そんな彼らの様子を見て、途方に暮れながらも上半身を起こした2人はキョトンとした顔つきで、互いに見合わせながら、状況が理解出来ずにポツリと呟いた。

 

「……あ……? あれ……?」

「……何? 何なの?」




今週の「仮面ライダーゴースト」、とても感動的で、熱い展開が続き、とにかく胸いっぱいな回でしたね! 新しいフォームがどんなものか、楽しみです。

そしてもう一つ、この回を観て思った事が一つ。
『「まどマギ」における、ソウルジェムが砕ける=魔法少女の死』と、『オレゴーストアイコンが砕ける=タケルが死んだかのように消滅する』が似ている事から、この2作品がクロスオーバーする事はある意味必然となる運命だったのだなと改めて感じました。

次回もお楽しみに。
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