魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

ここから第4章に入っていきます。ちなみに最初の4話ぐらいはオリジナル回になっていきます。


第4章 〜偽装の物語〜
65. あんた達の目的って何?


世界に蔓延する呪いを知らずに生きる人々にとっては何の変哲も無い朝。

駅にほど近い場所に位置する見滝原中学校に向かって、多くの学生が歩いている。

工藤 マコトも、その1人だった。

周りでは友人達が固まって歩いているのに対し、マコトは浮き彫りだったように誰と会話するわけでもなく、黙々と歩を進めている。とはいえ、彼もずっと1人で行動しているわけではない。しばらく進むと、交差点の辺りで、いつものように暁美 ほむらと合流し、目を合わせると、並んで歩き始めた。

 

「……昨日も、結局止められなかったわね」

 

やがて、ほむらがポツリと呟くと、マコトも昨晩の事を思い返していた。

 

「もうあいつらも知ってるはずだ。魔法少女や仮面ライダーとして契約する事の意味が。これで向こうも少しは堪えるだろうな」

「あなたは、どうだったの……? 秋永 誠司には、逃げられたんでしょ?」

「逃げるだけの体力を残していたのは賢明だったが、どのみちあれだけ時間が経っていたら、もう間に合ってない」

 

校門をくぐった辺りで、ほむらは自分達が向かう教室がある校舎の方に顔を向けながら呟いた。

 

「どのみち、美樹 さやかがいなくなろうが、私達には関係ない。私達だけでもあいつと戦うのは充分。ただ、ここからはなるべく人数を減らさないように手配しておく必要があるわね」

「……マトモな戦力は、杏子かマミ、隼人ぐらいだろうがな」

 

そう言いながら、2人は廊下を歩いてしばらくすると、教室が見えてきた。

 

「(美樹 さやかは、魔女に変貌しているからもういない。そしておそらく、まどかやタケル、そして志筑 仁美もこの日は朝から……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜、参っちゃったよ。まさかあんなにも怒られちゃうとは思わなかったからさ。寝不足で頭回んないやぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「⁉︎」」

 

だが、ほむらが教室の扉を開けて中に入った瞬間、彼女の耳に聞こえてきたのは、本来いるはずのない少女の呑気そうな声だった。恐る恐る声のした方を見ると、ほむらは目を見開いた。

目線の先には、さやかが自分の席に座って、昨日までの暗い表情はどこにいったのか、笑いながら会話をしている姿があった。その周りには、まどかやタケル達がいつものようにさやかを囲むように座ってたり立っていたりして、さやかと話し合っていた。

 

「そりゃあそうだろ。連絡もなしに家に帰らなかったら、親だったら心配するだろうよ」

「さやかさんのご両親だって、あなたの事を思ってお叱りになったのですから、それは素直に受け止めるべきですわ」

「あ〜あ。おかげで今朝から職員室に向かわされるは、先生からめっちゃ宿題出されるはで、もうてんやわんやよ……」

「あはは……」

「……まぁ、頑張ってね、さやかちゃん」

 

ぐったりとしているさやかに苦笑しながらまどかと晶が慰めていた。

一方、わけのわからないほむらとマコトは、唖然とした表情でさやか達を見つめていた。それもそのはず。さやかはもうとっくに死んでいたと思われていたのに、彼女のソウルジェムは元の輝きを取り戻しており、誰1人欠ける事なくこの場にいるのだ。

 

『マコト、これは一体……!』

『理由は分からんが、目の前にいるのは本物のさやかで間違いない。だが、どうやって絶望から回避したんだ?』

 

ずっと睨んでいたので2人からの視線を感じたのか、まどかが不意に振り返って、扉付近に佇んでいる2人の方に顔を向けると、タケル達も一斉にその方を向いた。

 

「あ、あの。おはよう、ほむらちゃん、マコト君」

「……よう」

 

まどかとタケルがやや気まずそうに挨拶をした。昨日の件もあって、ギクシャクしていたままだったからだ。誠司だけがムッとした表情でマコトを見ていた。相変わらず挨拶を交わす事なく沈黙していた2人だったが、チャイムが鳴り響いたのと同時に、2人の背後から和子先生が声をかけた。

 

「2人とも、チャイムは鳴ったから席につきなさい。ホームルームが始まりますよ」

「は、はい……」

 

2人は納得のいかない表情のまま、席に向かいカバンを下ろそうとした。すると、2人の頭の中に、さやかの声が響いてきた。

 

『2人とも、この後暇でしょ?』

『『……!』』

 

2人が振り返ると、さやかがジッと見つめているのが見えた。どうやらテレパシーで、ほむらとマコトにだけ声をかけているらしく、まどか達は3人に目もくれていない。

 

『次の授業が終わったら、屋上に来て。話があるの』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1限目の授業が問題なく終わり、10分間休憩の最中、ほむらとマコトは言われた通りに屋上にやってきた。

 

「お。来たきた」

 

すでに屋上にはさやかが待ち構えていた。

 

「……それで、何のつもりかしら。昨日の仕返しでもするつもり?」

 

嫌味を含んだ口調でほむらがそう問いかけた。

するとさやかは突然、2人に向かって頭を深く下げた。ほむらとマコトは眉をひそめた。

 

「……ごめん。今までの事、こんなんで許してもらえるとは思えないけど、早く謝っときたかったの」

 

まさかの謝罪に、最初は2人も面食らっていたが、すぐにいつも通りの冷徹な表情に戻った。

 

「……今更そんな事をされて、どうしてほしいの?」

「でもさ。あんた達は知ってたんだよね。ソウルジェムやアイコンの事とか、魔女の正体も」

 

無言を貫き通す2人に対し、さやかは会話を続けた。

 

「……だから、あたし達が契約しようとした時に、何度も止めようとしてた。それって、仲間と馴れ合いたくないからじゃなくて、魔女になる人を減らそうとしてたわけだよね。そうとも知らずに、勝手に酷い事言って、忠告を聞こうとしなかったのは、本当にごめん」

 

そう言って再び頭を下げたさやかは、顔を上げて、2人の目をしっかりと見据えながら、はっきりとした口調で告げた。

 

「でもね。何度も言うようだけど、あたしは特別後悔はしてない。確かに端から見れば人間じゃなくなってるかもしれないけど、そのおかげで、自分に正直になれたのも事実なの。こんな非日常な事に関わってなかったら、きっと恭介の事とか、仁美やまどか、タケル達との事とかも、ずっとモヤモヤした関係になってたかもしれない。……誰かがそばにいてくれる事が、こんなにもありがたく感じれたのも、もしかしたら、あんた達がいた事も関係してると思うんだ。ほむら(・・・)マコト(・・・)

「「……!」」

 

さやかの言葉に、2人も僅かながら表情に変化が見られた。初めて名前で呼んでもらった事もあるのだろうが、何よりも今のさやか言葉には、強い意志が含まれていたからだ。

 

「あたしはもう、絶望なんてしない。そばにいてくれるって約束してくれた友達がいるからさ」

 

さやかはいつものような勝気な笑みを浮かべてそう宣言した。

しばらくの沈黙の後、ほむらはさやかにぶっきらぼうに尋ねた。

 

「……それで、話はそれだけ? 自分の意思を伝えに来ただけかしら」

「あー、ごめんごめん。なんかあたしの事ばっかになってたね。色々と話したい事があったのにさ」

「何をだ……?」

 

マコトが訝しんでいると、さやかはこんな事を尋ねた。

 

「あんた達の目的って何?」

「……どういう事かしら」

「そのまんまよ。2人とも、まどかやタケルの事になると、あたし達の時と違って敏感になってるじゃんか。それって何か理由があるからそうしてるんだろうけど。何か目的でもあるんじゃないかなって思ってさ……」

 

が、2人の応答はそっけないものだった。

 

「今のお前達に答えるつもりはない。俺達は、やりたいようにやっているだけに過ぎない。それに、答えるにはまだお前達は弱すぎる」

「そっか……。まだ答えは聞けそうにないかぁ〜」

 

さやかがやれやれとした表情を浮かべているのを見ながら、ほむらは口を開いた。

 

「……ただ、強いて言うなら」

 

さやかとマコトが、ほむらの顔に目を向けると、ほむらは言った。

 

「もうすぐこの街に現れる、ワルプルギスの夜に、あの2人を関わらせたくない。それだけは事実よ」

「ワルプルギスの夜……? 何よそれ?」

「詳しい事は、巴 マミや八谷 隼人に聞きなさい」

 

そう言って2人は踵を返すようにさやかに背中を向けた。

 

「もういいでしょ。もう休み時間も終わるだろうし」

 

そう言って歩き出そうとした時、再びさやかが声をかけた。

 

「待って! ならもう一つ、頼みたい事があるの!」

「頼みたい事?」

 

2人が顔だけをさやかに向けると、さやかはこう言った。

 

「もしこれから先、まどかに何かあったら、あたし達と協力してくれないかな」

「?」

「まどかは、まだ魔法少女じゃないけど、これからも付いてくるって言ってるし、そしたらその分危険に巻き込まれる事だってあるわけじゃん。これからもあたし1人じゃヘマやらかしそうだし、どこかで守りきれないところが出てくるかもしれない」

 

その表情からは、本気で大親友のまどかを心配しているように見えた。

 

「だから、もしもの時は、2人にも手伝ってもらいたいの。あたしらも、自分の身ぐらいは自分で守れるように頑張るつもりだから良いけど、まどかはそうもいかないし。もちろんあたしもまどかを守れるように努力はするけど、やっぱり2人にも頼んどきたいんだ。お願い」

 

さやかが本日3度目となる、頭を下げる行為を見て、2人はしばらく黙り込んでいたが、やがてほむらがポツリと呟いた。

 

「……考えておいてあげるわ」

「! ありがとう」

 

さやかは心底嬉しそうにお礼を言った。

 

「でも、なぜ私達に頼み込むのかしら。それだけは聞かせてちょうだい」

 

ほむらにそう言われて、さやかはう〜ん、と唸った。

 

「何でって言われても……。まぁ、何となく信用出来るから……かな?」

「信用……か」

 

マコトが他の2人に聞こえない程度の声で呟いた。すると、チャイムの音が屋上に鳴り響いた。

 

「! ほら、行くよ! 授業始まっちゃうから!」

 

さやかが2人の肩を叩いて先に駆け抜けていった。さやかの後を追いかけながら、マコトは考え込んでいた。

 

「(さやかがあそこまで変われるとはな……。何があいつをあそこまで言わせるように……)」

 

心の中でそう呟くマコトの脳裏には、タケルの戦う姿が映し出されていた。

 

「(……天王寺 タケル。お前が、俺達の永い戦いを終わらせる、鍵となるとでもいうのか……?)」

 

 

 




というわけで、今回はさやかとほむら、マコトがメインとなった回でした。特にさやかとほむらの仲は早めに解消しておいた方が良いと思い、このような展開にさせました。こうする事で、かずマギ編に2人を入りやすくさせたかったので、これからは2人も大きくあすなろ市での戦いに関わっていきます。

次回はあの人物がメインとなって登場します!

次回もお楽しみに。
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