魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

今回はあの少年がメインとなって登場!


66. 何か隠してる事でもあるのかな……?

さやかがほむらとマコトの2人と話し終えた後の昼食時、タケル達の親友の1人、上条 恭介が教科書を片付けていると、先日めでたく彼女となった仁美が歩み寄ってきた。

 

「上条君。一緒に向かいましょうか。お弁当箱は私が持ちますわ」

「あぁ、ありがとう……。でも無理しなくてもいいよ。これくらい、僕1人でも持てれるし」

「ダメですわ。まだ完治なさってないのに。さぁ、参りましょう」

 

そう言って仁美は上条の寄り添うように上条と横に並んで、彼の進むペースに合わせて歩いていった。上条はそれ以上何も言わずに松葉杖をついて歩いていった。ようやく足の筋力も元に戻りかけているわけだが、未だに松葉杖無しではフラつく事もあり、万が一に備えて、今もこうして松葉杖をついている。

 

「(仁美がこんなにスキンシップをとるなんて、知らなかったな……)」

 

上条は仁美の態度に意外性を感じていた。

そうこうするうちに屋上にたどり着き、いつものようにタケル達が席を確保して待ってくれていた。

 

「おぉ、来たきた」

「ヒュ〜ヒュ〜、お熱い2人だねぇ」

「もう……、からかわないでくださいな」

 

さやかが意地悪な笑みを浮かべて囃し立てているのを、仁美は恥ずかしそうに咎めた。

それから、仲睦まじく談笑をしながら昼食を摂っていると、上条が不意にさやかに尋ねてきた。

 

「そういえばさやか」

「ん?」

「昨日も休んでたみたいだけど、何かあったのかい? さやかが無断欠席するなんて、今までなかったし……」

「えっ⁉︎ あ、あぁそれね! なんか一昨日の風邪が思ったより長引いちゃってさ。それで昨日も休んでたんだ。ただ、連絡し忘れてたってだけの事」

「そ、そうなんだ……」

 

さやかの剣幕に押されて、上条は無理やり納得する事になった。が、不意に視線を落とした時、上条はさやかの左指に指輪のようなものがつけられている事に気付いた。

 

「?さやか、それ……」

「へっ? これの事?」

「うん。その指輪、仁美がつけてるのと同じデザインだなって……」

 

それを聞いて、仁美もドキッとした。

 

「そ、それは……! お、お揃いのものを、さやかさんとご一緒に購入しましたの」

「そ、そうそう!」

 

さやかも無理やり仁美の話に合わせる事にした。

上条に感づかれる訳にはいかない。この2人が同じ魔法少女として、魔女と人知れず戦っている事を。もし知ってしまえば、この先彼を危険にさらす事になる。そんな事は、ガールフレンドや幼なじみは望んでいない。

 

「……あ、そういやさ。お前バイオリンのレッスンとか、これからどうすんだ? もう通ってたりするのか?」

 

タケルが魔法少女絡みの事から遠ざけようとして、話題を変えた。

 

「ううん。今日からまた通い始めるんだ。今までリハビリとかで忙しかったからね。一日も早く指導を受けて、コンクールに向けて頑張っていかないとね」

「家であんだけ練習してたのに、やっぱ天才は格が違うなぁ……」

 

と、さやかは誰にも聞こえない声で呟いた。

 

「さ、もう授業も始まる頃だし、片付けましょうか」

「は〜い」

 

マミが時計を見てそう告げると、皆に呼びかけた。

その時、偶然にも上条は見てしまった。マミの左指にも、さやかや仁美と同様に指輪のようなものがはめられている事に。

 

「(あれって、さやか達と同じ……)」

 

2人だけでなく、マミも同じデザインの指輪をはめていた事に、違和感を感じていた。偶然にしてはあまりによく出来すぎている。

 

「(何か変だな……。変っていえば、ここ最近のタケル達の様子もそうだ。特にさやかも仁美も、こないだとまるっきり態度が変わってるように見える……。何かを悩んでいるみたいにも見えるし……)」

 

何故か3人が同じ指輪をつけている事。そしてタケル達の変化を薄々感じ始めた上条は、教室に戻っていくタケル達の後ろ姿を見つめながら、心の中で呟いた。

 

「(ひょっとして、何か隠してる事でもあるのかな……?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、久々のレッスンが始まってからは、そんな事を気にする余裕は次第に無くなってしまった。やはりブランクもあって本人が納得出来る演奏ではなかった。が、それでも他者からの評価は高く、本当に病み上がりなのかと疑うほどに上条の演奏は郡を抜いていた。

 

「やっぱり上条君は凄いですね」

 

レッスンが終わり、身支度をしている時に、同じ教室に通う晶から声をかけられた上条は照れくさそうに呟いた。

 

「そんな事ないよ。やっぱり弾いてなかった事もあって、途中の腕の動きが鈍ってた感じがしたよ」

「そうなの? あたしはそう思わなかったけど?」

「やっぱ天才だよなぁ」

 

と、今度は周りにいた生徒達が口々にそう賞賛した。彼らもまた、晶と同様に上条のセンスに憧れを抱き、目標にしている者達なのだ。そんな彼の親友である事に、晶も誇りを持っている。

……だが、誰しもが、彼を讃えているわけではない。時としてその才能を妬み、自分の無力さを思い知らされる事になる。

 

「……けっ」

 

この渡辺という少年も、その1人である。彼は生徒に囲まれている上条や晶を一睨みしてから、誰にも声をかける事なく扉を開けて、さっさと出て行ってしまった。

 

「渡辺君……?」

 

その様子を、遠目から晶が不安そうな表情で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふん。どいつもこいつも上条上条って、そんなにあいつの方が良いのかよ。そのくせ、俺には全く目もくれないでさ」

 

暗くなった歩道を、渡辺は不愉快そうに歩いていた。やがて公園のそばにたどり着くと、ベンチに腰掛けて、担いでいたバイオリンケースをベンチの上に放った。

 

「……ま、どうせこのままいってもあいつに敵うわけないんだよな……」

 

ため息まじりに渡辺がそう呟くと、生暖かい風が吹いてきた。

 

「……それに俺だって、バイオリンを好きでやってるわけじゃないのにさ。なんで作曲みたいな事をやらせてくれないんだよ……」

 

そう、彼の将来の夢は、作曲家になって自分が作り上げた楽譜が大舞台で演奏される事であった。が、両親からの強い押しもあって、ほぼ無理やりバイオリンのレッスンを受けさせられる事に、彼は不満を感じていた。

渡辺はカバンから一つのファイルを取り出した。その中身は、彼が空き時間にこっそり書いていたお手製の楽譜だった。とはいえ、彼自身恥ずかしくて一度もその楽譜を演奏した事はない。

 

「あぁ〜あ、どうすりゃ俺も上条みたいに有名になれるんだろうなぁ〜」

 

渡辺が誰に向かって言ったわけでもなく、暗い空に目線を向けてそうボヤいた時、彼の耳元に聞き覚えのない声が聞こえてきた。

 

『簡単だよ』

「⁉︎ 誰だ⁉︎」

 

周りを見渡すが、渡辺以外、誰もその場にいない。すると、幼い女の子のような声が再び。その声はどうやら頭の中に響いてくるようだ。

 

『その楽譜が出来ただけじゃダメだよ。死んで、その名前を刻まなきゃ。死んじゃえば、誰もその名前を忘れないよ。あなたは死んで、英雄になれるんだよ』

「……英雄」

 

段々と意識が朦朧としてきた渡辺は、低い声でそう呟いた。

 

『さぁ、来て。あなたも英雄になろうよ』

「……そうだ。俺は、死んで、英雄になる……」

 

虚ろな目でそう呟いて立ち上がった彼の首筋には、不気味な魔女の口づけがはっきりと浮かび上がっていた。

 

「……それしか、もう、道はないんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、上条と晶は帰宅の道中であった。上条が交通事故に遭う前も、帰り道が同じという事もあって、よく2人で一緒に帰っていた。やがて交差点にたどり着いた時、上条が声をかけた。

 

「あ、もし良かったらうちに来ないかい? まだ時間があったら、久しぶりに聴いてみたいんだ。今度のコンクールで弾く晶の曲を」

 

晶は一瞬悩む素振りを見せたが、すぐに申し訳なさそうに告げた。

 

「ご、ごめんね上条君。僕、ちょっとこれから用事があって、もう行かなきゃならないんだ」

「えっ? そんなに急用なの?」

「う、うん。あまり遅くなっちゃってもいけないですから……」

「そう、なんだ。悪かったね。話につき合わせちゃって」

「気にしないでください。それじゃあ、また明日」

 

そう言うと、すぐに晶は家のある方の道を駆け抜けていった。その速さに、上条は若干驚いていた。

 

「晶があんなに急いでる姿、初めて見たかも……」

 

上条は晶の後ろ姿が見えなくなると、横断歩道を渡って自宅へと向かっていった。

それからしばらく歩いていると、大通りに面する道に出て、人の数が多くなった。上条が懐かしさを感じながら歩いていると、人混みの中に見知った顔の少年がいるのに気付いた。それは、先ほどまで同じ教室に通っていた渡辺だった。

 

「(……あれ? 真っ先に教室を出たはずなのに、何でこんな所に……。っていうか、彼の家ってこっちの方じゃなかったはずじゃ……?)」

 

疑問を抱いた上条が、その背中を見つめていると、不意に渡辺が歩く方向を変えて、路地裏に入っていった。

上条もそれを追いかけるように松葉杖を握る手を強くして、スピードを少しあげた。路地裏に目をやると、渡辺がフラついた感じで一本道を歩いていた。よく見ると、彼がいつも持ち歩いているバイオリンケースは肩から担がれておらず、右手には紙のようなものが握られていた。上条が気になって、彼に声をかけた。

 

「おーい、どこに行こうとしてるんだ?」

 

が、渡辺からの返事はない。聞こえてないと思ったのか、もう一度声を張り上げてみたが、結果は同じだった。上条は訝しんで、彼のそばに寄った。近づいて分かったのだが、その手に握られていたのは見た事のない手書きの楽譜だった。

 

「なぁ、渡辺。これって一体……」

「上条……、お前……」

 

すぐそばで声をかけられた事で、ようやく渡辺も上条の存在に気づけたらしく、ゆっくりと上条の方に顔を向けた。その時の彼の不敵な笑みに、上条は畏怖を覚えた。

 

「ど、どうしたんだ?」

「どうもしてねぇよ」

「な、ならどうしてこんな所に……?」

「何でってそりゃあ……。俺が英雄になるために決まってんだろ」

 

渡辺の発言に上条はただただ困惑するしかなかった。

 

「な、何だよそれ⁉︎ おい、しっかりしろよ!」

 

危険な雰囲気を感じ取った上条が渡辺の腕を掴もうとしたが、渡辺は強い力で上条を払いのけた。それによって上条はバランスを崩して地面に倒れこんだ。うまく立ち上がろうにも、足に痛みが走って思うように体は動かない。

 

「邪魔すんなよ。もうすぐ、俺はお前を超えられるんだ。だから邪魔すんなよ」

「渡辺……⁉︎」

 

もう誰の目から見ても、今の渡辺は様子がおかしい。再び歩き始めた渡辺を見て、上条は壁伝いに、必死に彼の後をついていった。

しばらく進んでいくうちに、上条は手をついていた壁に違和感を感じて、そちらに目をやった。

 

「⁉︎」

 

目線の先を確認した上条は驚きを隠せない。先ほどまでコンクリート式の壁だったはずが、今はゴム状の歪んだ壁に変貌している。よく見ると、壁は生き物のように蠢いており、とっさに上条はその壁から離れた。そして周りに目をやると、壁と同様に景色が異様な空間に変貌しており、耳を澄ますと、不気味な音楽も流れていた。上条は夢でも見ているのではないかと困惑していた。

 

「な、何だこれ……! 渡辺……!」

 

上条はとっさに渡辺の名を呼んだが、彼は足を止めない。そして、気づいてしまった。渡辺の前方から、譜面のような形をした、この世のものとは思えないものが、渡辺を手招きしているかのように引き寄せているのを。

 

「渡辺! 逃げろ!」

 

上条は慌てて逃げるように示唆したが、渡辺は笑みを浮かべながら、奥へと進もうとしている。このままでは、彼の身に何かが起こると直感したが、怪我の影響で、思うように進めない。

 

「(くそっ……! この足が万全だったら……! このまま黙って指を咥えてるしか無いのか⁉︎)」

 

上条が必死に渡辺のもとへ向かおうとした時だった。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

上条の背後から何者かが飛び出して、渡辺に飛び蹴りを決めた。

 

「……⁉︎」

 

不意の攻撃に対応出来なかった渡辺はその場に倒れこんだ。意識を失ったらしく、起き上がる事はなかった。そして上条が飛び蹴りした人物の顔を見て、驚愕した。

 

「た、タケル⁉︎」

「大丈夫か、恭介!」

 

現れたのは、上条の親友であるタケルだった。彼は渡辺の肩を担ぐと、上条のそばに寄った。遅れて、上条の背後から大勢の別の足音が響いてきた。皆が振り返ると、まどか達が駆け寄ってくるのが見えた。その中には、先ほど別れたはずの晶もいた。加えて、杏子やゆまといった、上条が知る由もないメンバーもそこにいた。

 

「さ、さやか……、仁美……、晶……、それにみんなも……!」

「き、恭介……⁉︎ あんた何でこんなとこに……⁉︎」

 

まどか達も、上条がいる事に驚きを隠せず動揺していた。

 

「タケル、これって一体……!」

「え、えぇっとそれは……」

 

タケルがどう誤魔化そうか考えていたが、隼人がそれを遮るように叫んだ。

 

「話は後だ。来るぞ!」

 

譜面の怪物が迫ってきたのを見て、一同は後ろに一歩下がった。タケルは譜面の怪物と上条の両方を一度ずつ見てから、意を決してまどかに顔を向けた。

 

「まどか、恭介とこいつを……!」

「う、うん……!」

 

まどかが駆け寄って、タケルに代わって渡辺の肩を担いだ。

 

「上条君、危ないから下がろう!」

「ま、待ってくれまどか! これは一体何なんだ⁉︎ みんなはこの化け物の事を知ってるのか⁉︎」

 

上条が軽くパニックになっていると、3人と入れ違うように、晶達が前に出て、タケルのそばについた。その途中で、さやかと仁美が、上条のそばでこう言った。

 

「……ごめん、恭介!」

「私達がこれからする事は、夢ではありませんわ!」

「えっ⁉︎ 夢じゃないってどういう……」

 

が、上条の問いに答える事なく、2人はタケルの所に向かった。

そして、全員が揃ったところで、マミが代表して叫んだ。

 

「さぁ、行くわよ、みんな!」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」

「おう!」

 

タケル、晶、誠司、御成、星斗、隼人が右手にゴーストアイコンを持ってスイッチを入れて、腰に展開されたゴーストドライバーにセットした。

 

『『『『『『アーイ!』』』』』』

『『『バッチリミナー! バッチリミナー!』』』

『『バッチリミロー! バッチリミロー!』』

『バッチリミテー! バッチリミテー!』

 

「「「「「「変身!」」」」」」

 

『カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』

『カイガン! シーザー! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』

『カイガン! カエサル! レッツゴー! 覚悟! ゴゴゴゴースト!』

『カイガン! アリトル! レディゴー! 覚悟! ドキドキゴースト!』

『カイガン! ヘカリア! レディゴー! 覚悟! ドキドキゴースト!』

『カイガン! ハウンド! ヒァウィゴー! 覚悟! オーオーゴースト!』

 

パーカーが羽織られて、仮面ライダーに変身した6人を見て、上条は自分の目の前でに広がる光景を疑った。が、驚きはそれだけでは終わらない。今度はさやか、仁美、マミ、杏子、ゆまの5人が、左指につけられた指輪をソウルジェムに変えて、前に突き出して叫んだ。

 

「「「「「変身!」」」」」

 

すると、5人の少女は光に包まれて、それぞれ、水色、ベージュ、黄色、赤、緑を基調とした、魔法少女姿に変身した。

 

「……!」

 

上条は呆然とした表情で、親友や先輩、幼なじみの変わりすぎている姿を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

否、上条だけではない。そのはるか後方から、不気味なほどに赤い眼が、ジッとその様子を見つめていた。




というわけで、今回は上条にタケルの正体がばれてしまう回でした。ここから上条も物語に本格的に参加する事になります。

余談ですが、仮面ライダーエグゼイドのビジュアルが公式や、「アメトーク」で公開されましたね。……正直な話、放送時はもっとスリムな体型で登場する事を願っています。

次回もお楽しみに。
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