魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜 作:スターダストライダー
あの英雄アイコンが出てきた時からずっと出そうと思っていたライダーの登場です。
翌日は、天気の良い休日だった。
「……」
上条は、自宅の窓から午後のその景色を眺めている。思い起こされるのは、昨晩キュゥべえから告げられた、渡辺に迫る危機。そしてそれに伴う勧誘。同じ仲間として、渡辺を助けたい気持ちはあるが、魔女という存在がいる事が恐怖心を植え付けている。もちろんそうなれば契約して仮面ライダーになった方が自分の身を守る事も出来るし、タケル達と肩を並べて戦う事も出来る。だが、
「(一度契約してしまえば、もう後戻りは出来ない。どんなに望んでも、普段の日常は戻ってこない。そして、命に関わる)」
上条は、さやかやタケルに忠告されていた事を思い返し、これからの自分がどうあるべきか、真剣に悩んでいた。彼はふと、自分の左腕を見つめだした。それは、さやかが願った奇跡によって完治した、バイオリニストの命とも言える腕。これに見合う恩を尽くしたい気持ちもあるが、それではさやかの気持ちを裏切る事になる。それに、死にたくないという気持ちも滲み出ている。
一体自分は、これからどうすればいいのか、と頭の中をずっと駆け巡っていた。小一時間ほど黙り込んでいたが、やがて頭を大きく横に振って部屋を出た。
「こんなに悩んでも、何も浮かばない……! 僕は、どうしたら……」
何をしたいわけでもなく、上条は左脇に松葉杖を挟んで、外に出る事にした。しばらく歩くうちに、渡辺のその後が気になったので、彼の家に向かっていった。
が、渡辺の家についてインターホンを押して出たのは、彼の母親だった。聞けば、渡辺は少し前に外に出かけたのだという。それを聞いた上条は母親に礼を言うと、彼の捜索を始めた。
上条はなるべく近辺の思い当たる場所を探してみた。念のため、昨日魔女と遭遇した場所にも恐る恐る寄ってみたが、考えすぎたのか、誰もいなかった。
やがて彼を見つけたのは、昨日渡辺が謎の少女の声を聞いた公園の中に入った時だった。その肩にはカバンだけでなく、レッスンの日でないにもかかわらず、バイオリンケースが担がれている。
「やぁ、渡辺君」
「! 上条……!」
渡辺も上条の登場に驚いていた。
「どうしてこんな所に?」
「いや、昨日ここに置いてあったバイオリンを探してたんだ。よくわかんないけど、持ち帰るのを忘れてたみたいでさ。今でもなんでこんな所に置きっ放しにしてたか、よく分かんねぇよ……」
渡辺が首を傾げながら頭を掻いていたが、上条には、それが魔女に操られていた証拠だと察した。
「あ、そういやお前、昨日あの変な場所に来てたけどさ、何であんなとこにいたのかが不思議でさ。よく覚えてないんだ。何か分かるか?」
「え? そ、それは……。でも、君が楽譜を持って歩いてたのが気になったな。一体何の楽譜なんだい?」
「……!」
途端に渡辺は恥ずかしくなって目を逸らしたが、上条の目はごまかせない。もしかしたら、そこに彼が魔女に操られたきっかけがあるのではと思ったからだ。
「ちょっと見せて貰えるかい? 大丈夫だよ。みんなには秘密にしておくからさ」
「……」
上条の誠実さに心が折れたのか、渡辺は渋々とカバンの中から楽譜を取り出して、上条に見せた。手に取ってそれを眺めていた上条は感嘆した。
「凄い……! これ、渡辺君が作った楽譜なんだよね⁉︎」
「凄い……のか?」
「そりゃあそうだよ。こうして見ると、心地よさそうな演奏になるのは間違いないね」
「……そんなの、演奏なんかじゃねぇよ」
「えっ……?」
渡辺の言葉に耳を疑った上条は、目線を彼に向けた。
「俺にとって、音楽は命そのものだ。演奏したり作曲するって時は生きるか死ぬかの瀬戸際なんだ。心地いいなんて生易しいもんじゃダメなんだ。激しく、燃えたぎる何かを感じさせる音楽が一番なんだ。……そう思って今まで頑張ってきたのに、誰もそんな俺を相手にしてくれなかった。だからせめて、この楽譜にだけでも自分の考えをぶつけていけば良い。その一心でこれを書いてみた」
と、ここで渡辺の表情が曇った。
「……でも、お前が心地いいって思うんなら、俺ってやっぱ才能が無いって事だよな。ずっと残し続けたい、みんなに知ってもらいたいって考えてたけど……。こんなんじゃ、いつまで経っても英雄になんかなれねぇよ……」
酷く落ち込んだのか、渡辺はそれ以上何も言わない。
「(……そうか。これが、渡辺君が狙われてる理由なのか)」
そう思った上条はベンチに座って、こんな事を話し始めた。
「ねぇ、君はベートーベンの事は知ってるよね?」
「いきなり何だよ……。知ってるに決まってるだろ。ドイツの作曲家で、「運命」とかを作った人」
「それも、ある。でも彼がどんな生涯を送ったかは分かる?」
「?」
渡辺が首を傾げる中、上条は何年か前に、タケルから教えられた事を思い返しながら口を開いた。
「ベートーベンは20歳の頃に耳に障害を患って、28歳の時には完全に耳が聞こえなくなった。僕達には実感出来ないけど、それってとても辛い事なんだ。だから、何度も自殺しようとした。でも、彼はその後も生き続けた。何故だか分かる?」
上条は、手に握られた楽譜を見つめながら、その答えを言った。
「音楽に情熱を持ち続けた結果、作曲っていう、新しい道を見つけたからだよ。だから、あんなにも有名な曲を残す事が出来たんだ」
今の君も、同じ起点に立たされているんだ、と上条は論じる。
「確かに、音楽がまともに弾けない、曲が作れないって事はとても辛い。生きていても意味がないって思う時もあるかもしれない。……でも、音楽はみんなを幸せにするものだ。例え辛くても、命を投げ出す事だけはしちゃいけないと思う。……まぁ、僕は一回諦めかけたけどね」
上条は、その時の事を思い返していた。あの日、医者から宣告された一言は、上条に生きる希望を無くした。どうせ腕が動かないのなら、もう生きていても仕方がない。
『奇跡も、魔法も、あるんだよ』
幼なじみのこの言葉を聞かなかったら、きっと彼はこの場にいない。何も成し遂げる事なく生涯を終えていたかもしれない。
「だから、何も出来ないからって簡単に死ぬなんて考えじゃダメなんだ。僕はそれをあの時学んだんだ。そもそも、1つの事に対して生きるとか死ぬとかなんてそんなものは……」
そこまで呟いた瞬間。上条の頭の中で1つの答えが浮かんだ。
「(……あ。そうか。自分で言って初めて気がつけた。僕が迷ってた理由。本当にやりたい事。そして、僕がやらなきゃならない事を。僕にしか出来ない事を……!)」
「上条?」
急に黙り込んだ上条を見て、渡辺は首を傾げた。
「……あ、ごめん。だから、僕が言いたいのは、そこまで神経質にならなくても良いって事だよ。少なくとも、僕は応援してるよ。いつか君の作ったこの曲が、みんなを幸せにさせる事を」
「お、おう……。なんか、ありがとな」
急に応援された事に驚きつつも、渡辺は理解者が出来た事に感謝した。
それからしばらくして渡辺は、家に帰っていった。手を振りながら家路につくその表情からは、少しばかり自信が溢れ出ているように、上条は感じられた。
「(……済まない。渡辺君。それに、みんな)」
だが、上条の心の中では、皆に対する謝罪が先に出てきた。
「(僕は、みんなが思っているほど強くもないし、今だってまだ未熟な存在だ。そんな僕でも、やれる事が見つかった。そして、証明してみせる)」
上条がベンチから立ち上がると、辺りをキョロキョロと見渡した。そして見つけた。藪の中から覗かせている、白い頭の生き物を。
「出てきなよ。僕以外、ここには誰もいない」
「やけに素直じゃないか」
そう言いながら、キュゥべえは上条の前に歩み寄った。だが上条は狼狽えたりはしない。その瞳には、並々ならぬ決意が込められていたからだ。普段は感情を理解出来ないキュゥべえも、この時ばかりは上条がこれからしようとしている事を理解した。そして、皮肉たっぷりに告げる。
「真実を知ってもなお、その選択をする事になるなんてね。君達人類の思考は、本当に理解に苦しむね。なぜそうまでして、個人に対して固執する必要があるのかな?」
「君は、人間というものを甘くみすぎている」
上条ははっきりとした口調でキュゥべえに言った。
「人は変われる。新しい希望を掴む者だっているし、どんな絶望にも屈しない、強い心を持つ者だって、この世界にはいる。僕はそういう人達を知ってる。だから、この選択に後悔はしない」
「それは君の思いよがりだと解釈するよ。今まで、最終的に誰1人として絶望から逃れられた者はいない。今は偶然が重なって生きながらえているだけにすぎない。何れは君達も……」
「なら、僕と勝負をしよう」
上条はキュゥべえを睨みつけながらそう言った。
「僕が証明してみせる。人間は君が考えているほど、弱く無いって事をね。だから、僕は絶対に絶望する事なく生きてみせる。もしその賭けに勝てば、君はこれ以上人類に手を出さないようにしてもらう。その代わり、君が勝てばこの地球も、後は好きにすればいい。君の価値観が正しいって証明されるからね」
「……なるほど、面白い事を思いつくね」
キュゥべえは納得した表情を見せた。どうやらその要件を承諾したようだ。そして、夕暮れに染められた空の下で赤い瞳で上条を見据えながら、こう告げた。
「さぁ、教えてくれ。そうまでして君が叶えようとしたい願いは何だい?」
「はぁっ……、はぁっ……!」
「手強い……ですね!」
場所は昨日使い魔と戦った路地裏の一角に出来た結界内。さやかと晶が見据える先には、昨日彼らが戦った譜面の形をした使い魔に加えて、ドス黒いオーラを纏った傀儡人形がケタケタと笑いながら指揮棒を振り回していた。
〜指揮の魔女、ヴィルトゥオーゾラ〜
〜彼女の指揮に従わない者は、必ず彼女が織り成す演奏によって消されるだろう〜
「今は持ち堪えるしかありませんわ! タケル君達が来る時まで……!」
2人の隣で、仁美が息を荒げながらバトンを握っているが、実質この場で体力を一番消耗しているのは仁美だった。
指揮の魔女が指揮棒を振り回すと、それに連動して音符のような物体が襲いかかってきた。3人は慌てて回避しているが、避けるばかりで反撃するチャンスが見当たらない。
『カイガン! ベンケイ! アニキムキムキ! 仁王立ち!』
「えぇい!」
晶はベンケイ魂になって、手に持っていたガンガンハンマーを横に振って音符を一掃した。が、その隙に譜面の使い魔が押し寄せてきて、晶を締め付けた。
「う、あぁぁぁぁっ!」
「晶!」
それを見たさやかが音符を弾き飛ばしながら、晶に駆け寄って使い魔を斬り裂いた。
「あ、ありがとう、さやかちゃん!」
「礼は後! 来るよ!」
さやかがサーベルを構え直すと同時に使い魔が突撃してきたが、その間に仁美が割って入り、バトンで使い魔を薙ぎ払った。
「やぁっ!」
だが、使い魔や音符の数は一向に減る気配を見せない。次第に3人の中で焦りが見え始めた。
「……はは。ちょっとヤバいかもね、これ」
「せめて、後1人いてくれれば、戦況は大きく変わると思うのですが……」
さやかが苦笑し、仁美が戦力の補強を望んでいる。
「なら、僕がその役を務めてみせるさ!」
不意に聞こえたのは、3人がよく知る声。振り返ったその先には、普段よりも凛々しい表情の上条 恭介がいた。
「か、上条君……⁉︎」
「えっ⁉︎」
「な、何であんたがここにいるのよ⁉︎ 逃げてよ!」
さやかの必死な叫びに対し、上条は首を横に振って、松葉杖を地面に放った。
「な、何して……⁉︎」
「僕には、やるべき事がある。いつか世界に羽ばたいて、僕の演奏を聴いてもらう事もその1つだ。でも今は……」
そう呟いている上条の右手には何かが握られている。その正体が分かった時、3人は目を見開いた。
白と黒の配色がされている球体のような、それは……。
「アイコン……! まさか、上条君!」
「人には、無限の可能性があるって事を、生きる事に意味がある事を、僕やみんなで証明してみせるんだ! みんなの明るい未来の為にも、僕は前に出て、戦うんだ!」
そう叫んだ上条は、アイコンのスイッチを入れて、腰に展開されたゴーストドライバーにはめ込んでセットした。
『アーイ! バッチリミテー! バッチリミテー!』
白黒のパーカーが飛び回り、迫り来る音符を次々と破壊していく間に、上条は両手を翼のように開いてから叫んだ。
「変身!」
『カイガン! ロキア! ヒァウィゴー! 覚悟! オーオーゴースト!』
パーカーが羽織られると、楽譜のような模様のついた仮面が装着されて、仮面ライダー『ロキア』へとその姿を変えた。
「う、嘘……」
「恭介が……!」
「……!」
『ガンガンスティック!』
上条はドライバーに手を当てると、指揮棒のような形をした『ガンガンスティック』を手に持った。そして改めて、自分の体を見つめた。
「(これが、仮面ライダーの力……)」
一方、3人は上条が仮面ライダーになった事に酷く困惑していた。仮面ライダーになるという事は、すなわちその身を捨てたのと同じ事になるからだ。
「どうして……! なぜ、あれほどおっしゃったはずなのに……!」
「そうだよ! 恭介、あんたが仮面ライダーになる必要なんて、無かったはずでしょ! これじゃああたし、何の為に……!」
仁美とさやかが悔し涙を浮かべていると、上条がその涙を、ライダーとなった手でそっと拭った。
「泣かせてしまった事に関しては、ゴメン。でも、僕だって何の理由も無しに契約したわけじゃない。僕はみんなと、やりたい事を……ううん、やらなくちゃいけない事を見つけたんだ」
「やらなくちゃいけない、事……?」
「おーい!」
晶が疑問を抱いていると、4人の後方からタケルとまどか、更に御成と星斗も駆けつけてきた。4人も目の前に現れた謎のライダーに驚いている。
「タケル君、みんな」
「! その声! お前、恭介なのか⁉︎」
「な、なんと……!」
「上条君……なの⁉︎」
上条は無言で頷く。
「恭介、何で仮面ライダーになったんだよ……! どんだけ危険な事か、賢いお前なら理解してると思ってたのに……!」
タケルは、上条を危険に巻き込んでしまった自分に憤りを感じているのか、その声を震わせていた。対する上条はハッキリとした口調でこう言った。
「人の心は決して弱くないって、キュゥべえに証明させる為だよ」
「えっ……?」
突然キュゥべえの名前が出てきた事に、一同はキョトンとしていた。
「ここに来る前に、僕は賭け事をしたのさ。僕達が生き残れば、彼は人類に手を出さないって。逆に負けたら地球はあいつのテリトリーになる。少し大胆な賭けではあるけど、みんなが協力すれば、きっと僕達は絶望なんかしない。そして、未来を生きる人達を守る事にも繋がる」
だから、僕はこの選択をした。上条がそう告げると、タケル達も、何も言い返せなかった。上条は並々ならぬ決意で、あえて危険な力に手を伸ばした。それは明確な目的を持ち、タケル達と共に困難に立ち向かっていく事を迷わず選択した、漢の覚悟だった。
「上条、お前……」
「!」
タケルが何かを言おうとした時、再び音符が攻撃してきたので、一同が身構えた。
「っ! 話は後にして、今はこいつらを!」
星斗の声を聞いて、一同は頷いた。まどかは安全な場所に逃げこんで、タケル達は次々と使い魔や音符を倒していった。
しかし、数が減る事はない。
「どうにかして魔女をやっつけたいけど……!」
「それには、あの音符が邪魔って事になるな」
「なら、僕に任せて!」
そう言って上条は銀色のアイコンを取り出し、ゴーストチェンジを行った。
『バッチリミテー! バッチリミテー! カイガン! ベートーベン! 曲名! 運命! ジャジャジャジャーン!』
「はぁっ!」
鍵盤のような柄の入ったパーカーを羽織り、ベートーベン魂となった上条は指揮者の如く腕をふるうと、そこから特殊な振動波が発生し、音符が指揮の魔女の支配から解放されて、今度は上条の奏でるリズムに合わせて飛び回っていた。
「おぉ! 素晴らしいですぞ!」
「音楽の力を自在に操れるのが、あの英雄アイコンの凄みって事か」
「上条君に相応しい力ですわね」
タケル達も戦いながら上条の戦い方に興味を示している。
「これが、音楽の力だ! タケル、一緒に!」
「! おう!」
タケルはムサシゴーストアイコンを取り出して、ゴーストチェンジした。
『バッチリミナー! カイガン! ムサシ! 決闘! ズバッと! 超剣豪!』
「命、燃やすぜ!」
「みんなで掴もう! 希望の明日を!」
上条が音符を魔女にぶつけると、魔女はのたうちまわり、その隙にタケルが二刀流となったガンガンセイバーで翻弄した。指揮の魔女も使い魔を出してタケルを襲わせたが、タケルは距離を置いて、ガンガンセイバーをドライバーにかざした。
『ガンガンミナー! ガンガンミナー! オメガストリーム!』
トリガーを引き、背後に浮かび上がった紋章からエネルギーが剣に纏わりつき、タケルは思いっきり振り回した。使い魔は一瞬で消滅し、それと同時にさやか達が相手にしていた使い魔も全て消え去った。
「次はこいつだ!」
『一発闘魂! アーイ! バッチリミナー! 闘魂カイガン! ブースト! 俺がブースト! 奮い起つゴースト! ゴーファイ! ゴーファイ! ゴーファイ!』
闘魂ブースト魂となったタケルはサングラスラッシャーを持って魔女に攻撃した。タケルと上条、両方から挟み込まれる形で攻撃を受け続け、すでに指揮の魔女は虫の息だった。
「いくぞ、恭介!」
「あぁ! いくよ、タケル!」
タケルはオレゴーストアイコンと闘魂ブーストゴーストアイコンをサングラス部分にセットし、上条はガンガンスティックをドライバーにかざした。
『メガマブシー! メガマブシー! 闘魂ダイカイガン!』
『ガンガンミテー! ガンガンミテー!』
「「はぁっ!」」
2人は同時に飛び上がり、各々の武器にエネルギーを溜めて、一気に振りかぶった。
『メガオメガシャイン!』
『オメガコーラス!』
「「いっけぇぇぇぇぇっ!」」
2人の斬撃はクロス状に指揮の魔女を斬り裂き、指揮の魔女は悲鳴と共に爆散した。2人の足元にグリーフシードが落ちてきて、上条はそれを拾うと、緊張からようやく解放されたのか、その場に尻餅をついた。
「恭介」
タケルに声をかけられて、上条が見上げると、タケルが手を差し伸べているのが見えた。
「言いたい事は色々あるけどさ……。とりあえず、これからもよろしく」
「……あぁ。僕の方からも」
そう言って上条はタケルの手をガッチリと掴んだ。それは、これからも絶望に立ち向かっていく姿勢の表れでもあるように、まどか達は思えた。
「恭介〜!」
と、そこへさやか達が駆け寄ってきた為、まどかもそれにつられて2人の所に向かった。
「全くあんた達は……。ま、恭介がどうしてもっていうんなら、あたしも協力するよ。巻き込んじゃったのは、あたし達の方だもんね」
「上条君、先ほどはキツい言い方でごめんなさい。ですが、かっこよかったですわ」
「そうですね」
「恭介殿、道は険しいものではありますが、共に歩んで参りましょうぞ!」
「とりあえず、隼人さん達にも報告しとかないとな」
「みんな……ありがとう」
彼らと共にいれば、もう何も怖くない。きっとどんな困難にも立ち向かっていけれる。そんな自信が、上条の心の中から溢れ出ていた。
その後、合流したマミ、隼人、杏子、ゆま、誠司にも、上条本人から事情を説明する事になり、当初は彼らも戸惑っていたが、本人の意思の強さを感じた5人は、彼を受け入れる事にした。
「ところでさ」
街灯に灯りがともり始めた頃の帰り道、タケルは隣を歩いている上条にある事を尋ねた。
「結局のところ、お前って何を願ってあいつと契約したんだ?」
「……あぁ、それの事か」
上条が答えようとした時、前方に、上条にとって見覚えのある人物が買い物袋を持って歩いているのが見えた。そのカバンからはシミのついた楽譜がはみ出ており、その光景を見据えながら、上条は笑みを浮かべて、タケルの質問に答えた。
「彼が自分の想いを込めた楽譜を認めて貰える人に出会えるように……ってね」
というわけで、ここからは上条も仮面ライダーとして参戦します。人数が多くなっていますが、何とかして一人一人のキャラを場面ごとに引き出していこうと頑張っていきます。
上条の願いとしては、結果的にさやかや海香と似た形になります。
皆さんからは上条の参戦に様々な意見を出されていましたが、私はここに宣言します。
〜後悔なんて、あるわけない〜(笑)
……さて、軽くスベった所で、次回についてですが、今週は家族旅行や習い事の用事があったりとスケジュールがびっしり詰まってるので、このシリーズの投稿は来週以降になります。(俺ツイの方は余裕があれば久しぶりに進めるかもしれませんが……)そして次回からはそこそこ重苦しい展開に進んでいきます。
次回もお楽しみに。